発表題目一覧 (題目をクリックすると概要を表示します。セッション単位での表示/非表示の切り替えも可能です)
10月19日 (金) 15:00〜18:30 【講堂 Auditorium】
A-0: 【企画セッション】第12回マイクロジオデータ研究会
「超スマート自治体(Government5.0)〜産官学の空間情報を結集したEBPM の実現に向けて〜」
オーガナイザー:秋山 祐樹
我々は 2011 年に「マイクロジオデータ研究会」を発足させ、マイクロジオデータ(MGD)の普及と利活用について産官学の有識者を中心に議論を行って来ました。MGD とは位置情報や時間情報を持つ時空間的に高精細な(例えば建物や人単位)データや統計の総称のことを言います。MGD は既存の各種統計・空間データでは実現し得なかった、時空間的にきめ細やかな分析や計画支援等への利活用が期待されています。 近年、MGD 研究会は MGD に関連した研究だけでなく、「実社会での活用」にフォーカスを当てた活動にシフトしつつあります。そこで第 12 回となります今回は、産官学が持つ多様な空間情報を結集しEBPM(Evidence Based Policy Making)を実現し、地域の継続的なスマート化の実現を目指す「超スマート自治体(Government5.0)」の実現に向けた取り組みについて、産学官の有識者の皆様からご講演頂きます。さらに同活動を進めていく中で現在、「何がどこまで出来るのか」、「何がどうして出来ないのか」そして今後「何をするべきか」ということをご紹介頂き、超スマート自治体実現への課題と今後取り組むべき活動について議論を深めたいと考えています。
10月20日 (土) 9:00〜11:00
A-1: 【企画セッション】東京大学空間情報科学研究センター
空間データ、提供します!CSIS共同研究による空間データ利用
オーガナイザー:相 尚寿
東京大学空間情報科学研究センター(CSIS) は、共同利用・共同研究拠点「空間情報科学研究拠点」として、研究用の様々な空間データの提供とそれを利活用した研究の推進をミッションとする。CSISではそのミッションの中核を担うサービスとして共同研究を募集しており、オンラインで申請からデータ入手まで完了するシステムを運用している。本セッションでは、CSIS共同研究による研究用空間データ利用の仕組みやオンラインでの申請方法を説明するとともに、実際に利用可能なデータを紹介する。また、CSIS共同研究により空間データを利用している研究者から具体的なデータ利活用の方法や研究成果について話題提供する。取り上げるデータセットとしては「人の流れデータ」「道路ネットワークデータ」「マイクロジオデータ」「航空レーザ測量データ」を予定する。
B-1: 防災(情報・システム) 【9:20開始】 司会: 小川芳樹 + 概要を表示
B-1-2 GPSデータを用いた都市暑熱リスクの空間統計分析
PDF 吉田 崇紘, 山形 与志樹, 村上 大輔
地球温暖化の進行に伴い都市暑熱リスクへの対応は喫緊の課題となっている。しかしながら、暑熱環境は場所ごとに大きく異なり、また人々は都市空間を移動するため、個人の熱ストレスを把握することは必ずしも容易ではない。本研究では、個人レベルでの暑熱リスク評価に向けた第一歩として、航空機から観測された地表面温度データと携帯端末から取得された人流GPSデータを用いて、東京区部で流動する人々の暑熱リスクを定量化する。具体的には空間クラスタリング手法を用いて人流のホットスポットと、個人レベルの累積暑熱リスクの統計解析を行う。
B-1-3 空間分析を考慮した大規模災害時における効率的情報管理の提案
PDF 中嶋 幸宏, 吉野 健太, 坂本 尚徳
南海トラフ地震等の大規模災害が懸念されている。災害対応において自治体は多くの意思決定を行うが、正しい意思決定には効率的な情報収集と適切な分析が必要である。しかし、大規模災害の状況下では電力や通信等インフラも大きな被害を受ける。そのため情報システムの運用にも制限が生じると考えられ、自治体の課題となっている。そこで、本研究では一般的な紙による管理様式をOCRで改善し、効率的なGISデータ化と状況に応じた運用を提案する。
B-1-4 GISによる地域情報を取り入れた防災学習と保護者との情報共有
PDF 佐藤 昇, 髙岡 明美, 上村 仁師, 辻川 義弘
学校での防災教育においても、地域の災害履歴等の災害情報や地域の自然環境、社会環境を学習することが大切である。また、防災への働きかけを児童生徒を通じて保護者・地域に図ることは、地域防災力の向上に寄与する可能性がある。ここでは、中学校3年「理科」の「自然の恵みと災害」の単元でGISによる地域情報を考慮した防災学習の実践するとともに、保護者向けに学校での防災学習の概要を含む地域情報を公開した。その結果について報告する。
B-1-5 3次元建物点群モデルの色情報を用いた被害状況の検出ツールの試作
PDF 阪田 知彦, 岩見 達也
本稿では,発災直後の市街地の被害状況を撮影した空撮画像等より,SfM(Structure from Motion)により生成した3次元建物点群データの色情報から,迅速かつ簡便に建物1棟毎の被害状況を検出し可視化できないかという観点からの作成方法の検討とツールの試作を行った.2016年熊本地震時の益城町のブルーシートのかかった家屋の検出を試行した.
C-1: 安心・安全 【9:20開始】 司会: 山下 潤 + 概要を表示
C-1-2 子供・女性を対象とした脅威事案に関する時空間分析:時間帯と地域特性を考慮した近接反復被害仮説の検証
PDF 髙橋 あい, 雨宮 護, 島田 貴仁
子供や女性に対する声かけ、ちかん等のいわゆる「脅威事案」には、同事案が近い場所で連続して発生する「近接反復被害」の傾向があるとされているが、実証的な研究はされていない。これを明らかにすることは、各警察機関が行う脅威事案への対処を考える上で意義がある。特に、単に近接反復被害の傾向を明らかにするだけでなく、どの様な条件下で同傾向が顕著になるのかを検証することで、より効率的な対策につなげることができる。本研究では、脅威事案の時空間分析をもとに近接反復被害仮説を検証するとともに、脅威事案の発生時間帯や、地域特性にも着目することで、どの様な条件下で、近接反復被害の傾向が特に強くなるのかを明らかにする。具体的には、警視庁より提供された脅威事案データをもとに、Knox検定を用いた分析を行い、各事案が時空間的にランダムに発生した場合と比較した際の特定の時間帯での発生リスクの上昇や、近接反復被害に繋がる地域特性を明らかにする。
C-1-3 兵庫県における「ひょうご防犯ネット」情報を利用した時空間分析の試み
PDF 蔡 春蕾, 川向 肇
本論文では、ひょうご防犯ネット(2017、2018)が提供している兵庫県下の犯罪関連事案の情報を2017年4月1日〜2018 年3月31日の期間にわたって独自に取得し、街犯罪関連事案の認知データとその位置を収集し、時空間データベースとして構築し、空間的な分析をいくつかの視点から行った結果について、報告する。より具体的にはカーネル密度推定を利用し、兵庫県下の犯罪事例に関する時間帯別・四半期別・事案種別(声掛け事案、不審者情報と露出事件)に関する傾向の分析結果について報告する。
C-1-4 犯罪の空間分布と警備戦略:警備ゲームのシミュレーション分析
PDF 川西 勇輔, 鈴木 勉
犯罪に対する警備戦略は警備ゲーム問題として研究が進んできているが、犯罪の空間分布との関係や、現実の大規模な問題への適用には多くの課題がある。本研究では、犯罪の地理的分布と重点警備範囲との関係について、シミュレーションによる分析を通じて検討するとともに、警視庁の刑法犯発生件数データを用いて、仮想的な警備資源の空間配分戦略を分析する。
C-1-5 特殊詐欺被害とATMのおかれた物理的・社会的環境との関連性
PDF 大山 智也, 雨宮 護
詐欺のような知能犯罪は,加害者と被害対象が必ずしも直接接触しないことから,地理的な傾向と結び付けた検討がなされず,被害発生と関連する場所,地域の特徴が明らかにされてこなかった.本研究では,近年社会的に問題となっている特殊詐欺のうち,還付金等詐欺をとりあげ,被害発生に関わる要因について分析する.還付金等詐欺では,多くの場合,電話を通じて高齢者が特定のATMに誘導されることで発生する.ATMごとの被害の多寡と,そのおかれた物理的・社会経済的環境に着目することで,被害に至りやすいATMは,どのような場所に設置されたものであるのかを明らかにする.結果から,ATMごとの将来の被害発生予測が可能かについて議論する.
D-1: 不動産(1) 【9:20開始】 司会: 熊谷 樹一郎 + 概要を表示
D-1-2 状態空間モデルを用いた小地域における不動産価格推定
PDF 高 龍野, 仙石 裕明, 宮本 旺周, 加藤 真大
不動産取引において、潜在的な不動産価値を把握することは重要度が高く、その予測に関する研究事例は豊富にある。その多くは過去事例に基づいて価格形成機序を明らかにしたものだが、不動産価格は刻々と変わる性質を持つ。そこで本研究ではリアルタイムな価格を予測することを目的とし、状態空間モデルによって最新価格を推定する手法の構築を試みる。モデルの更新については小地域における不動産価格を対象とし、アットホーム社の不動産ライブラリーデータを用いる。また、予測値を最新データで検証していくことでモデルの当てはまりを確かめる。
D-1-3 Airbnb pricing and neighborhood characteristics in San Francisco
PDF Luo Yanjie, 河端 瑞貴
Airbnb is a prominent peer-to-peer platform that accelerates the rapid expansion of the sharing economy. This article analyzes the spatial relationships between Airbnb pricing and neighborhood characteristics such as crime and race in San Francisco. The relationships are examined with bivariate spatial autocorrelation and hedonic pricing model at the block group and census tract levels. The results are expected to help us develop tourism management policies.
D-1-4 路線価格検証手法の検討
PDF 武田 幸司, 李 勇鶴, 青木 和人, 佐藤 俊明
固定資産税路線価格は毎年の地価変動を反映して変化しており,年度ごとに路線価格の検証が必要となる.路線価格の検証は価格設定の確認作業であり,具体的には,中心地から郊外へ向かう路線価格の流れ,急激な路線価格変動の検証などが必要だが,市町村にとっては困難かつ労力を要する業務となっている.そこで,本研究では検証作業の効率化を目的に,路線接合状況を解析し,路線価格の流れや変動を可視化する手法の検討を行った.
D-1-5 大規模データのための地理的加重回帰と住宅地価分析への応用
PDF 村上 大輔, 堤田 成政, 吉田 崇紘, 中谷 友樹
地理的加重回帰は回帰係数を場所毎に推定する手法として幅広く用いられてきた。しかしながら、同手法の計算負荷は大きく、大規模データに適用することは必ずしも容易ではない。そこで本研究では、まず地理空間データのさらなる大規模化も見据えて地理的加重回帰を高速化する。ここでは、標本数に依存して巨大化する行列を予め処理した後に、モデルを推定するというアプローチをとった。次に、提案手法の計算効率と推定精度を検証する。また同手法を1984年から2016年の東京大都市圏の地価の要因分析に応用する。それにより、バブル期以降各地の地価の説明要因がどのように遷移してきたかを明らかとする。
E-1: 【ハンズオン】
QGISハンズオン
オーガナイザー:大伴 真吾
世界的に普及しているオープンソースデスクトップGIS QGISの基本的な操作を中心としたハンズオンを行います。これからGISを始める方、この機会にQGISを使ってみたい方、あるいは、QGISの可能性を探りたい方にお薦めです。 使用するQGISのバージョンは3.2を予定しておりますが、当日までに新しい製品がリリースされていればそれを使用いたします。 なお、このハンズオン時の説明はWindows版QGISを使用いたします。その他のOSのQGISのサポートができない場合がありますので、あらかじめご了承ください。 参加を希望される方は、テキストを準備する都合で、事前申込を行った上で、当日はQGISをインストールしたパーソナルコンピュータの持参をお願いいたします。会場の席に空きがある場合には、飛び入り参加も歓迎いたします。 定員 30名程度 申込先 shingo-ootomo@aeroasahi.co.jp
10月20日 (土) 11:00〜12:40
B-2: 防災(被害把握・予測) 司会: 雨宮 護 + 概要を表示
B-2-1 スマートフォンを用いた消防活動用地理情報システム
PDF 藤田 信輔
従来、消防団が火災現場へ向かう際には紙の住宅地図を使用し、情報は限られた数の無線機で伝えるしかなかった。このため、現場に近い消火栓を地図から見つけ、ルートを探すのに手間取ることがあったほか、消火栓の使用状況や消防車両の到着状況や場所について共有が出来ていなかった。今回、火災現場に向かう際の誘導や状況把握のサポートを目指して地理情報システムの開発、導入を行った。これにより、不慣れな団員であっても的確な誘導が行えるようになった。消防車両の位置がわかるようになったため、後発の団員との合流がしやすくなったほか、現場指揮者が各隊の位置を把握できるようになった。このほかにも、住所の検索が簡単になり、検索した結果を共有できるメリットがある。フロントサイドにwebブラウザを採用することで、インストール不要でほとんどのスマートフォンやパソコンからシステムを使用できる構成となっている。また、専用のシステムとして開発することで既存のアプリケーションに比べ、使いやすいインターフェースやシンプルなメンテナンスを実現した。消防活動において災害状況や団の展開状況を共有は、素早い災害対応に直結する。今後、地理情報システムは現場での消防活動に欠かせないものになると考えられる。
B-2-2 一般緊急輸送道路の沿道建築物耐震化とアクセシビリティ評価
PDF 岸本 まき, 大佛 俊泰
大地震発生時における二次被害軽減のためには,緊急輸送道路の機能を確保し,災害時活動の安全性,及び,円滑性を担保する必要がある.本稿では,これまでに構築した大地震時の道路閉塞を考慮した緊急車両の空間移動を記述するシミュレーションモデルを用いて,発災後の医療活動における一般緊急輸送道路のアクセシビリティ評価を行う.さらに,沿道建築物の耐震化率とアクセシビリティの関係性を定量的に評価することで,大地震時における緊急車両のアクセシビリティを確保するためには,一般緊急輸送道路の沿道建築物耐震化をどの程度促進すべきなのかを考察する.
B-2-3 樹木の延焼遅延・遮断効果による大地震時の物的・人的被害低減について
PDF 原田 あすか, 大佛 俊泰, 沖 拓弥, 坂本 遥峰
近年、緑化による防災まちづくりが推進されている。筆者らはこれまでに、樹木の延焼遅延・遮断効果を組み込んだ物的・人的被害シミュレーションモデルを構築し、緑化による大地震時の物的・人的被害低減の可能性を検討してきた。本稿では、まず、建物間に存在する樹木の延焼遅延・遮断効果をより精緻に考慮するために、隣棟間延焼モデルを改良する。さらに、木造建物の割合やネット建蔽率等の市街地性状が異なる複数の地区を対象に、物的・人的被害シミュレーションを実行することで、地区の市街地性状と樹木による物的・人的被害低減効果との関係を分析する。
B-2-4 シミュレーションに基づく大地震時の物的・人的被害推計結果と市街地性状の関連分析
PDF 沖 拓弥, 大佛 俊泰, 坂本 遥峰
大地震時における被害低減のための初動活動を支援する上で,広域被害を迅速かつ簡易に推計する技術が求められている.本稿では,まず,筆者らがこれまでに構築したシミュレーションモデルを用いて,木造住宅密集地域をはじめとする東京都内の様々な地域を対象に,大地震時における物的被害と人的被害を推計する.そして,蓄積した被害推計結果を原データとして,地域の市街地性状と物的被害(建物全壊率,道路閉塞率,出火件数,焼損建物割合)および人的被害(死因別死亡者数,建物内・街路内閉じ込め者数)との関連を分析することで,迅速かつ簡易な広域被害推計のための基礎的知見を得る.
