あなたは悪くない。DVや性暴力の悩み聞かせてください
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ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子「日曜まなびより」」
今回のテーマは、「あなたは悪くない。DVや性暴力の悩み聞かせてください」。
DV(配偶者・交際相手からの暴力)や性暴力に対して、あなたはどんなイメージを持っていますか?
被害に遭うのは若い女性だけ?男性だから大丈夫?被害に遭った自分が悪い?暴力は身体的なものだけ?
その思い込み、アップデートしませんか。
番組では、DV(配偶者・交際相手からの暴力)や性暴力について、調査結果から実態を踏まえて学んでいきます。さらに、被害を受け悩んでいるかたに知っていただきたい、全国共通の専門の相談窓口もご紹介します。
[画像:杉浦太陽さん、村上佳菜子さん、内閣府ゲストの3人が、「話してもいいのかな 聞かせてほしいな DVや性暴力の悩み、受け止めてくれる人がきっといる。」のポスターを紹介。]
- ゲスト
- 内閣府 男女共同参画局
男女間暴力対策課長
田中 宏和
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和6年(2024年)11月17日
- 再生時間
- 16分28秒
- 配信終了予定日
- 令和7年(2025年)11月16日
文字で読む
- 杉浦
- 11月12日から25日は「女性に対する暴力をなくす運動」期間でして、今日もまさにその期間中なんですけども、今回はDVや性暴力について、思い込みを捨てて、今ある知識をアップデートできればいいなと思っています。
- 村上
- DVっていうのは、配偶者とか交際相手に対して暴力を振るってしまうということですよね。
- 杉浦
- シンプルに言うとそういうことなんだけど、「暴力」という言葉の中には、いろんな「暴力」が含まれてるんだよね。ちなみに、結婚したことのある人のうち、配偶者から暴力を受けたことがある人はどれくらいいるでしょうか?
- 村上
- えっ、難しい。でも、結婚してるからそんなに多くないんじゃないかなっていう印象もあるけど。
- 杉浦
- 内閣府が昨年行った調査によりますと、およそ25パーセントの人が配偶者から暴力を受けたことがあると答えています。
- 村上
- 4人に1人の割合ってことですよね。思ってたより多かったです。
- 杉浦
- おそらく暴力というと、「殴ったり」、「蹴ったり」、「物を投げつけたり」、そういうことを真っ先に思いつくから、「まさかそんなに多いわけがない」と思っちゃうんじゃないかな。でも、暴力って体への身体的な暴行だけじゃないんですね。ここからは、今日の講師に伺っていきましょう。内閣府男女共同参画局 男女間暴力対策課長の田中 宏和さんです。
- 村上
- 田中さん、DVでの暴力は、殴ったり、蹴ったり、体への直接的な暴行のイメージが強いですけど、言葉の暴力もありますよね。
- 田中
- はい。例えば、何かにつけて、大声で怒鳴ったり、相手の人格を否定するようなことを言って、心を傷つけることも暴力です。友達との付き合いを制限したり、電話やメールを細かくチェックをしたりする、精神的な嫌がらせも含まれてきます。「経済的に圧迫すること」や、「性的な強要」もそうです。
- 村上
- 「経済的に圧迫する」っていうのは、例えばどういうことでしょう?
- 田中
- はい。生活費を渡さない、給料や貯金を勝手に使う、こうしたことが「経済的な圧迫」です。また「性的な強要」というのは、相手の同意なく性交などの性的な行為をする、見たくない性的な動画を見せる、避妊に協力しない、といった行為です。
- 村上
- 相手の嫌がることをしたり、させたりすることが暴力ということですね。
- 田中
- そうです。そうしたことが繰り返されて、支配する・支配されるという関係になってしまうと言われています。今年の4月にはDV防止法が改正され、殴る・蹴るといった身体への暴力だけでなく、言葉で精神的に追い詰められたといった場合などにも、接近禁止命令という命令を出すよう、裁判所に求めることができるようになりました。
- 杉浦
- 例えば「言うことを聞くというまで外に出さない」とか、「従わなければ仕事を辞めさせる」などと言って脅された場合にも、接近禁止命令が出される可能性があるってことですよね。
- 村上
- 言葉などによる心理的攻撃も許されない暴力だと、改めて知っておかなきゃいけないですよね。殴る・蹴るといった体への暴力と同じぐらい、ときには、それ以上に心に大きな影響を受けることもありそうですよね。
- 杉浦
- 手を上げられた、叩かれた、といったことがなければ、被害も軽いんじゃないかと思い込みがちなんだけども、心理的な攻撃によって、うつ病やPTSDを患うといった、深刻な被害を受けることも決して少なくないんだって。
- 村上
- やっぱり、思い込みを捨てなくちゃいけないですよね。ところで、今日のテーマのタイトルには「DVや性暴力の悩み聞かせてください」とあるので、「DV」と「性暴力」は違うということなんですよね?この違いを教えていただけますか?
- 田中
- はい。DVには、暴力の相手が配偶者などであれば、性暴力と言えるものも含め、様々な形の暴力が含まれます。これに対して、性暴力は、相手が、顔見知りのときもあれば、全く知らない人のときもあります。どのような間柄であれ、同意のない性的な行為を行うことは、性暴力です。
- 村上
- ちなみに、同意のない性的な行為というと?
