こどものスマホ利用を安全に!ネット犯罪から守るには?
[画像:SNSに投稿した情報から自宅などを特定されて、不審な男性に付きまとわれ、不安がっている女の子のイラスト]インターネットを悪用した犯罪に、こどもが巻き込まれる例が後を絶ちません。スマートフォン(以下「スマホ」といいます。)の普及に伴い、多人数とコミュニケーションが取れるウェブサイトや通信ゲーム等のSNS(注)を通じて面識のない相手とこどもが知り合うことが容易になっていることから、児童買春や児童ポルノなど、こどもの心身を狙った重大かつ悪質な犯罪の被害に遭ったこどもの数が、ここ数年、高水準で推移しています。また、こどもが被害を受けるばかりでなく、こども自身が加害者となって犯罪に関わってしまうこともあります。ここでは、こどもが狙われるネット犯罪の現状と防止策を紹介します。
(注)SNS:多人数とコミュニケーションを取れるウェブサイト等で、通信ゲームを含む(届出のある出会い系サイトを除く)
1スマホを悪用したこどものネット犯罪被害
SNSを通じて犯罪被害に遭ったこどもの数が高水準で推移。
スマホを利用しているこどもの割合は、10歳以上の小学生で約6割超、高校生では9割以上に達しています(こども家庭庁「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」調査票・調査結果等」)。
スマホは、様々なアプリケーション(以下「アプリ」といいます。)をインストールすることで、通話やメールなどの通信機能のほか、地図やカメラ、動画再生、無料通話、ゲームなどパソコンと同じような様々な機能を使うことができます。使いやすく多機能な上に小型軽量という、非常に便利な情報端末です。
しかし一方で、こうしたスマホを悪用する例が絶えないという現状をご存じでしょうか。
特にSNSを利用すると、匿名で不特定多数の人に瞬時に連絡を取ることができるため、こうしたSNSがこどもの犯罪被害の「場」となってしまっている状況がうかがえます。
SNSを利用して犯罪被害に遭ったこどもの数(注)は、ここ数年、高水準で推移しており、未成年者誘拐を始めとした重要犯罪被害に発展することも後を絶ちません。
(注)SNSを通じて知り合った面識のない者から犯罪被害にあったこどもの数。(対象犯罪は、児童福祉法違反、児童買春・児童ポルノ法違反、青少年保護育成条例違反、重要犯罪等(殺人、強盗、放火、不同意性交等、略取誘拐、人身売買、不同意わいせつ、逮捕監禁)、面会要求等及び性的姿態撮影等処罰法第2条から第6条に規定する罪)
資料:警察庁「令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況」から政府広報室作成
被害に遭ったこどもがSNSにアクセスする際に利用した端末については、スマホが圧倒的に多く令和6年(2024年)には全体の97.5%を占めています。
注:令和元年までは、スマートフォン、スマートフォン以外の携帯電話、パソコン、ゲーム機、その他、不明で分類し、令和2年からはスマートフォン、スマートフォン以外、不明で分類
資料:警察庁「令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況」から政府広報室作成
最近のこどもたちは、生まれたときから身近に携帯電話やインターネットがあった世代です。そのため、「使い慣れているはず」「インターネットの危険性についても知っているはず」などと考えがちですが、こどもがインターネットの世界で守らなければならないルール、人と人とが付き合う上でのマナーについての経験、知恵を十分に備えているとは限りません。
経験、常識、判断力を備えたはずの成人でさえ、インターネットに係る犯罪に巻き込まれることは少なくありません。まして、社会経験の浅いこどもでは被害に遭うおそれが高いことは言うまでもありません。さらに、社会のモラルやルールが十分に身についていないこどもならば、被害者となる危険はもとより、知らぬ間に犯罪に関わってしまう危険もあります。次代を担う大切なこどもたちが犯罪に巻き込まれたり関わったりしないよう、インターネットとどのように付き合っているか、改めてお子さんの話を聞いてみてはいかがでしょうか。
2どんな犯罪被害が起きているの?
