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2025年10月20日

知って考え話し合おう! いのちの架け橋、臓器移植

ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子「日曜まなびより」」

今回のテーマは「知って考え話し合おう! いのちの架け橋、臓器移植」。
あなたは、不慮の事故などもしもの時の「臓器提供」について、意思表示をしていますか? ご家族と話したことはありますか?「臓器移植」は、病気や事故で臓器機能が低下し、移植でしか治らない人に他の人の臓器を移植し、健康を回復する医療です。現在、臓器移植を望み、臓器あっせん機関に登録して待機しているかたは全国で約1万8,000人。そのうち、臓器提供により移植を受けるかたは年間約1,500人にとどまっている現実もあります。
番組では、医師から臓器提供の実態を、看護師からはドナーとそのご家族、そして移植を受けた人たちの“想い”を聴き、臓器移植のリアルを学びます。10月は「臓器移植普及推進月間」。この機会に“いのち”に関するそれぞれの想い、家族で話してみませんか?

[画像:2025年10月19日4ショット(臓器移植)]

ゲスト
厚生労働省
健康・生活衛生局 難病対策課
移植医療対策推進室
田中 康介(移植外科の医師)
髙木たかき 友貴(看護師)

ストリーミング(音声で聴く)

放送日
令和7年(2025年)10月19日
再生時間
17分40秒
配信終了予定日
令和9年(2027年)3月31日

文字で読む

杉浦
臓器移植は、病気や事故によって臓器の機能が低下し、移植でしか治らない人に、他の人の臓器を移植し健康を回復する医療です。つまり、第三者の善意による臓器の提供がなければ成り立たない医療なんだけども、佳菜子ちゃん、臓器移植に関心を持ったことはある?
村上
ありますね。小学校の頃からそういう学びがあったし、私のお友達でも臓器移植をした子がいたりもするので、身近ではあるのかな。あと、テレビでも見たりしますね。
杉浦
内閣府が行なった世論調査によりますと、関心がある人の割合がおよそ6割以上。そして、もし臓器提供をする立場になった場合に、「臓器を提供したい」、または「臓器を提供したくない」という何らかの意思がある人も6割ほどいるんだけど、実際に臓器提供に関する意思表示をしている人は2割ほどなんだって。
村上
自分の中では臓器提供についての意思が決まっていても、実際に意思表示を明確にするってなると、いろいろ考えちゃったり、先延ばしにしちゃったりするかたもいるんじゃないかな? と思いました。
杉浦
そうだよね。身の回りに臓器提供を待つかたや移植をしたかた、又は、提供したかたがいると、身近に感じられるんだけど、そうでないと自分ごとにならないのかもね...。でも、いつ、誰が病気になるとかさ、事故に遭うかなんて分からないじゃん。つまり、誰もが「臓器を提供するドナー」や「提供されるレシピエント」の立場になる可能性があるんだよね。そこで、今日は「臓器移植」について、僕たちが知りたいことを教えていただこうと思います。厚生労働省移植医療対策推進室から、移植外科の医師でもある田中 康介さんです。
杉浦
佳菜子ちゃん、臓器移植についてどんなことから聴いてみたい?
村上
まずは「臓器提供」について伺いたいです。人はどういう場合、臓器提供ができるんでしょうか?
田中
はい、死後の臓器提供には、「心停止後臓器提供」と「脳死下臓器提供」の2種類があります。「心停止」は、心臓から臓器や組織などに血液が送り出されなくなっている状態で、「脳死」は脳の全ての機能が働かなくなった状態です。脳死は、人工呼吸器などにより心臓を動かし続けることができますが、どのような治療を行っても回復することはなく、多くの場合、数日で心臓も停止します。そのため日本では、1997年に施行された「臓器移植法」によって、「脳死での臓器提供を前提とした場合」に限り、脳死は人の死とされました。
杉浦
これまでに脳死下で臓器提供をされたかたは、どれくらいいらっしゃるんでしょうか?
田中
脳死により臓器を提供されたかたは、臓器移植法の施行から、2024年度末までの27年間で1,181名、昨年度は年間139名と、過去最高の数となりました。臓器を提供された多くの方々やそのご家族、また、様々な立場から移植医療の推進に取り組んでこられた関係者の皆様に、改めて感謝と敬意をお伝えしたいと思います。
