2025年10月13日
安心して暮らせる住まいを! どう変わった? 住宅セーフティネット法
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ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子「日曜まなびより」」
今回のテーマは「安心して暮らせる住まいを! どう変わった? 住宅セーフティネット法」。
人生の土台とも言える「住まい」。生涯安心して暮らせるのが一番ですが、中には住宅の確保が困難なかた、高齢になってからの住宅確保や一人暮らしに不安を感じるかたも少なくないでしょう。その不安を減らしてくれるのが「住宅セーフティネット法」です。2017年から運用されている、住宅確保が困難なかたに向けた「セーフティネット住宅」に加え、今年10月からは、訪問サポートなどで入居後もフォローしてくれる「居住サポート住宅」の創設、家賃滞納に備える仕組みの強化や「終身建物賃貸借契約」の手続きの簡素化などが行われています。
番組では、「住宅確保が困難なかた」と「大家さん」双方がより安心できるようになった、これらの仕組みを学んでいきます!
[画像:2025年10月12日3ショット(住宅セーフティネット法)]
- ゲスト
- 国土交通省 住宅局
安心居住推進課
横田 圭洋
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和7年(2025年)10月12日
- 再生時間
- 16分15秒
- 配信終了予定日
- 令和9年(2027年)3月31日
文字で読む
- 杉浦
- 佳菜子ちゃんは、住宅に関する不安とか悩みとかある?
- 村上
- ありますあります! 今は賃貸だけど、結構周りからも「購入した方がいいんじゃない? 家賃払うのもったいないよ」と言われたり。でも、購入するなら資金はどうしよう? とか、ローンは返せるかな? とか、いろんな悩みがあるじゃないですか。住宅に関しては多くのかたが、それぞれの不安とか悩みを持ってるんじゃないかな? と思います。
- 杉浦
- そうだよね。特に賃貸住宅に住む高齢の一人暮らしのかたの場合、「高齢を理由に大家さんに入居を断られないか」っていう心配もあるんだって。住宅の確保に不安があるかたが少なくないんだよね。
- 村上
- 日本は超高齢社会だから、高齢で一人暮らしのかたって、結構いるんじゃないですかね?
- 杉浦
- 大勢いるんですね。今は単身世帯のうち3割ほどが高齢世帯なんだけど、この割合が、今後ますます増えることが推計されていまして、2050年にはおよそ5割に迫る勢いということで。しかも、近年は持ち家を持つ人が減っております。今後、賃貸住宅で暮らす単身の高齢者が増えることは容易に予想できちゃうわけ。
- 村上
- ということは、この先、住宅の確保に不安を抱える人が増える可能性が、もっと増えるってことですよね?
- 杉浦
- ということですね。単身の高齢者だけじゃなくて、所得の低いかたとか子育て世帯、障害のあるかたなども、様々な理由から大家さんなどに敬遠されて、住宅の確保が難しい場合があるんだって。
- 村上
- そうなんですね。
- 杉浦
- ただ大家さんも、入居者が契約中に亡くなったりとか、家賃を滞納されたりとか、近隣とトラブルを起こされたりするのはできるだけ避けたいじゃん。入居はしてもらいたいけれど慎重に考えちゃうということですね。
- 村上
- その気持ちも分かりますね。
- 杉浦
- こうした背景もあって2007年に施行されたのが「住宅セーフティネット法」なんだって。ここからは今日の講師に教えていただきましょう! 国土交通省安心居住推進課の横田 圭洋さんです。
- 村上
- 横田さん、「住宅セーフティネット法」とはどういうものなんでしょうか?
- 横田
- 「住宅セーフティネット法」は、低額所得者や高齢者など、住宅の確保が困難な方々が、安心して賃貸住宅に入居できることを目的として制定された法律です。2017年に大きな改正を行い、住まいが見つからずお困りの「住宅確保要配慮者」とされるかたの入居を拒まない賃貸住宅である「セーフティネット住宅」を設ける仕組みを作りました。
- 村上
- 知らなかったです! ちなみに、今出てきた「要配慮者」にはどんなかたがいるんですか?
