フランス、イタリア及び英国訪問等についての会見

(欧州3か国歴訪の成果について)

欧州3か国を訪問させていただき、フランスのマクロン大統領、そしてイタリアのメローニ首相、そして本日、英国のスナク首相と、率直な、胸襟を開いた戦略的な意見交換ができたと感じています。それぞれの会談において、まず私の方から、先月策定した我が国の国家安全保障戦略について説明を行い、いずれの首脳からも前向きな反応を頂きました。その上で、安全保障分野における連携を一層強化していこうということで一致いたしました。具体的には、フランスとの間においては、今年前半、日仏ツー・プラス・ツー、外務防衛分野におけるツー・プラス・ツーを開催するということ、またイタリアにおいては、二国間関係を戦略的パートナーシップに格上げする、その上で外務・防衛協議を立ち上げるということを確認いたしました。そして、英国においては日英円滑化協定の署名を行うなど、それぞれ連携を具体的に前進させることができたと思っています。そして、その上で、各国との間においては、ロシアによるウクライナ侵略といった厳しい安全保障環境、さらには、世界経済の下方リスクがあること、こういった世界の現状認識について思いを共有した上で、G7広島サミットに向けた協力を確認いたしました。我が国からG7議長国としての考え方を説明した上で、各国との間において、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持するというG7の思いを明確に発信していこうということについて、一致したということであります。G7議長国になって初めての欧州首脳との会談ということになりましたが、それぞれ信頼関係を深めることができたと感じていますし、G7広島サミットの成功に向けて協力をしていく上で、手応えを感じる会談であったと感じています。

(CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の協議について)

CPTPPについては、英国との協議が今進んでいます。引き続き、この協議を加速化させるということについては一致いたしました。具体的な成果に向けて努力を続けていきたいと思っています。

(カナダ、米国訪問での期待される成果について)

私自身総理に就任してから初めてのカナダ訪問、そしてワシントンD.C.への訪問ということになります。カナダは、G7のメンバーであると同時に太平洋国家です。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて連帯を確認したいと思います。そして、G7広島サミットに向けた政策調整なども行っていきたいと考えています。また、米国バイデン大統領との会談は、我が国が安全保障に関する3文書の改定、策定を行い、そして防衛力強化に向けた具体策を明らかにしてから間もない時点で行われる首脳会談ということになります。G7サミットの成功に向けて腹合わせを行うということももちろん大事ですが、それ以外に、今言ったタイミングで首脳会談が行われるということから、日米同盟の一層の強化ですとか、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて努力をする、日米の緊密な連携を確認する、そして平和や繁栄に、日米がしっかりコミットするという思いを明確に発信する貴重な場ともなると考えています。是非、カナダ、そして米国、この残りの2か国の訪問においても、成果を出していきたいと思っています。

(G7広島サミットでの核軍縮等の議論について)

まず、G7サミットですから、世界経済ですとか、地域情勢ですとか、気候変動を始めとした地球規模の課題などについて、幅広く議論していかなければならない会議ではありますが、今回は被爆地で開催されるG7サミットですので、その場においては、今申し上げたような課題についてのメッセージと合わせて、核兵器のない世界を目指すという我が国の思いをしっかりとG7各国と共有した上で、明確なメッセージを発する、こうした機会にもしたいと思っています。今、国際情勢を見ますと、ロシアによる核による威嚇が行われている。中国においても核をめぐる様々な増強も伝えられる。北朝鮮の弾道ミサイル、そして核における挑発的な行動も行われている。こうしたことですので、核軍縮、あるいは不拡散に向けての国際的な機運を再び盛り上げる、こうした貴重な機会にしたいと思っています。そして、今回の会議においてもそういった思いを各国首脳に伝え、このG7広島サミットにおいて、こういった議論も行いたいという思いについては、全ての首脳から理解と支持を頂いた、こういった次第です。具体的にどんな発信をするのかとか、具体的にどういった日程を組むかということについては、まだ協議中ですので、今この時点で確定的なことは申し上げられませんが、今申し上げた核軍縮あるいは不拡散というテーマにおいても、広島から再び国際的な機運を盛り上げる機会にしたいと思っています。

(東アジアの安全保障環境を見た中で、各国の安全保障面での連携の意味合いについて)

今回の円滑化協定の署名は豪州に続いて2番目となる日英円滑化協定です。これは今あったように、ロシアによるウクライナ侵略が行われている。また、東シナ海、南シナ海においても力による一方的な現状変更の試み等が続いている。こうしたこれまで築き上げてきた国際秩序が挑戦にさらされて、国際的な安全保障環境が一層厳しさを増している、こうした状況の中にあります。この中にあってアジア及び欧州において、最も緊密な安全保障のパートナーである日本と英国が、こうした重要な文書に署名することができたということは、日英安全保障・防衛協力、これを新たな高みに引き上げるものであると思います。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた動きが更に進展することも期待したいと考えております。こういった意味が今回の協定の署名にはあると認識いたします。

(総理の訪問に先立ち開始される日米ツー・プラス・ツー及び日米のガイドラインの見直しについて)

日米のツー・プラス・ツーについては、確か日付、本日行われるということで、今アメリカでの時間がどうなっているのか、確認してみなければわかりませんが、いずれにせよ、もう間もなく開催されるという段階にあります。こういった段階ですので、まだ、その内容について具体的に申し上げることは控えなければならないと思いますが、御指摘のガイドラインの見直しについては現在何も決まっていないと私は承知しております。

(中国政府が水際対策の対抗措置として行ったとされるビザ発給一時停止について)

御指摘の点については、私自身、外国での日程を開始した後に報告を受けました。我が国としては、中国において新型コロナの感染状況が拡大しているということ、さらには、その詳細な状況の把握が困難であるということ、これを踏まえて、新型コロナの国内への急速な流入、これを避けるために、昨年12月30日以降、入国時検査あるいは陰性証明書の提出などの臨時的な措置を講じてきた、こうしたことであります。要は我が国は、新型コロナ対策を目的として、国際的な人の往来を止めるものとならないよう水際対策を実施しているということであります。その一方で、中国が新型コロナ対策とは一見関係がないと思われる査証発給の制限を一方的に行ったということについては極めて遺憾であると感じています。中国側に対して外交ルートで抗議を行うとともに、かかる措置の撤廃を求めたところです。こうした抗議と、措置の撤廃を求めた、こうしたことを行ったという報告を受けております。

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