福島県訪問についての会見
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(記者)
代表、テレビ朝日・吉野です。総理は、就任後初めて福島を訪れ、福島第一原発や帰還困難区域を視察しましたが、所感を伺います。また、除去土壌については、2045年までに福島県外で処分することとなっていますが、いまだ再生利用は限定的です。今後、政府としてどのように取り組むのか伺います。
(高市総理)
本日は、今後の福島の復興・再生に向けまして重要な鍵を握る現場を訪問させていただきました。また、地元福島県の内堀知事、大熊町の吉田町長、双葉町の伊澤町長からお話を伺いました。また、牧野復興大臣も同行をしてくださいました。まず、東京電力福島第一原子力発電所では、廃炉やALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出、これが安全かつ着実に進捗しているということを自分の目で確認いたしました。この廃炉作業っていうのは、世界でも例のない、技術的にも難易度の高い作業でございます。今後ですね、廃炉の根幹となる最も困難な作業段階に入っていきますけれども、安全確保を最優先に、一歩一歩、着実に作業を進めるとともに、長期にわたる廃炉作業において、地域との共生に向けた取組を進めていただく必要がございます。このため、私から(東京電力)小林会長、また、小早川社長に対しまして、経営陣がリーダーシップを発揮して、緊張感をもって取り組んでいただきますようにとお願いをいたしました。それから、双葉町の帰還困難区域では、いまだに住民の皆様が帰還できない場所が残っているという状況を確認いたしました。2020年代をかけて、帰還意向のある住民の皆様が全員帰還できるように、特定帰還居住区域の制度によりまして、除染やインフラ整備などの避難指示解除に向けた取組、これを進めてまいります。さらに、将来的に、帰還困難区域の全てを避難指示解除して、復興・再生に責任をもって取り組むという決意でございます。それから、中間貯蔵施設でございますけれども、除去土壌の保管状況ですとか、除去土壌を道路盛土に再生利用する実証事業の取組を確認しました。大変重い御決断でこの中間貯蔵施設を受け入れてくださった大熊町、双葉町と福島県に、改めて、心から感謝を申し上げます。この福島県内で生じた除去土壌ですけれども、中間貯蔵開始後30年以内、つまり2045年3月までの県外最終処分の方針というのは、国としての約束でございますので、さらに、法律にも規定されたものでございますので、国の責任だと考えております。この県外最終処分の実現に向けては、復興再生土、この利用によってですね、最終処分の量を減らしていくということが重要です。今日、いろいろ説明を受けて、実証事業も拝見しましたけれども、私はこの復興再生土への多くの方々の理解、いかに安全に対応できるか、心配されるようなものじゃない、こういった理解を深めていただいて、できるだけ各地で活用できるように、私は取り組んでいきたいと思っております。もちろん、牧野大臣とですね、力を合わせながら、各所に働きかけをしたいと思っています。それから、この土なんですけれども、今年8月に定められた、当面の5年程度のロードマップ(「福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた復興再生利用等の推進に関するロードマップ」)などに基づいて、7月以降は、首相官邸ですとか、霞が関中央官庁の花壇など9か所で復興再生土の利用を進めてきました。ロードマップでは、2030年頃までの確度の高い具体的な道筋をお示ししたほか、その後については、2030年頃に県外最終処分の仕様や候補地選定プロセスを具体化し、候補地の選定調査を始めることをお示ししています。ただ、今日、私はここに参りました。高市内閣としましては、政府として責任をもってロードマップの取組を進めるとともにですね、段階的に、2030年以降の道筋についてもお示しをしてまいりたい。これを皆様に、新たにお約束をいたします。今回の訪問を通じまして、やはりこの福島の復興というのは長い道のりであり、この災害、決して風化させてはなりません。これを強く感じました。私の内閣でも、全ての閣僚が復興大臣という、こういう決意の下に、復興のための取組、これを更に加速化させてまいります。内閣の重要課題として、福島の復興に責任貫徹の思いで取り組んでまいります。私の方から以上でございます。
(記者)
県政クラブ幹事社の福島民報の丹治と申します。すみません、先ほどとちょっと重なってしまう部分があるんですが、2051年までを目標とする(福島)第一原発の廃炉完了に向けて、計画の変更などが相次いでおり、困難さを指摘する声があります。廃炉完了に向けて、政府の今後の取組について伺います。
(高市総理)
そうですね、福島第一原子力発電所の廃炉、これは先ほど申し上げましたとおり、世界に前例の無い、困難な取組でございます。今後も様々な困難に直面することも想定されます。でも、引き続き、安全かつ着実に作業を進めていただく必要がございます。本日の視察において、一号機の大型カバーの設置状況、まだ全部は完成はしておりませんけれども、それを確認しました。また、二号機における燃料デブリの試験的取り出しの成功、こういった廃炉に向けた取組というのは一歩ずつ進展しているということは実感をいたしました。現在の「中長期ロードマップ」に基づきまして、2051年までの廃止措置終了に向けて、何といっても安全確保を最優先に、地元の皆様の御理解を得ながら取り組むよう、東京電力を指導していくとともに、国も前面に立って、最後まで責任をもって取り組んでまいります。以上です。