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2025年4月1日

南海トラフ地震に備えよう!南海トラフ地震臨時情報が発表されたら?

[画像:南海トラフ地震の想定震源域と、災害に備えて非常持ち出し品を確認する人のイラスト]

POINT

南海トラフ地震は、静岡県から宮崎県の太平洋沿岸にかけてのプレート境界を震源域として、過去100年から150年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震です。令和6年(2024年)8月8日、宮崎県沖の日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生し、運用開始後初めて「南海トラフ地震臨時情報」が気象庁から発表されました。今後、また臨時情報が発表されたときに焦らずに行動するため、「自らの行動を自ら考え、臨時情報発表時の行動をあらかじめ決めておく」ための準備などをご紹介します。

1南海トラフ地震とは?

南海トラフ地震とは?被害の想定地域は?

南海トラフ地震は、静岡県から宮崎県の太平洋沿岸(駿河湾から日向灘)にかけての「南海トラフ」のプレート境界を震源域とする大規模地震です。過去100年から150年間隔で繰り返し発生してきました。過去に発生した南海トラフ地震を振り返ると、広い領域で同時に地震が発生したり、マグニチュード8以上の地震が時間をおいて連続して発生したりしたことが知られています。

南海トラフ地震が発生した際に著しい地震・津波災害が生じるおそれが見込まれる地域は、「南海トラフ地震防災対策推進地域」として、1都2府26県707市町村が指定されています(令和7年(2025年)1月時点)。指定の基準は、想定し得る最大規模の地震を想定した場合に「震度6弱以上の地域」「津波高3m以上で海岸堤防が低い地域」に該当、又は「過去の南海トラフ地震で大きな被害を受けた地域」「周辺の市町村と連携することにより防災体制の確保がとれる地域」です。

南海トラフ地震防災対策推進地域

南海トラフ地震はいつ起きてもおかしくない!

南海トラフ地震は、過去100年から150年の周期で繰り返し発生しています。直近では、昭和19年(1944年)の「昭和東南海地震」及び昭和21年(1946年)の「昭和南海地震」が発生しており、どちらもマグニチュード8以上の大規模地震でした。これらの発生から既に約80年経過しており、また、地震調査研究推進本部の長期評価によると、マグニチュード8から9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は80%程度(令和7年(2025年)1月時点)とされており、いつ発生してもおかしくない状況です。

南海トラフで過去に発生した地震の例
先発地震
(最初に発生した大規模地震)
時間差
後発地震
(続いて発生した大規模地震)
昭和東南海地震(M8.2)
1944年12月7日発生
両地震は約2年差で発生 昭和南海地震(M8.4)
1946年12月21日発生
安政東海地震(M8.6)
1854年12月23日発生
両地震は約32時間差で発生 安政南海地震(M8.7)
1854年12月24日発生

政府が令和7年(2025年)3月に公表した「南海トラフ巨大地震の被害想定」では、死者数が最大で約29万8千人(うち津波による死者数は約21万5千人)とされています。一方で、迅速な避難や情報伝達がより効果的に行われれば、津波による死者数は最大で約7割減少すると推計されています。

2「南海トラフ地震臨時情報」とはなに?

南海トラフ地震臨時情報は、南海トラフ地震発生の可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると評価された場合などに、気象庁から発表される情報です。住民、自治体、企業などが後発地震に対する防災対応をとるために、令和元年(2019年)5月から運用が開始されました。
南海トラフ地震臨時情報は、住民などが防災対応をイメージしやすいよう「調査中」「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」の4種類のキーワードのいずれかを付けて発表します。

南海トラフ地震臨時情報の発表条件

「調査中」
「南海トラフ地震の想定震源域又はその周辺でマグニチュード6.8以上の地震が発生したとき」や「南海トラフ地震の想定震源域のプレート境界面で通常とは異なるゆっくりすべり(注記)注1 が発生した可能性があるとき」には5分から30分後に「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」が発表されます。
(注記)注1:ゆっくりすべりとは、揺れを感じることがない、プレート境界面のゆっくりとしたずれによる地殻変動のこと。

このとき、気象庁においては、観測された異常な現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始します。調査を継続していることをお知らせする場合にも、「調査中」の南海トラフ地震臨時情報が発表される場合があります。

以下に説明する「巨大地震警戒」、「巨大地震注意」及び「調査終了」は、いずれも「調査中」が発表された後に発表されるものです。

「巨大地震警戒」
南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界においてモーメントマグニチュード(注記)注2 8.0以上の地震が発生したと評価した場合に発表されます。
「巨大地震注意」
南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界においてモーメントマグニチュード7.0以上8.0未満の地震が発生したと評価した場合
想定震源域のプレート境界以外や、想定震源域の海溝軸外側50km程度までの範囲でモーメントマグニチュード7.0以上の地震が発生したと評価した場合
ひずみ計などで有意な変化として捉えられる、短い期間にプレート境界の固着状態が明らかに変化しているような通常とは異なるゆっくりすべりが観測された場合
「調査終了」
巨大地震警戒、巨大地震注意のいずれにも当てはまらない現象と評価した場合
(注記)注2:モーメントマグニチュードとは地震を発生させる岩盤のずれの規模(ずれ動いた部分の面積×ずれた量×岩石の硬さ)を基にして計算したマグニチュード。一方で、気象庁から発表される地震・津波情報などに記載されているマグニチュードは「気象庁マグニチュード」といいます。