B-2-5 地域住民の利活用を想定した大地震時の物的・人的被害シミュレータの開発と実用実験の検証
PDF 坂本 遥峰, 大佛 俊泰, 沖 拓弥
筆者らは、これまで大地震発生時における物的被害・人的被害を考慮した広域避難シミュレーションモデルを構築してきた。本稿では、まず、これまでのシミュレータの汎用性・利便性を向上させ、大地震時における対象地区の危険性や建物の建て替え等による減災効果を、地域住民でも容易に把握可能なシミュレータを開発する。さらに、地域住民にシミュレータを試験的に利用してもらい、利用前後での防災意識の変化等をアンケート調査等により把握することで、本シミュレータの有用性を検証する。
C-2: 移動(歩行) 司会: 秋山 千亜紀 + 概要を表示
C-2-1 歩行軌跡データを用いたグループ検出における機械学習の可能性検証
PDF 竹内 友菜, 大佛 俊泰, 金子 弘幸
複数人の歩行軌跡群の中から,行動を共にする歩行者をグループとして検出する手法には,機械学習を用いたものが多い。しかし,同一グループの歩行者の時空間的関係から求まる特徴量の重要度や関係性は,十分に検討されていない。本稿では,まず,病院においてレーザセンサを用いて得られた計測データから,グループ検出に有効と考えられる特徴量を抽出し,特徴量同士の関係性を分析する。さらに,得られた知見に基づき,SVM及びRandom Forestを用いたグループ検出を試み,機械学習による高精度な歩行者グループ検出の可能性を検証する。
C-2-2 近隣住環境が住民の歩行行動に与える影響の分析
PDF 眞田 佳市郎, 山田 育穂
超高齢社会を迎えた我が国では健康寿命の延伸は重要な課題であり、厚生労働省は健康増進への取り組み方のひとつとして、歩数増加を目標に掲げている。本研究では、都市環境の歩きやすさを表す「ウォーカビリティ(walkability)」に着目し、その物理的状況、住民の近隣住環境に対する主観的評価や歩行行動について、その関係性の解析を行う。具体的には、2018年1月に実施した東京都を対象とする大規模なWebアンケート調査の結果に基づき、地理情報システム(GIS)及び統計的手法を用いて、住民の近隣住環境に対する主観的評価や都市環境の物理的状況(公共交通へのアクセス性など)が歩行行動(日数、時間)に与える影響の分析を行う。
C-2-3 東京オリンピック・パラリンピック競技施設周辺地域における歩行空間の快適性評価
PDF 鈴木 庸介, 西尾 尚子, 伊藤 史子
本研究の目的は街路の快適性を評価し、優先的に街路の環境整備を進めるべき地域を明らかにすることである。歩行実験を実施し、得られた心拍データから各街路の快適性を評価した。また、快適性を被説明変数、空間構成要素を説明変数とした重回帰分析を行い、歩道幅員や傾斜が影響を与えることを示した。さらに、重回帰分析の結果から、対象地域の全街路の快適性を推計し、地図上に可視化することにより、街路の環境整備を進めるべき地域について検討を進めた。
C-2-4 休憩施設の密度と最大継続歩行距離 ー東京駅および大手町駅周辺地区を対象にー
PDF 薄井 宏行, 樋野 公宏
高齢者が難なく継続歩行できるような都市空間を実現するために,ベンチ等の休憩施設の整備は重要である.ところが,継続歩行距離と休憩施設の数や配置の基準については,既往研究においても十分に検討されていない.本稿では,任意の休憩施設と隣接関係にある休憩施設までの距離の最大値の分布に着目し,1)休憩施設の密度に応じた最大継続歩行距離分布の評価, 2)最大継続歩行距離分布を改善するために必要な休憩施設の総数を明らかにする.
C-2-5 東京オリンピック・パラリンピック会場周辺の街路景観の印象とその空間的分布の可視化
PDF 西尾 尚子, 鈴木 庸介, 伊藤 史子
本研究の目的は、人が良いと感じる街路景観を見いだし、その要因を探ることである。実験参加者は、自由に街歩きをしながら、気になる街路景観の写真を撮影し、その街路景観の印象評価を行った。「歩きたい」「楽しい」といった印象を持つ街路景観は、良いと評価される傾向があることが分かった。また、印象評価の空間的分布を地図上に可視化・推計し、街路の空間構成要素との関係を探る。
D-2: 不動産(2) 司会: 村上 大輔 + 概要を表示
D-2-1 九州北部地域を対象とした自然災害による地価への影響の空間的定量分析
PDF 林 彦坊, 川向 肇
平成29年7月の九州北部豪雨災害により、土砂災害、水災害などを中心に大きな災害被害が出ており、1年を経過した2018年7月現在でも避難1100人者住民が仮設住宅を中心とした避難生活を過ごしているなど、深刻な被害が出ている。これまで、水災害などの自然災害が地価にどのような影響を与えるのかについての研究としては、都市部を中心として行われており、地方部での自然災害による地価への時空間的影響を研究した事例は限られている。そこで、本稿では、国土交通省の不動産の土地総合情報システムで提供されている不動産取引価格情報データを利用し、北部九州地方(福岡・大分両県)の取引地価に対する自然災害の影響にかんして、ヘドニック・アプローチによる分析手法を用いることで、空間的な定量分析を試みた結果を紹介する。
D-2-2 空間スケールの観点での植生分布と地価との関連性について
PDF 北野 貴大, 植松 恒, 熊谷 樹一郎
「緑のネットワーク」に代表される植生の空間的な分布特性は景観の形成,生態系の保全,都市気候の緩和などに影響を及ぼす.一方,著者らは植生分布の空間特性がもたらす土地の価値への効果をGWRに基づくヘドニック法の適用を通じて検証してきた.その結果,植生分布の空間的な連なりには地価を上昇させる効果のあることが明らかになっている.本論では,変数ごとの可変バンド幅を導入したGWRでの分析結果を基に,植生分布の連なりを含めたオープンスペースの空間特性と公示価格との関連性について考察する.
D-2-3 人流ビッグデータを用いた街の賑わいと家賃形成との関係に関する研究
PDF 秦 桜蘭, 秋山 祐樹, 小川 芳樹, 柴崎 亮介, 金田 穂高
家賃は建物、部屋の機能や周辺の立地環境など様々な要因により評価される.しかしこれまでに「街の賑わい」が家賃に与える影響を分析した事例は数少ない.また街の賑わいを定量的に評価する方法も殆ど存在しなかった.そこで本研究では携帯電話の移動履歴に基づく人流ビッグデータを用いて,街の賑わいを定量的に推定する方法を提案する.また家賃を街の賑わいの度合いで定量的に評価できるか否かを明らかにすることを目的とする.
D-2-4 局所的な住宅賃料形成の違いの抽出 -東京都心区を対象とした分析-
PDF 石山 里穂子, 井上 亮, 杉浦 綾子
不動産価格の形成要因やその評価は地域により異なるとされ,不動産市場は地理的に分割されていると考えられている.その地域の大きさは様々で,区や鉄道沿線などの比較的大きい区分から,駅勢圏や町丁目などの比較的小さい区分が考えられる.本研究では,街区といった町丁目よりもさらに細かい区分を考え,より詳細な地理的区分の把握を目的とする.
D-2-5 中古不動産市場における空間的波及効果
PDF 上杉 昌也, 上村 要司, 矢野 桂司
本研究では、近畿圏における中古不動産取引データを用いて、不動産市場の主要な指標である物件価格や市場滞留期間の空間的従属性(波及効果)を検証する。物件価格だけでなく、市場滞留期間にも小さいながら統計的に有意な空間的自己相関がみられるが、住宅形態(戸建住宅およびマンション)やジオデモグラフィクスで代表される近隣環境等のサブマーケットによる違いについても明らかにする。
10月20日 (土) 14:00〜15:40
A-3: 【企画セッション】
「全国小地域別将来人口推計システム」とその応用
オーガナイザー:岡部 篤行・井上 孝
本企画の共同代表の一人である井上は,2015年に標記システムの試用版,2016年に同正規版を公開した。このシステムは,全国21.7万あまりの小地域(町丁・字)を単位とする,長期(2015〜2060年)にわたる日本全国の将来推計人口(男女5歳階級別)を,初めてウェブ上に公開したものである.このシステムの利用者は,推計人口をもとに算出された,人口密度等のさまざまな人口統計に関するコロプレスマップを閲覧でき,また,それらの人口をcsvファイルとしてダウンロードできる。周知のとおり,これまで将来人口推計で主に扱われてきたのは全国または自治体単位のデータであるが,このシステム上に公開されたデータは,それらを量的に圧倒しているので,これまで論じることのできなかった様々な視点から日本の将来人口の動向を知ることができる。そこで本企画では,標記システムの概要を紹介したあと,それを応用した3〜4本程度の研究成果を報告し,最後にフロアを交えた全体討議を行いたいと考える。
B-3: 防災(降雨・水害) 司会: 沖 拓弥 + 概要を表示
B-3-1 近年の降水特性による地域分類と水害との対応関係の分析
PDF 呉 暁東, 鈴木 勉
近年、温暖化による気候変動が原因と考えられる集中豪雨が多発しており、これに伴い水害の発生件数も年々増加傾向にある。水害の危険地域と降水特徴の関係を明らかにすることが重要である。本研究では、第一に、1991〜2016年の降水量データを用いて、千箇所を超える全国の観測所における降水特性を分類する。第二に、地域分類毎の降水量の推移を分析し、降水の変化による水害リスクへの影響を明らかにする。第三に、2006〜2015年の降水特性と洪水被害状況の関係を分析する。これらの結果については、GISを用いて可視化を行う。
B-3-2 X-band MP雨量情報を使用した降雨解析(2017年7月5日九州北部)
PDF 西尾 雅弘, 森 正寿
X-band MP雨量情報を使用して、2017年7月5日九州北部の大雨について地理情報システム(GIS)を使用し、降雨解析を行い、災害の発生地点、被害の拡大範囲などの情報を可視化する。
B-3-3 荒川流域における大規模水害を対象とした経済的影響の推定
PDF 楊 少鋒, 小川 芳樹, 秋山 祐樹, 柴崎 亮介, 池内 幸司
大規模自然災害による一部の地域の経済的被害が経済全体に波及することが示されており,企業の事業活動が継続できる安定的な取引ネットワークの構築が必要である.そこで本研究では,荒川流域における大規模水害に焦点を当て,豪雨災害に伴う河川の氾濫がサプライチェーンにどのような影響を与えるかについて推定する.大規模企業間取引ネットワークデータ及び荒川の氾濫解析データを用いることで,被害の影響を受ける企業の産業構造を明らかにする.
C-3: 移動(利便性・快適性) 司会: 薄井 宏行 + 概要を表示
C-3-1 パーソナルデータを利用した個々人の移動快適性指標の検討
PDF 種村 京介, 松原 剛, 金杉 洋, 日野 智至, 柴崎 亮介
近年,QoL(Quality of Life)の向上を目指す取り組みが多くの分野で行われている。特に都市圏における通勤時間帯の慢性的な電車混雑・遅延は社会問題となっており、QoLを著しく下げる一因となっている。通勤におけるQoLの指標としては地域の統計から一律に算出される通勤所要時間が使われているが、必ずしも個人の快適性の実態に沿わないことが懸念される.本研究では,継続的に記録された個人のパーソナルデータを活用し,特に移動に着目して個人単位での移動快適性の指標化を検討する.
C-3-2 日常生活において複数の目的を持つ移動の利便性評価
PDF 嚴 先鏞
少子高齢化、財政の悪化、環境負荷等に対応し、住民生活の利便性を担保するため集約型都市構造が求められている。その背景で、通院、買い物等の個別目的に対する移動のみならず、複数目的の移動における住民の利便性の評価が重要になっている。本研究では、住民が複数の施設を利用する際の利便性指標を提案し、個別の施設の利用に比べた地域別の利便性を評価する。また、複数の施設が利用可能な地域拠点と公共交通網の重要度についても分析を行う。
C-3-3 仙台市における保育所のアクセシビリティ分析
PDF 中山 愛子
仙台市では、認可保育所の待機児童が多数発生している。待機児童を減らすためには、適切な場所に新たに認可保育所を設置して、定員を増やすことが必要である。そのために、地域内でアクセシビリティを測定し、利用することができる。本研究の目的は、仙台市内の既存の認可保育所へのアクセシビリティを具体的に明らかにして地図化することである。メッシュごとに、保育所の利用を希望する利用者数を算出し、最寄りの、あるいは、利用可能な距離以内にある認可保育所を利用できるかどうかを、保育所の定員をもとにして、明らかにした。
C-3-4 日常生活行動からみる活動量の実態と経路選択の多様性の確認
PDF 吉田 魁人, 中島 円, 森田 喬
本研究は,人の健康の維持・増進には日常生活での活動量や生活パターンなどを詳細に把握する必要があるという目的意識のもと,「移動手段として公共交通を主に利用している東京都市圏居住の人々は,良く歩くため健康である」という仮説を以て,男女10名の被験者に平均48日間,実測調査を行った.その結果,被験者は平均して1日当たり10000歩以上歩いている事や,約4割は電車や屋内空間ではない,都市空間を移動している事が分かった.さらに,実際に歩行した空間を観察すると,最短経路での移動はあまり見られず,経路を選択する際には,内的・外的な様々な要因によって決定するといった経路選択の多様さを確認できた.
D-3: 教育 司会: 桐村 喬 + 概要を表示
D-3-1 時空間情報と複合現実を用いた地域学習支援システム
PDF 牧野 隆平, 山本 佳世子
本研究は、現実空間と仮想空間の両方で時空間情報を可視化し、Web-GIS、複合現実(MR)、ギャラリー、拡張現実(AR)を統合したシステムの開発を目指している。これらのシステムと技術を利用して、教育に役立つ機能として、江戸・東京再現機能、歴史学習機能、教育AR機能、統計地理機能、地理・歴史におけるテスト機能を実装した。特に、AR機能では、ロケーションベース型と画像認識型の2つのAR技術を導入した。このことにより、過去の災害や歴史的出来事、浮世絵などの時空間情報を、仮想空間上だけでなく現実空間上にも表示させることにより、利用者に体験学習させることが可能である。このように、本システムには教育だけでなく観光的要素も含まれており、幅広い利用者が本システムを用いて、楽しみながら学習することが期待できる。本システムを運用し、運用後には利用者へのアンケート調査とユーザのログデータのアクセス解析に基づいて評価する。
D-3-2 一般を対象とした「QGIS活用講座」の実践と考察
PDF 今井 優, 勝部 圭一, 北島 理司, 嘉山 陽一, 大伴 真吾
データを活用し課題を解決するためのツールとして,オープンソースソフトウェアの QGIS が注目されている。そこで筆者らは,一般を対象に QGIS を活用するためのハンズオン形式の講座を企画し,GIS 初心者向けの初級講座と経験者向けのテーマ別講座を実施した。本稿では,各講座について学習目標と内容を紹介し,受講者からのアンケート結果を基に講座の有効性と課題について考察する。
D-3-3 地理総合を想定した教員向けのGIS実習用教材と授業モデルの開発
PDF 山内 啓之, 小口 高, 早川 裕弌, 小倉 拓郎, 羽田 康孝, 宋 佳麗
2022年に高等学校の教育課程において必修化される地理総合では、GISが生徒の地理的な見方や考え方を育成するための重要なツールとして位置づけられている。一方で、地理歴史科を担当する教員の全体数でみれば、GISを活用できる教員は現時点で少数である。すなわち、現役の教員や、これからの教員養成課程の履修者は、GISの教授法を身につけることが必要となる。そこで、演者らが大学のGIS教育の充実を目的として整備した、GIS実習オープン教材を援用して、地理歴史科教員向けのGIS実習用教材と地理総合を想定した授業モデルの開発を試みた。本発表では、開発した教材と授業モデルの構成や授業の実践例について報告する。
D-3-4 高等学校「地理総合」で用いるWebGISコンテンツの作成〜生徒のスマートフォンでも利用できる例〜
PDF 木村 圭司, 時枝 稜
2022年から必修化される高等学校の「地理総合」において、GISを高校生に教える方法が、ソフト・ハードとも懸念されている。本研究では、WebGISを用いるコンテンツを数例作成し、LANのつながったパソコンでも、生徒のスマートフォンでも操作できるようにした。コンテンツとしては、ESDを念頭におきつつ、地歴科の教員でも教えやすいように、身近な地域の歴史や、自然災害などを対象としている。本研究では、高校生及び大学生に試行して意見を取り入れ、操作性と教育効果の向上をはかっている。
D-3-5 加古川市を例とした保育所等へのアクセシビリティに関する空間的研究
PDF 張 伝治, 川向 肇
近年、日本では少子化と老齢化、人口減少が同時並行的に相互に影響しながら進行しており、さらに、男女雇用機会均等法以来、女性が社会に進出するなかで、待機児童は深刻な社会問題となっている。本論文での研究対象とした加古川市では「子ども・子育て支援事業計画」を提案しているが、本論文ではその計画の妥当性を市内保育施設の量の見込みをより詳細に推計し、それに対応する諸政策の実現を検証した結果を報告する。より具体的には、加古川市やその他の政府機関から提供されている様々なオープンデータを地理情報システム上で利用し、しつつ、を事例として、市内保育所施設の供給量と需要量を算出し、その空間的特性の分析結果を紹介する。
E-3: 【ハンズオン】
mapillary&OpenStreetMapによるマイクロマッピング
オーガナイザー:西村 雄一郎
オープンな地理情報に対する社会的な必要性が高まる中、それらを市民が自ら作成するVGI(ボランタリーな地理情報)への注目が高まっている。この企画では、前回のGIS学会のハンズオンセッション行った「OpenStreetMapマッピングパーティin 宮城大学」の続編として、オープンなストリートビュー作成プロジェクトであるmapillaryとVGIの世界的・中核的プロジェクトのひとつであるOpenStreetMapを連携させ、双方のデータ作成・編集を行うハンズオンを実施する。特に、「マイクロマッピング」という一般の地図では描かれることの少ないミクロスケールの地物の地理情報の作成を目指したマッピングパーティを実施し、障がい者の移動にとって必要な情報の収集を行う。
10月20日 (土) 16:00〜18:00
A-4: 【企画セッション】教育委員会
2018年度 初等中等教育におけるGISを活用した授業に係る優良事例表彰
オーガナイザー:貞広 幸雄
2018年度 初等中等教育におけるGISを活用した授業について,優良な事例を選定し,その表彰式を行う.
