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「長期研修員の素顔と魅力1〜」

2025年12月04日

JICA東京には、2025年11月現在、81の国・地域から386名の留学生がいます。
彼らは6つの都道府県にある34の大学院で修士号や博士号の取得を目指して高度な知識と技能を身につけています。
JICA東京では、定期的に長期研修員の紹介をしております。今回は、国際協力に関心を持ち、埼玉で開催されたJICAイベントに参加経験がある大学生が、留学生にお話を伺いました。

インタビューアー: 伊藤 華(慶應義塾大学)

長期研修員の紹介
Mr. Muhtadin Mustafa(国際大学)

インドネシア出身で、労働省で技術政策アナリストとして働いているムスタファさんは、国際大学(IUJ)で、インドネシアにおけるジェンダーデジタル格差が人間開発へ与える影響について研究しています。幼少期から日本文化が好きだというムスタファさんは初の来日を楽しんでいます。

ムスタファさん:日本のいろいろなところを訪問しているそうです。

研究テーマ:ジェンダー間におけるデジタル格差とは

ムスタファさんは、インドネシアにおける、デジタルデバイスの使用に関する男女間の格差・使用状況の格差に着目し、研究をしています。
特に、デジタルデバイスの所有率ではなく、使用率を重視しています。インドネシアの文化では、男性は家族を支える役割を担う傾向があり、スマートフォンは通常、仕事探しや求人情報を見つけるために利用されています。一方で、女性は外で働くよりも家族の世話をすることを期待される傾向が今も残っているため、スマートフォンをこうした経済活動に使う機会が相対的に少なくなります
人間開発指数(HDI)(注記)1は、収入だけでなく、あるいは幸福度だけではなく、健康や教育も含まれます。ムスタファさんは教育や収入獲得のためにスマートフォンをより多く使うかはHDIに大きく影響するという仮説を持っています。

(注記)1国連開発計画(UNDP)が発表している 「健康」「教育」「所得」の3つの側面から総合的に人間の発展度を評価する指標。
2024年の世界ランキングで日本は24位。

研究計画と目的

ムスタファさんは、母国のより良い雇用支援システムの構築に役立てるために、ハローワークを訪問し、日本の求職支援や職業訓練の提供、障害者へのサービス提供体制、女性向け支援、デジタル支援など、就職活動を支援する実態を視察しようと考えています。
ムスタファさんの日本での目標の一つは、日本の雇用支援システムをどう構築しているのか、日本の職員が求人情報をどう提供しているのか、就職プロセスがどうなっているのか、それを実際に見ることです。また、ムスタファさんはインドネシアの労働省で働いているため、日本の公務員が求人情報を得て、働くまでのプロセスはどうなっているのか、知りたいと考えています。

両国のジェンダー平等について

ムスタファさんは、インドネシアと日本のジェンダー平等の差はそれほど大きくないと考えています。現在、日本では初の女性総理大臣が就任しましたが、インドネシアも第五代大統領が女性でした。また家族文化についても、インドネシアとの差はあまりないと感じているそうです。
一方で、両国のデジタル技術の受容度や、デジタル機器の所有率については大きく異なるそうです。インドネシアには、まだ電気の供給やインターネットへのアクセスが厳しい地域があります。仕事や教育に関する情報にアクセスすることが厳しいため、生活の向上が難しいそうです。そうした理由で、男女のデジタル格差が起きてしまいます。

日本を選んだ理由

幼少期から日本のアニメや漫画をみて育ってきたムスタファさんは、日本に対する憧れを持っていたそうです。アニメはもちろん、J-popや日本食も大好きなムスタファさんは、大学時代から独学で日本語の勉強もしていました。
日本で楽しみにしていることを伺うと、日本の四季を楽しみにしていると仰っていました。南国であるインドネシアに住むムスタファさんにとって、日本で初めての冬を過ごすことになります。冬に雪を見ること、そして春には桜を見ることを楽しみにしているそうです。

新潟の初雪を楽しみました

古民家訪問

最後に

「人生を精一杯生きること。そして時間ができたら、ぜひインドネシアへお越しください。」とメッセージをいただきました。
インタビューを通して、ムスタファさんが日本を愛してくださっていることが伝わり、とても嬉しく感じました。また、彼の語る「外から見た日本」は私にとっても新鮮で、両国の文化の違いや価値観を知る貴重な機会となりました。

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