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調査シリーズNo.235
高度プロフェッショナル制度の適用労働者アンケート調査

2023年12月28日

概要

研究の目的

平成30年(2018年)に成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成30年法律第71号)により、平成31年(2019年)4月から高度プロフェッショナル制度が施行された。高度プロフェッショナル制度が適用されている労働者の健康状態の実態や労働者の意見、導入後の課題等を把握するため、高度プロフェッショナル制度の適用労働者に対してアンケート調査を実施した。 本調査は、厚生労働省労働基準局の要請に基づく要請研究である。

研究の方法

高度プロフェッショナル制度の適用労働者に対する個人アンケート調査。

調査方法
高度プロフェッショナル制度の適用事業場(22事業場。調査対象事業場リストは厚生労働省より提供)を通じて当該事業場に属する高度プロフェッショナル制度の適用労働者(調査票配付時点の全数)に調査票を配付し、適用労働者から直接返送(調査票は日本語版、英語版を作成。オンライン回答可)。
調査対象
高度プロフェッショナル制度の適用労働者572人(調査票配付時点の全数)。
調査期間
令和4(2022)年1月14日〜2月24日(調査時点:令和3(2021)年12月末日時点)。
有効回収数
254人(有効回収率:44.4%)。

主な事実発見

  • 高度プロフェッショナル制度の適用労働者の性別は、男性が82.3%、女性が16.9%などとなっている。年齢は、「30代」が45.7%と半数弱を占め、次いで、「20代」が22.4%、「40代」が19.7%、「50代」が11.0%、「60代以上」が1.2%となっている。
  • 対象業務の従事年数(現在の勤め先だけでなく、以前勤めていた企業などで同じ業務に従事していた場合は、その期間も含む)は、「3年未満」が44.9%と最も高い。3年以上についてみると、「3〜5年未満」が15.0%、「5〜10年未満」が11.8%、「10〜20年未満」が15.4%、「20年以上」が13.0%と、いずれも1割台となっている。
  • 雇用契約期間の有無では、「期間の定めがない(無期契約)」が87.0%とほとんどを占め、「期間の定めがある(有期契約)」は13.0%となっている。
  • 現在の賃金の算定方法(給与形態)は、「年俸制」が81.1%と大多数を占め、「月給制」が18.5%となっている。
  • 現在の高度プロフェッショナル制度での働き方に対する認識では、各項目で「当てはまる・計」(「当てはまる」と「どちらかといえば当てはまる」の合計)の割合をみると、「自分の能力を発揮して成果を出しやすい」「時間にとらわれず自由かつ柔軟に働くことができる」「賃金などの処遇に見合った働き方である」が8割台となっており、「仕事の裁量が与えられることで、メリハリのある仕事ができる」「働きがいにつながっている」も7割台となっている。一方、「働いている時間が長い」と「業務量が過大である」は6割前後となっている(図表1)。

図表1 現在の高プロ制度での働き方に対する認識(SA、単位=%)

現在の高プロ制度での働き方に対する認識では、各項目で「当てはまる・計」(「当てはまる」と「どちらかといえば当てはまる」の合計)の割合をみると、「自分の能力を発揮して成果を出しやすい」が84.7%、「時間にとらわれず自由かつ柔軟に働くことができる」が83.4%、「賃金などの処遇に見合った働き方である」が81.5%となっており、いずれも8割台となっている。「仕事の裁量が与えられることで、メリハリのある仕事ができる」が78.4%、「働きがいにつながっている」74.0%となっており、ともに7割台となっている。一方、「働いている時間が長い」が68.5%、「業務量が過大である」が58.6%となっており、これらは6割前後となっている。「休暇が取りにくい」も35.4%と3割台で一定割合存在する。
当てはまる どちらかといえば当てはまる どちらかといえば当てはまらない 当てはまらない 当てはまる・計 当てはまらない・計
1時間にとらわれず自由かつ柔軟に働くことができる 48.0 35.4 9.4 7.1 83.4 16.5
2自分の能力を発揮して成果を出しやすい 40.6 44.1 11.0 4.3 84.7 15.3
3働きがいにつながっている 30.7 43.3 16.5 9.4 74.0 25.9
4仕事の裁量が与えられることで、メリハリのある仕事ができる 38.6 39.8 14.6 7.1 78.4 21.7
5賃金などの処遇に見合った働き方である 37.8 43.7 13.8 4.7 81.5 18.5
6仕事に裁量がない(又は、小さい) 3.5 19.3 42.5 34.6 22.8 77.1
7業務量が過大である 16.9 41.7 30.3 11.0 58.6 41.3
8働いている時間が長い 22.4 46.1 21.3 10.2 68.5 31.5
9休暇が取りにくい 12.2 23.2 34.3 30.3 35.4 64.6
10賃金などの処遇が悪い 3.5 12.2 41.7 42.5 15.7 84.2
11人事評価が不適切である 3.1 9.8 48.4 38.6 12.9 87.0

(注記)「当てはまる・計」は、「当てはまる」と「どちらかといえば当てはまる」の合計。「当てはまらない・計」は、「どちらかといえば当てはまらない」と「当てはまらない」の合計。

  • 高度プロフェッショナル制度の適用により、自由で創造的な働き方ができているかについては、自由で創造的な働き方が「できている・計」(「できている」と「どちらかといえばできている」の合計)の割合は84.2%となっている。現在の高度プロフェッショナル制度での働き方は成果や働きがいに繋がっているかについては、成果や働きがいに「繋がっている・計」(「繋がっている」と「どちらかといえば繋がっている」の合計)の割合は82.3%となっている。
  • 現在の健康状態は、「よい・計」(「よい」と「まあよい」の合計)の割合は、71.3%と7割を占め、「ふつう」が21.3%となっており、「よくない・計」(「あまりよくない」と「よくない」の合計)の割合は7.5%となっている。高度プロフェッショナル制度が適用される前に比べての健康状態(「分からない」を除く)としては、「変わらない」が80.7%と8割を占めており、「よくなった」(9.8%)と「悪くなった」(9.4%)はともに1割弱となっている。
  • 高度プロフェッショナル制度適用の満足度については、「満足・計」(「満足している」と「やや満足している」の合計)の割合(無回答を除く)は、87.7%と9割弱となっている(図表2)。
  • 今後の高度プロフェッショナル制度適用の希望の有無については、「希望する」が89.4%となっている。

図表2 現在の高プロ制度適用の満足度(SA、単位=%)

[画像:現在の高度プロフェッショナル制度の適用の満足度は、「満足している」が45.8%、「やや満足している」が41.9%、「やや不満」が9.5%、「不満」が2.8%となっている。「満足・計」(「満足している」と「やや満足している」の合計)の割合は、87.7%と9割弱となっている。一方、「不満・計」(「やや不満である」と「不満である」の合計)の割合は、12.3%である。]

政策への貢献

高度プロフェッショナル制度の適用労働者の健康状態の実態や労働者の意見等を把握し、厚生労働省に基礎的データを提供した。労働条件分科会等で活用。

本文

研究の区分

情報収集

研究期間

令和3〜4年度

執筆担当者

郡司 正人
労働政策研究・研修機構 調査部長(執筆当時、現・リサーチフェロー)
奥田 栄二
労働政策研究・研修機構 調査部調査次長
多和田 知実
労働政策研究・研修機構 調査部調査員

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

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