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2025年10月6日

木と生きる暮らしへ。始めようウッド・チェンジ!

ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子「日曜まなびより」」

今回のテーマは「木と生きる暮らしへ。始めようウッド・チェンジ!」。
世界でもトップクラスの森林国、日本。森林には、二酸化炭素の吸収だけでなく、洪水や土砂災害を防ぐなど、様々な役割があります。しかし、現在、植え・育て・収穫し・使うという「森林資源の循環利用」の中で、日本の人工林のおよそ6割が収穫・利用されないまま高齢化し、二酸化炭素の吸収量も減少しています。そこで大事なのが「ウッド・チェンジ」! 暮らしの中で木を積極的に使い、循環をうまく回すことで、森林を元気にする取組です。
番組では、国産木材が30%以上使用されている「カートカン」や、間伐材マークの入った商品、ウッドデザイン賞などの取組を通して、あなたの暮らしの中に木を取り入れるコツをご紹介します。今日から身近なウッド・チェンジ、始めてみませんか?

[画像:2025年10月5日3ショット(ウッド・チェンジ)]

ゲスト
林野庁 木材利用課
難波 良多

ストリーミング(音声で聴く)

放送日
令和7年(2025年)10月5日
再生時間
18分31秒
配信終了予定日
令和9年(2027年)3月31日

文字で読む

杉浦
日本は国土のおよそ7割が森林でございます。世界でもトップクラスの森林国。では、佳菜子ちゃんに質問です。森林にはどんな働きがあるでしょうか?
村上
もうそれは、光合成。二酸化炭素を吸って酸素を吐くとか、あとは、水分を貯蔵できたりとか? そういうのもニュースなんかで勉強した気がする。
杉浦
いいじゃないですか。大事な役割がたくさんありますからね。森林にはですね「二酸化炭素を吸収する働き」「水を貯め、洪水を緩和する働き」があります、正解ですね。あとは、「土砂崩れを防ぐ働き」「雨水を浄化する働き」などなどありますね。森林の土は、落ち葉や微生物などの働きでフカフカです。森林に降った雨や雪は、そのフカフカの土の隙間にゆっくりと染み込み、地下水になって流れ出します。つまり、水を貯めてゆっくり流す働きをして川の水の量が急激に変化するのを防いでくれるので、緑のダムとも呼ばれてますね。また、森林の木は土の中でしっかりと根を張るので、大雨が降っても土砂が流れ出したり、崩れたりするのを防いでいます。
村上
森林は、洪水や土砂災害などから私たちを守ってくれてるんですね。
杉浦
そうね。また、森の土に染み込んだ水は地下水となり、地層の隙間や岩の割れ目を通るうちにミネラルが含まれるので、おいしい水にもなります。
村上
なるほど! そうやって森林は、自然の浄水器のような働きもしてくれてるんですね。
杉浦
そう。そして、木は気候変動の要因にもなっている二酸化炭素を吸収してくれます。日本は、2050年までに二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量と吸収量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指しています。その目標を達成するためにも、森林の存在は欠かせません!
村上
よかったですよね。日本は森林が多くて。
杉浦
それが、そう安心してもいられない状況なんだよね。日本の森林は主に「自然の力によって成立した天然林」と「人の手によって育てられた人工林」があるんだけど、この人工林のおよそ6割が伐り時と言われる50年生以上。つまり、日本の人工林は高齢化が進行しているんです。
村上
そうなんですね。でも、木の高齢化って悪いことですか? 神社などに行くと、樹齢何百年なんて樹木がいっぱいありますよね?
杉浦
御神木とかね。でもね、佳菜子ちゃん、ここで残念なお知らせがございます。二酸化炭素の吸収量が大きいのは、グングン成長する若い森林で、なんと、高齢の森林は吸収量が減少するんです。実際、日本の森林による二酸化炭素の吸収量は年々減少している状況でして、このまま森林を放っておくと、高齢化が進んで、温暖化を防止する力が減ってしまう、と。
村上
えー、せっかく日本は多いのに...。もったいないですね。
杉浦
そもそも森林の働きは、「植えて」「育てて」「収穫して」「使う」、こうした森林整備を適切に行うことで得られるもので、このバランスを保つことがとても重要だ、と。だから「始めようウッド・チェンジ!」なんだよね。さあ、ここからは今日の講師に教えていただきましょう。林野庁木材利用課の難波 良多さんです。
