ネット上の著作権トラブル 正しい知識で回避しよう
この記事でわかること
動画投稿サイトやSNSなどの普及により、一般のユーザーが気軽にコンテンツを発信できるようになり、個人でも、自身が創作したイラストや写真などを広く発信する機会が増えました。
一方で、せっかくつくった大切な作品が勝手にSNSのアイコンとして利用されてしまったり、あるいは自分がSNSに投稿した写真が、ほかの人に勝手に自分のものとして投稿されたりしているケースを目にしたことはないでしょうか。
自分のつくった作品が勝手に利用されているのを発見したとき、あるいは、自分がつくった作品が加工されているなど自分の作品の使われ方に悩むとき、相談できる窓口があります。周りで困っている人がいるときにも、是非案内してあげてください。
著作権の基本知識
著作権ってどんなもの?
マンガやイラスト、写真、音楽、映画など(これらを「著作物」といいます。)をほかの人が利用したり複製したりするには、著作権者の許諾が必要です。著作物をつくった人のことを「著作者」といい、著作者が著作権を持ち「著作権者」となります。
「著作権」とは、こうした著作物を、ほかの人に無断で利用されない権利のことです。つくった人の権利を保護し、著作物の公正な利用ができるよう、著作権法が定められています。
どんなものが当てはまるの?
マンガやイラスト、写真、音楽、映画など、自分の考えや感情を創作的に表現した作品を著作物といいます。
高度な芸術性があるものに限らず、例えば幼児が描いた絵も著作物です。また、必ずしも紙などに記載・記録されている必要もなく、講演や即興の歌も著作物に該当します。
著作物とは何かについては、文化庁作成の「著作権テキスト」もご参照ください。
文化庁「著作権テキスト」
許可なく複製・ネット投稿はアウト!
動画投稿サイトやSNSは、作品の発表の場としてとても便利ですが「ネットに公開されているものだから」、「これくらいいいだろう」といった考えで、権利が侵害されてしまっていることがあるかもしれません。
例えば、
- マンガのスクリーンショットを撮ってSNSに投稿。
1、2コマだけだし、自分で買ったマンガなら大丈夫? - ライブ配信を録画して動画投稿サイトに投稿。営利目的でなければ大丈夫?
- フリー素材ウェブサイトで見つけた画像をSNSのアイコンに使用。
「無料」の画像なら大丈夫? - 映画の予告映像を加工して、動画投稿サイトに投稿。
公開されている予告映像だし、映画の宣伝にもなるから大丈夫?
これらはいずれも著作権侵害に当たる可能性があります。
ちょっと待って!それ投稿してOK?
著作物を、著作権者の許可なく複製し、インターネット上で利用するなどの行為は、著作権侵害になります。
マンガなど自ら購入したものでも、それを許可なく複製して公開・転載すれば、著作権侵害となります。また、スマートフォンで動画やライブ配信などを見ながら画面を撮影・録画する人もいますが、それらを許可なく公開すれば著作権侵害となります。
映画などの作品そのものはもちろん、そのCMやウェブサイト上の画像なども著作物なので、許可なく利用することはできません。無料で使える曲や画像でも、利用条件をしっかり確認し、ルールに従った使い方をすることが大切です。
私的使用のための複製、引用など一定の条件下で利用が認められる場合もありますが、それ以外の場合はたとえ営利目的でなくても、著作権者の許諾が必要になります。特に、SNSを含むインターネットを通じた情報発信は、世界中の人に情報を提供する行為なので、どんな目的や動機であっても、許諾のない発信は侵害行為に当たる場合がほとんどです。
著作権侵害に困ったときの無料相談窓口
インターネット上での著作権侵害に対して、著作権者は、使用などをやめるよう求めたり、相手の氏名やメールアドレスなどを情報開示請求によって入手したり、損害賠償などを求めたりすることができます。一方で、これらの手続きは個人にとっては煩雑で、弁護士に依頼するには費用が発生するなどハードルが高く感じられるかもしれません。
そんなとき、相談できる窓口や、費用の支援制度があるのをご存じでしょうか。
無料相談窓口を利用しよう
インターネット上での著作権侵害で悩むかたのために、文化庁では相談窓口を設けています。
インターネット上で自身の作品が勝手に使用されているのを発見したときはもちろん、「これってどうなんだろう」と著作権侵害かどうか迷っている段階でも相談できます。(初回の相談は無料。)
どのような支援が受けられるの?
弁護士への無料相談により著作権が侵害されている可能性が高いと見込まれる場合には、削除要請などの費用支援を申請することができます。申請方法は相談を担当した弁護士から説明します。
具体的には、トラブル解決に必要な弁護士費用は150万円まで、損害賠償請求も含む場合は400万円までを支援します(ただし、支援の申請時に弁護士費用等の自己負担分として1万1千円の支払いが必要)。この費用支援制度は、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会の「共通目的事業」として、委託を受けた一般社団法人日本ネットクリエイター協会が運営しています。
個人ではどうしようもないと諦めず、著作権侵害について困っているかた、悩んでいるかたは、是非ご相談ください。