B-4: 自治体 司会: 青木 和人 + 概要を表示
B-4-1 ミクロな将来人口推計を用いた下水処理施設の持続可能性に関する研究
PDF 秋山 千亜紀, 秋山 祐樹
人口減少社会を迎えた現在,将来的に持続的な下水道事業の実現にむけて,地方自治体をはじめ,国土交通省など関連省庁を中心に検討がなされている.しかしこれらの検討を進める上で必要な将来人口推計は,市町村単位あるいは1kmメッシュ単位のものしか公開されていないため,地域的な人口分布の空間的な偏りを十分に考慮することができない.そこで,本研究では小地域単位に高精細化された将来人口推計を用いて,流域下水処理事業の将来性を検討することを目的とする.
B-4-2 ディープラーニング物体検出アルゴリズムを応用した検出地物の地理空間データ化と差分管理に係る取り組み
PDF 小林 裕治, 大島 聡
人工知能を用いた技術的試みは様々な分野で活況を呈しており, ことリアルタイム物体検出に至っては多くのアルゴリズムやネットワークモデルが存在することから, 課題は実業務への適用に移りつつある. そこで本研究では地方自治体の固定資産税業務のうち償却資産管理業務での人工知能適用について検討する. 実装例としてリアルタイム物体検出アルゴリズム「YOLO」とオープンソースのディープラーニング・フレームワーク「Darknet」を応用し, 大量の航空写真から特定地物の検出・地理空間データ化を即時に行い, 経年差分情報を付与してNoSQLデータベースで管理する仕組みを取り上げる.
B-4-3 地理空間情報の利活用を促進するアプリケーション型九州地理空間情報ポータル
PDF 林田 拓都, 三谷 泰浩, 池見 洋明, 谷口 寿俊, 岡島 裕樹
本研究では九州地理空間情報ポータルの利用状況の改善を目的とし,情報の収集・流通を中心としたポータルを利活用中心の仕組みに改良した。ポータルをG空間情報基盤の入り口と位置づけ必要な機能を整理し,ポータルを通してGISサーバーや活用手段であるシステムやアプリが連携するようポータルサイトやデータ登録から利活用までの仕組みの改良を行った。これによってユーザーの業務に即した形でのポータル利用が可能となり,業務での活用拡大が実現した。
B-4-4 MyCityReportを用いた市民協働と次世代に向けたスマートな道路管理
PDF 瀬戸 寿一, 関本 義秀, 小俣 博司, 前田 紘弥, 樫山 武浩, 東 修作, 関 治之
オープンガバメントや市民協働の重要性が高まる中、日本でも市民通報システムの導入が拡がりつつあり、FixMyStreetやちばレポ等がその代表例として挙げられる。本研究では、市民の声を積極的に拾うと同時に市民自身が課題を解決することを促すためのツールとしてMyCityReportプラットフォームをオープンソースで開発し、国内の複数自治体を対象に実証実験を行なっている。加えて、ニーズが特に高い、道路損傷に対する管理についてもツール開発を進めており、本発表では、両者のデータ駆動に基づく、道路を対象とする市民協働や管理効率化について、現状の到達点と課題について検討する。
B-4-5 地方公共団体におけるワークショップのデータ利活用促進効果に関する考察
PDF 新井 千乃, 家中 賢作, 三輪 修平, 田山 俊介
官民データ活用推進基本法の施行により、データの利活用スキルが地方公共団体職員にも求められるようになってきた。つくば市では、職員にデータ利活用の重要性の理解を目的としたワークショップを企画・実施し、GISを使ってデータを視覚化することで地域課題の解決の可能性を体験してもらった。ワークショップ後のアンケート等を基に、データ利活用を促進する効果について考察した。
B-4-6 兵庫県内の地方自治体における空間的データのオープンデータ化を巡る諸問題
PDF 川向 肇, 多田 功, 水野 あすか
近年、地方自治体におけるオープンガバメント及びニューパブリックマネジメントの実現、あるいは、新しい公共の形成の基盤形成を目指して、オープンデータの整備と、行政機関が保有する各種のデータが公開され始めている。とはいうものの、その公開を巡っては様々な障壁に直面することが多く、市民が利用したいデータと、公開されるデータ、あるいは公開可能なデータの間には未だにいくつかのギャップが存在する。
C-4: 地域分析 司会: 関口 達也 + 概要を表示
C-4-1 兵庫県三田市によける耕作放棄地に関する空間的定量分析
PDF 王 渓, 李 露露, 川向 肇
1952年の「農地法」の制定以降、「自耕農民」を中心とした農地制度へと移行したが、一面、この制度改革は、現在に至る分散錯圃を生む背景ともなってきた。その後、「農地の流動化を促進」政策がとられ、分散錯圃の解消を目指した各種の政策整備を行いつつ、現在では国際競争力ある農業とするために、農業経営の規模の拡大が目指されている。とはいえ、これらの圃場連坦化政策による規模の拡大の恩恵を受けるのは、洪積地上の平坦部を中心とした地域であり、日本における圃場のかなりの領域を占める中山間地、山間地では、地域の農業人口の高齢化も相まって、圃場放棄の問題が深刻化する現状となっている。そこで、本研究では、三田市の2018年3月の耕作放棄地の現状データを利用し、耕作放棄地に関する、標高、傾斜度、中新世都市域等への各種データを組み合わせ、名義ロジスティック回帰を用いた耕作放棄地化の要因分析の結果を紹介する。
C-4-2 ふるさと納税の探索的空間データ分析
PDF 江端 杏奈, 吉田 崇紘, 爲季 和樹, 瀬谷 創, 堤 盛人
近年、ふるさと納税は地方財源の大切な収入源となっており、寄付総額は増加している。一方で、そのあり方については議論も多い。ふるさと納税の空間的特徴を計量的な観点から議論されたものは筆者の知る限りない。本研究では、総務省の市区町村別ふるさと納税受け入れ額を使用し、その空間分布を可視化し、ホットスポット分析を行うことにより、空間的特徴を示した。結果として、返礼品目当てや復興支援による空間集中や、近隣地域への空間的波及があることがわかった。
C-4-3 ツイートデータを用いた地域イメージの時空間変化に関する研究
PDF 渡辺 公次郎, 辻岡 卓
本研究は、徳島市中心部を対象に、2016年7月〜2018年3月までのジオタグ付きツイートデータを収集し、書かれてある内容から、地域イメージを抽出した。次に、それらの地域イメージが出現する時間、場所をGISにより整理することで、地域イメージの時空間変化の特徴を分析し、その結果からまちづくりの方向性を示した。
C-4-4 東京都区部における母子世帯居住特性の探索的空間データ分析
PDF 柴辻 優樹, 河端 瑞貴
本研究は、東京都区部における母子世帯の居住特性を、探索的空間データ解析手法を用いて解明することを目的とする。公営住宅立地との関連性に着目し町丁単位で分析した結果、新宿区戸山に公営住宅を中心とする高い母子世帯率集積がみられる一方、江東区東雲では近隣傾向よりも顕著に高い母子世帯率となる集積(空間的外れ値)が観測された。また、総世帯数に占める公営住宅戸数の割合が高い地域ほど母子世帯率が高い傾向があることを明らかにした。
C-4-5 公共交通機関の利便性を用いたフードデザート問題の分析
PDF 小田原 駿, 島川 陽一
本研究では食料品の買い出しの利便性の評価することを提案する. 従来の手法では単純に距離を指標に用いられているが,実際はバスや鉄道などの利用で地点により利便性が異なる.そこで本研究では歩行者ネットワークを利用し,バスの利用を考慮した時間距離をもとに食料品店までの近接性を評価する.これにより実空間に近づけ,地域における推定結果の精度を向上させる.従来研究での手法と提案手法による推定を行い比較し提案手法により精度が向上したことを示す.
C-4-6 電話帳データを用いた全国の地域クラスタリング
PDF 宮本 旺周, 仙石 裕明, 清水 千弘
日本には様々な地域があり、例えば秋葉原・渋谷などの地名からはそれらの漠然としたイメージが思い浮かぶ。本研究ではそのイメージを定量的に捉えるため、法人版電話帳データを用いて全国地域のクラスタリングを試みた。手法としては、メッシュ集計された業種毎の事業所数を変数として因子分析を実施したのち、その因子得点から非階層クラスタリングを実施した。結果として因子分析では、消費・生産などに特化した因子が特徴づけられた。クラスタリングでは、鉄道駅の中心と周辺で地域が検出できたほか、繁華街や町工場地帯のような業種傾向を持つ地域のまとまりも確認できた。
D-4: 観光・景観 司会: 山田 育穂 + 概要を表示
D-4-1 俯瞰景観における景観要素の連続性に関する研究
PDF 田中 伸明, 田中 一成
美しい都市景観の形成には,建物の高さや道路などがまとまりや連続性として魅力を創り出している.本研究では,都市の俯瞰景観に着目し,その要素と形状,視界と領域を分析することで, 景観要素の形状や色彩などの連続した街並みや街路,都市施設など連続性がある要素の位置や形状と,都市景観の美しさとの関係を把握した.
D-4-2 海外OTAレビューデータを用いた訪日外客数の小地域推定とその利用
PDF 鈴木 英之
観光業を念頭においた地域分析の基礎において、国籍や富裕度といった社会経済的なセグメント別顧客数の把握は不可欠といえる。しかし現状で、こうした目的に適う観光統計は、必ずしも十分に整備されているとは言い難い。本報では、海外オンライン旅行代理店(OTA)各社の宿泊レビューデータを用いて、幾つかの属性セグメント別に外客宿泊者数の小地域推定を行い、既存統計との整合を確認した。また位置情報付きソーシャルデータ等の空間分布と比較した。
D-4-3 地方における観光周遊計画支援システム
PDF 内藤 奏, 山本 佳世子
観光を目的とした旅行では複数個所の観光スポットを巡ることが多いため、観光スポット間の移動経路は複雑になり、効率的な移動が困難になる。現在、複数個所の観光スポットを周る効率的な移動経路を探索するシステムは存在するが、実際の時刻表に基づいて移動経路を探索するシステムはない。特に地方においては、都市地域ほど公共交通機関が発達していないため、公共交通機関の時刻に合わせて観光計画を立てる必要がある。そのため本研究では、地方を対象とし、実際の公共交通機関の時刻表を用いて観光周遊計画システムを設計することを目的とする。本システムは、利用者が訪問を希望する複数個所の観光スポット、滞在時間、出発・到着時刻を入力することで、利用者の予定、嗜好に合わせた効率的な観光計画を提案する。このように観光周遊計画を立てる問題は、組み合わせ最適化問題であるため、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:GA)により移動経路を探索する。
D-4-4 ソーシャルジオデータを用いたサイクリストの広域的な周遊行動の分析ー北海道を事例にー
PDF 西村 圭太, 杉本 興運, 菊地 俊夫
本研究では、ソーシャルジオデータを利用したサイクリストの広域的な周遊行動の分析を試みる。旅行者が自由に過去の旅程や移動軌跡に関するデータを投稿することのできるWebプラットフォームより、宿泊を伴うサイクリストの広範囲な移動軌跡データを取得し、行動指標による分析や地理情報システムによる空間分析によって周遊行動を定量化する。また、地域資源や土地利用などのデータとを組み合わせた分析により、サイクリストの周遊行動に影響する地域の特性を明らかにする。
D-4-5 現代都市における空間構成要素を利用した観光地の魅力づくりに関する研究
PDF 西畑 光, 田中 一成
本研究は、近代化が進む都市の中で観光地の魅力を創出する方法について分析を行っている。既往研究では、京都の祇園新橋を対象に、歩行者の心理分析を行った。その結果、一般市街地から観光地への景色が移り変わりに、歩行者を誘引する効果をもつ可能性が明らかとなった。そこで、歩行者が魅力的に感じている街路の画像解析をおこなった結果、魅力的に感じている街路は主張色と強調色を有していることが分かった。本稿では、それらの結果を踏まえ、車や観光客などの近代的な空間構成要素と色彩を用いた観光地の魅力の分析を行った。その結果、基本的には車などの近代的な空間構成要素は観光地の魅力を低下させるが、色や距離によっては観光地の魅力を向上させる効果を持つことが明らかとなった。
10月21日 (日) 9:00〜11:00
A-5: 【企画セッション】
オープンxシチズンサイエンスによる市民協働と次のステップに向けて
オーガナイザー:瀬戸 寿一
科学研究活動や科学政策に関する市民の役割の重要性について、古くは1980年代頃から「市民科学(Citizen Science)」という語が重要視され始め、近年のオープンデータ政策やそれを担うICTを駆使したコミュニティ(シビックテック)の関わり、さらにはGIS分野でもOpenStreetMap等の台頭に伴い、市民が直接データ共有に関与する「ボランタリー地理情報(VGI)」概念の登場なども背景に、オープンサイエンスや市民との共創型研究に展開しつつあります。 2014年の企画セッション「オープンなGISはどこまで可能か?」以来起こってきた様々な活動のうち、オープンサイエンスに位置づけれる実践型研究の進展を背景に、オープン・シチズンサイエンス領域で実践的に活動されている方をお招きして、現状の到達点や今後に向けた課題について伺います。オープン・シチズンサイエンス領域の中で地理空間情報が有用であるのか?さらには、参加者に対する科学教育への配慮ややりがい搾取問題など、実践的活動を進展させ科学に結びつける上での課題について議論します。 <予定登壇者> ・瀬戸寿一(東京大学空間情報科学研究センター/FOSS4G分科会)「趣旨説明」 ・林和弘(文部科学省科学技術・学術政策研究所 科学技術予測センター)「オープン・シチズンサイエンスの動向ーJapan Open Science Summit 2018等からみた概観(仮)」 ・近藤康久(総合地球環境学研究所)「チームサイエンスにおける知識融合ツールとしてのGISの役割」 ・大澤剛士(首都大学東京都市環境学部)「搾取的でないコミュニティーベースドな地図作成を考える-大学教育における挑戦-」 ・西村雄一郎(奈良女子大学研究院人文科学系)「大学教育における地理オープンデータ作成活動への参加とその現実」 ・金杉洋(東京大学地球観測データ統融合連携研究機構):「登山者行動の計測と課題」
B-5: 防災・減災(避難) 【9:40開始】 司会: 玉川 英則 + 概要を表示
B-5-3 積雪寒冷都市における津波避難困難地域に関する空間分析―北海道釧路市を事例に―
PDF 内藤 健裕, 橋本 雄一
本研究は,千島海溝沖を震源とする大地震が発生した場合を想定し,北海道釧路市を事例に,津波浸水想定域の避難困難地域を画定し,その人口を推定することを目的とする。研究では,2015年度国勢調査小地域データを元にしたの夜間人口および昼間人口と,北海道の危機対策課が作成した津波遡上データを用いる。また,冬季に歩行速度が低下することを考慮し,季節ごとに避難困難人口を推定し,積雪寒冷都市における津波避難計画の効果について考察する。
B-5-4 ICT及びWebVR技術を援用した疑似津波避難訓練システムの利活用
PDF 塩崎 大輔, 橋本 雄一
本研究はICT及びWebVR技術を援用した疑似津波避難訓練システムの開発を目的とする。研究方法は、まずVR疑似津波避難訓練システムを開発し、システムを用いて疑似津波避難訓練を行う。そして訓練結果及びアンケート調査からVR津波避難システムの課題と利活用方法を検討する。疑似訓練システムはクラウド上に設置されたWebアプリを中心とし、スマートフォンやスタンドアローンVRゴーグルでの利用を想定する。VR空間を構成するデータセットはGoogleStreetViewを利用する。
B-5-5 GNSSを用いた疑似的津波集団避難行動分析―北海道釧路市・厚岸町を事例として―
PDF 奥野 祐介, 塩﨑 大輔, 橋本 雄一
本研究は,集団による津波避難の行動ログデータ収集システムを開発してデータ収集を行い,そのデータを分析することで,集団避難時の課題を抽出することを目的とする.そのために,北海道釧路市及び厚岸町において,スマートフォンをベースとして開発したGNSSによる軌跡データ収集システムを用いて集団避難行動データを収集し,GISを用いて避難開始から避難場所に到着するまでの集団員全員の軌跡データを分析した.その結果,収集した軌跡データから,集団避難時における課題を明らかにすることができた.