3南海トラフ地震臨時情報が発表されたら

南海トラフ地震臨時情報(調査中)が発表された時点は、発生した現象が南海トラフ地震と関連するかどうかを調査している段階なので、具体的な防災行動をとることを求められているわけではありません。しかし、この情報が発表された時点から、最新の情報に注意しながら、個々の状況に応じて避難などの防災対応の準備を早めに開始しておくと、その後の対応がスムーズになります。
そして、異常な現象が発生してから最短2時間後に、その調査結果に応じて、気象庁から、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)又は南海トラフ地震臨時情報(調査終了)が発表され、国や自治体から防災対応が呼びかけられますので、それに応じた行動をとりましょう

津波などによる浸水被害の可能性が高い場所は「浸水想定区域」として指定されています。その中でも、地震発生後の避難では間に合わない可能性があり、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表されたら事前の避難を行う地域を「事前避難対象地域」として指定されています。このような地域では揺れを感じたり津波警報等が発表されたりしたら、直ちに避難することが重要です。お住まいの地域、また通勤先や通学先などが事前避難対象地域に含まれるか、そして避難する際の避難経路や避難場所などを各自治体のハザードマップなどで事前に確認しておきましょう。

[画像:テレビで南海トラフ地震臨時情報(調査中)を放送しているイメージイラスト]

「巨大地震警戒」が発表されたら

「巨大地震警戒」が発表された場合は、事前避難対象地域には、自治体から事前避難の呼びかけが行われます。避難の呼びかけは、対象地域にいる全員が事前避難の対象となる場合と、高齢者など要配慮者のみが対象となる場合があります。
事前避難の対象者は、浸水想定区域外の避難所や知人宅などに移動し、1週間の事前避難を行います。
事前避難対象地域内で活動する事業者等においては、通常どおりの活動をすると生命に危険が及ぶ場合は、それを回避するため、従業員や利用者等を避難させるなどの措置をとってください。なお、事業継続しながら危険回避措置をとることができる場合は、十分な危険回避措置をとった上で事業を継続してください。

事前避難対象地域外の浸水想定区域でも、地震発生後の避難では間に合わない可能性のある場合は、浸水想定区域外の避難所や知人宅などに移動し、1週間の事前避難を行います。なお、多くの地域では、先発地震に伴い津波警報などが発表され、津波避難タワーなどに避難をしていることが想定されます。そのような状況にあるときは、避難を継続し、津波警報が津波注意報などに切り替えられたら、後発地震に備えて事前避難の行動をとってください。

[画像:南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)発表時の事前避難対象地域における避難行動概念図。既に発生した地震に伴う津波警報等により、津波避難タワーや津波避難ビルに避難をしている。津波警報等が注意報等に切り替わったあとに、津波避難タワーや津波避難ビルに避難していた人は、浸水想定区域外の避難所や知人宅等に事前避難する。]
出典:内閣府「南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!」

事前避難の対象者以外は、安全な避難場所・避難経路の確認、ご家族との連絡手段の確認、家具の固定、非常食などの備蓄の確認など、日頃からの地震への備えを再確認しましょう。また、昼夜問わず津波警報等が発表されても速やかに避難し命を守ることができるように、すぐに逃げられる態勢を維持する、外出などを予定している場合は、非常持ち出し品を荷物に入れて携帯するといった、特別な備えを実施しましょう。(詳細は第4章参照)

[画像:特別の備えとして外出時の荷物に非常持ち出し品を携帯。非常持ち出し品として、現金、マイナンバーカード、身分証明書(コピーでも可)を荷物に入れて外出する人]

[画像:特別の備えとして、就寝時に枕元にスマートフォン、非常用持ち出し袋、靴、ヘルメット、懐中電灯を置くなど、すぐに避難ができる態勢を維持する人のイラスト]

事前避難対象地域外の事業者等は、新たな大規模地震が発生した場合に被害が生じるおそれのある施設や設備の破損等を防止するための点検・確認や、被災リスクの高い活動の回避などの措置を実施した上で、一部の従業員が出社できない可能性があることや被災地における関連業務への影響などを踏まえ、企業活動を効率的に継続するための措置を実施してください。

巨大地震警戒から1週間経過したら、さらに1週間は、日頃からの地震への備えを再確認し、地震が発生したらすぐに避難できる態勢を維持する等の特別な備えを行います。

合計2週間、何事もなく経過すれば、通常の生活に戻ることになりますが、平時から油断せず、日頃からの地震への備えを継続する必要があります。

「巨大地震注意」が発表されたら

巨大地震注意が発表された場合は、日頃からの地震への備えを再確認し、地震が発生したらすぐに避難できる態勢の維持や非常持ち出し品の常時携帯といった特別な備えを行います。発表から1週間(注記)注3、何事もなく経過すれば、日常に戻ることになります。その後も日頃からの地震への備えを継続しましょう。
(注記)注3:ゆっくりすべりが観測された場合は、それが収まったと評価されるまでとなります。

