アジア経済研究所について
アジア経済研究所 研究データポリシー
アジア経済研究所 研究データポリシー
2025年4月21日
独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所(以下「研究所」という)は、日本における開発途上国研究の拠点として、世界への知的貢献をなすことを目指している。そのために、それぞれの地域に密着した知識を収集・蓄積し、開発途上国の実態と課題を明らかにし、開発途上国に対する深い理解を広く国内外に提供する。こうした研究所の活動は、日本の国際理解を深め、ひいては日本と国際社会との望ましい連携を促進するための知的基盤となるものである。
研究所は、調査研究活動を通して生み出される研究データも、開発途上国研究の知的基盤を構成する重要な要素であるとの認識のもと、その利活用の促進と適正な管理に取り組むためのポリシーをここに定める。
第1条 目的
本ポリシーは、研究所における研究データの管理・利活用に関する基本的な考え方を示し、以って、前文に示した研究所の理念の実現に寄与することを目的とする。
第2条 定義
本ポリシーにおいて、次に掲げる用語は、以下に定めるところによる。
1 研究データ
研究所が関わる調査研究活動の過程で生み出される全てのデータで、デジタル/非デジタルを問わない。研究ノートやメモ、実験や観測、シミュレーション等から直接得られたデータやそれを加工したデータ、論文のエビデンスとなるデータ等を含む。
2 研究者
研究所において調査研究活動を行う者、もしくは、それらの活動に関わるものを指し、研究所との雇用関係の有無は問わない。
第3条 適用範囲
本ポリシーは、研究データに適用する。ただし、研究助成機関やその他の第三者と、研究所あるいは研究者との間に契約が締結されている場合は、当該契約が優先される。
第4条 研究データの管理
1 研究者は、調査研究活動において収集・生成した研究データについて、関係する法令、規程、および、倫理規範等に従って適切に管理する責務を有するとともに、その管理・利活用に関する決定権を有する。
2 研究者は、それぞれの研究分野の特質を踏まえ、法令、規程、および、倫理規範等に従って研究データを管理する。研究者が担う役割は以下のとおり。
- 1 管理対象データの決定
- 2 メタデータの付与
- 3 研究データ管理計画(Data Management Plan: DMP)の作成
- 4 研究データの保存
- 5 公開する研究データの決定
3 研究所は、研究者による研究データの適切な管理を支援するために必要な環境整備を行う。研究所が担う役割は以下のとおり。
- 1 管理対象データの決定にかかる基本方針の提示
- 2 研究者が付与したメタデータを、研究データ基盤システム上で検索可能とするための登録環境の整備
- 3 研究中、および、研究終了後の研究データの保存環境の提供
- 4 研究データの公開環境の提供
4 研究者と研究所は協力して、公開する研究データが可能な限り永続的に公開されるように努める。その他の管理対象データは、調査研究活動の正当性を証明する手段を確保するとともに、第三者による検証可能性を担保するため、適切な状態で最低でも10年間は保存・管理する。
第5条 研究データの利活用と公開
1 研究者は、研究データが、学術の継承や新たな研究の創出、また、社会の発展に寄与する重要な知的基盤のひとつであるとの認識に基づき、その積極的な利活用の促進に努める。
2 研究者は、研究データの利活用を促進するため、法的、倫理的、および、戦略的諸条件を勘案のうえ、可能な範囲で研究データを公開する。
3 研究所は、研究データの公開可否、公開方法などを研究者が適切に判断できるよう支援するとともに、FAIR(Findable, Accessible, Interoperable, and Reusable)原則も踏まえ、公開ライセンス、メタデータの付与、公開場所等についての基本的な考え方を提示する。
4 研究所が提供する研究データの公開環境では、第三者が当該研究データを利活用する際の公開ライセンスや引用情報の記載ルールを明確に示すなど、当該研究データの利活用が適切に行われるように努める。
第6条 移籍・離籍等に伴う扱い
1 研究者が研究所から移籍・離籍する際は、研究者と研究所は協議のうえ、当該研究者が保存・管理する研究データの取扱いを決定し、その決定内容を適切にDMPに反映する。
2 研究所に管理を委任された研究データは、当該研究データのDMPに従い研究所が責任をもって保存・管理する。
3 研究所が新たに研究者を採用・受入する際は、研究者と研究所は協議のうえ、採用前の調査研究活動等により収集・生成してきたデータについて、その取扱いを決定する。
第7条 ポリシーの見直し
本ポリシーは、研究所における研究データポリシーに対する取組状況の進捗、および、研究データを取り巻く環境の変化に応じて、随時見直しを行う。
以上