B-5-6 粘菌アルゴリズムによる避難経路の導出と評価
PDF 吉次 なぎ, 阿部 真也, 山本 佳世子
避難経路の選択においては、安全な避難の達成が最大の目標となる。一般的な経路探索は単一の最短経路を求めるが、避難経路の選択においては不十分である。経路選択において総延長よりも安全性が優先され、経路が通行不可能になった場合に備えて迂回路も検討する必要があるからだ。本研究では、粘菌アルゴリズムを用いることで、より定量的に安全性を評価すること、複数の避難経路候補を同時に得ることを可能にした。
C-5: 空間解析 司会: 稲坂 晃義 + 概要を表示
C-5-1 Median Share Ratioを用いた介護福祉施設配置の評価方法
PDF 束原 功哉, 山本 佳世子
我が国では高齢化が急速に進行し、介護福祉施設の不足が深刻な社会問題となっている.施設不足の解決策の1つとして、今後新しく施設を建設する際に、介護福祉施設が特に不足している地域から優先的に建設することが考えられる.この解決策を実施するためには、どの地域において介護福祉施設が不足しているのか把握する必要がある.そこで、本研究では施設が公平に配置されているかという観点から、地理情報システム(GIS)を用いて、介護福祉施設の配置を評価する方法を提案することを目的とする.施設配置の公平性を示すMedian Share Ratio(MSR)を評価指標として用いる。MSRを実際の都市に適用するために、距離の適切な形への変更、複数の施設の立地の考慮、人口による距離の偏りを反映できるようにMSRを拡張する。また、現状の配置に施設を1つ追加した場合のシミュレーションを行い、MSRの値が最も改善される地点を施設建設の候補地点として抽出する。
C-5-2 空間統計データによる総合指標作成のための地理的加重非負値主成分分析の検討
PDF 堤田 成政, 村上 大輔, 吉田 崇紘, 中谷 友樹
主成分分析は入力データの分散が最大化するような新たな変量求めることで次元削減を行う。分散が最も大きい第一主成分は、入力データを要約した総合指標とみなすことができる。しかしながら、通常の主成分分析では主成分負荷量が負値を取ることがあり、作成された総合指標への入力変数の貢献度合いを解釈することが困難となる場合がある。そのような場合、主成分負荷量が正値になるよう制約する非負値主成分分析をもちいることで克服できると考えられる。また、通常の主成分分析はデータの空間構造を考慮できていない。そのため地理的加重主成分分析が考案され、局所的に重み付けされたローカルな主成分分析を地点ごとに算出することでデータの空間構造を主成分分析に組み込む。本研究では上記2点の課題を考慮すべく、地理的加重非負値主成分分析を開発し、空間統計データより総合指標を作成した。主成分負荷量から、各入力変数の貢献度合いの空間的なばらつきを明らかにする。
C-5-3 視線データと位置情報を用いた空間分析
PDF 高橋 朋一, 佐藤 浩志, 小坂 洋明
人がどこを見ているかということは認知情報として貴重なデータである。そのデータからどのような物を見ているかについての研究は多く行われているが、視線のデータと位置情報についての研究はあまり多く見られない。そこで本報告では屋外において視線計測の実験を行い、GPSの位置情報と視線計測の実験の結果をマッチングさせたデータを作成し、そのデータについてGIS上でヒートマップを作図した結果について報告する。
C-5-4 街区単位における路地存在エリア抽出法の構築
PDF 谷口 亮, 石川 剛, 坂本 圭, 岡 檀
路地(密集市街地に存在する、一般車両の通行が困難な狭隘道路)の存在がまちづくりの中で見直されている。路地は一般的な地理情報データには含まれていない可能性が高く、空中写真での判読も困難である。そこでGISを用いて、半自動的に路地の存在が推定されるエリアを街区単位で抽出するロジックを考案した。加えて、現地調査による抽出精度の検証を実施し、抽出パラメータの調整を行った。
C-5-5 コーホート変化率の空間分布における移動窓法のバンド幅の評価
PDF 小西 純, 田村 朋子
国勢調査の地域メッシュ統計データを使用し、2分の1地域メッシュ区画別にコーホート変化率を計算すると、人口増加及び減少傾向のメッシュが混在するため広域的な増減傾向が把握し難い。しかし、移動窓法による集計結果で変化率を計算することにより分布が平滑化されるため、分布傾向が把握しやすくなる。本報告では、移動窓法による変化率の空間的な分布傾向の把握におけるバンド幅のサイズについて、大域的空間的自己相関の指標であるMoranのI統計量による評価を試みる。
C-5-6 2都市間で類似する地域の特徴抽出法と他都市への適用に関する研究
PDF 土井 亜香里, 瀧澤 重志
知らない都市を知っている都市のアナロジーで理解することは、知らない都市の地域の雰囲気や位置付けを知る助けになる.本研究では都市の各地域の特徴を,人口や業種などの地理的データを用いた線形関数で表す.そしてZDDによって地域の形を星状領域として列挙し,線形計画法により特徴関数のパラメータをキャリブレーションする方法を提案する.検証として東京、京都、大阪を選び,東京23区と京都市11区で類似する地域の特徴関数を作成,それを大阪市24区に適用して抽出された地域を分析することで,提案方法の妥当性を検証する.
D-5: 土地利用 司会: 磯田 弦 + 概要を表示
D-5-1 民間会社へのヒアリング調査等による建物用途現況調査実務の実態把握
PDF 汐澤 隆, 寺木 彰浩, 阪田 知彦
我が国の都道府県は、都市計画基礎調査により概ね5年ごとに都市計画区域内の現況及び将来の見通しについて調査を行っている。その標準的な調査項目等は、国土交通省の都市計画基礎実施要領で示されており、既往の統計資料等を集約することで作成可能な調査項目と現地調査等の独自に調査が必要な調査項目がある。特に後者は建物用途現況調査等に代表される。この調査で作成される建物用途現況図は、用途地域規制で定めた土地利用が守られているかの確認を行う際などに用いられる。この資料の作成には、手間と時間を要することから実作業は調査経験がある一部の民間会社(航空測量会社やコンサルタント会社等)が行っていることが多いと言われている。しかしその実務的な詳細は十分に把握されていない。著者らはそうした問題意識に基づいて、ヒアリング調査等での把握を継続的に実施している。本稿では、直近に実施した民間会社4社へのヒアリング結果をまとめ建物現況調査の実務的動向について、(1)既存研究からの質問票の作成、(2)ヒアリングの実施状況、(3)建物用途現況調査の流れ、方法、体制・教育などについての考察、等を中心に述べる。
D-5-2 兵庫県加古川市における交通機関の駅の立地から見る人口構造
PDF 河辺 誠, 川向 肇
現在、特に日本の地方都市部において高齢化が進行している。このような中で車を保有しない高齢世帯では生活するうえで交通機関が必要不可欠なものとなる。そこで、兵庫県加古川市を事例とし、QGISを使用し、人口構造と交通機関の駅のオープンデータを利用することで、公共交通機関の駅などへのアクセスに困難を抱える地域(以下、非カバー地域)の人口を分析し、交通手段が必要な地域についての検証した結果を示す。本稿では65歳以上の高齢者を分析対象とした。
D-5-3 住宅地図と国勢調査を用いた小地区単位での空き家率の推計
PDF 杉本 賢二, 岩根 史弥, 秋山 祐樹
近年空き家の増加が大きな社会問題となっているが,各自治体による調査方法や判定基準が異なり,各戸調査では膨大なコストや時間を要する.本研究では,小地区単位での住宅地図による建物数と,国勢調査による世帯数から空き家を推計した.また,和歌山市を対象とした現地調査により精度検証を行った結果,推計値は概ね実測値と近い値となった.
D-5-4 建物マイクロジオデータを用いた日本全国の住宅集積データ整備の試み
PDF 秋山 祐樹, 秋山 千亜紀
日本では現在,中山間地域を中心に高齢化や人口減少の影響により,将来的に消滅する可能性がある集落が増加しつつある.そのためその実態把握が急務であるが,日本全国の集落の分布調査は多大な経費と労力を要する上に,集落の分布を一定の基準で網羅的に抽出・整備したデータは存在しないため,集落に関する研究推進の障害となっている.そこで本研究では日本全国の建物マイクロジオデータを用いて,日本全国の集落の分布を時系列的に把握できる「住宅集積データ」の整備を試みる.
D-5-5 街区レベル居住快適性評価指標を利用した土地利用シナリオ分析の提案
PDF 馬場 弘樹, 浅見 泰司
人口減少の著しい地区では、将来土地利用を踏まえた統合的計画を策定することが望ましい。本研究では街区レベルで居住快適性を評価し、建物除却や土地利用変化を反映したシナリオ分析のためのシステムを構築する。方法としては、複数の居住快適性指標を自己組織化マップにより2次元に圧縮し、クラスタリングして分類した後、街区の特徴分析を行う。その後、シナリオによる指標値を入力し、自己組織化マップ上での変化を観測する。対象地は大規模な建物除却がなされたベルリン市東部の住宅団地とする。
D-5-6 韓国梁山市の新旧市街地における土地利用変化の比較分析
PDF 山下 亜紀郎, 駒木 伸比古, 兼子 純, 山元 貴継, 橋本 暁子, 李 虎相, 全 志英
本研究では,韓国慶尚南道に位置する地方都市である梁山市を対象に,それぞれ商業地域としての性格が異なる,在来市場を中心とする旧市街地と鉄道延伸に伴い開発された新市街地における,土地利用変化にみられる特徴を比較分析した。現地調査は2016年3月と2018年3月に実施し,この2年間における変化を分析した。旧市街地より新市街地の方が若干変化率は高いものの,両市街地ともにわずか2年間で約4分の1の区画が変化していた。
E-5: 【ハンズオン 教育委員会×若手分科会】
わかりやすい地図の作り方
オーガナイザー:桐村 喬
誰でも手軽にGISを使えるようになり、様々な分野の研究論文でGISで作った地図が使われています。また、論文だけでなく、日常生活の様々な場面でもGISで作った地図を見る機会が増えています。GISの操作手順を間違わなければ地図が作れますが、どんなふうに表現すれば地理情報を適切に表現できて、意図を正確に伝えることができるのか、といった技術や知識は、地図に関する専門的な教育を受けないとなかなか身に付けることはできません。 このセッションでは、GISを使う上で陥りがちなよくある失敗に注目しながら、わかりやすく、適切な地図の作り方について紹介し、地図表現に関する基礎知識を身に付けることを目標にします。取り扱う内容は、地域・用途に応じた投影法の選び方や階級区分図での色・ハッチの使い方、カルトグラムの活用法などで、これらに留意しながら実際にGISソフトで地図を作っていきます。なお、利用するGISソフトはArcGISまたはQGISです(どちらでも参加できます)。
10月21日 (日) 12:20〜14:00
A-6: 【企画セッション 自治体GIS分科会】
自治体GISの動向を語る
オーガナイザー:浅野 和仁
セッションの前半は、2013年から昨年度まで自治体分科会が取組んできたG空間EXPO・Geoエデュケーションプログラムでのワークショップの実施に関わっていただいた関係者をパネラーに迎えて、これまでの活動を総括するとともに、自治体のGIS活用に及ぼした影響や、今後の自治体GISの課題や方向性について議論していただきます。 セッションの後半は、自治体GISにおけるパーソナルデータの活用について考えます。自治体分科会幹事からの話題提供の後、参加者の皆さんとグループディスカッションを行い課題の共有や、取組むべき課題の抽出を行いたいと思います。 自治体GISの更なる活用を求めておられる皆さんのご参加をお待ちしています。
B-6: 移動履歴分析 司会: 杉本 興運 + 概要を表示
B-6-1 携帯電話人口統計を用いた都市内滞留者数の時空間分布推定
PDF 工藤 遼, 大佛 俊泰
近年、携帯電話利用者の位置情報に基づき、都市内滞留者の時空間分布を把握可能なビッグデータが活用されつつある。しかし、これらのデータから直接、都市内滞留者の滞留施設・滞留目的等の詳細を把握することはできない。そこで本稿では、モバイル空間統計データを用いて滞留者密度の場所性を記述するモデルを構築する。また、パーソントリップ調査データを併用することで、目的別または属性別の滞留者数を建物用途ごとにメッシュ単位で推定する手法を構築する。
B-6-2 携帯端末から得られる低頻度測位な人流ビッグデータを用いた通勤・通学の推定及び分析
PDF 小林 稜介, 宮澤 聡, 秋山 祐樹, 柴崎 亮介
現在,働き方改革や人間中心の社会(Society5.0)を目指す上で,通勤・通学の質を改善するための検討が求められている.そのためには,携帯電話から得られる人流ビッグデータから対象となる通勤・通学行動を抽出した上で,地域単位・個人単位の通勤・通学の課題を発見することや分析のモデルを開発することが必要である.そこで本研究では,それらの一助となる通勤・通学の推定及び傾向分析を関東圏を対象に,従来の研究とは異なる測位間隔の長い人流ビッグデータを用いて行う.
B-6-3 携帯電話人口統計を用いた都市内移動者の単位時間あたりの空間移動量推定
PDF 早坂 遼, 大佛 俊泰
都市内滞留者・移動者の時空間分布を高精度で把握可能なデータに対する需要が高まっている。本稿では,異なる時間間隔で得られる携帯電話人口統計(モバイル空間統計・混雑統計)を統合することで、単位時間における、都市内移動者の数や方向といった空間移動量を精度良く推定する手法を構築する。本手法を用いれば、時々刻々と変化する、発着地ごとの流出入者の移動傾向を分析することができる。
B-6-4 配達業務調査に基づくチーム集配シミュレーションを用いた効率的な配達方法の検討
PDF 田口 雄也, 大佛 俊泰
近年、配達サービスの利用増加に伴い、効率的な配達を行う方法が求められている。本稿では、複数人が協力して配達を行う集配方式(チーム集配方式)において、配達業務完了時間を短縮するための配達方法を、複数巡回セールスマン問題に用いられる手法を組み合わせて提案する。さらに、配達業務の調査結果に基づき設定したパラメータを用いて、シミュレーションを実行し、実際の配達経路と最適な配達経路の比較分析を行う。
C-6: 歴史 司会: 塚本 章宏 + 概要を表示
C-6-1 旧藩の境界と選挙区―その経路依存性と変動に関する分析
PDF 中島 有希大, 鎌原 勇太, 古谷 知之, 清水 唯一朗
選挙区割に関する政治学的研究では、現代における人口変動とゲリマンダリングに注目する研究がほとんどである。しかし、近年、歴史的な資料を用いる計量政治学的研究が注目を集めている。本研究では、明治維新に続く近代国家形成期を国家建設の過程であると捉える認識の下、旧藩領の古地図を用いることで、旧藩領がその後の近代および現代日本の制度設計、特に選挙区割に対して「経路依存性」をどの程度有しているのかを定量的に把握する。
C-6-2 編年時間参照系モデルを活用した編年定義間の不整合箇所抽出法について
PDF 村尾 吉章, 清野 陽一, 藤本 悠, 玉置 三紀夫, 森本 晋
筆者らはこれまで地理情報標準を拡張した編年時間参照系モデルを提案し,またその意義を明らかにしてきた.当モデルを利用し実運用することにより多様な編年の定義を統一管理し相互参照することが可能となるが,その際に,複数の編年定義間において不整合が生じている箇所を明確化することは,当モデルを用いてシステム化することのメリットの1つである.本研究では,実験システムを踏まえて編年定義間の不整合箇所の抽出を試み,その際の課題解決方法を明らかにした.