「調査終了」が発表されたら

「調査終了」が発表されたら、上記の「巨大地震警戒」や「巨大地震注意」のような防災対応が必要なわけではありませんが、南海トラフ地震はいつ発生してもおかしくないので、日頃からの地震への備えを継続しましょう。

なお、南海トラフ地震臨時情報の発表に伴い日頃の備えを再確認した結果、備えに不十分なところがあれば、十分な備えとなるよう取り組んでください。

詳しくは、内閣府「南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!」でも確認できます。

4事前になにを備えておけばいい?

「日頃から備えている」ことが大前提

「南海トラフ地震臨時情報」の目的は、「後発地震発生への警戒・注意を高め、事前避難などの対策や日頃の備えを再確認することなどにより、実際に南海トラフ地震が発生した場合の被害を軽減すること」にあります。そのため、日頃からの備えや対策を行っていることが前提となっています。

迅速な避難体制・準備
地域のハザードマップでどのような危険があるかを確認する。
安全な避難場所、避難経路などを確認する。
家族との連絡手段を決めておく。

[画像:防災マップを見ながら話し合う家族のイラスト]

室内の対策
窓ガラスの飛散防止対策をする。
タンス類、本棚の転倒防止対策をする。上下が分かれた家具などは固定する。
棚の中身の飛び出し・落下対策、引き出しの飛び出し防止対策をする。
高い場所に物を置かない。
重いものは下、軽いものは上に収納して安定感を高める。
家具は倒れても出入り口を塞がない位置・角度に配置する。
家具の転倒で頭や体が下敷きにならないよう家具と寝具を遠ざける。
テレビや照明器具などは固定し、飛び出しや落下を想定して寝具を配置する。
出火や延焼の防止対策
漏電遮断機や感震ブレーカーなどを設置する。
火災警報器の動作、耐用年数、電池残量を確認する。
避難生活の備え
水や食料の備蓄を確保する。
簡易トイレを用意する。
携帯ラジオや携帯電話の予備バッテリーなどを準備する。

日頃からの備えについて、こちらでも紹介しています。
政府広報オンライン「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策 」
政府広報オンライン「今日からできる食品備蓄。ローリングストックの始め方 」

偽情報や誤情報に注意!

災害時には、混乱に乗じて正確ではない情報やデマ(例えばくろまるくろまる日に巨大地震が発生するといった、具体的な日時等を指定して地震発生を予知する情報など)がSNSなどで出回るおそれもあります。受け取った情報は必ず「信頼できる情報源か」「発信者はその分野の専門家か」「他ではどう言われているか」「その画像は本物か」などを確認し、嘘の情報を鵜呑みにしたり、拡散したりしないように注意しましょう。

偽情報や誤情報に関しては、こちらでも詳しく紹介しています。
政府広報オンライン「インターネット上の偽情報や誤情報にご注意!」

過度な買いだめ、買い急ぎはしない!

経済的・社会的混乱を最小限に抑えるためにも、食料品や生活必需品の必要以上の買いだめ、買い急ぎは控えるようにしてください。

コラム:臨時情報発表時と平時の地震発生リスクの違い

平時 巨大地震注意発表時 巨大地震警戒発表時
30年以内に南海トラフで大規模地震が発生する可能性は80%程度。7日以内に換算すると、1,000回に1回程度(約0.1%) 世界の事例から、マグニチュード7以上の地震が発生後、同じ領域(震源から50km以内)で7日以内にマグニチュード8クラス以上の地震が発生するのは、数百回に1回程度(1,437事例中6事例=約0.4%)。平時に比べて数倍程度高い状況 世界の事例から、マグニチュード8以上の地震が発生後、隣接領域(震源から50km以上500km以内)で7日以内にマグニチュード8クラス以上の地震が発生するのは、十数回に1回程度(103事例中7事例=7%)。平時に比べて100倍程度高い状況

出典:地震調査委員会「南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応のあり方について(報告)(令和7年1月15日発表)」

まとめ

日本は「地震大国」とも呼ばれるくらい地震の多い国です。南海トラフ地震に限らず、いつ、どこで大規模な地震に遭遇してもおかしくありません。また、地震の発生時期・場所・規模を正確に予測することは、現在の科学技術では困難とされています。大切なのは、地震は突発的に起こることを認識しながら日頃からしっかり防災への意識を持ち、対策をとることです。また、特に沿岸地域では、揺れを感じたり津波警報等が発表されたりしたら、直ちに避難することが重要です。いざというときに落ち着いた行動をとり、身の安全を守るためにも、日頃から地震に備えておきましょう。

(取材協力:内閣府 文責:内閣府政府広報室)

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