発表題目一覧 (題目をクリックすると概要を表示します。セッション単位での表示/非表示の切り替えも可能です)
10月27日 (金) 12:20〜13:50 【せんだいメディアテーク】
M-1: 【企画セッション】
IoT×GISによるサイバー空間と物理空間の融合
厳 網林
世界はIoT(Internet of Things)によって現実空間(Real Space)と仮想世界(Cyber space)が融合し,リアルタイムなGIシステム,GIサイエンス,GIサービスが実現されようとしています.GIS学会は2016に「IoTとGIS分科会」を設置し、技術動向と社会応用を調査しています。このセッションはサイバー空間と物理空間を融合させる要素技術と情報基盤について,IoT×GISの技術動向と学術研究,社会応用の課題を検討します.
10月27日 (金) 14:10〜15:40 【せんだいメディアテーク】
M-2: 【企画セッション】自治体分科会
東日本大震災における自治体GISを考える
青木 和人
東日本大震災から6年を経て東北は復興から次のステップへ移りつつあります。 GISは、様々な地域情報や行政情報を活用した地域コミュニケーション基盤として、平時だけでなく、災害発生から復興対応にも的確に対応できるものです。特に住民情報を積極的に活用して市民の満足度を高めるという「東北発」の注目すべき取り組みも始まっています。 本セッションは,復興〜地方創生・これからの地域づくりに向けた自治体職員や、復興・防災・地方創生を支えた地元コンサルタントの方などを話題提供者としてお招きして、GISの活用による効果、導入や運用の課題、今後の展望について話題提供とディスカッションを行います。
10月27日 (金) 16:00〜18:50 【せんだいメディアテーク】
M-3: 【企画セッション】第11回マイクロジオデータ研究会
「地域創生と空間情報のリアル〜今何が出来て、何が出来ていないのか?〜」
秋山 祐樹
我々は 2011 年に「マイクロジオデータ研究会」を発足させ、マイクロジオデータの普及と利活用について産官学の有識者を中心に議論を行って来ました。「マイクロジオデータ(MGD)」とは位置情報や時間情報を持つ時空間的に高精細な(例えば建物や人単位)データや統計の総称のことを言います。MGD は既存の各種統計・空間データでは実現し得なかった、時空間的にきめ細やかな分析や計画支援等への利活用が期待されています。 昨年で研究会発足から 5 年目を迎え、本研究会は MGD に関連した研究だけでなく、「実社会での活用」にフォーカスを当てた活動にシフトしつつあります。そこで第 11 回となります今回は「地域創生と空間情報のリアル」と題し、様々な空間情報を活用した地域創生に関する活動を産学官の有識者の皆様からご講演頂きます。さらに同活動を進めていく中で「今何がどこまで出来るのか」、そして「今何がどうして出来ないのか」ということをご紹介頂き、空間情報を活用して地域創生を進めていく上での課題と今後取り組むべき活動について議論を深めたいと考えています。
10月28日 (土) 9:00〜11:00
B-1: 不動産価格分析 司会: 堤 盛人 + 概要を表示
B-1-1 浸水深と不動産取引価格下落の関係:ハリケーン・カトリーナの高潮被害を例に
PDF 大津 颯, 井上 亮
災害発生に因る不動産価格の下落は,不動産市場参加者や住民の災害危険性に対する認識変化を表す指標として注目されており,数多くの分析がなされてきた.しかし,水害の浸水深は,被害の大きさを通じて不動産取引価格や危険性認識に多大な影響を与えると予想されるものの,浸水深データ整備の限界から分析されていない.本研究は,広域の浸水深データが整備されたハリケーン・カトリーナの高潮被害を例に,浸水深と不動産取引価格下落の関係を分析し,浸水深に対して不動産取引価格下落が指数関数的に増加する様子が確認された.
B-1-2 大都市圏における人口密度と地価と通勤流動との相互関係 -東京大都市圏の事例-
PDF 神田 兵庫, 磯田 弦
本研究では、人口密度勾配、地価勾配、通勤流動の距離低減の3つを比較することで、それらの関係性について探る。
B-1-3 深層学習を用いて地域内のアパート・マンションを同一基準で賃料推定し地図上で可視化する試み ー人工知能は緯度,経度から地域性を学習するかー
PDF 小林 裕治
アパート・マンション等の賃貸情報は不動産取引会社等のWebサイトで広く公開されており, 容易に入手することができる. しかし賃貸物件は, 面積・築年数・構造などの不確定で地域性と関係のない属性を持つことから, 地価のように賃料を場所に紐づけることは容易でない. 本稿では,ビッグデータ(大量の賃貸情報)とディープラーニングを活用して賃料モデルを構築し,任意地点において定量的に賃料推定したのち,地図上で可視化する手法について述べる.
B-1-4 DID法による過去の鉄道廃線が地価に与えた影響の分析
PDF 川久保 槙二, 瀬谷 創
鉄道廃線への代表的な反対意見として,資産価値への負の影響が挙げられることが多い.しかしながら,鉄道廃線が地域に与える影響に関する研究は非常に少なく,地価に与える影響についても現時点では明らかになっているとは言いがたい.そこで本研究では,我が国全土を対象に,GISを用いて1986年以降の公示地価データセットを構築し,過去の鉄道廃線が地価に与えた影響を差分の差(DID)法を用いることで検証した.実証分析の結果,過去の廃線の多くは,5%水準で見て,地価に統計的に有意な影響を与えなかったという結果が得られた.