杉浦
臓器を提供してくださったかたやご家族などの尊い決断、そして、医療現場など移植医療の関係者の努力によって、命を救われたかたがたくさんいらっしゃるんですね。
田中
はい。ただし、移植を望み、臓器あっせん機関に登録して待機しているかたはおよそ1万8,000人で、そのうち臓器提供により移植を受けるかたは、年間1,500人ほどにとどまっている現状もあります。脳死ドナーから提供される臓器は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球ですが、この中で特に腎臓は、移植を受けられるまでの平均待機期間が14年程度となっております。
村上
14年なんですね...。
杉浦
かなり長い期間待たれてるかたがいらっしゃるということで...。田中さんは、移植外科でも、特に、肝臓や腎臓の移植手術に携わっていらっしゃるそうですけども、患者さんと接する中でどのようなことを感じていらっしゃいますか?
田中
移植を待つ患者さんの心境は複雑です。移植を受けるということは、誰かがお亡くなりになられるということを意味しており、長期間待機することに心身ともに疲労するかたもおられます。
杉浦
日本は欧米や他のアジア諸国と比べて、人口100万人当たりのドナー数が少ないそうですね。
田中
はい。制度の違いがあり一概に比べられるものではありませんが、例えば、スペインでは、生前に「臓器を提供しない」という意思表示がなければ、原則、臓器を提供することになるためドナー数が多いと言われています。
村上
日本の場合、臓器提供のルールはどのようになっているんですか?
田中
日本の場合、ご本人が生前に運転免許証やマイナンバーカードなどの書面に臓器を提供する意思を書いている場合、ご家族が反対しなければ臓器提供されます。また、ご本人の意思が不明な場合でも、本人の意思を尊重することを前提に、臓器提供するかどうかはご家族などの総意で決めることになります。
杉浦
ちなみに、「臓器を提供しない」という意思表示もできるんですよね。
田中
もちろんです。「臓器を提供したい」と書かれた書面が有効となるのは15歳以上ですが、「臓器を提供しない」という意思は年齢に関わらず、口頭でも書面でも有効となります。また、「臓器を提供しない」という意思表示がされていれば、臓器提供が行われることはありません。人は誰でも、亡くなった後に「臓器を提供する」「臓器を提供しない」、また、移植を「受ける」「受けない」ということを決める権利があります。どの考えも自由に選択でき尊重されるものです。ただし「臓器を提供する意思があるかた」の場合、その思いが尊重されるためには、家族などの身近なかたに臓器提供の意思を伝えて、よく話し合っておく必要があります。先ほど、お話しましたが、生前に書面で臓器を提供する意思表示をしていても、最終的に臓器提供するかどうかは、ご家族などの総意で決定されるものだからです。
村上
本人の意思は尊重したいけれど、家族として受け入れられないこともありますもんね。
杉浦
そうだよね。そこでここからは、同じく厚生労働省移植医療対策推進室から、看護師でもある髙木 友貴さんにもお話を伺います。
村上
髙木さんはこれまで、看護師として臓器を提供するドナーのご家族と向き合っていらしたそうですね。
髙木
はい。脳卒中や頭部外傷などで入院した後、医師が最善を尽くして救命治療を行っても、回復が見込めず、命を救うことが難しいと診断した場合などに、終末期医療の一つとして、ご家族に「臓器提供」という選択肢があることをお伝えし、意思の確認を行います。私はその際、ご家族の臓器提供に関する疑問や不安と向き合い、臓器提供についての詳しい説明や意思決定などのサポートをしていました。
村上
まだ死を迎えていない段階で、ご家族に死を前提にお話をされるのはとても辛いことだと思います。髙木さんは、ご家族と向き合う中でどのようなことを感じていらっしゃいますか?
髙木
脳死状態というのは半数以上が、脳卒中や交通事故による外傷などによって、突然、引き起こされる場合がほとんどなので、多くのご家族は混乱されています。そんな中でご家族は治療方針について判断をしていかなければなりません。現状、多くの場合、臓器提供の意思表示をされていないかたが多く、ご家族は本人の意思をなんとか推定して臓器提供のことも考えなければなりません。ご家族にとって、これは大きな負担です。私も、実際にそうした場面に何度も立ち会ってきましたが、最期まで「これが本当に本人の望んでいたことだったのか...」と悩み続けられるご家族がほとんどです。正解のない中で、決断をされるご家族の様子を見ていると、「意思表示があれば、もう少し違っていたのではないか」と思うことが多いです。