- 田中
- 相手の同意がないのに、性的な行為をすること、行為を受けた側からすれば、「望まないキスや性行為をされた」、「着替えやトイレ、入浴をのぞかれた」、「痴漢に遭った」、「勝手に下着姿や裸の写真や動画を撮られた」こういったことは全て性暴力に当たります。
- 村上
- そうした行為は、たとえ相手が顔見知りでも、夫婦や恋人であっても、同意のない性的な行為、性暴力であるということですね。
- 杉浦
- 佳菜子ちゃん、性暴力に関しても、よくある思い込みがあるんですが、なんだと思う?
- 村上
- なんだろうな...。女性が被害に遭うっていうイメージが強いと思いますけど、それもきっと思い込みですよね。男性も被害に遭うこともありますもんね。
- 杉浦
- そう、それもそうなんだけども、他にもあるので、さらにひもといて、知識をアップデートしていきましょう!
- 村上
- 田中さん、性暴力に対するよくある思い込みには、どのようなものがあるんでしょうか?
- 田中
- 一つは「若い女性だけが被害に遭う」という思い込みです。実際には男性も、こどもや高齢者も被害に遭っています。
- 村上
- 年齢や性別にかかわらず被害に遭うことはあるんですね。
- 杉浦
- それから性暴力って、「夜遅く、知らない人に突然襲われる」って思い込んでいるかたも多いと思うんですけども、性暴力の被害は、時間や場所を問わず発生していて、加害者のおよそ8割は、なんと、顔見知りなんだって。恋人間で起こることもあれば、職場やアルバイト先、学校、そして家庭と。
- 村上
- ちょっと怖いですよ。すごい身近ですよね。
- 杉浦
- 日常のどこかで起こる可能性があるっていうね。また、性暴力に関するよくある思い込みの中には、「自分が悪い」って思い込んでしまうかたもいるそうですね。田中さん。
- 田中
- はい。悪いのは被害に遭ったかたではなく、加害者です。
- 村上
- 「自分が悪い」と思い込んでしまったら被害を受けても、誰にも言えなくなってしまいますよね。
- 田中
- 実は、DVや性暴力の被害に遭ったかたは、被害に遭ったことを誰にも相談していない人が多いんです。同意なく性交などをされた人の6割近くが、どこにも相談していないという調査結果もあります。
- 村上
- いろんな思いがあると思うんですが、なぜ、誰にも相談できないんでしょうか?
- 田中
- 理由に挙げられるのは、「恥ずかしくて誰にも言えなかった」、「相談しても無駄だと思った」、「自分さえ我慢すれば、なんとかこのままやっていけると思った」などです。
- 村上
- いろんなことを考えてしまい、相談できないんですね。
- 田中
- 先ほど杉浦さんがおっしゃったように、「自分にも悪いところがあると思った」と答えるかたもいます。
- 杉浦
- もし、「自分が悪い」、「誰にも相談できない」と悩んでいるかたがいたら、一人で抱え込まず相談してほしいですね。被害者は全く悪くないんで。
- 田中
- はい。先ほど、6割近くはどこにも相談していないという調査結果をお話ししましたが、一方で被害に遭ったかたのおよそ3割は友達や知り合いに、1割は家族や親戚に相談しています。誰もが、知り合いや家族から、相談を受けることがあるかもしれません。
- 村上
- そうなんですね。では、もし、身近な人が被害に遭って打ち明けられたら、私たちはどのように対応したらいいんでしょうか?どうすればいいのか迷うこともありますよね。
- 田中
- 話しにくいことを話してくれたということは、それだけ自分を信用して話してくれたということですから、まずは「話してくれてありがとう」という気持ちと、「あなたは何も悪くない」ということを伝えていただきたいと思います。
- 杉浦
- 決して話を疑ったり、否定したりしてはいけないということですね。
- 田中
- 「そんな所、行ったから」、「そんな服、着ていたから」などと、被害者を責めたり、「大したことない」と被害を軽いものにしてしまえば、被害者を更に傷つけることになってしまいます。
- 杉浦
- 相手の気持ちを大切にして、「これからのことを一緒に考えていこう」という思いで話を聞いてほしいですね。
- 田中
- 一方的な助言をしたり、無理に励ましたりしないことも大切です。必要に応じて、専門の相談窓口があることを伝えてください。
- 杉浦
- 専門の相談窓口なら、安心して相談できそうですね。
- 田中
- DVの相談は「#8008(はれれば)」、性暴力の相談は「#8891(はやくワンストップ)」にお電話いただくと、全国のどこにいても、最寄りの窓口につながります。プライバシーもしっかりと守られます。「女性に対する暴力をなくす運動」で検索すると、専用サイトから、それぞれの相談窓口にすぐにアクセスできます。電話のほか、チャットでの相談もできます。まず、DVや性暴力は、個人の尊厳を踏みにじる重大な人権侵害であって、決して許されない行為です。もし、みなさんが被害を受け、悩んでいるとすれば、その悩みを受け止めてくれる人はきっといます。身近な人や、専門の窓口に話してみてください。そして、被害を打ち明けられたかたは、疑ったり、否定したりせず、「これからのことを一緒に考えていこう」という思いで話を聞き、相談窓口のことを教えてください。
- 村上
- 私が今日の話を聞いて特に注目したのは「あなたは悪くない、相談できるところがあります。」です。
- 杉浦
- 僕も佳菜子ちゃんに続いて、「DVの相談は、#8008(はれれば)、性暴力の相談は、#8891(はやくワンストップ)」です。
- 村上
- 是非、相談してほしいですからね。
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犯罪被害者週間の周知について(CM)
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詳しくは、「警察庁 犯罪被害者週間」で検索ください。
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