B-1-5 京都地籍図を用いた大正期における地価の時空間分析
PDF 青木 和人, 矢野 桂司, 中谷 友樹
京都には1000年にわたる人為的な土地利用変遷があり、それぞれの時代における地価分布があった。しかし、過去の地価分布状況に関する時空間分析は、ほとんどされてこなかった。その理由は、過去の地価を示すデジタルデータが存在しなかったためである。そこで本研究では,デジタル復刻された1912年刊の京都地籍図データを対象にGISを用いて大正期における地価の空間的分布を明らかにする。
C-1: 観光・景観 【9:20開始】 司会: 藤田 秀之 + 概要を表示
C-1-2 観光行動に基づく景観の分析と評価
PDF 大﨑 雄治, 吉川 眞, 田中 一成
近年、スマートデバイスの発達とソーシャルメディアの利用拡大により、位置情報をともなうデータが飛躍的に増大している。地域に新たな魅力と価値を創造するため、こうしたビッグデータを活用したまちづくりへの期待が高まっている。本研究では、ソーシャルメディアに投稿されたテキストと写真画像を総合的に分析することにより、観光行動の観点から観光地における景観の分析と評価を試みている。
C-1-3 ツイートデータを用いた徳島市中心部の地域イメージに関する研究
PDF 渡辺 公次郎, 辻岡 卓
本研究は、ツイートデータを用いて徳島市中心市街地の地域イメージを分析し、まちづくりに対する知見を得ることを目的とする。まず、ジオタグ付きのツイートデータを収集し、その中から徳島市中心市街地でつぶやかれているデータを抽出し、テキストマイニング技術により、地域イメージを分析した。その結果、場所ごとに対象地域のイベントや地形に関連するイメージを抽出することができ、その結果を用いて、まちづくりの方向性を示した。
C-1-4 位置情報付きソーシャルメディア等を用いた観光地域ブランドの評価
PDF 鈴木 英之
観光振興に取り組む地域では地域独自のブランド力(魅力)の確立が急務となる。しかしある程度、観光テーマが明確な一部の既存観光地を除く多くの地域において、ブランドコンセプトの開発は難しい課題とされる。本報告はとりわけ観光資源に乏しい中小自治体を念頭に置き、ソーシャルメディア等のデータを用いて、潜在的な観光地域ブランド力の定量評価を試みる。またデータの時空間分布における異質性や投稿者属性の偏りを手掛かりに地域ブランドの個別性を把握する。
C-1-5 ユニバーサルツーリズム安心システムの社会実装に関する考察
PDF 阿部 昭博, 狩野 徹, 工藤 彰
本研究では身体に装着したウェアラブルデバイスとスマートフォンを活用することで,バリアフリー対応施設に関する情報提供のみならず,利用者の主体的な体調管理や家族らによる遠隔での見守りを支援するシステムを開発した.そして,岩手県平泉町でのフィールド実験等で得られた知見をもとに,誰もが安心して旅行を楽しむことのできるユニバーサルツーリズムの普及・促進に資するサービスとしての社会実装の在り方について考察した.
D-1: 歩行者 【9:40開始】 司会: 伊藤 史子 + 概要を表示
D-1-3 心理的ストレス概念に基づく歩行者モデルを用いた建築平面計画の評価
PDF 本間 ありさ, 大佛 俊泰, 金子 弘幸
歩行者の視点による空間の快適性や効率性は、平面計画評価における重要な要素の一つである。筆者らは,心理的ストレス概念を用いて,他者・障害物の影響を考慮した歩行者モデルを構築し、属性別の歩行特性を明らかにした。本稿では,歩行者の心理的ストレスに基づいた空間の快適性や効率性の評価方法を提案する。さらに、家具配置の異なる複数の案で歩行シミュレーションを行い,平面計画時の支援手法としての有効性を示す。
D-1-4 大学キャンパス広場における歩行者属性別の移動特性
PDF 山田 百合子, 大佛 俊泰, 金子 弘幸
広場の利用実態を把握することは、魅力ある広場を計画する上で重要である。筆者らは、大学キャンパス広場を対象に、ビデオカメラを用いた行動モニタリング調査を行い、歩行者軌跡の詳細データを取得するとともに、映像から推察できる範囲で歩行者属性(性別・個人/グループなど)を整理した。本稿では、歩行者の移動行動に着目し、まず、移動軌跡を歩行者の属性に基づき分類する。さらに、分類した軌跡と、出発地から目的地に向かうまでの歩行特性や周囲の環境との関係性について分析し、広場内での経路選択要因について考察する。
D-1-5 景色の変化から捉える街路空間の魅力
PDF 西畑 光, 田中 一成, 吉川 眞
近年,都市空間は機能性だけでなく景観や快適性といった質に対する需要が高まっている.街路も空間としての質の向上が求められており,それを受けて,街路空間の快適性や魅力について多くの研究が行われている.本研究では,街路空間を利用する人は基本的に移動しながら空間を体験していることに着目し,空間の印象は空間が移り変わる瞬間が大きく関係すると考えた.そこで,沿道の建物や付属物が移り変わることで感じる空間変化から空間の性質を捉え,魅力を明らかにすることを試みた.
E-1: 【ハンズオン】
OpenStreetMapマッピングパーティ in 宮城大学
オーガナイザー:西村 雄一郎
オープンな地理情報に対する社会的な必要性が高まる中、それらを市民が自ら作成するVGI(ボランタリーな地理情報)への注目が高まっている。この企画では、GIS学会のハンズオンセッションとしては初めて、VGIの世界的・中核的プロジェクトのひとつであるOpenStreetMapのデータ作成・編集に関する実習を「OpenStreetMapマッピングパーティin 宮城大学」と銘打ち、実施する。「マッピングパーティ」とは、ある特定の地域において、フィールドワークや利用可能なさまざまなデータによる情報収集を行い、それを地図化する一連の流れを実践し、地図作成に関する知識の共有を行う市民の集まり・イベントを指す言葉である。今回は、宮城大学大和キャンパスとその周辺地域を対象としてマッピングパーティを実施し、wiki型の地図作成に関するフィールドワークとデータ編集の実習を行う。
10月28日 (土) 11:00〜12:40
A-2: 【企画セッション】GISCA特別セッション
地方創生のためにGISができること
オーガナイザー:大伴 真吾
国立社会保障・人口問題研究所によると,日本の人口は,2015年国勢調査による1億2709万人から,2065年には8,808万人と推計され,高齢化率は、2015年の26.6%から,2065年には38.4%へと上昇するとのことである.さらに今日,東京の人口一極集中はとまる気配がない.この傾向が続けば,地方の人口は減少し続けることになり,地方創生はより困難になると考えられる.そこで,今回は「地方創生のためにGISができること」をテーマにすえて,ディベートを行う.具体的には,以下に示す二つの立場を想定する. ・東京への人口集中を是認した上で,地方創生を考えるべき. ・東京への人口集中を抑制し,地方に人口を分散させるべき. そして,それぞれの立場をとるグループを作り,GIS技術者の観点でアイデアを出し,両者で議論を展開する.