C-6-3 京都地籍図データベースを用いた明治末期の土地所有者構造分析
PDF 青木 和人, 矢野 桂司, 武田 幸司
これまで明治末期の大都市全域における土地所有者構造は,ほとんど解明されてこなかった.その理由は、広大な地域分析のためにGISで利用できる歴史的デジタル土地データベースが存在しなかったことも一因である.そこで本研究では,デジタル復刻された1912年刊の京都地籍図データベースを用いて,GISによる空間分析とデータベース機能を活用して京都市全域での明治末期の土地所有者構造を明らかにする.
C-6-4 日本版Map Warperを用いた旧版地形図の公開
PDF 今村 聡, 鎌田 遼, 矢野 桂司, 磯田 弦, 中谷 友樹
Map Warperは地図の共有のためのプラットフォームであり、TMS等の多様なフォーマットで地図のダウンロードが可能である。本研究では、米国スタンフォード大学と協働し、IIIFを用いてWeb公開している日本の範域の外邦図(20万分1帝国図(112枚)、5万分1地形図(1,111枚))を、日本版Map Warperを通してジオリファレンスする。また、図幅名や測量年などのメタデータを付加することで、旧版地形図の検索性を高めるとともに再利用可能な形で公開し、その利用を促進することを目的とする。
C-6-5 バス停名称を用いた推定寺社位置データの位置精度検証の可能性
PDF 相 尚寿, 桐村 喬, 板井 正斉
神社や寺院は都市空間の中で地域活動の場、災害時の避難場所、救援活動拠点などの役割を担う場合があるものの、基本的に私有地であり網羅的に位置情報が整備されていないのが現状である。本稿では国税庁法人番号公表サイトで入手可能な法人の名称と住所から作成された「推定宗教法人位置データ」のうちに寺社ついて、その位置精度を国土数値情報「バス停」データで検証可能かを検討する。法人住所のアドレスマッチング精度が低い場合、近隣に存在する同名バス停から位置が補正できる可能性が示唆された。
D-6: 環境 司会: 杉本 賢二 + 概要を表示
D-6-1 港北ニュータウンにおける緑道の空間利用とコネクティビティに関する考察
PDF 松島 慧, 丹羽 由佳理, 稲坂 晃義, 相澤智之
港北ニュータウンには,まちづくりの基本方針をもとに「グリーンマトリックスシステム」と呼ばれるオープンスペース計画が定められている.これは,学校・公園・緑地・建築物・樹林地・歴史的遺産などを緑道や歩行者専用道路とつなげるシステムである.本研究は,緑道を利用している人々がどのような行為をしているかを観察調査し,緑道へ接続する周囲の環境が行為に与える影響について分析する.これにより,港北ニュータウンにおける緑道の空間利用とコネクティビティについて考察する.
D-6-2 Spatial distribution and estimation of household air pollution from biomass use in Kenya
PDF Omar Mwana Said, 川向 肇
Over 3 billion people globally rely on traditional fuels, raising a worldwide concern on the impacts of indoor air pollution on human health and the environment. Approximately 64.6% of the Kenyan population are dependent on biomass fuels mainly firewood and charcoal, which remain as the main source of cooking and lighting energy. Using gridded population data, biomass consumption data and counties as spatial units, we estimate the spatial distribution of air pollutants from household fuel use in Kenya.
D-6-3 海岸林面積はどのように変化したか:三保松原及び千本松原を例にして
PDF 清水 香樹, 加藤 輝一, 鈴木 雄介, 安田 泰輔, 鈴木 静男
三保松原及び千本松原は、静岡県の代表的な海岸林である。本研究は、1974年から近年までの航空写真を用いて、海岸林の面積変化を定量化した。両海岸林において、1976年から1988年にかけて面積が約20%増加し、1988年から近年にかけて11%〜16%減少した。海岸林面積の変化はクロマツ林の増減だけでなく、その他の樹種の侵入が明らかになった。得られた結果を基に、防災林及び文化的な景観の観点から海岸林の役割と維持について議論する。
D-6-4 空中写真を用いた竹林の自動識別
PDF 諏訪 尚也, 勝又 隆博, 安田 泰輔, 鈴木 雄介, 鈴木 静男
管理が放棄された竹林の拡大により生物多様性の低下、土砂災害等の問題が引き起こされる。竹林の分布や拡大特性を把握するため、先行研究では静岡県東部地域を対象として、空中写真から竹林の面積を定量化し拡大要因を推測した。これを基に本研究では竹林を自動識別する手法の確立を目指した。RGB色空間、HSV表色系及びSLIC処理を施した画像を用意した。識別には機械学習の一種であるRandom Forestを採用したところ、分類精度が向上した。
D-6-5 緑道空間の構成要素と滞留行為の関係性
PDF 相澤 智之, 丹羽 由佳理, 稲坂 晃義, 松島 慧
自然環境と共生するまちづくりを推進するためには、計画的に整備された緑道空間がどのように活用されているかを定量的に把握することが重要である。また、緑道空間に点在するベンチ・街灯・舗装などの効果を検証し、効率的な配置・維持管理の手法を検討する必要がある。本研究は、港北ニュータウンを対象として、緑道空間の構成要素と人々の滞留行為との関係性について明らかにする。
E-6: 【チュートリアル】
SfM写真測量によるマッピング
オーガナイザー:内山 庄一郎
SfM(Structure from Motion)写真測量とは複数の写真から被写体の形状を復元する技術です。特に、無人航空機(ドローン)による撮影と調和的です。SfM写真測量により、オルソモザイク画像(写真地図)やDSM(数値表面モデル)を作成することができます。ハンズオンでは、技術の概要と使いこなすコツを解説し、写真の撮影からオルソモザイク画像の出力までの最も基礎的な一連の作業を行います。ノートPC(Win/mac)と電源アダプタが必要です。
F-6: 【企画セッション】IoTとGIS分科会
IoT×GISによるウオーターネクサスの見える化
オーガナイザー:厳 網林
平成30年7月豪雨が西日本に甚大な被害をもたらし、気候変動、人口減少、社会インフラの老朽化が重なることによる災害の恐ろしさを思い知らせられた。国も自治体も治水対策の見直しへ動いているが、持続可能な管理には治水に限らない総合的政策と技術のイノベーションが求められる。本セッションはネクサスの視点から水管理の複雑性を捉え、IoT×GISによって水環境の見える化を行い、リアルタイムに情報収集、インフラ管理、サービスの提供を可能にする空間融合のプラットフォームを検討する。
10月21日 (日) 14:20〜16:00
A-7: 【企画セッション】
国際地図学会議(ICC)への日本からの貢献-ICC2019東京大会の展望-
オーガナイザー:若林 芳樹
2019年7月に東京で開催される第29回国際地図学会議(ICC2019)は,日本のGIS・地図学の成果を世界にアピールするショーケースになると同時に,海外の地図・GIS研究者と交流する絶好の機会になることが期待される.このセッションでは,1980年の東京大会を含めた過去のICC大会を振り返りながら,来年の東京大会に日本がどのように貢献できるのかを展望する.これにより,GIS研究と地図学との関係を再確認し,国内のみならず海外に向けた新たな連携を構築する契機としたい.とりあげる主要な話題は,以下の通りである. ・国際地図学会(ICA)とICC ・1980年ICC東京大会の遺産 ・ICA専門部会の活動からみた世界の地図学の動向 ・ICC2019東京大会の展望:地図学と地理情報科学の融合
B-7: 【企画セッション 若手分科会】
学生フリーテーマ発表会
オーガナイザー:相 尚寿
一般に学会などの学術発表では類似した研究テーマの発表がセッションとして集約されます。類似した興味を持つ参加者同士で意見交換が行える利点はありますが、パラレルセッション形式で進行する大会では異分野の発表に触れ、新しいデータや分析法に出会う可能性が限られてしまいます。 本セッションでは、特定の分野を定めず、広く研究発表を募集することで、異分野間での情報共有を目指しています。発表者は現役学生(学部生・大学院生)に限定し、事前に募集した発表概要をもとに若手分科会で投票を行い、得票数の多い内容について口頭発表と質疑応答の機会を設けます。 発表者、聴講者ともに自分の分野とは異なる内容に多く触れるため、新たなデータや分析法に出会う場になると期待しています。 なお、聴講者については制限を設けていないため、学生以外の研究者、実務者の方々も積極的にご参加をご検討いただきたいと思います。 【発表一覧】 新たな避難所を設定した場合の避難所の充足度評価方法 (赤松 哲也) ダンボールジオラマ製作 (間々田 夏菜子) 船舶運航データを用いた環境負担評価 (金 會勧, 渡部 大輔) PDF 環境要因と犯罪発生情報を組み合わせた犯罪予測手法の検討 (大山 智也, 雨宮 護) 日本の都市雇用圏における都市縮小の諸形態 (神田兵庫, 磯田弦, 中谷友樹)
C-7: データ・システム 司会: 山本 佳世子 + 概要を表示
C-7-1 サーバレスコンピューティングを利用した高速web地図システムの開発
PDF 嘉山 陽一, 大伴 真吾, 柳下 大, 山田 祐也
Webで地図システムを公開する場合システムの反応速度は重要な評価基準になる.とりわけ災害時に参照されるようなハザードマップシステム等では急激なアクセス数の増加に対してどのように対処するかが重要な課題である.Webシステムでの負荷上昇に対しては従来はロードバランサにつないで処理を行うサーバの数を増加させることによって負荷分散をはかることでの対応が多かった.この場合ロードバランサに接続する複数のサーバを同一のサービスを返す形で構成する必要があり、サーバの管理とサーバ内アプリケーションの管理,負荷に対するロードバランサの管理が必要となり管理とリソース準備のコストが高くなる.近年のクラウドコンピューティングサービスで用意されているサーバレスコンピューティングではユーザがサーバを用意するのではなくサービスプロバイダが用意する機能(Function as a Service)を利用することで業務を実行する.ここではサーバの設定、チューニング等のインフラ部分の調整はプロバイダ側で行われるため管理のコストがとても小さくなることが予想される.また負荷の上昇に対する対応もプロバイダ側で行われるためロードバランサと複数サーバで対応する場合よりコストや設定・管理の手間が少ないことが予想される.本発表ではサーバーレスコンピューティングに適したweb地図システムの構成と設定・動作の状況について述べる.
C-7-2 ボランタリーな地理空間情報作成者のデータ品質に関する意識と実践
PDF 山下 潤, 岩崎 亘典, 西村 雄一郎, 瀬戸 寿一
本報告では、ボランタリーな地理空間情報(Volunteered Geographic Information)の一つであるOpen Street Map(OSM)を対象として、OSM作成者がデータ品質に対する意識と、この意識と作成した位置正確度の関係について検討する。
C-7-3 時経路処理のためのダイナミックマッピング方式と自動運転支援
PDF 角本 繁, 吉川 耕司, 小笠原 茂宏, 畑山 満則
カーナビゲーションでは、新設道路が随時反映されるデータベースとその利用が求められ、地域の変化に即応できるGISが求められてきた。時空間データベースの応用によって、変化を即時的に反映するダイナミックマッピング方式を開発した。本方式を応用して、カーナビゲーションの高度化と自動運転への適用を試みた。本提案のダイナミックマッピング方式では、(1)位置データの座標値によって空間検索を高速化する処理と(2)リニアリファレンスによってデータ処理対象空間を限定する処理とを組み合わせることによって、時空間処理を実現することを特徴とする。行政応用としても、町の変化が随時反映されるデータベース処理が求められる。特に災害対応では、変化を履歴データとして統合していくことが期待される。運転支援や自動運転では、洪水や津波などの災害を回避するために、公的機関を含めた複数の機関から提供される緊急対応情報にも対応できるようにする必要があり、更新情報を対処の移動体(車など)で共有するためには、標準化が必要になる。
D-7: 産業立地 司会: 瀧澤 重志 + 概要を表示
D-7-1 位置情報と購買履歴データを活用した移動販売車の利用実態の分析 -利用場所・商品の特徴に着目して-
PDF 関口 達也, 樋野 公宏
本稿では,買い物弱者問題に対する主な支援策である移動販売に着目して,東京都板橋区高島平地域で収集されたデータを中心に,住宅団地における移動販売車の利用実態の把握を試みる.まず対象地域において運行している移動販売車の移動履歴と購買履歴の各データを収集し,それらを組み合わせて利用時刻・位置・購入商品に関するデータベースを作成した.そして,そのデータベースや事業者へのヒアリングに基づき,移動販売が利用される地点の空間的特徴と,各利用地点で購入される商品の特徴について分析する.そして,分析結果から都市部における買い物弱者問題に対する支援策としての移動販売の意義・課題について考察する.
D-7-2 経済センサス-基礎調査における調査ブロック形成方法の提案:空間代表点情報を利用した制約付クラスター分析の新たなアルゴリズムの開発
PDF 高橋 雅夫, 浅川 智雄, 佐藤(イリチュ) 美佳
平成30年3月6日に閣議決定された「公的統計の整備に関する基本的な計画」(第III期基本計画)に基づき、経済センサス-基礎調査は、一人の調査員が約500事業所を受け持つ調査に変更されることになった。ここでは、平均約30事業所からなる従来の経済センサスの調査区を複数組み合わせることにより一人の調査員が受け持つ地域(調査ブロック)を形成する方法の一つとして、空間代表点情報を利用した制約付きクラスター分析の新たなアルゴリズムを開発するとともに、実際に形成作業を行った例を提示する。
D-7-3 GISによる小売店舗の商圏設定とエリアマーケティング
PDF 高阪 宏行
ビジネス分科会を立ち上げて15年を過ぎた現在、小売店舗の商圏設定とエリアマーケティングについて、GISを利用することによって、何が明らかになり、何が課題なのかを発表する。進歩した点の第一は、GISを通じて、住所照合、地点生成、距離測定、バッファ生成、クリップ分析、インターセクト分析、属性結合、空間集計など店舗の商圏設定に関わる技術を利用できることになったことである。第二の点は、国勢調査、経済センサス、デジタル地図などGISで利用できる統計と地図が整備され、設定された商圏に対するエリアマーケティングができるようになったことである。本発表では、店舗の商圏設定に関わる標準的な技術をまとめるとともに、設定された商圏の特徴を記述する。また、既存統計や地図と関係づけることによって、エリアマーケティングや集客予測にどのように係わることができるかといった今後の課題も提示する。
D-7-4 本社間取引データを用いた事業所間取引データの推定
PDF 小川 芳樹, 秋山 祐樹, 篠原 豪太, 関本 義秀, 柴崎 亮介
サプライチェーンなどを対象としたミクロな経済シミュレーションを行う際には,基盤データとなる企業間取引データが重要となる.しかし,現状の企業間取引データは本社間取引データに事業所情報も集計されたネットワークデータになっている.そこで本研究では本社間に集計された企業間取引データを事業所単位の企業間取引に推定する手法を提案する.また開発したデータと地域間産業連関表との比較を通して信頼性の確認をした.
D-7-5 大型小売店の立地とファッションブランド店の集積状況にみる都市階層体系
PDF 後藤 寛
消費の場面における都市システムの解明を目標に地域の商業構造の質的特性の分析方法の構築のため、ファッションブランドショップの立地と集積パターンを対象とした分布パターンの解明を目指す。ファッション小売業は基本的に大型小売店内に出店するナショナルブランドショップとしてとらえることができ,それらは顧客年齢層を軸としたカテゴリーに分かれ、出店する大型小売店のタイプに規定されて異なる出店パターンをもった立地の体系をもつ。その立地指向を都市体系のひとつの表象として解釈することを目指すものである。
F-7: 【企画セッション】
平成30年7月豪雨災害対応とGIS
オーガナイザー:畑山 満則
2018年(平成30年)6月28日から7月8日頃にかけて、西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に広い範囲で記録された台風7号および梅雨前線等の影響による集中豪雨(平成30年7月豪雨)は、広範囲で記録的な豪雨となり、200人以上の死者・行方不明者を出す巨大災害となった。地理情報システム学会では防災GIS分科会が中心となり、災害支援活動を行ったが、同時に複数の地域で同様の水害・土砂災害が発生するという未曽有の災害に課題は多く残った。今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震での災害対応にも、大きな教訓を残すであろう平成30年7月豪雨の災害対応の課題と解決策について、支援活動関係者を中心に議論を行う。
G-7: 【ハンズオン】
Pythonを使って作業の効率化を図ろう!