- 杉浦
- これにはですね、低額所得者や高齢者の他に、障害者、子育て世帯、外国人、被災者など、多くのかたが含まれているんですよね、横田さん。
- 横田
- はい、対象となるかたが幅広なのも特徴なんです! この「セーフティネット住宅」は、大家さんが都道府県などに登録することで利用できるようになる賃貸住宅なのですが、すでに94万戸の登録がありまして、専用のWEBサイト「セーフティネット住宅 情報提供システム」に所在地や家賃などの情報が公開されていますので、このサイトで検索すればスムーズに住まい探しをすることができます。
- 村上
- あらかじめ入居を拒まれない住宅の中から探すのなら、契約が成立する確率がグッと上がりますね。
- 杉浦
- そういうことだよね。ただ、住まいが確保できたからといって不安がなくなるわけじゃないよね。例えば、高齢の一人暮らしのかたの場合、「突然倒れたらどうしよう」などの不安もあるだろうし。
- 村上
- そうか...。大家さんも、部屋で亡くなっているのに気付かなかったら、その後いろいろ大変だし心配ですよね。
- 横田
- そこで、再び「住宅セーフティネット法」が改正され、今月から施行されたんです。ポイントは「住宅の確保が困難なかた」と「大家さん」双方が、より安心できる改正になっているという点です。
- 杉浦
- 双方が安心できると。では、ここからはその改正ポイントを学んでいきましょう。まず、こちら「居住サポート住宅の創設」! 横田さん、ご説明をお願いします!
- 横田
- はい。「居住サポート住宅」は、入居者の入居後の変化やトラブルに対応できるように、居住支援法人などと大家さんが連携して入居中のサポートを行う住宅です。
- 杉浦
- 居住支援法人というのは、要配慮者のかたがスムーズに賃貸住宅に入居できるように住宅の情報を提供したり、相談に乗ったり、見守りなどの生活支援をする法人のことで、都道府県が指定している不動産会社とか福祉系の企業やNPO法人などが、その役割を担ってるんだって。
- 村上
- そうなんですね。その居住支援法人と大家さんが連携して入居中のサポートをするというのは、具体的にはどんなことをしてくれるんですか?
- 横田
- はい。例えば、日常的なサポートとしては、センサーやIoT家電(インターネットに接続できる家電)、電気やガスなどの使用状況によって、一定時間動きがなければ自動通知するようなシステムを導入して安否確認をしたり、支援スタッフが定期的に直接訪問するなどして見守りを行います。
- 村上
- もしもの時に安心ですね。
- 横田
- また、見守りを行う中で入居者の生活や心身の状態が不安定になった時には、状況に応じて福祉サービスにつなぎます。例えば「高齢の入居者が、最近もの忘れが激しくなっているようだな」と思ったら、高齢者福祉の相談窓口につないで適切な福祉のサポートが受けられるようにします。
- 杉浦
- 他にも、暮らしに課題を抱えるひとり親とか障害のあるかたに対して、専門の相談窓口につないでくれることもあるんだって。
- 村上
- 心身の健康状態は自分では気付けないことがありますし、困りごとがあっても相談をためらうかたが少なくはないと思うので、見守りによって専門の窓口へつないでもらえたり、相談に向けて背中を押してもらえたりするのは、入居者にとってありがたいサポートですね。
- 杉浦
- こうしたサポート体制が整っていると、大家さんも安心して要配慮者のかたに住宅を提供できますよね。さあ、続いての「住宅セーフティネット法」改正ポイントはこちらです! 「家賃滞納に困らない仕組みの創設」!
- 村上
- こちらはどういうものでしょうか?