B-2: 点分布・集積 司会: 瀬谷 創 + 概要を表示
B-2-1 位置・方向情報付き写真群によるホットスポット抽出のための視線のクラスタリング手法
PDF 藤田 秀之, 相楽 翔太, 大森 匡, 新谷 隆彦
本研究では,撮影位置に加え,撮影方向(撮影時にカメラが向けられた方位)の情報を持つ,位置・方向情報付き写真集合を対象とし,そこで多くの写真が撮影されている場所)と,多くの写真の撮影対象になっている場所を抽出する手法を提案する.関心スポット抽出における技術的な課題として,位置・方向情報付き写真は,空間属性として位置(撮影位置)と方向(撮影方向)を持つが,撮影対象の位置情報は持たない.そこで本研究では,位置・方向情報付き写真を,位置と方向の情報を持つ方向付き点データとして扱い,方向付き点データを対象とした新しいクラスタリング手法を提案し,同手法により関心スポットを抽出する.評価の結果,提案手法は既存手法に対し,関心スポット抽出に関する精度・再現率を大幅に改善した.また,ウェブ上の大規模写真共有サービスのデータによる実験の結果,提案手法は,既存手法では抽出不可能だった関心スポットを抽出可能であることを示した.
B-2-2 電話帳データを用いた時系列ホットスポット分析
PDF 森岡 渉, 貞広 幸雄, 岡部 篤行
店の出店や閉店の戦略をたてる立地マーケティングにおいて、地域の店の盛衰状況動向を分析することは基本的な分析である。そこで、本研究では、電話帳データを活用した、盛衰のホットスポット及びクールスポットを発見する手法を提案する。具体的には、東京都渋谷区内の各4分の1地域(250m)メッシュにて全店舗、開店、閉店、継続店に関する時系列ホットスポット及びクールスポットを見つけていく。
B-2-3 探索的空間データ解析による日本の産業集積と共集積の分析
PDF Rim Er-Rbib, 堤 盛人
集積指標は,値の大小によって集積の度合いを比較考察でき,生産分析や業種部門間取引分析において被説明変数として用いられることが多く,重要な役割を担っている.しかしながら従来の集積指標は地理的情報を全く考慮していないため,空間的な側面からの集積を捉えることができないという欠点を持つ(Arbia ,2001).従来の指標では地域ごとに集積の程度を測るに限られるため,集積が地域単位を越えた空間的な範囲で存在していても,それを抽出することは不可能である.上記の問題を克服し,集積の空間的側面に着目した方法論として,データの空間的自己相関を検出する空間統計量を用いて集積を空間的側面から捉える実証研究が,多くの国を対象に行われているが,日本を対象とした分析は皆無である.以上の議論を踏まえ,本研究においては,多数の業種部門を対象に,市区町村という詳細な地域単位レベルで,集積と共集積を測定し, 各業種の集積パターン及び集積範囲を空間的に識別し,考察する.それによって, 日本における空間的側面に着目した産業集積の実証研究の一端を担うとともに,局所空間統計量を用いた集積の分析の可能性を検討する.
B-2-4 時空間領域の形状複雑度設定に基づく点事象集積検出手法の開発
PDF 木元 拓志, 井上 亮
点事象の空間集積領域の検出手法は多数提案され,同一空間領域で一定期間継続する集積の検出へ拡張されたが,時間と共に変化する集積領域の検出手法は提案されていない.空間上の柔軟な形状での検出手法を時空間上に拡張すると,分析の基となる空間スキャン統計の特性上,広範囲を覆う複雑な形状の領域を検出する可能性がある.そこで本研究は,時空間領域の形状複雑度を定義し,その設定に応じた時空間集積領域の検出手法を構築した.提案手法を時空間分布する点事象データに適用し,実行可能性を確認した.
B-2-5 空間スケール横断型の点分布記述指標群
PDF 貞広 幸雄
探索的点パターン分析では,多様な空間パターンを抽出するために,様々な空間スケールでの可視化が推奨される.これは,点分布が少ない場合には可能であるが,多数の点分布を同時に扱う場合には現実的に困難である.そこで本研究では,空間スケールに関して横断的に見られる特徴を抽出するための指標群を提案する.
C-2: データ取得・作成 司会: 阿部 昭博 + 概要を表示
C-2-1 海岸における行方不明者および遺留品捜索のためのGNSS受信機の精度評価
PDF 古屋 聡, 米澤 千夏, 渡邉 学, 園田 潤, 金澤 靖
宮城県閖上地区の海岸では東日本大震災の行方不明者および遺留品捜索のため、航空機搭載レーダと地中レーダを用いて砂中の埋没物の推定が行われている。航空機搭載レーダ画像から現地で埋没物を推定するためには位置精度は重要である。本研究ではハンディGNSS 受信機の測位精度を、基盤地図情報をもとに幾何補正した高分解能光学衛星画像から読み取った基準区間を、実際に歩行しながら測定することによって評価した。その結果、受信する衛星の種類や数による測位精度への影響が確認された。
C-2-2 クラウドソーシングを活用した写真資料(古写真)の地理情報等の同定方法の検討とその課題-京都市電のデジタルアーカイブ写真を事例として-
PDF 髙橋 彰, 河角 直美, 矢野 桂司, 山路 正憲, 山本 俊平, 佐藤 弘隆, 今村 聡
写真資料(古写真)は、民俗学や歴史学、地理学など様々な分野において、過去の生活や景観を知るための重要な資料として注目されている。しかし、個人で撮影された写真は、撮影場所や日時が不明瞭で、学術資料として活用が難しい場合も多い。本研究はデジタルアーカイブされた京都市電の写真資料を事例とし、クラウドソーシングを活用して地理情報を同定する方法を提示するとともに、収集された写真資料の史料的価値を検討する。
C-2-3 衆議院小選挙区のポリゴンデータ及び統計データの作成
PDF 西澤 明
2017年6月に改訂された衆議院議員選出の289小選挙区についてポリゴンデータを作成するとともに、国勢調査の町丁字等集計から小選挙区ごとのデータを作成した。今回の選挙区改訂では105市区町村が分割され、さらに、40以上の町丁字が分割された。中には住居表示の号レベルで選挙区が分かれたところもあり、住宅地図等により場所を確認とするとともに、国勢調査の基本単位区データにより町丁字内の按分比を求めて小選挙区ごとの統計データを作成した。
C-2-4 鉄道設備位置の簡易計測ツールの開発
PDF 高田 佳, 中山 忠雅, 松本 康寿, 徳田 浩一郎, 安井 肇
鉄道の設備位置を正確に把握することは,設備の管理や設計・施工作業の効率化を図る上で重要である.しかし,設備位置の測量作業には線路内の安全確保や,専門技術者が必要となることから,多大な時間とコストを要している.そこで著者らは,軽量なモバイル端末とGNSS機器を連携させ、GIS線路データを用いて,簡易に線路外から設備位置の測量が可能なツールを開発した.本稿では,ツールの概要及び実用性の検証結果を報告する.
