山岳トンネルなのに海底トンネル?
[画像:四国カルストの風景] 地芳トンネルは全長2,990m。当社は愛媛側工区1,387mを担当する。トンネル直上の地芳峠付近は四国
カルスト※(注記)が広がっている。
トンネル工事では,弾性波探査などで掘削前に地質の調査をするが,土被りが200mを超えると正確な地質を把握するのが難しい。設計当初,掘削箇所の地質構造は粘板岩・砂岩の硬岩が主体とされていた。説明してくれた松川久俊所長によると「そのため,本工事で注意するのは,石灰岩中の溶食洞の崩壊でした。モルタル充填などの空洞対策を想定していたのです」という。
ところが2001年4月26日,愛媛側から701m地点で
本坑※(注記)を掘削【掘削1】中に,切羽から突発的な湧水(20t/分)が発生した。掘削位置で水深約200mの水圧と同じ1.6〜2.0MPaを観測。山岳トンネルなのに,海底トンネルと同じ対応を余儀なくされた。
トンネル工事での湧水は,水を抜くか,止めるかの二者択一が迫られるが,突発湧水箇所については,水抜き坑による排水工法を選択。水抜き坑を構築し,2001年8月15日に導水を完了した。
突発湧水の発生箇所より奥は,付近住民の生活水と農業用水確保のため,水ガラス系薬液で湧水を止める止水注入工法に切り替えた。また,地質や止水薬液注入の効果を確認するための
調査坑※(注記)の掘削【掘削2】が決定した。