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ラジオアイソトープ(RI)は、放射線を放出する同位体であり、核医学診療を支える基盤でもある。微量を体内に投与して病変部を映し出す診断や、がん細胞を選択的に殺傷する治療は、いずれもRIの特性によって可能となる。近年、アルファ線を放出する新たな治療用RIが登場し、従来は有効な手段が限られていた難治性がんへの適用が現実味を帯びてきた。
しかし、世界的に供給は限られ、需要の拡大とともに国際的な確保競争も激化している。安定的な製造基盤の整備、規制や社会的受容への対応は喫緊の課題だ。本特集では、RIの研究開発と社会実装の現状を、核医学の視点からシリーズで検証していく。
なお、RIという略称は、日本のみで使用されている用語であるので、注意してほしい。豆知識だがアカデミアでは、「radioisotopes」よりも「radionuclides」のワードの方が、多く利用されているようだ。
(企画/構成 石井敬之)
原子力は発電だけではない。核医学は、がん診断・治療から認知症評価までを支える社会インフラであり、医療用RIの安定供給とセラノスティクスを両輪に、「がん克服」を現実のものにしようとしている。各国との連携、Ac-225/At-211の実装、人材(医学物理士)と社会受容まで──実装の要諦を聞く。
大阪大学 名誉教授
公益社団法人日本アイソトープ協会 副会長
畑澤 順 先生
2025年10月03日
がん治療の切り札として世界的に注目されるアクチニウム225をはじめ、先進的なラジオアイソトープ(RI)の国産化と応用に挑む量子科学技術研究開発機構(QST)。希少資源の確保から製造技術の高度化、規制対応、さらにはペット医療への展開まで──RIを社会に実装するための戦略と未来像に迫る。
量子科学技術研究開発機構
先進核医学基盤研究部
永津 弘太郎 先生
2025年08月25日