C-2-5 複数地点からの常時画像モニタリングによる都市空間上の飛行物体の検出と分類
PDF 祖父江 英謙, 福島 佑樹, 樫山 武浩, 関本 義秀
本研究では,都市上空を飛行する物体の検出から分類までを行うシステムの提案を行った.低解像度の飛行物体に対応するために,物体の検出・追尾に関しては背景差分法とトラッキングの1手法であるKCFを組み合わせた.また複数視点から撮影することで3次元軌跡を復元した.物体の分類に関しては深層学習を使用し,低解像度でも分類が可能であることを確認した.また,実際に六本木にてUAVを飛行する実験を行い,精度の検証を行った.
D-2: 交通 司会: 薄井 宏行 + 概要を表示
D-2-1 交通量調査史料を用いた旧東京市中心部のOD交通量推定
PDF 石川 和樹, 中山 大地
本研究では,大正後期の東京で行われた交通量調査の統計史料を用いて,当時の東京市中心部のOD交通量を推定する.OD交通量の推定には,交差点の分岐率と発生交通量のみからOD交通量を推定可能な吸収マルコフ連鎖モデルを用いた.また,既存の交通量調査地点のみでは地点数が少なく十分な道路ネットワークを形成できないため,分岐率を未知とする仮想の調査地点を複数配置し,進化計算手法のひとつである遺伝的アルゴリズムを用いて最適な分岐率へと収束させ,OD交通量を推定した.
D-2-2 インドにおける長期プローブデータを用いたタクシーの営業行動に関する分析
PDF 坂田 理子, Ashutosh Kumar, 金杉 洋, 関本 義秀
インドの諸都市では交通渋滞が慢性化し、深刻な問題となっている。インド都市部ではタクシーは中流層のポピュラーな移動手段であり、最適な渋滞緩和施策実行のためにはタクシーの挙動を知っておくことが必要である。近年タクシーの挙動分析にはプローブデータが用いられることが多いが、途上国での研究事例は少ないのが現状である。そこで本研究では、プローブデータを用いてインドにおけるタクシーの営業行動について分析する。
D-2-3 大規模商業施設へのアクセシビリティと買い物利便性における 公共交通の効果
PDF 徐 千里, 嚴 先鏞, 鈴木 勉
郊外型の大規模商業施設の立地は,既成市街地の中心市街地を衰退させるばかりではなく,公共交通と連結することにより,交通弱者の購買難民化を防ぐ効果が期待できる.本論文は,公共交通ネットワークデータを用いたネットワーク分析により各地区から商業施設への移動時間を計測し,公共交通による大規模商業施設へのアクセシビリティを求める.そして,自動車のそれと比較し,商業施設毎に公共交通の寄与度を評価することにより,地域の買物利便性における公共交通の効果を明らかにする.
D-2-4 都営バスの目的別利用と時間帯別・頻度別利用の関連分析
PDF 伊藤 史子, 佐藤 理久斗, 小根山 裕之
本稿では都営バスの23区内路線を対象とし、時間帯別頻度別利用者数と利用目的別利用者数の関係をメッシュ単位で分析した。(1)バス停メッシュクラスタ分析からは主要バス停群とその他バス停群に分けられ、(2)時間帯クラスタ分析ではピーク時間帯とオフピーク時間帯の2つのクラスタが得られたので、これらの結果をもとに、(3)回帰分析により2バス停群×2時間帯のそれぞれで目的別利用者がどのような頻度別利用者となって各時間帯のバス利用者数を構成するか推計を行った。
D-2-5 地域内ODフローを考慮した地域公共交通システムにおけるバス・デマンド交通併用の効果分析
PDF 長谷川 大輔, 鈴木 勉
近年,バスやデマンド交通の併用が考慮された地域公共交通網形成計画が全国で作成されているが,特に地方部においてはその基礎情報となる地域内の移動の実態も把握が困難である.本研究では,全国で取得可能なモバイル空間統計を基に地域ODフローを推定した上で,バスルートを設計した際の路線長と,バスで捕捉できない需要をカヴァーするデマンド交通の巡回路長を一元的なフレームによって評価し,一定のサービスレベルを実現するためのコストを最小にする提供量のバランスについて分析する.