オーガナイザー:土田 雅代
Pythonを利用することで、ArcGISのGUI上で行っている反復的な作業をプログラムで自動化することができます。Pythonを使用してArcGISでどんなことができるか知りたい方、また、pythonのアドインを作成してみませんか?
ポスターセッション Poster Session 国際交流会館 International House + 概要を表示 Click the button to show/hide abstracts
P-01 亜極北の離島におけるトレイルの分析
PDF 一戸 恒人
アラスカ州セント・ローレンス島は、ベーリング海北部に浮かぶ離島である。島民たちはツンドラの荒野を行き来して狩猟・採集を行う。本研究では、バギーによる移動が繰り返されるなかで地表に残されたトレイルに着目する。その構成を衛星写真や現地調査の記録から把握するとともに、植生・地形等との関連をGISを用いて分析し、現代を生きる狩猟採集民の生活が地理的要件から受ける制限に関して定量的に評価することを目指す。
P-02 グリーンインフラ評価カルテの作成と熊本市中心市街地の評価に関する研究
PDF 會田 彩乃, 藤田 直子
2016年4月の熊本地震を受け、熊本市は震災復興計画に基づくまちづくりに注力すると同時に、都市としての価値向上を基本方針として大規模緑地を軸とした市街地再開発を進めている。また近年、グリーンインフラという概念が注目されている。本研究は、震災前後の熊本市中心市街地の土地利用をグリーンインフラの観点から評価するため、評価カルテの作成、調査用アプリの作成、およびそれを用いた現地調査とデータ分析を行う。
P-03 GIS講義前の学部学生へのGIS実習〜東洋大学 INIADの例〜
PDF 横田 達也
東洋大学情報連携学部(INIAD)情報連携学科は、2017年4月に東京都北区赤羽台に新設された学科で、一学年に学生数約400名を抱え、2年生からエンジニアリング、デザイン、ビジネス、シビルシステムの4つにコース分けがなされる。 シビルシステムコースでは、3年生の専門科目としてGISの講義と演習が設定されている。その前の1年生と2年生に対しては、学生自身による計測データやオープンデータとGISツールとを利用して、大学周辺地域のバリアフリーマップの作成や、都市・地球に関する環境変動解析に関する実習をグループ別に実施し、それらの成果の報告をさせている。実習の目的は、ICTやIoT技術の活用を見据えてのGISやリモートセンシングデータの活用を目指したグループ内の情報の連携である。また、学生には日本語を解さない留学生も含まれていることから、GISの実習や講義は、日英併記や日英両言語による説明、そして日英両対応のGISツールを用いて行わなければならない。 このように3年生の講義や演習によるGIS技術や専門知識の習得前に有効と考えられる1〜2年生のGIS実習教育の工夫について報告する。また、当学科における2018年度のGISに関する実習の成果例を紹介する。
P-04 東日本大震災後の地域出生力の時空間変動
PDF 鎌田 健司
本研究は東日本大震災後の市区町村別にみた地域出生力の時空間変動について人口学的に分析することを目的とする。地域の年齢別人口構成の違いを標準化した出生力を用いて、東日本大震災について被害類型ごとに観察した結果、被害度が高い地域において出生力の上昇が観察された。しかし、人口構成の影響が大きく震災直後の急激な低下を取り戻す程の上昇効果ではないことが明らかとなった。
P-05 市区町村シンボル選定種の全国調査結果の傾向とGISを用いた地域性分析の検討
PDF 吉川 慎平, 渡部 俊太郎
現在,全国1,700余の自治体の殆どは「市区町村の木・花・鳥・魚」などと銘打って、地域(郷土)の自然や景観、農林水産物等の中から,代表的な動植物種をそれぞれ独自に選定し,公表している.本研究では,2017年度に実施したシンボル種選定状況の全国調査結果から,各地方ごとの特色,特定の種に注目した分析等,結果の傾向について示すとともに,GISを用いた今後の地域性分析の可能性について検討した.
P-06 沼津市茶園におけるリモートセンシングの予備的調査
PDF 石田 智士, 大勝 友晶, 小澤 朗人, 中野 敬之, 亀山 阿由子, 安田 泰輔, 鈴木 静男
近年、効率的な農地管理のためのリモートセンシング技術の利用が期待されている。本研究では、静岡県沼津市の特産品である茶に対して、近接リモートセンシングを試みた。撮影用延長棒に2台のカメラ(RGB及びRGIR)を取り付け、徒歩で移動し茶園を上方(約5.5m)より撮影した。撮影画像に対しSfM (Structure for Motion)とオルソ化処理を行なった。この処理画像から生育量、摘採時期、茶葉成分、病害虫による被害程度を推定するための手法を検討する。
P-07 大規模経営の農地集積における棲み分け状況
PDF 辻 貫志, 大山 慶之, 石塚 修敬, 米澤 千夏, 冬木 勝仁
我が国では、農業の構造改革として大規模経営への農地集積が推進されている。しかし、多様な大規模経営が併存する状況下で、タイプの違いに応じた農業政策を立案することが課題となっている。そこで本研究では、富山県高岡市を対象とし、農業集落単位の統計データを活用し、市内の大規模経営の立地状況を整理する。加えて、大規模経営への聞き取り調査を実施し、当該地域における大規模経営のタイプ別の状況を明らかにする。
P-08 UAV空撮データによる可視光および熱分布からみた栽培施設およびその周辺の土地環境評価
PDF 岸本 慧大, 本間 雅大, 厳 網林
栽培施設に投機されるエネルギーは生産性を上げる一方,周辺土地環境に影響を及ぼす.本研究は,栽培施設とその周辺の熱分布や植生環境を明らかにする.UAVにより取得した可視光・熱赤外データを定性評価したところ,熱分布は栽培移設の密度や日射方向に影響され,立地が周辺の露地栽培環境に影響を与える可能性が示唆された.面的に周辺環境への影響を明示することで,栽培施設の立地や投機エネルギーの改善につながる.
P-09 環境情報データベースを活用した福島県の温熱環境評価
PDF 平野 勇二郎, 一ノ瀬 俊明
東日本大震災以降、避難指示が解除された多くの地域において帰還率が高いとは言えず、人口が回復しないことがますます地域の疲弊につながっている。こうした中で、避難住民の帰還を円滑に進めるため、快適な居住環境を提供することは地域の復興に資する重要課題である。本研究では著者らがこれまでに構築してきた福島県の環境情報データベースを活用し、居住環境に関わる重要な要素である温熱環境に着目した地域の環境評価を行った。具体的には、各種地理情報と気象シミュレーションモデルから気温分布を予測し、福島県において体感温度や空調エネルギー消費などに基づき地域環境を可視化し、居住性について検討した。
P-10 神社の分布から見える時代性とその機能
PDF 梶並 純一郎, 高木 圭子
一定以上の格式を持った大きな神社を対象として分布データを作成し、位置関係、信仰、緑地分布等に着目し、時代を切り口にして、神社の分布から見える時代性や機能などについて考察した。 その分布は、人々が住む都市に集中し、時代の変遷による都市の変化に対応して大きな神社も移り変わり、一方で、その信仰は、近代に大きな変化が起こり見えにくくなっていることが分かった。また、現代においてはその緑地が都市の生物多様性に大きく貢献をしていることが示された。
P-11 関東地方における谷津田の分布変化と残存率の推定
PDF Sprague David
谷津田とは台地を浸食しながら上流へ向かって枝分かれしていく幅の狭い水田を指し、関東地方の幅広く分布している。幅が狭いために谷津田は耕作効率が悪いとされ、放棄されやすいと考えられている。しかし、どの程度谷津田が減少してきたかを測ることは難しい。本研究では、水田に関する時系列データを比較することにより、時間とともに変化してきた関東地方の幅の狭い水田の分布を地図化し、谷津田と定義した水田の残存率を推定する。
P-12 全偏波合成開口レーダ取得画像による水稲圃場の抽出
PDF 米澤 千夏
陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」に搭載された合成開口レーダ(PALSAR-2)の全偏波観測データの解析結果と農地の区画情報を含むGISデータから、仙台平野の農地において水稲が作付されている圃場を抽出した。合成開口レーダは全天候型のセンサであり、全偏波観測では地表面のマイクロ波の散乱過程の違いを抽出する。農地のGISデータをリモートセンシングデータに重ね合わせることにより、作付管理等への活用が期待される。
P-13 熊本県成道寺川における環境の変化とホタルの出現個体数の関係
PDF 木下 澄香, 森山 聡之, 間々田 夏菜子
熊本市西区に位置する井芹川支流の成道寺川は熊本西環状線道路工事が着工され、道路の真下に位置するために生態系に影響があると危惧されている。森山研究室では2004年から2018年まで、毎年ゲンジボタル等の出現個体数の変動を調査している。ラインセンサス・カウント法を用い、観測場所をL1〜L 5に分けて目視でホタルの頭数を数えている。2012年の夏に工事が着工され、2001年と比べると2012年からは全体的に激減していたが、2018年の調査では、ラインすべての合計頭数が2017年よりも1.8倍ほど増加していた。 ホタルの出現個体数を年ごとやラインごとに地図上に表示し、時系列で見ることでラインごとの出現個体数の変化を見やすくする。また、現地調査を行ったり2001年からの地図を用いるなどして、成道寺川流域の環境の変化とホタルの頭数の変化を同時に表示することで、それらの関係や、なぜ今年度はゲンジホタルが増加したのかという原因を考察する。
P-14 GPSデータを用いた都市暑熱リスクの空間統計分析
PDFB-1-2 吉田 崇紘, 山形 与志樹, 村上 大輔
地球温暖化の進行に伴い都市暑熱リスクへの対応は喫緊の課題となっている。しかしながら、暑熱環境は場所ごとに大きく異なり、また人々は都市空間を移動するため、個人の熱ストレスを把握することは必ずしも容易ではない。本研究では、個人レベルでの暑熱リスク評価に向けた第一歩として、航空機から観測された地表面温度データと携帯端末から取得された人流GPSデータを用いて、東京区部で流動する人々の暑熱リスクを定量化する。具体的には空間クラスタリング手法を用いて人流のホットスポットと、個人レベルの累積暑熱リスクの統計解析を行う。
P-15 休憩施設の密度と最大継続歩行距離 ー東京駅および大手町駅周辺地区を対象にー
PDFC-2-4 薄井 宏行, 樋野 公宏
高齢者が難なく継続歩行できるような都市空間を実現するために,ベンチ等の休憩施設の整備は重要である.ところが,継続歩行距離と休憩施設の数や配置の基準については,既往研究においても十分に検討されていない.本稿では,任意の休憩施設と隣接関係にある休憩施設までの距離の最大値の分布に着目し,1)休憩施設の密度に応じた最大継続歩行距離分布の評価, 2)最大継続歩行距離分布を改善するために必要な休憩施設の総数を明らかにする.
P-16 首都圏鉄道路線の列車遅延要因の把握
PDF 大島 圭祐, 山本 佳世子
首都圏では、利便性向上のために鉄道路線間での相互直通運転が盛んに行われ、鉄道網はより複雑化している。これにより、ある路線のわずかな遅延が関東一円の広範囲に波及するようになり、列車の遅延による問題はより一層大きくなっている。一方で、インターネットの普及に伴い、主要鉄道事業者はインターネット上で遅延証明書の発行を行うようになった。これにより、実際に列車を利用したり駅を訪ねたりすることなく、各路線の遅延の発生状況を知ることができるようになった。以上の背景に基づき、本研究は、各鉄道事業者の発表する遅延のデータを、各路線の設備やダイヤグラム、乗降客数などのデータと合わせて統計的解析を行うことにより、遅延の多い路線や遅延の少ない路線に共通する特徴から遅延の原因や解決策を発見し、また各路線の固有の遅延原因を把握し、路線ごとの効果的な遅延の解決策を提案することを目的とする。
P-17 利用者の優先条件を考慮した都市型観光地の観光スポット推薦システム
PDF 武笠 勇哉, 山本 佳世子
昨今の情報化社会では膨大かつ多様な情報がインターネット上に溢れており、インターネットの普及によって多くの人が手軽に情報を入手することができる。観光情報についても同様であり、インターネットを用いた観光情報の収集が一般的になっている。しかし、多くの観光情報の中から適切な情報を取得するのは困難であるとともに、主要観光スポット以外の情報収集が難しいといった問題がある。特に都市型観光において、このような問題は顕著である。また、訪問する観光スポットを決定する際には、どの条件をどの程度重要視するかが重要になる。 そこで、本研究は、各利用者の条件の優先度を考慮した観光スポット推薦を行うシステムを構築することを目的とする。システムの要件として、1)観光スポットを推薦する、2)訪問する観光スポットを決定する条件の優先度に基づいて、観光スポットを推薦する。また、本システムの運用対象地域を都市型観光地としていることから、電車での移動が想定されるため、3)アクセシビリティとして駅からの距離を考慮する。
P-18 位置情報と購買履歴データを活用した移動販売車の利用実態の分析 -利用場所・商品の特徴に着目して-
PDFD-7-1 関口 達也, 樋野 公宏
本稿では,買い物弱者問題に対する主な支援策である移動販売に着目して,東京都板橋区高島平地域で収集されたデータを中心に,住宅団地における移動販売車の利用実態の把握を試みる. まず対象地域において運行している移動販売車の移動履歴と購買履歴の各データを収集し,それらを組み合わせて利用時刻・位置・購入商品に関するデータベースを作成した.そして,そのデータベースや事業者へのヒアリングに基づき,移動販売が利用される地点の空間的特徴と,各利用地点で購入される商品の特徴について分析する.そして,分析結果から都市部における買い物弱者問題に対する支援策としての移動販売の意義・課題について考察する.
P-19 Relationship between the ease of living and medical facility under accessibility アクセシビリティによる医療機関と暮しやすさの関係性
PDF 小林 優一, 河端 瑞貴
研究の目的は、医療施設へのアクセシビリティに関する評価指標を明示し、暮しやすさとの関係性を明らかにすることである。暮しやすさを測るため、1.平均在院日数と2.入院率を変数とし、要介護者における最寄り医療施設へのアクセシビリティの影響力を比較した。
P-20 携帯端末から得られる低頻度測位な人流ビッグデータを用いた通勤・通学の推定及び分析
PDFB-6-2 小林 稜介, 宮澤 聡, 秋山 祐樹, 柴崎 亮介
現在,働き方改革や人間中心の社会(Society5.0)を目指す上で,通勤・通学の質を改善するための検討が求められている.そのためには,携帯電話から得られる人流ビッグデータから対象となる通勤・通学行動を抽出した上で,地域単位・個人単位の通勤・通学の課題を発見することや分析のモデルを開発することが必要である.そこで本研究では,それらの一助となる通勤・通学の推定及び傾向分析を関東圏を対象に,従来の研究とは異なる測位間隔の長い人流ビッグデータを用いて行う.
P-21 電動アシスト付き自転車バイクシェアの費用距離―仙台市ダテバイクの場合―
PDF 吉川 湧太, 小松 謙, 磯田 弦, 関根 良平, 中谷 友樹
仙台市のコミュニティサイクルDATEBIKEを題材に、コミュニティサイクル(バイクシェア)利用時の総費用を数値化し、徒歩とコミュニティサイクル利用の選択分岐点について考察した。
P-22 パーソナルデータを利用した個々人の移動快適性指標の検討
PDFC-3-1 種村 京介, 松原 剛, 金杉 洋, 日野 智至, 柴崎 亮介
近年,QoL(Quality of Life)の向上を目指す取り組みが多くの分野で行われている。特に都市圏における通勤時間帯の慢性的な電車混雑・遅延は社会問題となっており、QoLを著しく下げる一因となっている。通勤におけるQoLの指標としては地域の統計から一律に算出される通勤所要時間が使われているが、必ずしも個人の快適性の実態に沿わないことが懸念される.本研究では,継続的に記録された個人のパーソナルデータを活用し,特に移動に着目して個人単位での移動快適性の指標化を検討する.
