発災時の行動
地震のとき
発災直後は落ち着いて行動
発災直後は、頭が真っ白になり、体もこわばって適切な判断が難しくなる。家から飛び出すと、落下物で負傷することも。家族と家の中の安全、周辺の建物や危険物、火災発生の危険を確認する。 人混みでは、パニックによる事故防止のため、不正確なうわさに惑われず、まわりの人に配慮した行動を心がける。
家で地震に遭ったら
あわてずに、自分の身を守る。 丈夫な机やテーブルなどの下にもぐり、机などの脚をしっかりと握る。
また、頭を座布団などで保護して、揺れが収まるのを待つ。
揺れてる間は火傷の危険もあるので、無理に火を消そうとしない。
落下物もあるので、慌てて外へ飛び出さない。
リビングや台所で地震に遭ったら
リビングでは、背の高い家具の下敷き、窓や照明器具のガラスの飛散によるケガに注意。キッチンでは、冷蔵庫や電子レンジなどの大きく重い家電、棚からの物の飛び出しに注意。揺れを感じたら物が落ちてこない、倒れてこない、移動してこない場所に隠れる。
寝室で地震に遭ったら
窓ガラスの破片や照明器具を避けるため、枕や布団などで頭を保護して、スタンドや鏡台などが倒れてこない位置に移動する。眼鏡は日頃からケースに入れておき、停電に備えて懐中電灯や自動で点灯する保安灯を用意しておく。
トイレや浴室で地震に遭ったら
閉じ込められて避難できなくならないようにドアを開けておき、頭の上に注意しながらすぐ逃げられるようにする。可能なら廊下や玄関など安全な場所に移動する。
2階にいるときに地震に遭ったら
耐震基準を満たしていない住宅の1階は倒壊して身体が押しつぶされる危険があるので、あわてて1階に降りず、外に脱出すべきか状況を見て判断する。
避難経路を確保する
地震後は余震の危険もあるので素早く玄関のドアを開け、そのまま開けておく。ふだんから避難の妨げになりそうなものは玄関に置かない。
地震後にエレベーターは使用しない
地震の揺れが収まった後に避難する時は、たとえエレベーターが動いていても使用しない。 地震感知センサーの働きや、停電・故障で緊急停止し、閉じ込められる危険がある。
屋内に閉じ込められたら
部屋で身動きできなくなったら、大声を出し続けるだけでは体力を消耗。
硬い物でドアや壁をたたいたり、携帯電話に準備した音が鳴るアプリで大きな音を出して、自分が屋内にいることを知らせる。
電波が通じていれば、電話や災害用伝言ダイヤル(171)、災害伝言板(携帯メール)を使って自分の居場所を知らせることも。
床に危険物が散乱していたら
床に散乱したガラス・陶器などの破片を踏むと、負傷して歩けなくなることも。 底の厚いスリッパや靴を履いて安全な場所に移動。
階段で地震に遭ったら
地震が起きた時に階段の途中にいる場合は、その場にしゃがみこんで揺れがおさまるのを待つ。揺れている間は、慌てて階段の昇り降りはしない。
エレベーターで地震に遭ったら
揺れを感じると最寄階で自動的に停止する安全装置がついたエレベーターもあるが、利用者が全ての階のボタンを押し、最初に停止した階で降りるのが原則。ただし、停止した階の状況を見極めて判断。閉じこめられた場合は、焦らず冷静になって「非常用呼び出しボタン」等で連絡を取る努力をする。
街で地震に遭ったら
周囲にも注意しながら、あわてずに、自分の身を守る。ブロック塀の倒壊、看板や割れたガラスの落下に注意して、丈夫なビルのそばならビルの中に避難する
電車・バスで地震に遭ったら
緊急停車に備え、座っていたら鞄などであたまを守り、立っていればケガをしないように姿勢を低くしたり、つり革や手すりにしっかりつかまり、倒れないように足を踏ん張る。
電気による火災の防ぎかた
電気による火災の危険を防ぐため、揺れ始めたら、使用中の電気製品はスイッチを切り、プラグを抜く。水に浸かった屋内配線や電気製品は漏電するので使わない。 倒れた家財の中にスイッチが入った電気製品があると、通電再開後の火災の原因にもなる。避難するときは分電盤のブレーカーを落としておく。
通電火災に気を付けよう
電気が復旧したら転倒したままの電気機器が作動して発火することがある。ブレーカーが落ちても、器具の転倒やガス漏れを確認してから戻すよう心がける。