杉浦
実際、内閣府が行った世論調査でも、本人の意思が不明な場合、家族として臓器提供の決断をすることに負担を感じるかたが8割以上いますね。
村上
それはそうですよね。もしも自分の家族だったらと考えてみても、すんなり決められないと思います。
杉浦
そうだよね。世論調査を見ると「本人の意思表示を尊重する人」がほとんどなので、臓器を提供するにしても、しないにしても、意思表示さえあれば、家族の負担が少しは和らぐんですよね。
髙木
はい。ですから臓器提供に対する意思表示はとても大切ですし、臓器提供について家族で話し合っておくことがとても大切なんです。
村上
髙木さんがサポートされたご家族の中には、臓器提供を決断されたケースもあったと思います。どのような思いから決断されているようでしたか?
髙木
私が関わった中では、最期まで本当に悩まれたご家族で、「突然の別れになってしまって悲しいけれども、人が困っていると見過ごせない人だった。だから、もし本人が話せるなら臓器提供をすると言うと思う」と言って決断されたご家族がいました。そのご家族は、「この人が誰かの中で生きていると感じられると、自分たちも少し前を向ける」といったこともおっしゃっていました。
杉浦
田中さんは移植を担当する医師として、社会復帰されたかたを多くご覧になっていると思いますけども、皆さん、どのようなことをおっしゃっていますか?
田中
移植後、結婚や出産を経験されているかたも多く、移植者のスポーツ大会なども実施されており、皆さん人生を前向きに過ごしておられます。そして、皆さん、ドナーのかたへの感謝を述べられます。
杉浦
臓器移植をされたかたは、感謝の気持ちを「サンクスレター」という形でお名前などを伏せた状態で、ドナーへ送られるそうですね。
田中
はい。臓器を提供したかたのご家族と移植を受けたかたは、お互いの名前や住所を知ることも直接会うこともできません。しかし、移植を受けたかたが健康を取り戻した喜びやドナーへの感謝の思いは、サンクスレターにして日本臓器移植ネットワークを通じて、受け渡しが行われます。
杉浦
その一部は日本臓器移植ネットワークのホームページでも見られます。こちらでは、臓器移植に関することが分かりやすく紹介されていますので、家族などの身近なかたと見ながら話し合ってみてほしいですね。
髙木
はい。厚生労働省では10月を「臓器移植普及推進月間」としており、各地で臓器移植に関するイベントが実施されます。(2025年)10月26日、来週の日曜日には大阪府で「第26回臓器移植推進国民大会」が開催され、オンラインでも視聴できます。こちらに関しても、詳しい情報は日本臓器移植ネットワークや厚生労働省のホームページに掲載されています。是非、ご覧になってください。
田中
臓器移植に対する考えは、どのようなものであっても尊重され守られます。大切なのは、自分の意思を家族に伝えておくこと。そして家族の意思を知っておくことです。いつ、もしもの時が訪れるかは誰にも分かりません。突然の事態での、家族のお悩みやご負担を少しでも軽くするために、日頃から家族などの身近なかたと臓器移植について話し合い、意思を表示していただきたいです。
村上
今日の話を聞いて特に注目したのは、「いのちのバトン 想いをつなぐ」です。
杉浦
僕は、「臓器提供の意思表示、家族と話し合ってみてね。」と。家族と話し合うのは大事なことですから。

ラジオCM

旧優生保護法に基づく補償金(CM)

こども家庭庁からのお知らせです。

旧優生保護法に基づき、特定の病気や障害のある方々を差別し、
こどもができなくなる手術などを強制してきたことについて、
国は、深刻にその責任を認め、心から深く謝罪します。

旧優生保護法があった昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間に
こどもができなくなる手術や妊娠を続けられなくする処置などを受けたかたとご家族に、
被害の回復のための補償金などをお支払いします。

補償金などの請求について、
手続きを弁護士が無料でサポートする制度もあります。
まずは、お住まいの都道府県の窓口にご相談ください。

政府からのお知らせでした。

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