化学物質管理政策について
化学物質管理の必要性
化学物質には多くの優れた機能があるため、産業分野のみならず日常生活の様々な場面で利用されています。
このように化学物質は社会にとって有益なものですが、中には人や環境(動物やオゾン層等)にとって有害なものも存在します。
そのような化学物質については、より安全な物質への転換や人・環境が有害な化学物質にさらされる量(暴露量)を少なくすることで、人や環境が害を受ける可能性(リスク)を下げることが可能になります。
したがって、化学物質を安全に利用していくためには、個々の化学物質の有害性と暴露量に基づく科学的なリスク評価を行い、その評価結果に応じて適切に管理(製造・輸入の制限、使用・保管方法の適正化、環境中への排出抑制、有害性に関する情報の適切な伝達等)していくことが必要になります。
化学物質管理政策の考え方
化学物質を有効に利用し、人や環境への悪影響を最小限に抑えるためには、人や環境にとって有害な化学物質の製造・使用等を規制する法律を整備していくことが不可欠です。その際、化学物質の製造や国内外での流通・使用の障害にならないように、化学物質管理規制を国際的に 協調したものにしていくことが重要になります。
また、各国で排出されたフロン類が南極でオゾンホールを生じさせたように、化学物質は、環境中への排出や貿易等によって地球規模で移動する可能性があります。このような全世界規模で人や環境に影響を与える化学物質については、各国単独での化学物質管理には限界があるため国際的に協力して化学物質管理に取り組む ことが必要です。
同様に、化学兵器の原料等テロリストに使用されるおそれのある物質についても、各国が協力して管理していくことが不可欠です。
さらに、化学物質は、科学的なリスク評価結果に基づいて合理的な方法で管理していくことが必要です。
現在、日本国内だけでも約2万種類の化学物質が流通しているといわれていますが、人や環境に与える影響が十分にわかっていないのも少なくありません。このような化学物質による人や環境への影響を未然に防止するとともに、知見がないことによる過剰規制を防止するためには、各国が協力して、化学物質の有害性やリスク等に関する知見を効率的に収集・整備していくことが不可欠です。
このような観点から、経済産業省では以下の事項を化学物質管理のための方針(化学物質管理政策)としています。
- 化学物質管理に関する国際的な協調を考慮した法制度の整備
- 化学物質管理に関する国際的な取組に積極的に参画していくこと
- 化学物質をより一層効果的に管理するため、リスクに関する科学的な知見を整備していくこと
化学物質管理政策による効果
経済産業省が行っている化学物質管理政策により、以下の効果をもたらすことが期待されます。
- 化学物質管理に関する法律を整備することで人や環境にとって有害な化学物質の製造や使用等が規制されたり、事業者による自主管理が促進されるようになります。その結果、人や環境がその化学物質によって悪影響を受けることの未然防止が可能になります。
また、国内法規制の内容を国際的な取組と協和させることにより、国際的な化学物質管理制度の調和が促進されることが期待されます。更に各国間で化学物質の有害性に関する試験方法の標準化やデータの相互受け入れを進めることにより、化学物質の輸出入に当たり国毎に有害性試験をやり直す等の負担が軽減されるため、化学物質の貿易や国際的な産業活動が円滑に行われるようになります。 - 化学物質管理に関する国際的な取組に積極的に参画し、各国と協力して化学物質管理を行うことで、各国単独で行う場合に比べ、より一層効果的・効率的に管理できるようになります。
特に、地球規模で人や環境に影響を与えるフロン類や化学兵器原料等の化学物質の適正な管理のためには、各国の協力が不可欠です。
また、化学物質の有害性に関する知見についても各国が分担して収集・評価を行い、その情報を共有することで、同じ物質の収集・評価作業の重複を排除できるようになるため、これらの知見をより効率的に整備できるようになります。 - 化学物質の有害性等に関する科学的知見を整備することで、化学物質のリスクがより正確に把握できるようになります。
その結果、化学物質の正確なリスクに応じた合理的な管理対応(設備対応等)を行うことが可能になります。
お問合せ先
産業保安・安全グループ 化学物質管理課
電話:03-3501-0080
お問合せメールフォーム: https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/form/pub/kagaku/kannrika_toiawase