村上
難波さん、「ウッド・チェンジ」って何なんでしょうか? 初めて聞くかたも多そうですけど。
難波
林野庁では2005年から、木を積極的に利用して日本の森林を元気にする「木づかい運動」を行っています。「きづかい」の「き」は「樹木のき」です。「ウッド・チェンジ」とは、この木づかい運動において、「身の回りのものを木に変える」「木を暮らしに取り入れる」「建物を木造・木質化する」など、木の利用を進めることで適切な森林整備につなげ、持続可能な社会へチェンジする行動を指す合言葉です。
村上
そう言えば、最近、木をふんだんに使った建物って増えてますよね。新しい国立競技場もそうですし、大阪・関西万博の大屋根リングもギネス世界記録に登録された最大の木造建築物ですよね。
杉浦
そうだね。大阪・関西万博の大屋根リングは、僕も見てきましたけども、ここまで見事に木を使うのか! って思ったし、やっぱり視覚効果もあるし、空気も違うんだよね。木の味ってあるじゃん。まあ最近は、木と鉄骨、両方使ったハイブリッド構造のビルとか、次々登場してますけども、コンビニなどのチェーン店が周りの環境に合わせて木造の店舗を建てたりもしてて、少しずつ木造の建物が増えてるのは実感しますね。
難波
はい。近年は住宅以外の中高層の建物でも木造化、木質化する取組が増えつつあり、10階建てを超える高層建築の例もあります。農林水産省では、本格的な利用期を迎えている森林資源を循環利用し、街の木造化を進める「森の国・木の街」の実現に取り組んでいるところです。また、実は木材の自給率は、2002年に2割を下回っていたのですが、今は4割まで回復してきています。さらに現在、森林にある木材の量は毎年増え続けている状況なので、資源的にもまだまだ伸びしろがあるところなんです。
杉浦
そもそも木材を利用することは、「環境」にいいだけじゃなくて、僕たちの「暮らし」にもいいことがあるんですよね。
難波
はい。例えば、木は室内の湿度に応じて湿気を吸収・放出する調湿能力や断熱性が他の素材に比べて高いので、快適な室内環境を保ってくれます。また、木は細い管がびっしり並んでいる構造で、これがクッションのような役割を果たすため衝撃吸収能力が高く、木の床の上で転んでもダメージが少なくて済みます。
村上
そうなんですね、知らなかった!
杉浦
あと、香りもいいですよねー。
難波
そうですね。木の香りにはリラックス効果があり、血圧を下げることも科学的に確認されています。
村上
改めて聞くと、いいこと尽くめなんですねー。でも、「始めようウッド・チェンジ!」と言われても、家を建てるなんて一生のうち1回あるかないかじゃないですか。気軽にできることとかあるのかな? と思うんですけど、何をすればいいんでしょうか?
杉浦
そうだよね。もう少し身近なことで「ウッド・チェンジ」できれば最高だよね。では、ここからは身の回りでできる「ウッド・チェンジ」、学んでいきましょう! 佳菜子ちゃん、「カートカン」って知ってる? 目の前に今あるんだけど。
村上
これ、「カートカン」って言うんだ! もちろん、これで飲んだことありますよ。よく見る。絶対みんな使ったことあるんだけど、見てみないと分からないかも。
杉浦
難波さん、「カートカン」について教えてください。
難波
「カートカン」とは、紙製の飲料容器のことです。既に発売から30年近くになり、スーパーやコンビニでも見かけることが多くなるまで普及してきました。この容器に使用する紙には国産の木材が30パーセント以上使用されているので、カートカンの飲料を積極的に選ぶことは、手軽にできるウッド・チェンジです。
杉浦
カートカンは年間2億本ほど生産されてて、一世帯当たり年間3本消費されている計算になるんだけど、これ、もっと普及してほしいよね。飲みやすいし、使いやすいし、捨てやすい。いいよね。
難波
そうですね。こちらも伸びしろがある状態ですね。パッケージをよく見ていただくと「間伐材マーク」が付いています。「間伐材」は、森林を健全に育てていくために過密となってしまった森林の木を一部伐採し、間隔を空ける「間伐」という作業の際に発生した木材のことです。これを利用した商品には、「間伐材マーク」が付いているものが多く、文房具や紙コップ、コピー用紙など多岐にわたるので、カートカンに限らず、このマークがあるものを積極的に選んでいただければ、その費用がまわりまわって、森林の整備に役立てられます。
村上
そうなんですね! スコップを持ったニッコリマークみたいな。かわいいですよね。これから少し意識して、「間伐材マーク」探してみましょう。他に身近にできるウッド・チェンジってありますか?
杉浦