P-23 位置情報型ARと画像認識型ARを併用した観光支援システム
PDF 佐々木 諒, 山本 佳世子
昨今の情報化社会は多種多様な情報があり、その中には観光情報も含まれる。しかし、その情報量は多く、また観光地を訪れる人々はその地域の土地勘や知識がないため、観光地内での案内や適切な情報の提供が必要である。そのような手段として、拡張現実 (AR)を用いるシステムが注目されている。 本研究は、利用者が観光をより楽しむことができるように支援するために、AR開発用SDKを用いて、位置情報型ARと画像認識型ARを併用したシステムを構築することを目的とする。システムの要件として、1) 携帯情報端末上で動作するようにすること、2) 調布市観光マップにある4つの観光コースの切り替えを行えるようにすること、3) SDKを用いて表示したARオブジェクトにより観光マップにある観光スポットを表示できるようにすること、4) 画像認識型ARを用いて観光スポットに近づいた際、観光スポットの画像や情報を表示させることの4点を最低限とする。位置情報型ARと画像認識型ARを併用することで、観光客が観光をより楽しむことができるようになることが期待できる。
P-24 荒川流域における大規模水害を対象とした経済的影響の推定
PDFB-3-3 楊 少鋒, 小川 芳樹, 秋山 祐樹, 柴崎 亮介, 池内 幸司
大規模自然災害による一部の地域の経済的被害が経済全体に波及することが示されており,企業の事業活動が継続できる安定的な取引ネットワークの構築が必要である.そこで本研究では,荒川流域における大規模水害に焦点を当て,豪雨災害に伴う河川の氾濫がサプライチェーンにどのような影響を与えるかについて推定する.大規模企業間取引ネットワークデータ及び荒川の氾濫解析データを用いることで,被害の影響を受ける企業の産業構造を明らかにする.
P-25 InVESTを用いた熊本地震被災地における生態系サービスの評価に関する研究 -複合災害発生後の実態および復興計画実行後の予測-
PDF 唐 明暉, 藤田 直子
InVESTとは生態系サービスとその代償のための総合評価を行うために開発されたArcGISのツールである。本研究では、2016年4月の熊本地震と同年6月の豪雨災害で被災した益城町を対象に、災害発生後の衛星データを元にした土地利用変化分析と、Investを用いた生態系サービスの評価を行う。更に、予測分析として震災復興計画が実行された後の生態系サービスを評価する。
P-26 特殊詐欺被害とATMのおかれた物理的・社会的環境との関連性
PDFC-1-5 大山 智也, 雨宮 護
詐欺のような知能犯罪は,加害者と被害対象が必ずしも直接接触しないことから,地理的な傾向と結び付けた検討がなされず,被害発生と関連する場所,地域の特徴が明らかにされてこなかった.本研究では,近年社会的に問題となっている特殊詐欺のうち,還付金等詐欺をとりあげ,被害発生に関わる要因について分析する.還付金等詐欺では,多くの場合,電話を通じて高齢者が特定のATMに誘導されることで発生する.ATMごとの被害の多寡と,そのおかれた物理的・社会経済的環境に着目することで,被害に至りやすいATMは,どのような場所に設置されたものであるのかを明らかにする.結果から,ATMごとの将来の被害発生予測が可能かについて議論する.
P-27 犯罪の時空間分析における時間的・空間的集計単位の検討
PDF 島田 貴仁, 山根 由子, 齊藤 知範
犯罪情勢の分析では,犯罪発生地点のポイントデータの空間分布のみならず,時間的(年・月),空間的(市区町村・警察著)・町丁目)集計データにより,地区間比較や変化の分析が行われる。また,近年,犯罪のオープンデータ施策によっての集計データが公開されるようになった。これらの集計データの分析の場合,適切な時間的・空間的集計単位を設定する必要がある。このため,日本の複数の都道府県を選定し,代表的な侵入犯罪・街頭犯罪について異なる集計単位を用いて犯罪率の分散を検討した。
P-28 HIV感染症/エイズの公衆衛生学的対策に対する梅毒とB型肝炎を代替疾病としたGIS解析の有用性の検討
PDF 今橋 真弓, 金子 典代, 石田 敏彦, 蜂谷 敦子, 岩谷 靖雅, 横幕 能行
我が国のHIV感染者/エイズ患者(以下HIV陽性者)の新規届出数は約1,500件で横ばいの状態が続いている 。また、その大半は、主な個別施策層である同性間性的接触で感染した日本国籍男性が占める。新規HIV陽性者発生を減少させるためには検査機会の提供増と正しい予防知識の普及啓発が必要不可欠である。しかしながら、2017年末時点の累計発生届出数(速報値)は28,750件で罹病率は低いこともあり、それらの個別施策層に対する公衆衛生学的介入の施策立案に資するGISによる疫学情報は乏しい。ところで、HIV陽性者の梅毒及びB型肝炎の合併及び既往率は高い。梅毒及びB型肝炎は共に感染経路は性的接触でありHIV感染症/エイズ(以下エイズ)と同じである。そこで、本研究では、個別施策層を対象に梅毒及びB型肝炎をエイズの代替疾患として用いたGIS解析を行い、HIV/エイズに関する有用な疫学情報が得られるか検討した。性的少数者を対象にHIV、B型肝炎、C型肝炎及び梅毒の検査を行う名古屋市主催の性感染症無料・匿名検査会の受検者を対象としたB型肝炎及び梅毒の合併率及び既往率を調べるためTP抗体及びHBc抗体の測定を追加して行った受検者に対し「出会いの場」等を含むアンケート調査を実施した。総受検者は663人で年齢の中央値は32.5歳(17-70歳)性指向は男性同性愛者が84.2%を占めた。受検者のうち、「出会いの場」で不特定の相手との性的接触があったと回答があった346人(53.5%)のうち、TP 抗体陽性者は67人(19.4%)、HBc抗体陽性者は69人(19.9%)だった。TP抗体陽性者とHBc抗体陽性者の共感染の既往があるのは26人(7.5%)だった。TP抗体陽性者とHBc抗体陽性者の出会いの場は重複している傾向がみられた。これらの「出会いの場」の分布は既報のHIV陽性者の初診時のHIVの塩基配列解析を基にした分子疫学的解析で得られたコホートの分布と一致した。症例数が少ないが社会的に影響が強い疾病においても適切な代替疾病を対象とし、GIS解析を行うことは有用であることが示唆された。
P-29 平成29年7月九州北部豪雨におけるGISを利用した豪雨の表示についてー段ボールジオラマとプロジェクションマッピングへ向けてー
PDF 間々田 夏菜子, 森山 聡之, 鈴木 康之
その過程においては、降雨量や累加雨量をJavaプログラムでPNGファイルに出力し、Google Earthに出力して表示していたが、PNGのデータ量が大きいため、Google Earthで表示するには多大の時間がかかっていた。そこで、今回は、(1)データの範囲を指定した流域メッシュのみ取り出す(2)PNGファイルをGDALライブラリで座標を与えGeoTiff画像に変換する(3)GeoTiff画像をArcGIS Proで取り込み、時系列データとしてmp4動画出力する、ことで動画ファイルを作成、PC画面上のみならず、段ボールジオラマにプロジェクションマッピングが可能になった。
P-30 九州太平洋沿岸地域におけるハザードマップの実態と避難確保計画に関する研究
PDF 上田 裕貴, 藤田 直子
2017年に水防法及び土砂災害防止法が改正され、要件を満たす要配慮者利用施設の所有者管理者に対して避難確保計画の作成・報告及び避難訓練の実施が義務化された。本研究は、九州太平洋沿岸地域の11市町村のハザードマップの収集・分析を行い、マップの使い易さを現地調査で確認し、GISを用いて整理する。さらに、施設管理者に対しアンケート調査を行い、マップの問題点と避難確保計画作成時の課題と改善策を検討する。
P-31 防災の機能としての都市農業の可能性に関する研究
PDF 野見山 奈々, 藤田 直子, 倉田 将幸, 中村 直寿
現在日本では都市農業に関する法的整備が進められ、その促進が図られている。都市農業が持つ役割は多様にあるが、その中で本研究では防災の機能に着目し、GISを用いて分析を行う。研究対象地は福岡県福岡市早良区と西区の市街化区域およびそれに内包された市街化調整区域とした。防災の機能として、防災用地の提供、食糧や水の提供、火災時の延焼防止、豪雨時の洪水緩和を設定し、各項目が都市農地の存在によって発揮される機能を分析した。
P-32 災害伝承の収集とグリーンインフラ防災手法への活用
PDF 藤田 直子
グリーンインフラとは、土地利用において自然環境の有する防災等の機能を有効的に活用し、自然環境、経済、社会にとって有益な対策を社会資本整備の一環として進めようとする考え方である.本研究の目的及び方法は、今まで経験的な認知に留まっていた自然災害における地域伝承をグリーンインフラという新しい概念から評価するため、現地で収集した情報をGISを用いて実証的・定量的に分析することで、防災計画への活用を検討する。
P-33 密集市街地における徒歩避難に着目した防災まちづくりワークショップのデザインと実践-歩行可否予測に基づく道路色分けグループワークを通して-
PDF 榊 愛, 安田 晴佳
平成24年に国土交通省が指定した「地震時に著しく危険な密集市街地」(約6,000ha)のうち、大阪が全国の約4割の面積を占めている。密集市街地における大地震時の安全性を向上させるためには、住民が地域の脆弱性を理解した上で事前に備えて対策することが重要である。本研究では、大阪府の密集市街地である萱島東地区を対象とした住民向け防災まちづくりワークショップをデザインして実践する。大地震発生を想定した場合の地域の弱み、大地震に備えて自分や地域で取り組む対策について、住民が話し合った結果を報告する。
P-34 災害復興期における住宅系不動産の価格形成要因の空間分析
PDF 稲垣 景子, 佐土原 聡
東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方太平洋沿岸地域において、不動産価格を形成する要因を経年的に調べ、各地の被災状況や復旧・復興の進捗状況が不動産の価値に与えた影響について考察する。具体的には、津波浸水区域や災害危険区域、復興事業区域等を地理空間情報として整理したうえで、住居系不動産を対象に、ヘドニックアプローチによる価格形成要因分析を行う。本研究では、不動産価格を指標として住まいの再建の実態を整理するとともに、自然災害リスクを考慮した土地利用・まちづくりに資する知見を提供することを目指す。
P-35 高齢特化係数を用いた避難所の充足度の評価方法
PDF 赤松 哲也, 山本 佳世子
わが国は世界でも有数の地震大国であり、世界で起きている地震の10~15%、マグニチュード6.0以上の地震の約20%が日本で発生している。地震発生後の建物倒壊や火災、津波などが原因で住む家に戻れなくなった人が一時的に滞在する場所が避難所である。また、避難所までは徒歩で向かうことが多く、重い荷物を持つことが想定されるため、家から避難所まで近距離である必要がある。 本研究では、評価対象地域の75歳 以上人口の比率に対して当該小地域の75歳 以上人 口の比率を除した数値を「高齢特化係数」と定義し、これを用いて小地域ごとの避難所の充足度を定量的に評価する方法を提案することを目的とする。評価方法としては、従来の避難所に加えて商業施設や空き地に設置した仮設住宅を追加し、国勢調査や国土数値情報といったオープンデータに基づいて算出した避難所の施設規模や各小地域の中心から避難所までの距離と高齢化率の特化係数を用いて定式化し、小地域ごとに評価値を算出する。そして、評価結果をデジタル地図上に表示することで、避難所の充足度を視覚的に理解することが可能である。
P-36 地震被害等災害予測データによるマンションの耐震改修効果の予測
PDF 王尾 和寿, 花里 俊廣, 温井 達也, 藤原 広行, 中村 洋光, 水谷 浩子, 木村 正夫
今日、多様なリスク情報が提供される中、地震被害予測はかなりの詳細さで成され、250mメッシュ単位での地震動予測地図や、建物被害、人的被害などが推定されるようになった。本研究では,東京都を対象に旧耐震基準(1981年以前)、旧々耐震基準(1971年以前)により建設された建物について、戸当りの被害額の期待値を算出し、仮に耐震改修により新耐震基準にまで引き上げられた場合の被害額との差を求めた。これを耐震改修への支出の合理的な額とし,地域的な特徴を把握した。
P-37 母子世帯のレジデンシャル・セグリゲーション
PDF 安部 由起子, 河端 瑞貴, 柴辻 優樹
地理情報システム(GIS)と空間統計を用いて、全国および母子世帯率の高い沖縄県を対象に、母子世帯のレジデンシャル・セグリゲーションがどこで発生しているのか、なぜ、その場所でセグリゲーションが生じているのかを分析する。まず、1980、1990、2000、2010年の国勢調査の市区町村単位の空間パネルデータを構築し、母子世帯率の横断面および時空間ホットスポットを特定する。次に、なぜ、特定の場所に母子世帯が集積しているのか、その要因を分析する。
P-38 電話帳データを用いた全国の地域クラスタリング
PDFC-4-6 宮本 旺周, 仙石 裕明, 清水 千弘
日本には様々な地域があり、例えば秋葉原・渋谷などの地名からはそれらの漠然としたイメージが思い浮かぶ。本研究ではそのイメージを定量的に捉えるため、法人版電話帳データを用いて全国地域のクラスタリングを試みた。手法としては、メッシュ集計された業種毎の事業所数を変数として因子分析を実施したのち、その因子得点から非階層クラスタリングを実施した。結果として因子分析では、消費・生産などに特化した因子が特徴づけられた。クラスタリングでは、鉄道駅の中心と周辺で地域が検出できたほか、繁華街や町工場地帯のような業種傾向を持つ地域のまとまりも確認できた。
P-39 状態空間モデルを用いた小地域における不動産価格推定
PDFD-1-2 高 龍野, 仙石 裕明, 宮本 旺周, 加藤 真大
不動産取引において、潜在的な不動産価値を把握することは重要度が高く、その予測に関する研究事例は豊富にある。その多くは過去事例に基づいて価格形成機序を明らかにしたものだが、不動産価格は刻々と変わる性質を持つ。 そこで本研究ではリアルタイムな価格を予測することを目的とし、状態空間モデルによって最新価格を推定する手法の構築を試みる。 モデルの更新については小地域における不動産価格を対象とし、アットホーム社の不動産ライブラリーデータを用いる。また、予測値を最新データで検証していくことでモデルの当てはまりを確かめる。
P-40 Airbnb pricing and neighborhood characteristics in San Francisco
PDFD-1-3 Luo Yanjie, 河端 瑞貴
Airbnb is a prominent peer-to-peer platform that accelerates the rapid expansion of the sharing economy. This article analyzes the spatial relationships between Airbnb pricing and neighborhood characteristics such as crime and race in San Francisco. The relationships are examined with bivariate spatial autocorrelation and hedonic pricing model at the block group and census tract levels. The results are expected to help us develop tourism management policies.
P-41 局所的な住宅賃料形成の違いの抽出 -東京都心区を対象とした分析-
PDFD-2-4 石山 里穂子, 井上 亮, 杉浦 綾子
不動産価格の形成要因やその評価は地域により異なるとされ,不動産市場は地理的に分割されていると考えられている.その地域の大きさは様々で,区や鉄道沿線などの比較的大きい区分から,駅勢圏や町丁目などの比較的小さい区分が考えられる.本研究では,街区といった町丁目よりもさらに細かい区分を考え,より詳細な地理的区分の把握を目的とする.
P-42 本社間取引データを用いた事業所間取引データの推定
PDFD-7-4 小川 芳樹, 秋山 祐樹, 篠原 豪太, 柴崎 亮介, 関本 義秀
サプライチェーンなどを対象としたミクロな経済シミュレーションを行う際には,基盤データとなる企業間取引データが重要となる.しかし,現状の企業間取引データは本社間取引データに事業所情報も集計されたネットワークデータになっている.そこで本研究では本社間に集計された企業間取引データを事業所単位の企業間取引に推定する手法を提案する.また開発したデータと地域間産業連関表との比較を通して信頼性の確認をした.
