上手に医療機関にかかるにはどうしたらよいのでしょうか?
コンビニに出かけるような軽い気持ちで、夜間や休日の時間外に病院を受診していませんか?また、何となく大きい病院のほうが安心という理由で大病院を選んでいませんか?そのような医療機関のかかりかたをすると、待ち時間が長くなったり、医療費が高くなったりするなど多くのデメリットがあります。上手に医療機関にかかるため、夜間や休日に受診できる医療機関の探し方や、お子さんが急に体調を崩した場合の電話相談窓口などをご紹介します。
1上手に医療機関にかからないとどうなるの?大病院や救急外来の負担が増加し、患者が受ける医療の質や安全にも影響が
皆さんは、病気やけがをしたときに、上手に医療機関にかかっていますか。「どの医療機関・診療科に行ったらいいか分からない」と悩むかたも少なくないのではないでしょうか。
一口に医療機関といっても、私たちの周りには診療所やクリニック、中小病院、大学病院などの大病院など、医療設備も規模も異なる様々な医療機関があります。診療所やクリニックは日常的な病気やけがの治療、中小病院は手術や入院が必要な場合や救急医療を要する場合、大病院は重症の救急患者や高度な医療を要する患者への医療というように、医療機能に応じた役割分担をし、連携して地域の医療を支えています。
日常的な病気や軽いけがなら、身近な診療所やクリニックを受診するのが、患者側にとっては最も便利です。しかし、中には、「地域の診療所のことはよく分からないし、大病院のほうが何となく安心する」などの理由で大病院を受診したり、「平日の昼に行く時間がないから」「夜間のほうが空いているから」などの理由で、急を要しない軽症にもかかわらず夜間や休日に、地域の病院や大病院の救急外来を受診したりする人も少なくありません。このような医療機関のかかりかたをすることで、大病院や夜間・休日の救急外来に患者が集中し、医療を受ける患者にとっても、医療機関にとっても、様々なデメリットが生じています。
不適切な医療機関のかかりかたで生じるデメリット
待ち時間が増加
大病院や夜間・休日の救急外来に患者が集中することにより、診察にかかるまでの待ち時間が増加します。[画像:外来患者が集中して、診察にかかるまでの待ち時間が増加している様子]
医療費・自己負担の増加
夜間・休日の救急外来に受診したときや、紹介状なしで大病院を受診したときは治療費以外に費用がかかるため、医療費・自己負担が増加する場合があります。
受けられる医療の質や安全が低下する可能性
大病院や夜間・休日の救急外来に患者が集中することにより、患者一人ひとりに対する診察時間が短くなり、医師からの丁寧な説明が受けられなくなる可能性があります。また、医師の負担が重くなり、疲労によって医療の質や安全にかかわるおそれがあります。
緊急度の高い患者の治療ができなくなる
救急外来は、一般の外来とは違い、夜間や休日に救命処置や入院など緊急性のある患者を対象に診療を行う外来です。しかし、緊急性を要しない軽症で受診する、いわゆる「コンビニ外来受診」が増加すると、救急搬送される緊急度の高い患者の受け入れが難しくなってしまいます。
医療を提供する医療機関の数は限られています。医師や看護師など医療を支える人々の数も限られています。そうした中で、質の高い医療サービスを効率的に提供するために、医療機関は機能に応じた役割分担をしています。
大病院の外来に軽症の患者が集中したり、急を要しない軽症で救急外来を受診したりすると、効率的に医療を行うことができなくなり、急病人や重症患者に対応するという救急外来や大病院が本来担う役割を果たせなくなってしまいます。必要なときに必要な医療を安心して受けられるようにするために、いきなり大病院にかからないようにする、不要不急な時間外診療(救急外来の受診)を減らすということを、私たち一人ひとりが考えて、上手に医療機関にかかることが重要です。[画像:外来患者が集中することにより、医師の負担が重くなっている様子]
2上手に医療機関にかかるには?
身近な「かかりつけ医」をもちましょう
医療機関にかかるときには、すぐに大病院にかかったり、救急外来に行ったりする前に、その必要があるかどうかを考えてみましょう。また上手に医療機関にかかるために、次のようなことを心がけましょう。
日常的な病気は身近な診療所を受診する
緊急な医療を必要としない軽度の病気やけがであれば、身近な診療所にかかりましょう。大病院よりも近くにあって便利ですし、待ち時間も少なくて済みます。受診の際には、大病院受診時のような定額料金(※(注記))がかからないため、医療費も節約できます。
※(注記)紹介状なしで、大病院で初診を受ける場合は7,000円(歯科の場合は5,000円)以上、他の病院・診療所への紹介を受けたにもかかわらず再度同じ大病院を受診する場合は3,000円(歯科の場合は1,900円)以上の定額料金を、診察料とは別に必ず支払うことになります。
時間外受診は控えて、診療時間内に受診する
休日や夜間に受診すると追加の費用がかかります。また、日中とは診療体制も異なり、検査なども十分にできないことがあります。やむを得ない場合を除き、時間外受診は控えましょう。
かかりつけ医をもつ
地域の診療所の中で「かかりつけ医」を決めておきましょう。「かかりつけ医」がいると、体調の変化で気になることを気軽に相談できますし、新たな病気にかかったときも、体質や過去の病歴などに照らして診察してもらえます。大病院での治療が必要な場合にも、かかりつけ医の紹介状をもっていけば、定額料金なしで受診することができます。[画像:地元のかかりつけ病院に足を踏み入れようとしている親子]
3医療機関を探すには?「医療情報ネット(ナビイ)」を活用しましょう
身近な医療機関やかかりつけ医を探したいときには、「医療情報ネット(ナビイ)」を活用してみましょう。
医療情報ネット(ナビイ)とは、住民や患者が医療機関を適切に選択するために必要な情報(医療機能情報)について、インターネットを通じて提供するサービスで、従来、都道府県ごとに運用されていた情報提供システムとそのデータを集約して、令和6年(2024年)4月から全国統一的な情報提供システムとして運用を開始しています。
全ての医療機関は「医療機能情報」を都道府県に報告することが義務付けられており、報告された情報は医療情報ネット(ナビイ)で公表されます。住民は、パソコンやスマートフォンなどから医療情報ネット(ナビイ)にアクセスし、地域の医療機関の情報を検索することができます。
インターネット上には医療機関に関する様々な情報があり、中には誤った情報や事実と異なる情報など信頼できない情報も少なくありません。信頼できる情報をもとに医療機関を選ぶためにも、都道府県が提供する医療情報ネット(ナビイ)の活用をお勧めします。
また、薬局に関しても、医療機関と同じように検索できます。
医療情報ネット(ナビイ)にアクセスするには?