佳菜子ちゃん、「ウッドデザイン賞」って知ってる?
村上
聞いたことあると思ったんですけど、たぶん、グッドデザイン賞ですね(笑)
杉浦
惜しい惜しい(笑) ウッド、デザイン賞、木の方ね。
村上
どんな賞なんですか?
難波
木を使うことによって社会の課題を解決することを目指す活動を「ウッドデザイン」と定義して、木を利用した優れた建築や空間、製品、活動や仕組みなどを表彰するものです。木材を利用した製品は近年、このウッドデザイン賞を受賞した製品だけを見てもバラエティに富んでいて、身近に利用できるものがたくさんあります。
杉浦
今日は、(実物を)持ってきていただきました。ウッドデザイン賞を受賞したバッグでございます!
村上
すごーい。素敵! 伝わるかな? 木の音。
杉浦
バッグの側面が木で、そこにファスナーが付いていて。
村上
取手のところもかわいいですね、オレンジ色で。木のぬくもりにぴったり! これ、スーツに合わせて持ってたらカッコよくないですか?
杉浦
確かに! これは高知県の企業が手掛けた木製のバッグでして、これも間伐材を使ってます。地域内で生産していて、売り上げの一部を森の育成基金へ還元してるんだよね。
難波
他にも、木糸(もくいと)と言って、間伐材などの端材を繊維に再生し、その木糸を使って作られたマスクなどのファブリック製品もあります。また、国産のヒノキやヒバなどのエッセンスを原料に作られたアロマミスト、こどもから高齢者まで手を動かしながら頭を使って遊べるパズルなど、国産の木を利用した製品はたくさんあります。
杉浦
佳菜子ちゃん家って、木製の製品ある?
村上
結構いろいろありますよ。木べらとか...。
杉浦
じゃあ、その木はどこ産か分かる?
村上
それは分かんない。そこを意識したことなかったかも。
杉浦
外国産なのか、国産なのか、国産でもどこの木なのか?
村上
確かに...。「木製だ」みたいなテンションで買ってました。
杉浦
林野庁が取りまとめたアンケート調査によりますと、「木材の製品を購入する際、産地は特に気にしない人」がおよそ75パーセント、「国産の木材であることを重視する人」は23パーセント。圧倒的に、産地を気にしないかたが多いんだよね。
村上
私もそうだもんな。まな板や、こどもが遊ぶおもちゃなどは国産にこだわることもあると思うんですけど、家具は気にしないとか、製品によっても違いがありそうですよね。
杉浦
そうだね。ただね、国産の木はですよ、日本のフルーツや野菜などと一緒で丁寧に手入れされていて品質がとてもいいから、これ、意識しないともったいないんじゃないかなと。
村上
確かに。木の品質がいいって、どういうことなんでしょうか? 難波さん。
難波
日本には長年大切に育てられている木がたくさんあります。不要な枝を切ったり、間伐したりすることで、木の特徴を捉えて美しい製品になるような環境を、長年にわたって丁寧に整えているんです。こういった努力によって、木がまっすぐ育ち、年輪がギュッと詰まって木目が美しくなり、建物や内装に使う木材としての価値が高くなるんです。
村上
そうなんですね。だったら温暖化防止の役割もあるし、家具や家などを買うときは国産を意識した方が、良いお買い物ができそうですね。
難波
10月は木材利用促進月間です。森林は、私たちを災害から守り、また、暮らしを豊かにしてくれる資源です。その資源を今後も持続的に利用していくには、日本の森林の現状を知って理解を深めることが大切です。そして、まずは、身近なところからできる「ウッド・チェンジ」、木と生きる暮らしを始めてみてください。
村上
今日の話を聞いて特に注目したのは、「間伐材マーク 見つけてね!」です。まずは、探すところから始めてみるのもいいかなと思いました。
杉浦
かわいいマークだよね。僕は「身近な物からウッド・チェンジ!!」これね、身近な物から変えられるからね。

ラジオCM

戦略的な標準化活動の推進について(CM)

10月は「産業標準化推進月間」です。

国際標準のISOや国内標準のJISは、
製品の形や性能、サービスの質などを決めています。
身近なところでは、乾電池や衣類の洗濯表示にも「標準」があります。
「標準」に合わせることで、互換性や安全性が高まります。

製品が「標準」に合っているかどうかは、
第三者機関が評価を行い、認証しています。
例えば、JISマークは我が国の制度に基づく第三者認証の印です。

商品を購入する際は、信頼性の高い「認証マーク」付きのものを選びましょう。
詳しくは、「標準化 経済産業省」で検索。

明日のくらしをわかりやすく
♪政府広報♪

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