10月28日 (土) 14:00〜16:00
A-3: 【企画セッション】若手分科会
多様化するGIS教育 (1)
オーガナイザー:相 尚寿
地理情報システムが普及し、かつ多様な空間データが廉価もしくは無料で利用できる環境が整備されつつある現在、多様な場面でGIS関連の教育が実施されるようになってきた。それは必ずしもかつての地理教育の延長として高機能なGISの理論と実践を扱うものであるとは限らず、ウェブGISによる情報収集と共有を目指したもの、オープンデータやフリーソフトの利活用に主眼をおいたもの、ビッグデータの解析や可視化を行うものなど多様化している。空間情報の収集や表示が行えるデバイスも専用ソフトの入ったパソコンに限らず、タブレットやスマートフォンにまで拡大している。本セッションでは、理学、工学、人文社会系など多様な分野の学生を対象にしたGIS教育あるいは業務内容に特化した実践力が求められる実務でのGIS研修の最新動向を共有し、多様な受講者や多様な作業環境の中でのGIS教育でいかなる工夫が行われているかを探る。 1) 薄井 宏行,樋野 公宏,真鍋 陸太郎 (東京大学大学院 工学系研究科)PDF 「GIS操作法の教育の現状と課題 -東京大学工学部都市工学科の演習におけるArcGISとQGISの同時教育を通じて-」 2) 早川 玲理 (株式会社三菱総合研究所 地域創生事業本部)PDF 「シンクタンク・コンサル業界におけるGIS活用と人材育成」 3) 山田 育穂, 関口 達也 (中央大学 理工学部)PDF 「中央大学理工学部 人間総合理工学科のGIS教育 -演習形式の授業における取り組み-」 4) 菅野 良美 (国際航業株式会社 技術サービス本部)PDF 「自治体業務における普及・啓発に向けた取り組み事例〜民間業者の観点から〜」※ (注記) 発表順やセッションは変更になる場合があります
B-3: 自然・環境 司会: 松岡 真如 + 概要を表示
B-3-1 耕作放棄地の空間特性に関する実証的研究
PDF 李 露露, 川向 肇, 岩﨑 浩, 今西 秀幸
本稿では、JA兵庫六甲管内の兵庫県三田市高平地区を例とした、耕作放棄地に関する空間的データベース構築の取り組みの状況と、そのデータベースを構築した結果から、得られた耕作放棄圃場と耕作継続圃場とに関する空間的特性の各種記述統計量を紹介し、従来定性的に言われてきた耕作放棄地となりやすい圃場の条件と、いくつか独自の要因をとりあげ、これら耕作放棄地と継続地の両者の間に差異が見られるかについて、検証した結果を紹介する。
B-3-2 GISを用いた農業気象データの利用基盤システムの開発
PDF 佐々木 優太, 南野 謙一, 後藤 裕介, 渡邊 慶和
近年,地球温暖化の影響により,水稲をはじめとする農作物の品質低下を引き起こすことが広い地域で問題となっている.気象変動に適応するために農業試験研究機関では,農作物の品種や栽培方法に合わせて地域毎に,生育予測や高温障害予測,栽培管理技術等の研究が行われている.しかし,このような研究成果を地域で活用できる仕組みがない.そこで本研究では,地域毎に存在する研究成果の活用を目的として,GISを用いてこれらの農業支援技術や農業気象データを地域で活用可能な利用基盤システムを開発する.本システムの開発においては,各県の農業支援情報を調査,分析して各地域で汎用的に利用可能な機能を洗い出し仕様をまとめた.具体的には,警戒情報の作成に必要な農業モデルの登録,農業モデルの計算に必要なパラメータを外部APIである全国1kmメッシュ農業気象データサーバから取得して計算を行う機能,この計算結果に基づく警戒基準や警戒ルールの設定,メッシュやグラフによる計算結果の可視化,警戒ルールに基づいて生産者へリアルタイムに通知ができる仕組みを実現した.
B-3-3 マカッサル市特別開発地域における生態学的機能評価による開発計画の定量的評価
PDF 吉田 眞子, 三谷 泰浩, 池見 洋明, Poppy INDRAYANI, Ibrahim DJAMALUDDIN
多くの資源を消費する都市域において生態系の保全が持続可能な地域環境の構築に繋がる。現在,インドネシアのマカッサル市では急激な都市化・無秩序な開発により,緑地の減少や野生動植物の生息地の分断化が生じている。本研究ではマカッサル市の特別開発地域を対象として,GISを用いて都市化による環境負荷を考慮し,自然環境や生態系の保全を含む生態学的機能を空間的に評価し,開発計画の妥当性について検討した。
B-3-4 都市街路における光環境のモデル化
PDF 竹内 修人, 田中 一成, 吉川 眞
夜間の街路景観において、光源やその影響を受ける面の照度や輝度だけでなく、空間における光の向きや色なども合わせてデザインに直結するよう、また広く簡便にその特徴を記述する必要がある。街路内の空間を光の集合として考え、分析することで、今後の街路設計に利用することができる指標を得る可能性がある。本研究は、夜間街路において光源の向きと色に着目し、光が形作る街路の形との関係を記述することを目的としている。大阪市内を対象とした調査と実験から、夜間の街路景観の差異を、夜間景観を構成する光という視点から光の抽象化・モデル化を試みている。
B-3-5 気象シミュレーション結果を用いた高速道路規制の発生予測に関する研究
PDF 小野 雅史, 柴崎 亮介
地球規模の気候変動に伴い、日本においても近年、従来見られなかった様々な異常気象が起きている。特に近年の降雨や降雪は、過去の事例と比べて、集中型で局所的に発生し、かつ、その年によって災害に見舞われる地域が異なる傾向があると言われている。集中型の局所的な降雨・降雪は、道路等のインフラや物流等の経済活動に対しても広範な影響を与える。既存研究によれば、雪害の経済的損失は1日当たり数十億円にのぼると試算されている。現在、高速道路管理者により、豪雨・豪雪等に強い道路造りや管理にむけた様々な努力がなされているが、常時全ての地域に対して対策を講じ続けることは難しい。しかし、もし通行止めの発生場所や発生時刻を事前に予測することができれば、早期の対策や渋滞の緩和など、適応的な行動が可能となり、被害の軽減につながる。そこで、本研究では、過去に発生した高速道路の交通規制イベントを学習し、それに対して気象シミュレーションから得られた将来の気象予測情報を適合することで、高速道路規制の発生を事前に予測する手法を提案する。