「ナビイ」のキーワードで検索できます。
医療情報ネットを使った医療機関の探し方
「住所・駅」「地図から指定」「対応可能な外国語」などを選んで検索できるほか、「キーワード」を入力して検索することができます。
専門医がいる医療機関で、今すぐ受診できるところを探したいとき
(1)トップページの「急いで探す」をクリック
(2)「場所」「受付時間」「医療機関」「診察科目」を選択
4急な病気やけがをしたときは?救急車を呼ぶ? 今すぐ病院に行く? 迷ったときは「#8000」や「#7119」へ
急な病気やけがをしたときに、「救急車を呼んだほうがいいのかな」「今すぐ病院に行ったほうがいいのかな」など、迷ったことはありませんか。
そのようなときに電話で相談できる「#8000」や「#7119」をご存じですか。急病などで困ったときには、ぜひ活用してください。
子ども医療電話相談事業 「#8000」
「#8000」は、こどもが休日や夜間に病気になったとき、どのように対処したらよいか、病院を受診したほうがよいかどうかなどを相談できる全国共通の電話番号です。「#8000」に電話をすると、お住まいの都道府県の相談窓口に転送され、小児科の医師や看護師がこどもの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する医療機関などについて助言します。
※(注記)実施時間帯は都道府県によって異なります。
厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)について」
救急安心センター事業 「#7119」
「#7119」は、医師や看護師などの相談員が電話で急病などに関する相談を行う窓口です。相談者から、病気やけがの症状を聞いて、緊急性が高いと判断した場合は各消防本部へ転送又は119番通報への掛け直しを依頼するなど、救急車の要請を支援します。緊急性が低い場合は、適切な医療機関を案内したり、応急手当などの方法をアドバイスしたりします。
※(注記)原則として、365日24時間体制で対応しています。
「#7119」を設置している地域(令和6年(2024年)11月現在)
青森県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都※(注記)1、神奈川県、新潟県、富山県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、京都府、大阪府、奈良県、鳥取県、広島県※(注記)2、山口県※(注記)3、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、沖縄県※(注記)4札幌市周辺※(注記)5、名古屋市、神戸市周辺※(注記)6、田辺市周辺※(注記)7、大分市
※(注記)1 島しょ部を除く。
※(注記)2 庄原市・大崎上島を除く県内市町。岡山県(井原市、笠岡市)、山口県(岩国市、和木町)をカバー。
※(注記)3 萩市、阿武町を除く。
※(注記)4 伊江村、与那国町、北大東村、南大東村を除く。
※(注記)5 札幌市、石狩市、当別町、新篠津村、島牧村、南幌町、栗山町、北広島市。
※(注記)6 神戸市、姫路市、芦屋市。
※(注記)7 田辺市、上富田町。
上記以外の地域
お住まいの地域に相談窓口がある場合がありますので、地方自治体にお問い合わせください。相談窓口や受診できる医療機関は、お住まいの都道府県の「医療情報ネット(ナビイ)」で調べることができます。
医療情報ネット(ナビイ)
このほか、総務省消防庁がウェブ版とスマホ版で提供している「全国版救急受診アプリ Q助(きゅーすけ)」でも、症状の緊急度を素早く判断することができます。
総務省消防庁「全国版救急受診アプリ (愛称「Q助」)」
(取材協力:厚生労働省、総務省消防庁 文責:政府広報オンライン)
関連リンク
- 政府広報オンライン「もしものときの救急車の利用法 どんな場合に、どう呼べばいいの?」 別ウインドウで開きます
- 政府広報オンライン「紹介状なしで大病院を受診すると特別の料金がかかります。診療所や病院を適切に使い分けましょう。」 別ウインドウで開きます
- 厚生労働省「医療機関への受診にあたって」 別ウインドウで開きます
- 厚生労働省「医療機能情報提供制度について」 別ウインドウで開きます
- 医療安全支援センター総合支援事業 別ウインドウで開きます
- 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)について」 別ウインドウで開きます
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)関連情報」 別ウインドウで開きます