- 横田
- はい。以前は賃貸住宅を借りる場合、連帯保証人を求められましたが、最近は連帯保証人の代わりに「家賃債務保証業者」という会社を利用するのが一般的になっています。もし借主が家賃を払えなくなったときは、この保証会社が、一旦家賃を立て替えて大家さんに支払います。そのため借主は、部屋を借りる時に大家さんとの契約だけでなく、同時に保証会社とも契約を結ぶことになります。
- 杉浦
- この仕組みによりまして、「連帯保証人を親族には頼みにくい」などの事情があるかたも賃貸住宅が借りやすくなりましたし、大家さんも家賃が未払いになるリスクが軽減して、また、回収する手間も減ったんですよね。
- 横田
- ただ、家賃債務保証業者の中には、強引な取り立てを行う業者もあったため、前回の法改正の際に、一定の要件を満たす家賃債務保証業者を国に登録して、その情報を公表することによって、業者を選択する判断材料にできるようにしました。
- 村上
- そうだったんですね。では、今回の改正ではどう変わったんですか?
- 横田
- 今回、新たに「一定の基準を満たす家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する制度」を創設しました。一定の基準というのは主に二つありまして、一つは、先ほどご紹介した「居住サポート住宅」への入居を希望する要配慮者の家賃債務保証を原則断らないこと。もう一つは、家賃債務保証の契約条件として、緊急連絡先を親族などの個人に限定していないことです。
- 杉浦
- 緊急連絡先に指定できる知り合いがいなくても、居住支援法人などの団体を緊急連絡先に指定できるようになったんですよね。
- 横田
- はい。これにより要配慮者は家賃債務保証を利用しやすくなり、「居住サポート住宅」への入居もスムーズに進められます。また、大家さんは「居住サポート住宅」の運営においても、家賃滞納に困らず、安心して要配慮者と賃貸借契約を結べるんです。
- 村上
- なるほど。住宅の確保が困難なかたと大家さん、双方にとってメリットのある制度が創設されたということがよく分かりました。他にはどんなことが改正されたんですか?
- 横田
- 大家さんにとって朗報なのは、住宅セーフティネット法に関連の深い「高齢者住まい法」も同時に改正され、「終身建物賃貸借」を利用する際の手続きが簡素化されたという点です。
- 村上
- ん、難しい言葉が並びました。それはどういうことなんでしょうか?
- 横田
- 「終身建物賃貸借契約」は、賃貸借契約が、借主が死亡するまで継続し、死亡時に終了する契約です。一般的な賃貸借契約の場合は、借主が亡くなると契約が家族や親族に相続されますので、大家さんは相続人に家賃を支払ってもらうことになります。ところが、身寄りのない高齢者が亡くなった場合、相続人を探すのも大変ですし、亡くなられた後の対応に時間や手間がかかります。
- 村上
- それが「終身建物賃貸借契約」だと、どうなるんですか?
- 横田
- 借主が亡くなると同時に契約が終了し相続されないので、大家さんにとっては、手続等の不安を軽減でき、借主にとっては、基本的に生涯同じ家に住み続けられる安心感があります。ただし、この終身建物賃貸借契約を結ぶには、あらかじめ都道府県などに申請して認可を得る必要があるんです。そこで、今回の法改正では、その手続も簡素化して利用しやすくしました。
- 村上
- 大家さんの手続などの不安を減らすための契約なのに、その許可をもらう手続が面倒だったら、申請をちゅうちょしてしまいそうですもんね。簡単になって良かったです。
- 杉浦
- この他にも改正されたポイントがありますので、詳しく知りたいかたは、国土交通省の「住宅セーフティネット制度」のページをご覧いただくか、最寄りの自治体で確認していただきたいですね。
- 横田
- 住まいは人生の土台です。改正された住宅セーフティネット法などによって、これまで以上に皆さんが安心して暮らせる仕組みに変わっています。まずは「住宅セーフティネット」について理解を深めていただき、みんなで安心の輪を広げていきましょう。
- 村上
- 今日の話を聞いて私が特に注目したのは、「居住サポート住宅 始まります! 2025年10月から!!」です。もう始まってますからね。
- 杉浦
- まず知っていただきましょう。僕も、「住宅セーフティネット法 改正されました!!」です。
ラジオCM
戦略的な標準化活動の推進について(CM)
10月は「産業標準化推進月間」です。
国際標準のISOや国内標準のJISは、
製品の形や性能、サービスの質などを決めています。
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「標準」に合わせることで、互換性や安全性が高まります。
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