持続可能な開発目標(SDGs)達成への進捗は依然として不十分かつ不均衡であり、統合的で変革的なアクションの必要性が一層高まっています。目標達成への進捗を加速させ、野心的な「ポスト2030アジェンダ(ポストSDGs)」の構築へつなげるため、サステイナビリティ統合センター(ISC)は3つの重点分野に取り組みます。
1) 分野横断的なシナジーの促進
ISCは、ネイチャー・ポジティブ・ソリューションやコベネフィット(共通便益)、ネクサス(連関)・アプローチの推進を通じて、分野を超えた連携によるシナジー(相乗効果)を強化します。 また、G7/G20、持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)、持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD)、国連環境総会(UNEA)といった国際的なプラットフォームにおける議論にも働きかけていきます。主要な成果のひとつとして、アジア太平洋地域におけるシナジーに関する報告書も作成します。
2) 公正な移行の支援
IGESは、若者、高齢者、女性、そして脆弱な立場にある人々などすべてのステークホルダーにとって包摂的かつ公平な移行が実現されるよう、公正な移行への支援を強化します。具体的には、公正な移行の主流化や、持続可能な開発のための教育(ESD)の推進に取り組みます。
3) ボトムアップ・アプローチの推進
ISCは、地域循環共生圏(CES: circulating and ecological sphere)という考え方や水・エネルギー・食料・気候ネクサスなどの、エビデンスに基づく研究、能力構築、知識創出を組み合わせたボトムアップ・アプローチを用い、統合的なアクションを共同設計し、地域化することを目指します。さらに、こうした地域固有のモデルをいかにグローバルなレベルへスケールアップできるかを検討し、持続不可能なシステムからの脱却とアジアの多様な持続可能性の課題に対処していきます。
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ISAP2025: テーマ別会合 4(TT-4)
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場所:
オンライン
使用言語:
日本語 / 英語
(同時通訳あり)
30分で学ぶ環境の重要課題:「世界環境の日」オンラインウェビナー
6月5日は「環境の日」。1972年にストックホルムで開催された「国連人間環境会議」の開始日を記念して定められました。日本では、環境庁(当時)の提唱により、6月を「環境月間」とし、環境問題への関心と理解を深めるための様々な取り組みが行われています。
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場所:
オンライン
使用言語:
日本語
Asia-Pacific Climate Security (APCS) Project
アジア太平洋地域における食料安全保障の再定義 - 食料安全保障と気候変動および開発の統合
世界中で栄養不足人口が増加する中、食料安全保障とレジリエンスの確保は、長期的な計画と取り組みを必要とする緊急かつ共通の関心事となっています。食料安全保障は一般的に、供給面、アクセス面、利用面、安定面の4つの柱によって定義されていますが、これらの定義は食料システムが直面する複雑なリスクを十分に捉えているのでしょうか。 IGESが今取り組んでいるワーキングペーパー「アジア太平洋地域における食料安全保障の再定義:気候変動と開発の観点における持続可能性、主体性、レジリエンスの統合」では...
場所:
オンライン
使用言語:
英語 / 日本語
(同時通訳あり)
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気候安全保障に関する特集ページ
気候安全保障に関する特集ページでは、気候安全保障に関連する研究成果と関連情報を発信しています。具体的には、国際動向の調査をはじめとして、エネルギー安全保障、食料安全保障、気候変動を一因とする人の移動、気候変動適応と安全保障、海洋安全保障など、多岐にわたるテーマを掘り下げ、多様な観点から議論していきます。
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持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)特集
この特集ページでは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」および「持続可能な開発目標(SDGs)」のフォローアップとレビューを目的とした国連による国際会議「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」に関するレポートや出版物を紹介しています。
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気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)は、第5次評価報告書と同様に5〜7年をかけて作成されることが2015年に決定され、2017年にアウトラインが承認されました。その後2018年〜2019年にかけて3つの特別報告書が公表され、2021年8月に第1作業部会(WG1)報告書、2022年2月に第2作業部会(WG2)報告書がそれぞれ公表されました。9月にはAR6統合報告書が公表される予定です。このページではIGESからも複数の研究員が執筆に関わり、今年4月に公表された第3作業
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