城内大臣記者会見(令和7年10月14日)
令和7年10月14日、城内大臣が記者会見を行いました。
(令和7年10月14日(火) 10:57〜11:13 於:中央合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
冒頭、1点御報告いたします。科学技術政策担当大臣としての報告であります。
昨日13日、祝日でありますけれども、スウェーデンのヴィクトリア皇太子及びダニエル王子両殿下の来日に際し、東京都内においてレセプションが開催され、これに出席いたしました。
その際、レセプションに出席されておられました、本年のノーベル生理学・医学賞を受賞された大阪大学の坂口志文特任教授と、ノーベル化学賞を受賞された京都大学の北川進理事・副学長、高等研究院特別教授にお会いし、改めて心からの敬意と祝意を直接お伝えするとともに、簡単に意見交換をさせていただきました。なお、このレセプションには、2001年のノーベル化学賞を受賞されました野依良治先生もいらっしゃっておりました。ノーベル賞受賞から時を置かずして、お二人にお会いできたということは、非常に大変光栄なことだったと思います。
先にお話しいたしました北川先生からは、基礎研究の重要性、特に、京都大学が研究価値の一つとして掲げる伏流性という考え方の重要性や、「フォロワー」ではなく「パイオニア」を生み出すための予算支援が必要である旨などについて御意見を賜りました。なお、この伏流性というのは、現状では成果が可視化されていない潜在的でユニークな研究を中長期的な視点で捉える評価軸のことを規定しているようです。
そしてまた、坂口先生とは、こちらは一緒に研究を進めてこられた坂口教子御夫人も一緒に意見交換をさせていただきました。その際、基礎研究の強化とシームレスな予算支援の必要性について、先生御自身も今後積極的に発信していきたい旨を述べられるとともに、我が国の優秀な研究者が、草の根活動的に、国際研究コミュニティの場に積極的に参加していくことが重要であるといったような意見も賜りました。
これはまさに御指摘のとおりだと思いますので、今後、お二人の御意見も参考にさせていただきながら、優れた研究人材の育成、研究環境の整備、国際頭脳循環の強化、そして何といっても必要な予算の継続的な確保、そういった取組について全力で推進してまいる考えであります。
2.質疑応答
(問)AIが高度化する中で、研究現場でもAIの活用が進んでいます。一方で、AI、特に生成AIについては、うまく活用するためには一定のスキルが必要になります。そこで、研究者のAI活用トレーニングについて、大臣はどのようにお考えなのか、教えてください。
(答)新たな研究成果やイノベーションを創出するためには、最新のAI技術を積極的に活用し、研究の効率性・生産性を高めていくことを通じて、研究者の創造性を更に高めていくことが極めて重要であると考えております。こうした観点から、研究活動におけるAI利活用を加速するための取組「AI for Science」、これを推進しているところであります。
令和8年度の概算要求において、文部科学省とも連携しながら、AI for Scienceを支える次世代情報基盤の構築、マテリアルやライフサイエンス分野等におけるAI駆動型研究開発の強化、そして、AI駆動型研究に不可欠となる高品質かつ高価値な計測データの創出支援などの取組に必要な予算を計上しているところであります。こうした取組により、様々な研究分野、年齢層、地域において、AIを活用できる研究者等のトレーニングや育成を図っていきたいと考えております。
なお、現在議論しております第7期科学技術・イノベーション基本計画の論点、そしてAI基本計画の骨子たたき台のいずれにおきましても、AI for Scienceを重要な柱の一つとして位置付けておりますので、その一層の推進に取り組んでまいる考えであります。
(問)経済安全保障関連でお伺いします。先日の自民党総裁選の結果、城内大臣の前任に当たる高市前大臣が総裁に選出されて、現状、首班指名されることが濃厚な状況となっています。城内大臣は幅広い分野を担当されていまして、前回の会見では、担当する経済安全保障、科学技術・イノベーション政策、AI戦略、宇宙政策などについて、今後一層、政策を前に進めていくことが大事だと述べられておりました。高市さんが総裁選において特に言及していたのが経済安全保障についてで、その中でも重要土地関係の議論も含めて、就任からこれまでどのような取組を進めてきて、再任された場合、これからどのように進めていきたいとお考えでしょうか。また、交代となった場合、どのように進めてほしいと考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)経済安全保障分野につきましては、「重要経済安保情報保護活用法」の制度開始に向けた環境整備に取り組んでおります。新たな制度であり、幅広い関係者との調整が必要となる中、私自身、有識者や事業者の皆様から直接意見をお伺いしまして、「統一的な運用を図るための基準」を閣議決定し、ガイドラインの策定とともに、制度の周知等に取り組み、本年5月に制度を開始したところであります。
また、「経済安全保障推進法」につきましても、運用の着実な実施とともに、制度の不断の見直しにも取り組み、例えば、基幹インフラ役務の安定的な提供に向けた医療分野の位置付けについて、厚労省をはじめ関係省庁とも議論を重ねて、方向性を示すべく検討を進めてまいりました。
