concept デサント大阪オフィス 中規模オフィスのプロトタイプを目指して
水平線を強調した曲面ガラスによるファサード
(photo: エスエス大阪)
デサント創業の地,大阪環状線・桃谷駅前は,戦前からの住宅地と戦後の業務商業の中高層街区が混在する場所である。築40年の大阪本社ビルの建替えにあたり,地域に馴染む5階建ての中層ヴォリュームの建築とし,外観はゆるやかな曲面ガラスのファサードを採用した。スキーウェアを主軸として発展した会社にふさわしく,ガラス面には粉雪をイメージしたドットプリントをおこない,コーポレート・アイデンティティを表出させた。
パブリック・スペースには,エントランスホールに自社の歴史を展示するメモリアルコーナー,商談スペースにオリンピックメダリストのユニフォーム型紙をモチーフとした水着素材によるパーティション,旧本社ビル正面玄関にあったレリーフの移設など,ブランドの継承と発展のための空間をしつらえた。
×ばつ奥行き15mの見通しの良い開放的な空間である。執務スペース中央に螺旋階段のある吹抜け(ヴォイド)を設け,一体感の醸成とコミュニケーションの活性化を図った。人・風・光が交差する空間である。
中規模オフィスにおけるプロトタイプの実現を目指し,ペリメータファンを組み込んだエコレータ換気とブラインド自動制御によるエアフローウインドウ,ヴォイドによる重力換気・自然採光,タスク&アンビエント照明など,合理的でサステナブルな環境型オフィスのあり方を考えた。
(中江 哲,鶴 潔)
[写真:執務スペース中央にあるヴォイドは,人・風・光が交差するコミュニケーションの空間となる]
執務スペース中央にあるヴォイドは,人・風・光が交差するコミュニケーションの空間となる
[写真:旧本社ビルにあったレリーフを保存移設した地下1階大会議室ホワイエ]
旧本社ビルにあったレリーフを保存移設した地下1階大会議室ホワイエ
[写真:オリンピック・メダリストたちのユニフォーム型紙をモチーフとした水着素材によるパーティション]
オリンピック・メダリストたちのユニフォーム型紙をモチーフとした水着素材によるパーティション
デサントロゴが夕景に映える
[写真:エントランスホールに自社の歴史を展示するメモリアルコーナーをおく]
エントランスホールに自社の歴史を展示するメモリアルコーナーをおく
デサント大阪オフィス(大阪市天王寺区)
スポーツウェア製造・販売大手「デサント」の大阪本社ビル。
「第25回日経ニューオフィス賞」,「CASBEE大阪 OF THE YEAR 2012 最優秀賞」,
「第6回大阪サステナブル建築賞特別賞」受賞。
[画像:図:(左)風の通り道(コミュニケーションヴォイド)による重力換気 (右)温度コンター図]
左:風の通り道(コミュニケーションヴォイド)による重力換気
右:温度コンター図
カーテンウォールのスリット部にある外気取入れ口にファンを設置し,中間季の自然換気ファンと夏季・冬季の空調ファンを兼用させることで,給排気口の高低差が小さい中層建築における重力換気システムの完成形を目指した