火元の確認と注意
火を使っていた時は、揺れがおさまってから火の始末をする。出火した場合は落ち着いて初期消火を。
ガス等に引火する危険があるので、安全が確認できるまで夜の暗い時等にライターでローソクに火をつけたりしない。
地震時のガス対応
ガスの臭いがある場合は、ガスは使用せず、窓を開けて換気する。
器具栓、ガスの元栓、ガスメーターバルブ、容器バルブを閉めて、ガス販売店か緊急連絡先に連絡する。
ガスの元栓は、ツマミが縦向きだと開いている状態。ツマミが横向きだと閉まっている状態。
元の位置から動いてしまったプロパンガスのボンベは、復旧をする前にガス業者に点検を依頼する。
水道管の漏水の確認
➊すべての蛇口を閉める。
➋水道のメーターボックスを開けて、メーターを確認する。
➌メーターのパイロットが回っている場合は、漏水の可能性があるので、止水栓を閉める。
津波から避難する
揺れを感じなくても津波からは逃げる
揺れを感じていなくても、津波警報を見たり聞いたりしたら海や川の近くから急いで逃げる。 揺れが小さくても大きな津波が起こることもある。 気づいてない人のために、率先して大きな声で「津波が来るぞ」「逃げるぞ」と呼びかけながら避難する。
津波から逃げるには
地震が起きてから5分もたたずに津波が襲うこともある。海の近くで強い揺れを感じたときは海沿いには移動せず、すぐに陸側の高いところへ逃げる。
津波は川からも襲ってくる。すぐに川から離れて高いところへ逃げる。
津波の繰り返しに注意
津波の「繰り返し押し寄せる」特性に注意。東日本大震災では、第一波が引いた後、家に戻り被害に遭うケースが多発。一度波が引いても、警戒し続けることが重要。
津波の河川遡上(さかのぼり)に注意
津波は河口から河川を遡上して内陸まで進み、堤防を越えて市街地や田畑に浸水することもある。 河川を遡上する速度が速く、津波が先回りして堤防を越えることも。
津波後の危険に注意
高い建物に避難した場合、周りが浸水して建物ごと孤立することも。また、津波により破壊された工場、船舶、車両などから漏れ出た燃料に引火した津波火災の危険も。水面に浮いた油や瓦礫に引火して広域火災に被害が拡大する可能性も。
水害のとき
水害の最新情報の入手・判断
雨量・河川水位等の水害に係る最新情報を、気象庁や自治体等の公的機関の情報をテレビ・ラジオ・ウェブ・メール・防災行政無線・広報車発信等の様々な情報源から取得して、避難準備・避難開始を早期に判断する。
日頃から予め公表されている浸水が想定される区域を把握しておき、安全を確保しながら避難する。
気象庁キキクル
警戒レベルと行動
警戒レベル3は、避難に時間を要する高齢者や障がいのある方などが、危険な場所から避難する。 警戒レベル4は、危険な場所にいる人は全員が避難する。 警戒レベル5は、既に災害が発生又は切迫した状況になっているので、この段階の前に避難しておく。
【参考サイト】政府広報オンライン:「警戒レベル4」で危険な場所から全員避難!5段階の「警戒レベル」を確認しましょう
集中豪雨に注意する
梅雨前線の接近、雷鳴がとどろくなどの前兆の後、集中豪雨はあっという間に発生する。都市部の河川や下水道は、想定以上の降雨により都市型水害が発生するおそれがある。地表のアスファルト化による流域の保水・遊水機能の低下、地下利用などの高度化により起こると言われている。
集中豪雨から身を守る
集中豪雨の発生時に身を守るには、河川や用水路が水であふれ激しい水流ができることがあるので近づかない。地下室や半地下は浸水して閉じ込められるので2階以上の安全な場所に避難する。地盤が急速にぬかるみ、土石流やがけ崩れが発生するので近づかない。
水害時の地下施設に注意する
地上が浸水すると、出入口だけではなく、換気口・採光窓などからも一気に水が流れ込んできて脱出が困難になる。浸水した地下空間ではエレベーター内に急激に水が流れ込み、浸水により停電することもある。
冠水した道路を歩くときの注意
避難場所への移動は浸水が始まる前に行うことが基本だが、冠水した道路を歩く場合は、水深が浅くてもふたの外れたマンホールや側溝などが見えなくなることに注意する。避難指示が発令されたり、発令前でも危険が高まったと判断されたりしたら、ためらわず避難を始める。