P-43 ふるさと納税の探索的空間データ分析
PDFC-4-2 江端 杏奈, 吉田 崇紘, 爲季 和樹, 瀬谷 創, 堤 盛人
近年、ふるさと納税は地方財源の大切な収入源となっており、寄付総額は増加している。一方で、そのあり方については議論も多い。ふるさと納税の空間的特徴を計量的な観点から議論されたものは筆者の知る限りない。本研究では、総務省の市区町村別ふるさと納税受け入れ額を使用し、その空間分布を可視化し、ホットスポット分析を行うことにより、空間的特徴を示した。結果として、返礼品目当てや復興支援による空間集中や、近隣地域への空間的波及があることがわかった。
P-44 渋谷区一部地域における商業施設店舗数と人口の関係
PDF 水谷 勇貴, 岡部 篤行
本研究は「都心部一部地域における商業施設店舗数と人口の関係」と題して、統計解析とArcGISを使用した地図解析を用いて店舗数と人口の関係を分析した。店舗数データはNTTタウンページの業種分類を元に、約30業種を扱い、人口データはゼンリンデータコムの流動人口データを使用した。具体的には渋谷駅周辺の250メッシュ61メッシュを分析対象範囲として、まずは統計的分析を行った。相関分析、重回帰分析、ステップワイズ分析を主に行い、人口とどの業種が数値的関係が強いかを調べた。次にArcMAPを用いて、対象範囲のメッシュ地図を作成し、数値分析だけでは読み取れない関係を可視化して分析した。総じて、飲食店の関係が強く、駅周辺の人口と店舗が集中する地域に強い相関がみられた。人口はゼンリンデータコムの提供する非常に細かいデータを最大限活用するために、「流動人口、自宅人口、勤務地人口」の3つにわけ、その上で「平日と休日」、「朝、昼、夜」といった具合で分類したことにより、人口種別、曜日、時間帯と様々なベクトルで異なる結果が出て、地域の特性を把握することに大いに役立つ結果となった。ここまで細かい人口データを使用して店舗数との関係を分析した研究は前例がない点で、研究の有効性がある。発表ではより具体的な分析結果を報告する。
P-45 東京都区部における母子世帯居住特性の探索的空間データ分析
PDFC-4-4 柴辻 優樹, 河端 瑞貴
本研究は、東京都区部における母子世帯の居住特性を、探索的空間データ解析手法を用いて解明することを目的とする。公営住宅立地との関連性に着目し町丁単位で分析した結果、新宿区戸山に公営住宅を中心とする高い母子世帯率集積がみられる一方、江東区東雲では近隣傾向よりも顕著に高い母子世帯率となる集積(空間的外れ値)が観測された。また、総世帯数に占める公営住宅戸数の割合が高い地域ほど母子世帯率が高い傾向があることを明らかにした。
P-46 旧藩の境界と選挙区―その経路依存性と変動に関する分析
PDFC-6-1 中島 有希大, 鎌原 勇太, 古谷 知之, 清水 唯一朗
選挙区割に関する政治学的研究では、現代における人口変動とゲリマンダリングに注目する研究がほとんどである。しかし、近年、歴史的な資料を用いる計量政治学的研究が注目を集めている。本研究では、明治維新に続く近代国家形成期を国家建設の過程であると捉える認識の下、旧藩領の古地図を用いることで、旧藩領がその後の近代および現代日本の制度設計、特に選挙区割に対して「経路依存性」をどの程度有しているのかを定量的に把握する。
P-47 業務支援に特化したオープンソースGISの機能拡張事例
PDF 坂元 恭一
GISを業務支援システムとして利用する場合、組み込み機能やプラグインだけでは対応できない処理が必要となることがある。汎用的に利用できそうなものから個別業務に特化したものまで様々である。そのようなケースにおいてデスクトップ版GIS、QGISを例にその実装方式を過去の事例に基づき解説する。
P-48 ディープラーニング物体検出アルゴリズムを応用した検出地物の地理空間データ化と差分管理に係る取り組み
PDFB-4-2 小林 裕治, 大島 聡
人工知能を用いた技術的試みは様々な分野で活況を呈しており, ことリアルタイム物体検出に至っては多くのアルゴリズムやネットワークモデルが存在することから, 課題は実業務への適用に移りつつある. そこで本研究では地方自治体の固定資産税業務のうち償却資産管理業務での人工知能適用について検討する. 実装例としてリアルタイム物体検出アルゴリズム「YOLO」とオープンソースのディープラーニング・フレームワーク「Darknet」を応用し, 大量の航空写真から特定地物の検出・地理空間データ化を即時に行い, 経年差分情報を付与してNoSQLデータベースで管理する仕組みを取り上げる.
P-49 京都地籍図データベースを用いた明治末期の土地所有者構造分析
PDFC-6-3 青木 和人, 矢野 桂司, 武田 幸司
これまで明治末期の大都市全域における土地所有者構造は,ほとんど解明されてこなかった.その理由は、広大な地域分析のためにGISで利用できる歴史的デジタル土地データベースが存在しなかったことも一因である.そこで本研究では,デジタル復刻された1912年刊の京都地籍図データベースを用いて,GISによる空間分析とデータベース機能を活用して京都市全域での明治末期の土地所有者構造を明らかにする.
P-50 WebGISを用いた地図パズルシステムの開発
PDF 根元 裕樹
次期学習指導要領で、高校教育では、GISが必修化する。しかし、GISやコンピュータに対しての理解が不十分な教員にとって、GISは複雑であり、教えるのは難しい。そこで本研究では、高校教育でもよく行われる地形図読解に焦点を当てた。土地利用を読解し、回答することによって、その結果が3Dのパズルのように組み合わさったCGを生成するWebGISを開発した。既存の地形図読解の概念と単純な操作が理解できれば利用できるシステムあり、GIS初心者の教員でも十分に利用できるシステムと考えられる。
P-51 街区レベル居住快適性評価指標を利用した土地利用シナリオ分析の提案
PDFD-5-5 馬場 弘樹, 浅見 泰司
人口減少の著しい地区では、将来土地利用を踏まえた統合的計画を策定することが望ましい。本研究では街区レベルで居住快適性を評価し、建物除却や土地利用変化を反映したシナリオ分析のためのシステムを構築する。方法としては、複数の居住快適性指標を自己組織化マップにより2次元に圧縮し、クラスタリングして分類した後、街区の特徴分析を行う。その後、シナリオによる指標値を入力し、自己組織化マップ上での変化を観測する。対象地は大規模な建物除却がなされたベルリン市東部の住宅団地とする。
P-52 住宅団地における未利用地の実態と転用による利活用に関する研究 -福岡市全域における実態と共同農園への展開-
PDF 倉田 将幸, 藤田 直子, 野見山 奈々, 中村 直寿
住宅団地は高齢化による急激な衰退が懸念されており、団地内の未利用地は各所で増え続けている。一方で、都市における共同農園は近年注目されており、農園の開設数も増加している。そこで、本研究では福岡市内のUR都市機構・福岡県住宅供給公社・福岡市住宅供給公社が有する住宅団地を対象に、未利用地の位置情報・期間、転用の実例などを調査し、築年数・戸数・高齢化率などの情報と共にGISで分析を行ったのち、共同農園転用の可能性を検討した。
P-53 人流ビッグデータを用いた街の賑わいと家賃形成との関係に関する研究
PDFD-2-3 秦 桜蘭, 秋山 祐樹, 小川 芳樹, 柴崎 亮介, 金田 穂高
家賃は建物、部屋の機能や周辺の立地環境など様々な要因により評価される.しかしこれまでに「街の賑わい」が家賃に与える影響を分析した事例は数少ない.また街の賑わいを定量的に評価する方法も殆ど存在しなかった.そこで本研究では携帯電話の移動履歴に基づく人流ビッグデータを用いて,街の賑わいを定量的に推定する方法を提案する.また家賃を街の賑わいの度合いで定量的に評価できるか否かを明らかにすることを目的とする.
P-54 街区沿道密度を推定する方法に関する考察
PDF 服田 帆乃香, 奥貫 圭一
この研究では,世帯や人口といった小地域スケールのGISデータから,これと道路ネットワークデータとを重ね合わせて,街区スケールの世帯や人口の道路沿い密度を推定する方法について考える。具体的には,道路中心線データに対して,交差点から交差点までをひとつのリンクとして扱い,各リンクについて密度を推定する。各リンクを生成元とするボロノイ図を描き,それぞれのボロノイ領域の面積に応じて,各小地域の世帯や人口を按分する。リンクに沿った密度は,リンクの単位長さあたりの世帯や人口であると考えれば,リンクに按分された世帯や人口をリンクの長さで割ったものとして得られる。発表では,この推定方法にしたがって実際にリンク沿い密度を算出した事例を示し,その妥当性を検討してみたい。
P-55 The examination of Gauguin's color preference
PDF 服部 恒太, 塚本 章宏, 田中 佳
Some artists travel in order to study painting or to get inspiration to draw better paintings. For example, many impressionists traveled to Italy to learn painting. Gauguin is one of the post-impressionist artists who traveled to tropical regions; he traveled to Martinique, and Tahiti. The present study examined how Gauguin’s color preference changed through his journey analyzing a couple of his representative works with the RGB color model. The results revealed that Gaugin changed his color preference as he traveled to different places.
P-56 日本版Map Warperを用いた旧版地形図の公開
PDFC-6-4 今村 聡, 鎌田 遼, 矢野 桂司, 磯田 弦, 中谷 友樹
Map Warperは地図の共有のためのプラットフォームであり、TMS等の多様なフォーマットで地図のダウンロードが可能である。本研究では、米国スタンフォード大学と協働し、IIIFを用いてWeb公開している日本の範域の外邦図(20万分1帝国図(112枚)、5万分1地形図(1,111枚))を、日本版Map Warperを通してジオリファレンスする。また、図幅名や測量年などのメタデータを付加することで、旧版地形図の検索性を高めるとともに再利用可能な形で公開し、その利用を促進することを目的とする。
P-57 職業別電話名簿を用いた近代東京の職業分布に関する研究
PDF 石川 和樹, 中山 大地
本研究では,1926年発行の職業別電話名簿に記載された住所情報を用いて,当時の東京市における職業分布に関する統計的分析を行った.名簿に記載された住所に対しジオコーディングを行い,位置情報を付与した後,対象地域をメッシュで分割しメッシュごとに各職業のポイント数を集計した.その後,集計データに対してコレスポンデンス分析を適用し,得られた得点を基に散布図を作成した.その結果,職業の相互分布の関係性や,ある特定の職業に特化した地域が明らかとなった.
P-58 刊行図に描かれた近世大坂の構図と歪みの分析
PDF 塚本 章宏
歴史GISにおける絵図・古地図の研究は,近年多く蓄積されてきている.その多くは,土地利用や歴史的地物の把握,あるいは測量図の描画・測量精度の検証などが主な対象となっている.その一方で,絵図・古地図の歪みは補正される対象以上の注目を集めることは少なかった.本稿では,こうした刊行図の歪みとその経変的な変化を把握することを目的とする.そして、構図の把握や類型・系統の分析方法の一つとして、GISの援用が有効性を検証する.
P-59 熊本地震の被災地における神社の被害と立地、利用の変化に関する研究 -熊本県益城町を対象地として-
PDF 黃 仁鼎, 藤田 直子
神社は様々な価値を持ち、町の中で欠かすことのできない存在である。2016年の熊本地震で震源地となった益城町は特に甚大な被害を受け、町内の神社も例外なく被害を受けた。本研究では、地震発生後2年間の町内の神社およびその周辺地域の変化を土地・人・利用の観点から明らかにする。特に、震災復興計画や居住移転と神社の関係を地理情報分析によって把握し、被災と復興に神社がどのように関わって来たかについて明らかにする。
P-60 Web APIのビッグデータによる宿泊施設の空室状況の時空間的変化―徳島県と新潟県の大規模イベント時について―
PDF 澁木 智之
人口がそれほど多くない市町村において、他県からも観光客が来るような大規模イベントがある場合、深刻な宿不足が起こり得る。大規模イベントがある時は、どのくらい前の時期から宿泊施設が埋まっていくか?宿泊施設がほとんど埋まってしまうエリアは、イベント開催地周辺からどのくらい空間的な広がりがあるか?本研究では、Web APIのビッグデータを用い、徳島県と新潟県の大規模イベント時について、宿泊施設の空室状況の時空間的変化を明らかにする。
P-61 持続的な都市観光地のマネジメントに向けた観光回遊行動の研究
PDF 杉本 興運, 太田 慧, 鈴木 祥平
観光地としての特色が強い都市では、観光者による社会的・経済的インパクトが大きい。そのため、地域のマネジメントや将来の開発を計画する上で、彼らの域内行動を詳細に把握することが必要となる。本研究では、上野地域にて自治体と連携して行ったGPSロガーと質問紙を組み合わせた観光回遊行動調査の分析結果を、持続的な都市観光地のマネジメントにいかに活用するのかを追及する。
P-62 文化的景観の観点からみた長崎県対馬の"コヤ"の多様性と地域特性に関する研究
PDF 小林 秀輝, 藤田 直子
長崎県対馬には伝統的な構法が用いられた倉庫建築が多くみられ、現地では"コヤ"と呼称される。このコヤは島内で共通した構造を持ちながら、その形態や配置には地域差がみられる。本研究では、GISを用いて対馬島内の自然環境や気候や歴史等の特性を把握し、その特性とコヤの形態や配置の関連を明らかにすることで、文化的景観の観点からコヤの多様性と地域特性に対して価値付けを行う。
P-63 ツイートデータを用いた地域イメージの時空間変化に関する研究
PDFC-4-3 渡辺 公次郎, 辻岡 卓
本研究は、徳島市中心部を対象に、2016年7月〜2018年3月までのジオタグ付きツイートデータを収集し、書かれてある内容から、地域イメージを抽出した。次に、それらの地域イメージが出現する時間、場所をGISにより整理することで、地域イメージの時空間変化の特徴を分析し、その結果からまちづくりの方向性を示した。
P-64 現代都市における空間構成要素を利用した観光地の魅力づくりに関する研究
PDFD-4-5 西畑 光, 田中 一成
本研究は、近代化が進む都市の中で観光地の魅力を創出する方法について分析を行っている。既往研究では、京都の祇園新橋を対象に、歩行者の心理分析を行った。その結果、一般市街地から観光地への景色が移り変わりに、歩行者を誘引する効果をもつ可能性が明らかとなった。そこで、歩行者が魅力的に感じている街路の画像解析をおこなった結果、魅力的に感じている街路は主張色と強調色を有していることが分かった。本稿では、それらの結果を踏まえ、車や観光客などの近代的な空間構成要素と色彩を用いた観光地の魅力の分析を行った。その結果、基本的には車などの近代的な空間構成要素は観光地の魅力を低下させるが、色や距離によっては観光地の魅力を向上させる効果を持つことが明らかとなった。
P-65 地域統計データ簡易集計ツールの開発:都市雇用圏統計データの作成を事例として
PDF 桐村 喬
一般的に、市区町村単位などの地域統計データを、属性に基づいて都市圏などの大きな空間単位に集計するには、市区町村と都市圏の対応表と地域統計データとの結合処理が必要になり、データ処理に関する一定の知識が必要になる。本稿では、JavaScriptによる簡易的な集計ツールを開発し、市区町村単位の統計データと都市雇用圏との対応表から、都市雇用圏単位の統計データを作成する事例を示す。本ツールはインストール不要であり、教育現場などのソフトウェア面で制限された環境下でのGISデータ処理を容易にするものである。
P-66 バス停名称を用いた推定寺社位置データの位置精度検証の可能性
PDFC-6-5 相 尚寿, 桐村 喬, 板井 正斉
神社や寺院は都市空間の中で地域活動の場、災害時の避難場所、救援活動拠点などの役割を担う場合があるものの、基本的に私有地であり網羅的に位置情報が整備されていないのが現状である。本稿では国税庁法人番号公表サイトで入手可能な法人の名称と住所から作成された「推定宗教法人位置データ」のうちに寺社ついて、その位置精度を国土数値情報「バス停」データで検証可能かを検討する。法人住所のアドレスマッチング精度が低い場合、近隣に存在する同名バス停から位置が補正できる可能性が示唆された。
P-67 シェアサイクル利用者のGPS軌跡データを用いた道路利用頻度と道路環境との関係性についての分析
PDF 仁平 裕太, 山田 育穂
わが国において自転車の利用は、その健康面などのメリットから注目されているが、その利用環境が十分に整っているとは言いがたい。自転車事故数が増加していることを踏まえると、自転車の利用環境の整備に向けて、利用状況の把握を行うことが急務であると考える。そこで本研究では、シェアサイクルの移動軌跡を示すGPSデータを用いて自転車の利用状況の調査を行う。GPSデータは、人の流動が盛んな駅周辺を対象地域とし、一定期間の観測したものを用いる。道路ネットワークとの位置関係を考慮してGPSデータの緯度経度を補正するマップマッチングの手法をそのGPSデータに適用し、自転車の利用道路を抽出して、その利用頻度と幅員などの道路環境との関係性を分析する。その結果に基づき、自転車の利用状況に適した道路環境の整備のための基礎的な知見を得ることを目的とする。