児童買春や児童ポルノなどの被害が発生しています。
こどものインターネット利用に伴う危険には、以下のようなものもあります。
インターネット上の危険
危険1 こどもの健全育成に有害な情報が氾濫している
インターネット上には、こどもに見せることが好ましくない情報、例えば、犯罪や自殺を誘うような内容、過激な性描写、殺人などの残虐な暴力シーンを含む画像や動画が氾濫しています。
危険2 相手の顔が見えない
インターネットでは、様々な人とつながることができますが、相手の本当の姿は分かりません。中には、性別や顔、名前や年齢を偽って、言葉巧みにこどもに近づこうとする悪い人がいます。
危険3 一度発信した情報は不特定多数の人に広がり、後から削除することはほとんど不可能
インターネット上では、一度掲示板などに書き込みを行うと、その内容はすぐに広まります。つまり、気軽に書き込んだり掲載したりした情報や画像などであっても、意図せず不特定多数の人に広がってしまうという特徴があり、いったんネット上に拡散した情報を後から全て削除することは、ほとんど不可能です。
危険4 インターネットでの情報発信は個人を特定できる可能性がある
インターネット上での情報発信は、匿名のつもりでも、ふとした書き込みなどから個人を特定することが比較的容易にできることがあります。自画撮りした画像に位置情報が入っていたり、地域を特定されやすい背景や学校の制服が写りこんだりするなど、意図せずに個人が特定され、トラブルや事件に巻き込まれる可能性もあるので注意が必要です。
次に、インターネットを利用したこどもの犯罪被害事例を紹介します。
こんな犯罪被害が発生しています
危険な出会い
SNSで知り合った相手に悩み事相談をしていたところ、家に泊まりにくるよう誘われ、相手の迎えで家に行ったところ監禁され、わいせつな行為をされた。
オンラインゲームでも被害に!
オンラインゲーム内で知り合った「女性」に、下着姿の写真の交換を要求され、自分の下着姿の画像を送信させられていた。この女性は、男がなりすましていた。
交際相手に撮られた裸の写真が同級生にも(児童ポルノ(製造、提供)被害)
交際相手にスマホで裸の写真を撮られた。その後、別れ話をもちかけると、相手は復讐するつもりでそのこどもの同級生にその画像を送りつけ、その結果、同級生の間で無料通話アプリなどを通じて画像がやり取りされ、出回ってしまった。(注)
(資料:警察庁)
(注)こうした事案はリベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)に違反している疑いもあります。
リベンジポルノについて、詳しくはこちら:
警察庁「リベンジポルノ等の被害を防止するために」(プライベートな性的画像を勝手に公表することは犯罪です!!)
3こどもが加害者になることもあるの?
業務妨害、不正アクセスなども。
こどものインターネット利用が増える中、こどもが加害者となる事例も珍しくありません。インタ-ネット上での悪口や無視、仲間はずれなどを行うケースから、SNSで呼び出して暴行に及ぶケースなど、態様が徐々にエスカレートすることがあります。書き込みの内容が原因となるトラブルや犯罪も多発しています。
また、悪ふざけや冗談のつもりでとった安易な行為が犯罪であったり、お金欲しさに犯罪に手を染めてしまったりするケースも少なくありません。
次に、こどもによる加害事例を紹介します。
こんな非行・犯罪が発生しています
多くの人の注目を浴びたくて
少年は、スーパーの店内において、パンや菓子の包装紙にいたずらをする様子を撮影し、インターネット上に投稿した。投稿した動画に対する反響などを見て、自分を英雄視していた。
びっくりすると思って
少年らは、自動的に110番させるコンピュータウイルスを作成し、インターネット上に拡散させて、スマホ使用者が意図しない110番発信を全国で多数発生させた。
自分の技術を自慢したくて
少年は、中学・高校の生徒の成績などをインターネット上で管理するシステムにアクセスし、生徒の名前や住所、成績などの大量の情報を不正に盗み出した。
悪ふざけで裸の画像を送らせて
少年は、同級生に裸の画像・動画を自撮りして送らせ、その画像・動画をインターネット上に公開した。
(資料:警察庁)
4こどもがインターネットを安全、適切に利用するには?