水害時に自動車では避難しない
地形や条件によっては30分程度で一気に1〜2メートルの浸水になることもあるため、冠水前でも自動車では避難しない。自動車が水に浸かると動かなくなり、水圧で扉が開かなくなることもあり危険。
川や用水路の様子を見に行かない
川が増水している場合には川の流れが速く、橋が壊れたり流されることもあり危険。川のそばに近寄らない。川や用水路、農地の様子を見に行き流される被害に遭うことも。
既に浸水して危険なときは
既に浸水が始まり移動するのに危険な状況になってしまった場合は、自宅や近所のビルなど丈夫な建物の2階以上に避難する。
こどもを連れた避難
雨具を着込み、荷物は背負うものだけ。両手の自由を確保する。乳幼児はおんぶではなく、抱っこして身を守る。子どもの手をしっかり握って一緒に行動する。 水が入ると歩行困難な長靴より、ひもで足元を固定できる運動靴やトレッキングシューズを推奨。
冠水・浸水している避難時の水深の目安
足首に水が来る前に避難して、膝を超えたら危険と考える。浸水が20cmで子どもは外開きドアが開けられず、50cm以上で女性は歩行困難、70cm以上で男性は歩行困難、80cmで歩行による移動は危険。
都市型水害での注意点
都市型水害では、近くに河川がなくても注意する。地下室は屋外の様子がわからないため、水が流れ込んでくると水圧で閉じ込められることもあるので、警報・注意報が出たら使用を控える。
立体交差の掘り下げ式になっている道路(アンダーパス)は、水深が分かりにくく、侵入するとエンジンに浸水して停車しそのまま車内に閉じ込められることもあり危険なので侵入しない。
水害(地下室浸水等)に注意する
短時間に大量の雨が下水道に流入すると、地盤面より低い地下建築物(駐車場等)への流入や、浴室や洗面所の排水口から下水の逆流が発生する。 ふだんから排水ポンプの設置等の浸水対策をしておく。 近くに川がなくても、排水しきれなくなった雨水がマンホールからあふれ出してくることにも注意する。
水害時の自宅内避難
予定していた避難場所への避難が危険な場合には、自宅の上の階や、崖から離れた部屋に移動するなど、その場でとることができる少しでも身の安全を確保するための行動をとるようにする。
情報の収集・発信に注意する
信頼できる情報ソースを
災害が起こると、根拠のないデマが流れることもある。災害情報は、各地域の自治体等の信頼できる複数の情報源で確認してデマに惑わされないようにする。
すぐ避難するか判断するには
発災後、以下の場合は避難所へ避難する。
- 地方自治体、消防、警察などの指示がある。
- 建物倒壊の危険がある。
- 近隣で火災が発生して延焼の危険がある。
- 危険物の爆発や流出のおそれがある。
SNSの投稿内容の確認
投稿内容で、最新の情報か、誰(国・自治体・メディアか・実名であればどういう人か・過去に不審な投稿がないか)の発信か他アカウントでも同様の発信があるかを確認して判断する。誤った情報を拡散しないように注意する。
SNSを活用した情報発信・収集
SNSは、マスメディア情報の中継機能、被災地内から被災地外への情報発信や被災地外での情報共有、復旧期における被害情報の発信に役立つこともあるが、デマ等による誤解が発生することもあるので注意する。
連絡手段
災害時には公衆電話は無料で使用できる。(10円硬貨は必要な場合もあり、停電しているとテレホンカードは使えない。)携帯電話は比較的繋がりやすいパケット通信を活用する。PC・スマホでのメール、SNSが有効。ITに不慣れな高齢者、災害時要配慮者向けの対策として、ドアの内側への張り紙などのアナログな手段も検討しておく。
SNSを活用した連絡
X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSは貴重な情報源。しかし災害時は、不正確なうわさや情報が流布することがあり、そのまま信じず、正しい情報を得るように心がける。自分だけでなく大切な人にも、電話以外の通信手段に慣れておいてもらう。避難するときの待ち合わせ場所は「公園の時計の下」など、具体的に。
画像提供:+ソナエ・プロジェクト