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理事長 武内 和彦
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公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、日本政府のイニシアチブと神奈川県の支援により1998年に設立されました。以来四半世紀にわたり、自然と共生する持続可能でレジリエントな社会への変革を先導する「チェンジ・エージェント」として、多様なステークホルダーとの協働によるコ・デザイン、コ・プロダクション、コ・デリバリーに重きを置いた戦略研究を行っています。

現在、世界は、気候変動、生物多様性の損失、汚染のトリプル・クライシス(三重の危機)に直面しています。パリ協定、昆明・モントリオール生物多様性枠組、持続可能な開発のための2030アジェンダ等に示された国際的な目標に向けて野心的な取り組みが進められているところですが、目標達成への進捗は思わしくありません。また、世界で続く紛争や地政学的変化は、こうした取り組みに様々な形で影響を及ぼす可能性があると考えられます。2030年までの「決定的な10年」の折り返しを迎えた今、地球システムの安全で公正な境界内ですべての人々のウェルビーイングを高められる社会の実現が危ぶまれているといっても過言ではありません。

地球規模の課題を取り巻く情勢が大きく変化する中、個別の問題に対処する従来型のアプローチから脱却し、環境・社会・経済の諸課題を俯瞰して統合的かつ相乗的に解決を図るシナジーの重要性が一層高まっています。IGESでは、持続可能な開発に関連する主要課題を対象に重点分野を設定し、各研究ユニットが有機的連携を深めながら研究を進める統合的アプローチを重視してきました。そして、気候変動対策と持続可能な開発目標(SDGs)のシナジー推進、脱炭素社会・資源循環型社会・自然共生社会への移行を追求する「地域循環共生圏」の具現化、顕在化するプラスチック汚染への対応等、国内外で進展する統合的アプローチの実践に積極的に取り組んでいます。

2025年7月より開始する、今後4年間にわたるIGES第9期統合的戦略研究計画(ISRP9)では、各セクターや様々なステークホルダーとの連携強化を軸に課題解決のシナジーをより効果的に創出する研究体制を導入します。また、人工知能(AI)や新技術を活用した新たな取り組みも進めていきます。高い専門性と多様な知見を活かし、持続可能な社会の実現に貢献する「サステナビリティ・シンクタンク」としての役割を果たしてまいります。

2025年 7月
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
理事長 武内 和彦