C-3: 自治体・維持管理 司会: 青木 和人 + 概要を表示
C-3-1 機械学習と空間情報を用いた、道路管理における維持管理水準の抽出
PDF 前田 紘弥, 関本 義秀, 瀬戸 寿一, 樫山 武浩, 小俣 博司
インフラ維持管理には、多大な人的コストが必要であり、多くの地方自治体で専門家不足が問題となっている。このような状況に対応するために、カメラ画像や機械学習手法を用いてインフラの損傷を自動検出する研究や手法が数多くなされてきた。しかしながら、そのような手法で膨大な量の損傷箇所を検出できたとしても、損傷箇所に対する修繕の意思決定は、道路管理者が道路特性や周辺環境等を考慮に入れて経験的に実施する必要がある。このような理由で、専門家不足に悩む自治体では、損傷箇所に対する修繕の意思決定ができていない。そこで、本研究では、過去の道路の損傷箇所に対する自治体職員の意思決定結果を用いて、損傷箇所に対する修繕の意思決定にとって重要な要素を抽出し、意思決定を自動化することを試みた。日本国内7つの自治体と協働し、道路統計情報と地域特性データを組み合わせることで、結果として、非常に可読性の高い方法で、道路管理者の意思決定を75%の精度で再現することができた。この研究は、今後自治体の意思決定を自動化する可能性を秘めている点が重要である。
C-3-2 中心市街地における屋外広告物の誘導規制の考察 〜京都を対象として〜
PDF 岸川 明弘, 吉川 眞, 田中 一成
わが国では、2003年7月、美しい国づくり政策大綱がまとめられた。その施策の一つとして、2005年6月に景観法が施行された。このような状況のもと、景観をより客観的や工学的に評価する手法を充実させることが重要である。この法律の制定に伴い、屋外広告物法が改正された。それにより、各自治体が定めた条例やガイドラインによって、規制や誘導が図られつつある。本研究では、京都市の中心市街地における屋外広告物について、視覚的影響の把握を試みている。
C-3-3 GISを活用した道路維持管理支援システムの開発
PDF 西岡 隆暢, 有吉 亮, 佐土原 聡
安全な生活道路の保持に資するため、GISを活用した道路管理者の道路点検業務を効率化するアプリを開発する。道路インフラの維持管理情報を効率的に収集、蓄積し、再利用を容易にするためのデータ基盤となる「道路インフラプラットフォーム」を構築し、そのプラットフォームと、道路管理者による日常の道路点検業務をスマートに接続する「道路点検支援アプリ」を開発する。上記のプラットフォームおよびアプリからなる一連のシステムと、既存の道路点検支援サービスとの連携についても検討を行う。
C-3-4 地理空間情報を活用した道路苦情要望処理システムの構築
PDF 岡島 裕樹, 三谷 泰浩, 池見 洋明, 林田 拓都
本研究では,福岡県久留米県土整備事務所道路維持課が有している道路苦情要望処理に関する幾つかの課題に対して,地理空間情報を活用した苦情要望処理システムを構築した。この結果,事務所(PC)と現地(スマートフォン)でリアルタイムな情報共有及びデジタル化が可能になると共に,対応件数等が可視化される等,空間的な分析も可能になった。今後,分析結果による道路維持管理計画への活用を考える予定である。
C-3-5 点検データを用いた早期劣化橋梁のリスク評価に関する一考察
PDF 小川 福嗣, 近田 康夫
石川県ではASRや塩害の影響による早期劣化が生じており,これらに対する劣化機構の解明及び対策の実施が望まれている.本研究では点検記録データを利用し,1kmメッシュの地域ごとにデータを集約し早期劣化橋梁に関して分析を行った.また,ゼロ過剰モデルによる回帰を行い早期劣化に関するリスク要因および高リスク地域に関して分析を行った.
C-3-6 公図における地番ラベル配置問題の解決手法について
PDF 坂元 恭一, 小林 裕治
公図上に地番を表示する場合、筆界の地番が特定できるようにするため出来る限り筆界に地番を収める、収まらない場合は引出線を追加する等、適切な位置に配置する必要がある。しかし、GISの標準的なラベリングでは、地積が小さい筆や歪な筆については、筆界からはみ出してしまうため、公図としての見栄えが損なわれてしまう。そこでオープンソースGISであるQGISを利用し、公図における地番配置問題を解決するため、専用プラグインの開発を行った。
D-3: 施設配置 【14:40開始】 司会: 鈴木 勉 + 概要を表示
D-3-3 高速道路インターチェンジの利用圏の分析-一般化ボロノイ図を応用して-
PDF 服田 帆乃香, 奥貫 圭一
本研究では、新東名高速道路インターチェンジを対象に、一般化ボロノイ図を応用して、その利用圏を分析する。私たちが高速道路に流入するインターチェンジを選択する際、いつも最近隣の地点を選ぶのではなく、目的地の方向によって異なる地点を選んでいる。そこで、一般化ボロノイ図により利用圏を推定した上で、実際のインターチェンジ交通量データとの関係をみる。さらに、将来のインターチェンジ新設地点についても分析する。
D-3-4 保育所新設位置推定のための通勤行動上の時空間制約に基づく需要分析手法の設計と評価
PDF 原田 利江子, 中島 円, 神武 直彦
待機児童数低減のために,都市部では保育所の量的拡大による解決が急がれている。そこで,本研究では時空間プリズムの概念に基づき保育所送迎者の通勤時の時空間制約を考慮した保育所の需要分析手法を設計し,送迎者が通勤の途中で現実的に利用可能な保育所を捉えた需要分析を可能にした.そして実際に東京都世田谷区の一地区に適用する事で,保育所整備政策における効果的な新設位置の推定における有用性を評価した.