まずは親子でネット利用のルールをつくり、見守りを。
インターネットの世界でも実社会と同じように、守らなければならない法律やルールがありますし、人と人とが付き合う上でのマナーやモラルを守ることも必要です。こどもたちは、スマホ等の機器を巧みに使いこなしますが、インターネット上の法律やルール、社会の中でのマナーやモラル等の知識や経験が十分に身についているとは限りません。
また、前述したとおり、インターネットの世界は匿名性が高いように見えますが、実際には、様々な情報から比較的容易に個人が特定されてしまうということが十分にあり得ます。その危険性について、こどもたちが十分に理解しているとは限りません。
こどもは成長とともに自立心が高まりますが、行き過ぎて学校や保護者の指導を受け入れにくくなることもあるでしょう。しかし、こどもに安全に道路を歩くための交通ルールを教えるのと同様に、インターネットの危険性についても、こどもに対しては、様々な方法で、繰り返し、丁寧に説明して、インターネットの適切な使い方を身につけさせることが重要です。
それと合わせてフィルタリングを用いてこどもに有害な情報を閲覧させないことがとても大事です。
SNSを利用して犯罪の被害に遭ったこどものうち、約9割がフィルタリングを利用していませんでした。
また、保護者が継続的にこどものインターネット利用を見守っていくことも大切です。こどもに携帯電話やスマホ、タブレット端末などを持たせるときは、次のポイントを参考にしてください。
(1)適切にインターネットを利用させる
スマホ等をこどもに持たせるときは、持たせ始めが肝心です。安易に与えるのではなく、「何のために必要なのか、どのように使うのか」について親子で目的やルールを話し合い、また、トラブルや過度な利用などを防ぐために、保護者の責務として、こどもの利用状況をしっかりと確認しましょう。
インターネット上は、仲間内だけの空間ではなく、世界中の人が利用する「公共の場」であり、実社会でやっていけないことは、インターネット上でもやってはいけないということを理解させ、ルールやマナーを守って利用できるよう、保護者が指導することが大切です。
(2)親子で家庭のルールをつくる
保護者とこどもで話し合い、インターネット利用について家庭内のルールをつくりましょう。
例えば、インターネット上でゲームを利用したり、動画を見たりする場合、名前や住所、学校名などの個人情報を求められる場合があります。また、通信料以外の料金の支払いのために、保護者のクレジットカード番号の入力が求められることがあります。こうしたケースでは、個人情報はもとより、保護者のクレジットカード番号が悪用されれば大きな被害をこうむります。
こうしたインターネットの危険な面についても、こどもに丁寧に説明し、ルールを一方的に押しつけるのではなく、なぜ、そのルールが必要なのかをこどもに理解させることが大切です。また、こどもがルールを破ったときの対応も、事前にこどもと決めておきましょう。
コラム1:家庭のルールの例
- 接続するサイトやダウンロードするアプリは保護者に確認する。
- 下着姿や裸の写真は撮らない、撮らせない。
- 個人を特定される情報を書き込まない。
- 利用料金や利用時間を決める。
- 知らない人と電話やメール、メッセージの交換をしない。
- 困ったことがあれば、必ず保護者にすぐに相談する。
- 他人のID・パスワードを勝手に使わない。
- ルールを守れなかった時のルールを決める。
(資料:こども家庭庁)
5フィルタリング設定は十分ですか?
携帯電話回線、無線LAN回線、アプリの三つのフィルタリングが必要です。
こどもに携帯電話やスマホ、タブレット端末などを持たせるときの三つ目のポイントは「フィルタリング」です。
犯罪被害や非行のきっかけとなりかねない有害情報からこどもを守るために有効なのが、インターネット上のウェブサイトを一定の基準で分別し、こどもに有害な情報を閲覧できなくするプログラムやサービスであるフィルタリングを利用することです。
スマホやタブレット端末などに対応した、様々なフィルタリングサービスが無料で提供されているほか、高機能をうたった有料のサービスもあります。こどものインターネットの使いかたに適したフィルタリングを選んでお使いください。
SNSを利用して犯罪被害に遭ったこどものうちフィルタリングサービスを利用していなかった割合が、89.9%でした。
資料:警察庁「令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況」から政府広報室作成
平成21年(2009年)4月に施行された「青少年インターネット環境整備法(注4)」においては、保護者は、こどもに携帯電話やスマホを持たせる場合に、携帯電話会社(通信事業者)の販売店において、契約時に、18歳未満のこどもが使用することを伝えることが義務づけられており、他方、販売店は、保護者から「不要」との申し出がない限り、18歳未満のこどもが使用する携帯電話にはフィルタリングサービスを提供することが義務付けられています。
フィルタリングの設定において注意すべきことは、スマホの場合には、携帯電話回線用のフィルタリングに加え、無線LAN回線用のフィルタリング、アプリ用のフィルタリングの三つのフィルタリングが必要であることです。従来型の携帯電話の場合、携帯電話回線用のフィルタリングのみで十分ですが、スマホの場合にはそれでは不十分であり、フィルタリングが有効に機能しません。
フィルタリングの設定については、携帯電話販売店にご確認ください。
(注4)青少年インターネット環境整備法:
正式名称は「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」
各携帯電話会社のフィルタリングの設定方法
- ドコモをご利用のかた:「NTTドコモ|フィルタリングサービス」
- auをご利用のかた:「au|フィルタリングサービス」
- ソフトバンクをご利用のかた:「ソフトバンク|安心安全への配慮」
- 楽天モバイルをご利用のかた:「楽天モバイル|子どもスマホ利用あんしんガイド」
コラム2:相談は全国の少年相談窓口へ
警察では、こどもや保護者から、インターネット利用に関するトラブルや犯罪被害を始め、非行、家出、いじめ等の少年問題に関するあらゆる相談を電話又はメールによリ受け付けています。都道府県警察の少年相談窓口(ヤングテレホンコーナー等)又は最寄りの警察署まで相談してください。各都道府県警察の窓口については、警察庁「都道府県警察の少年相談窓口」をご覧ください。
(取材協力:こども家庭庁、警察庁 文責:内閣府政府広報室)
関連リンク
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