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- シミュレーションツールを活用した授業案
本ページでは、「身の回りの電気製品を題材としてプログラミング的思考力を育成する授業」でシミュレーションツール(スクラッチ)を活用頂いた授業実践案について、ご紹介いたします。
【電気の利用 発展】
- 身の回りの電気製品から電気製品の制御としてプログラミングが関わっている事を理解し、ものづくりへの興味関心を高める。
- 電気製品の動き(目的)に合わせ、電気製品が制御されている事を体験し、自らの生活とプログラミングの繋がりを理解し、センサーやプログラムの働きにより生活の便利さや豊かさがもたらされていることを知る。
- 授業時間数 ×ばつ2コマ
導入
「電気の利用」の発展として。身の回りの電気製品(炊飯器)がボタン一つで自動でお米を炊いている事に疑問を持たせます。
この際の展開事例としては、
-
家庭科でご飯を炊いた経験から、炊飯器の動作を想像させるような発問を行う方法があります。
教員の投げかけとしては、鍋でご飯を炊いている経験を思い出させながら「炊飯器ってどうやってご飯を炊いてると思う?」等 -
予めプログラミングの授業を行うことを伝え、プログラミングの視点からの考えを促す方法があります。
教員からの投げかけとしては、「プログラミングって知ってる?」「プログラミングってどんなことをするの?」「電気製品もプログラミングで動いているんだよ」等
展開1 実験1回目
炊飯器の温度変化を再現する実験を通して、炊飯器の仕組みに迫ります。
予備実験から仮説を立てる
実験時に使える電池は3個
- 教員からの提示として、2個で1分間の温度上昇を確認
- 児童からの希望を聞き、電池の数、時間を決めて温度上昇を確認
- 班ごとに、班の考えで予備実験を実施
電池を切った後の温度変化について、予め児童に見せる、見せないで実験計画の立案にも差が出ます。
炊飯器の温度再現の計画を立てる
-
ワークシート1を用いて、実験の計画を立てます。
一人で考えをまとめた後、班の考えとして計画を立てます。
実験1回目
-
実験器具を用いて温度再現実験を行います。
実験は仮説の検証の場でもあるため、思い通りの結果にならない場合でも計画通りに最後まで実験を行います。
- 実験結果(温度変化)をグラフ化し、検証でふりかえり、理想のグラフに近づけるためにどのような改善をするべきか。上手くいった箇所は再現するなど、2回目の実験に向けて再考します。
結果の共有
- 班内での共有
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クラス全体として共有
(全体での共有により、気づきもあるが、上手くいった班のマネになってしまうケースも考えられる。)
展開1 実験2回目(シミュレーションツールの活用)
実験2回目
教員から、シミュレーションツールの提示
「実験結果を確かめる道具としてシミュレーションツールというものがあります」
-
1回目の計画を入力し、シミュレーションツールがどのようなグラフを示すか確認します。
(自分達がワークシートに書いたグラフとほぼ同様のグラフになる事を確認し班で話し合った改善点をシミュレーションに反映します。) -
2回目の実験計画にシミュレーションツールを活用して考えます。
シミュレーションツールを使い、改善点を実験計画として入力します。
振り返りで共有したことを基に、シミュレーションを繰り返すことで、短時間でより理想のグラフに近づく実験計画を立てられるようになります。
端末の活用について
1人/1台:個人の考えを深めることに適しています。
班/1台:話し合いの中から協同で実験計画を立てるのに適しています。
(端末の活用については、上記のように色々な手法が考えられます。)
班で話し合った実験計画をシミュレーションツールで確認し、計画として決定したら、実際に実験器具を用いて2回目の実験を行い、結果をグラフにします。
「電気製品の開発現場では、シミュレーションツールが使われていて、検証が行われています。今日、皆さんがやった体験は、製品の開発現場と同じ事です。」
(シミュレーションツールはあくまでも 一定の条件下でシミュレーションしているものであり、実験結果を完璧に再現できるものでないことを伝える。)
展開1のつづき(アレンジ) シミュレーションツールの活用 付せんワーク
実験を振り返り、実験手順を言語化して表す
実験手順を言語化して振り返ることで、これらがプログラムとして電気製品に組み込まれており、センサーとプログラムの働きによって、電気を制御していることを確認します。
教員からシミュレーションツール、付せんワーク画面の提示
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実験手順をシミュレーションツールで表示させ、実験の流れを確認します。
自分達が実行した手順が、付せんワーク画面で一覧表示されることを確認します。
(グラフ作成画面に戻ることでペンギンがしゃべった ことば(実験で実行した事)は付せんワーク表示後に、実行した時点に★で表示されます。)
-
ワークシート3を用いて、実験の流れを整理し確認します。
実験を言語化し可視化することで、流れを整理することができ、論理的に考えることが可能となります。
意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要だったのかの整理につながり、プログラミング的思考の育成につなげます。
まとめ
- 2回の実験を通して、グラフにどんな変化が生まれたか、プログラミングの難しさや日常生活とのつながりなどの視点で振り返りをさせる。
- 実験で行った役割分担と実験の手順をふりかえり、これらがプログラムとして電気製品に組み込まれていることを説明する。センサーとプログラムの働きが、電気を制御しているという学びにつなげる。
シミュレーションツールを活用した授業における教員の感想
- 児童は、プログラミング=ゲーム作りという概念で、家電の中に入っているという意識はもっていなかったが、プログラミングに対する期待感は持っている。授業についても意欲をもって取り組む様子がうかがえた。
- シミュレーションツールを計画的に活用することで、実験時間の短縮になった。
-
今回の実験は、1回目に自ら実験することで、失敗の個所を確認した上で、2回目の実験計画にシミュレーションツールを活用することで改善につながった。
シミュレーション+リアルな実験(体感)することで、肌で感じ達成感が得られていた。 - ON/OFFだけでなく、時間によって変化する制御が良かった。
- シミュレーションツールを使うことで、論理的思考を伸ばすことができる。
- シミュレーションを使いながら考えることで、さらに計画的にプログラミングを学べた。
- フローチャートを考えて班で話し合うことが、考えを深めることになると思った。 生活に基づいた内容(炊飯器)で面白かった。
今回のプログラミングの授業のねらいは、理科としての見方・考え方の育成、プログラミング的思考を育むことにあります。
それと同時に、研究職や開発・設計職の方々の視点を盛り込んだ実験を通して、製品や電機業界への興味・関心、製品開発の大変さ、必要となる知識や技術への意欲、また、できた時の喜びを感じること、としています。
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