D-3-5 Median Share Ratioを用いた介護福祉施設配置の評価方法の提案
PDF 束原 功哉, 山本 佳世子
日本では高齢化が進行し、それに伴い介護福祉施設への需要が高まっている。一方で、その需要に対して十分な数の介護福祉施設がない状況となっている。すべての需要に対応するだけの施設を建設することは困難であり、施設が不足している地域を優先して施設の建設をすべきである。そこで本研究では、介護福祉施設の配置を定量的に評価する方法の提案を目的とする。評価指標として距離負担の公平性の偏りを示すMedian Share Ratio(MSR)を用いて施設の配置状況を定量的に評価する。MSRは施設からの累積距離の上位50%の平均距離を下位50%の平均距離で除すことで得られる。先行研究では線分都市におけるMSRの評価モデルについての議論がなされているが、本研究の独自性として、GISを用いて実在する都市におけるMSRの導出方法を提案する。さらに、MSRを複数の地域に適用し比較・検討することで、距離負担の公平性の観点から介護福祉施設の不足している地域を抽出する。
D-3-6 兵庫県下における精神科心療内科等の立地点に関する空間特性の分析
PDF 肖 飛, 川向 肇
近年精神科心療内科の患者に対する医療の方針が変わり、閉鎖型の病室での医療行為から市民社会の中での生活のとうしての医療行為への転換(精神医療におけるノーマライゼーション)が進められている。その中で鍵になるのは、地域空間における精神科心療内科等の受診施設の存在である。そこで本稿では、これらの受診施設にかかわる空間特性に関する分析結果を紹介する。
E-3: 【ハンズオン】
OpenDroneMapハンズオン
オーガナイザー:岩崎 亘典
ドローンの普及により手軽に高解像度の空中写真の入手が可能となり、植生や土地利用の把握や変化の評価、地震災害時の地表面変動の定量的評価などの災害時の活用などが進められている。そこで本セッションでは、これらの空中写真をこれらの分析に必要なオルソ化画像やDSM(Digital Surface Model)へと変換するための一連の手順について実習を行う。実習にあたっては、主にオープンソースソフトウェアであるOpenDromeMapを使用する。OpenDroneMapは、オルソ化画像の生成に必要な一連の処理を一つのソフトウェアの上で行うことができることが利点である。一方で、ソフトウェアを実行するために、Dockerと呼ばれる仮想環境を整備する必要があり、難易度が高くなっている。そこで本実習では、そうした実行環境の構築も含めて実習を行い、受講者が自身の利用環境下でオルソ画像やDSMを生成できることを目的とする。
10月28日 (土) 16:20〜18:20
A-4: 【企画セッション】若手分科会
多様化するGIS教育 (2)
オーガナイザー:相 尚寿
地理情報システムが普及し、かつ多様な空間データが廉価もしくは無料で利用できる環境が整備されつつある現在、多様な場面でGIS関連の教育が実施されるようになってきた。それは必ずしもかつての地理教育の延長として高機能なGISの理論と実践を扱うものであるとは限らず、ウェブGISによる情報収集と共有を目指したもの、オープンデータやフリーソフトの利活用に主眼をおいたもの、ビッグデータの解析や可視化を行うものなど多様化している。空間情報の収集や表示が行えるデバイスも専用ソフトの入ったパソコンに限らず、タブレットやスマートフォンにまで拡大している。本セッションでは、理学、工学、人文社会系など多様な分野の学生を対象にしたGIS教育あるいは業務内容に特化した実践力が求められる実務でのGIS研修の最新動向を共有し、多様な受講者や多様な作業環境の中でのGIS教育でいかなる工夫が行われているかを探る。 5) 中山 大地 (首都大学東京 都市環境科学研究科)PDF 「首都大学東京におけるGIS Daysの10年間」 6) 河原 大 (株式会社キャドセンター 空間情報デザインチーム)PDF 「CGビジュアリゼーション分野におけるGIS援用と業務効率化」 7) 中村 和彦, 相 尚寿 (東京大学 空間情報科学研究センター)PDF 「東京大学におけるGIS教育研究の発展に向けた取り組み」※ (注記) 発表順やセッションは変更になる場合があります
B-4: 災害(避難) 司会: 阪田 知彦 + 概要を表示
B-4-1 観光都市における疑似的津波集団避難に関する移動軌跡データ分析
PDF 奥野 祐介, 塩崎 大輔, 橋本 雄一
本研究は,集団による津波避難行動の軌跡データを収集し,分析することで,集団避難行動時の課題を抽出することを目的とする.そのために,観光都市である北海道函館市においてGNSSとスマートフォン,開発した軌跡データ収集システムを用いて集団避難行動の移動軌跡データを収集し,GISを用いて避難開始から避難場所に到着するまでの集団内における集団員の順序等に着目して分析を行った.その結果,収集した軌跡データから,集団避難時における課題を明らかにすることができた.
B-4-2 津波避難ビルの階段上昇を含む避難行動シミュレーション -釧路市橋北地区を対象とした基礎的検討-
PDF 深田 秀実, 橋本 雄一, 沖 観行
災害時の避難行動を分析する手法のひとつとして,エージェント・シミュレーションを用いる方法がある.従来の津波避難行動シミュレーションでは,地域における避難場所の配置などに着目した研究事例が多いが,津波避難ビル最上階への徒歩移動を含んだ行動分析の事例は少ない.そこで,本稿では釧路市橋北地区に新設された津波避難ビルの階段をモデル化し,住民が徒歩で当該避難ビルの最上階へ向かって階段上昇する避難行動のシミュレーション分析手法に関する基礎的な検討を行う.
B-4-3 津波浸水の時間経過を考慮した建物ごとの避難可能性の空間分析 -北海道苫小牧市を事例として-
PDF 川村 壮, 橋本 雄一
本研究は、北海道の太平洋沿岸の主要都市である苫小牧市を事例として、都市計画基礎調査データ(建物ごと)と津波遡上データ(浸水域および到達時間)を統合し空間分析を実施することにより、住民の避難可能性を明らかにすることを目的とする。分析の結果、従来の小地域の人口と津波浸水域による分析と比較し、より精度が高いと考えられる結果が得られた。この分析結果は、避難施設の配置計画や津波災害リスクの要因分析に活用できると考えられる。
B-4-4 大地震時における地域特性や断水状況が避難所の混雑度に及ぼす影響
PDF 荻野 光司, 大佛 俊泰, 沖 拓弥, 廣川 典昭
大地震時において、多数の人々が避難所生活を余儀なくされると考えられるが、避難所混雑度の地域特性は十分に検討されていない。本稿では、過去の地震時の調査結果をもとに、筆者らが構築した避難所選択モデルを改良する。また、ネットワーク分析を応用して、個々の建物の断水の可能性を推定する。さらに、こられのモデルを用いて、首都直下地震時における避難所の混雑度を推定し、地域特性を踏まえた混雑度低減のための施策について検討する。
B-4-5 道路構造の違いに着目した歩車錯綜の避難効率評価
PDF 若林 建吾, 鈴木 勉
東日本大震災以降,災害時の自動車避難の在り方が見直されている.避難時における歩車錯綜は幅員や交差点といった道路構造の違いで影響の程度が異なることが考えられる.本研究は,東京区部の分類から得られた道路構造の異なる地区を対象に,歩車錯綜を考慮した避難シミュレーションによる計測を行い,交通量や歩行者割合,避難方向の違いによる避難効率の優劣を比較する.