加えて、日米韓3か国の国立研究所間における経済安全保障上の重要技術に関する国際共同研究の実施など、同盟国・同志国等との連携強化にも取り組んでまいりました。経済安全保障大臣同士としては史上初となります会談を日EU間で行ったことをはじめとして、英国・ドイツ・オーストリア等、多くの閣僚との会談を行い、経済安全保障の観点での連携強化を強く訴えております。
また、経済安全保障の重要性がより一層高まっていることから、引き続き、様々な課題について、前任者の高市前大臣から引き継いだ形ですが、不断の点検・把握を行い、関係省庁の先頭に立ってスピード感を持って対処していくことが重要だと考えております。
重要土地分野については、令和6年12月、令和5年度の注視区域内における土地・建物の取得状況を取りまとめて公表を行いました。限られたエリア内ではありますけれども、土地・建物全般を対象とした調査結果の公表は我が国としては初めての試みであり、取得状況の実態を国民の皆様に示すことができたということであります。
この公表では、全体の2.2%が外国人・外国法人によるものであり、このうち、中国人・中国法人が全体の半数以上を占めていることが明らかとなったわけであります。
現在は、昨年に続き、令和6年度の注視区域内における土地・建物の取得状況についても、今、取りまとめ中であります。この取得状況を含め、引き続き、法の執行状況や安全保障をめぐる国内外の情勢を見極めた上で、法の見直しの議論を進めていくことが重要だと考えております。
(問)続けて失礼します。政務の分野なんですが、先日、公明党が自公連立政権からの離脱を発表しました。高市総裁が首班指名された場合、政権運営への影響が出ることは避けられないと見られますが、まず、率直な受け止めをお願いします。
また、この1年間、経済安全保障担当大臣として幅広い施策を進めてこられた中、友党である公明党にはどのような場面で支えられ、どのような存在だったでしょうか。そして、今後はどのような関係を望まれますでしょうか、よろしくお願いします。
(答)自民党と公明党という政党間の協議の内容については、ここは政府の記者会見の場でありますので、コメントすることは差し控えたいと思います。また、今後の政権運営については、次の内閣が決めることでありますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、あえて申し上げますと、私が担当する経済安全保障、科学技術・イノベーション政策、AI戦略、宇宙政策などがございますが、こういった非常に重要な課題については、今後一層、政策を前に進めていくことが不可欠だと認識しております。
その点で、特に公明党におかれては、例えば、科学技術予算の拡充、原子力の平和利用の推進、国際標準化の取組強化等にこれまで御尽力いただきました。こうした政策は、どのような内閣になろうとも重要でありますので、引き続きしっかり推進してまいりたいと考えております。
(問)靖国参拝についてお伺いします。今月17日から19日まで秋季例大祭を迎えますが、期間中の大臣の参拝の御予定はありますでしょうか。また、真榊を奉納されるお考えはございますでしょうか。
(答)この点につきましては、これまでもこの記者会見の場で何度も申し上げているように、プライベートな事柄でありますので、公務としての記者会見の場で本件についてコメントすることは、大変恐縮ですが、差し控えさせていただきたいと思います。
(問)QST(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)が、11日に、JT-60SAでの研究で、米国のプリンストン・プラズマ物理研究所、ジェネラル・アトミクスと協力する取り決めを締結しました。民間に限らず、日米の研究機関でも連携して、フュージョンエネルギーの実用化を加速させる動きが出てきたことについての受け止めをお聞かせください。
また、米国の政府は、フュージョンエネルギーの開発支援について、民間にマイルストーンを提出させて、これを達成したら後払いする形を取っているようですが、日本で導入の余地があるかどうか、仕組みについての大臣のお考えをお聞かせください。
(答)今般、QSTのJT-60SAに、米国のプリンストン・プラズマ物理研究所及びジェネラル・アトミクス社が参画を決めたことについては私も承知しております。この協力取り決めは、フュージョンエネルギーの実用化に向けて、国際協力を通じて技術課題を解決していこうとするものであり、大いに歓迎しております。
また、こうした米国との具体的な協力が進むことは、フュージョンエネルギー分野における我が国の技術レベルの高さの証左であると前向きに受け止めております。
なお、今般、JT-60SAに米国の研究所等が参画することにつきましては、先週11日に開催されたQST那珂研40周年記念式典において関連セレモニーが開催され、同式典への私の出席はかないませんでしたが、ビデオメッセージをお送りしたところであり、今後の取組の進展に期待しておるところであります。
また、マイルストーンに応じた支払方式について、米国の「マイルストーンプログラム」のことを指すものと認識していますが、フュージョンエネルギーの社会実装に向けて、参考とすべき取組の一つでありますので、内閣府の社会実装検討タスクフォースにおいて、詳細に分析しているところと承知しています。こうした米国の取組も大いに参考にしながら、フュージョンエネルギーの社会実装に向けて、引き続きしっかり取り組んでまいる考えであります。
(以上)