C-4: 時空間データ・システム開発 司会: 関本 義秀 + 概要を表示
C-4-1 複合現実を用いた時空間情報システムの構築
PDF 牧野 隆平, 山本 佳世子
2020年度から高等学校の社会科では「地理総合」が必修化され、現代的要請に応える課題解決型学習が重視されることになり、地理情報システム(GIS)はグローバル化、防災、ESD(Education for Sustainable Development)とともに、重要な要素として位置付けられることになった。また、「空間情報」に経年変化などの時間情報を加えた「時空間情報」は、現代の情報だけでなく過去の情報も付加することができるため、歴史や文化、教育など幅広い分野で「時空間情報」を利活用した研究が盛んに行われるようになった。さらに近年では、AR(拡張現実)を用いたアプリケーションも日常生活において急速に普及しつつある。以上の学術的・社会的背景を踏まえ、GISを用いた時空間情報の可視化による具体例として、江戸・東京再現したVR(仮想現実)にARによる情報取得も組み合わせて、MR(複合現実)を用いた時空間情報システムを構築した。本システムは、江戸時代の浮世絵や災害等の情報を可視化させ、地理・歴史の教育だけでなく、観光分野においても、ユーザに楽しみながら利用されることを目指す。
C-4-2 編年時間参照系モデルによる曖昧な時間属性に対する問合せ方式の実装
PDF 村尾 吉章, 森本 晋, 清野 陽一, 藤本 悠 , 玉置 三紀夫
筆者らはこれまで地理情報標準を拡張した編年時間参照系モデルを提案してきた.本研究では,これに基づく実装システムを作製し,当モデルの実用性を改めて検証した.この検証では,奈良文化財研究所の遺跡データベースから抽出した遺構情報のメタデータを使用した.その結果,曖昧な時間属性をモデルに基づいて表現することによって,例えば○ しろまる ○ しろまる 時代後期から△ しろさんかく △ しろさんかく 時代前期などの柔軟な時間範囲での検索や,時間順での並べ替えなどの機能が実現できた.
C-4-3 時空間データベースシステムによる随時更新型カーナビゲーションと高精度道路データ応用
PDF 角本 繁, 吉川 耕司, 小笠原 茂宏, 畑山 満則
カーナビゲーションシステムや自治体の地図システムでは、事前に算出された道路ネットワークデータや地域データが利用されてきた。本提案の時空間データベース記述によって、交通関連データや高精度地図データの動的管理方式を開発した。空間データベースの随時更新機能によって、カーナビゲーションと運転支援の統合や災害対応の高度化への適用を試みた。
C-4-4 変化を伴う応用スキーマとインスタンスの記述法の検討
PDF 太田 守重
近年,デジタルデータは等比級数的に増加している.一方で,それらのデータは多くの場合,仕様が示されても,仕様自体が改定されると,新しいバージョンのデータセットができることが多く,新旧のデータ要素同士の時間的な関係把握が困難になる可能性がある.従って,このまま放置すれば,互いの時間的な関係が不明なデータが増加するであろう.そこで,ここでは時間的な変化を含む応用スキーマとインスタンスが記述できるようにして,データを異なるバージョンに分けなくても済む方法,つまり,時間とともに発展するとともに,時間断面を指定するとその時点の応用スキーマとインスタンスを抽出できるようにする方法を検討する.
C-4-5 時間概念の整理と関数を用いた曖昧な時間属性の実装方法の検討
PDF 藤本 悠
地理空間情報科学における課題の一つに現実世界のモデル化とその実装がある。地理情報標準(ISO 19100シリーズ)はその具体的な実装方法を提供しているが、時間情報のモデル化と実装方法には課題が多い。特に、曖昧な時間表現の実装は十分には検討されていない。そこで、本研究では認識上の時間概念を整理するとともに、関数を用いて曖昧な時間情報を実装する方法について検討し、曖昧な時空間現象の実装を試みる。
C-4-6 クラウドコンピューティング環境における空間情報サービス実装の試み
PDF 嘉山 陽一, 柳下 大, 北島 理司, 須藤 毅, 大伴 真吾
近年クラウドコンピューティングが コンピュータの利用環境として利用されることが増大してきた。クラウドコンピューティング環境では様々なコンピュータ利用のためのリソースが仮想化され、それらの利用についてもコードで制御できる。そのため様々なレベルでの計算インフラの作成や維持管理をコードで制御することができる。そのような新しいコンピュータインフラを利用して情報サービスを構築すると従来のサービス構成とは異なる手法をとることで性能の向上、コストの削減、運用管理の手間の削減やサービスリリースまでの期間短縮等様々な点で改善を実現できる。空間情報サービスについても地図画像配信サービスやデータ検索サービスをクラウドコンピューティング環境の様々な手法を利用することで多くの利点があると思われる。本発表ではクラウドコンピュータ環境での空間情報サービスの実装例としてG空間情報センターでのクラウド利用例を解説し、空間情報サービス構築でのクラウド手法の利点について考察する。
D-4: 人口・地域分析 司会: 花岡 和聖 + 概要を表示
D-4-1 東日本大震災における復旧・復興の早期回復要因の推定手法に関する検討
PDF 佐藤 大誓, 小川 芳樹, 秋山 祐樹, 柴崎 亮介
地震災害に対するレジリエンスな社会の実現のためには、被害そのものを防ぐことだけではなく、被害を受けた後の復旧・復興についても、より早期の回復に向けた取り組みが必要である。そのためにも、災害後の早期回復要因を知ることは重要である。そこで本研究では、2011年東日本大震災における、各地域の被害率と、滞留人口の時系列変化およびインフラの時系列の復旧状況を比較し、災害後の復旧・復興の早期回復要因の推定を行った。
D-4-2 複数の人口データの統合による都市内滞留者・移動者の時空間分布推定
PDF 早坂 遼, 大佛 俊泰, 沖 拓弥
都市内滞留者・移動者の時空間分布を把握するために,現在,様々な種類の人口データが提供されている。しかし,都市内滞留者・移動者の時空間分布を,広域かつミクロな空間スケールで,精度良く把握可能なデータは見当たらない。そこで本稿では,モバイル空間統計データ、パーソントリップ調査データ、国勢調査データという、性質の異なる複数の人口データを用いて、それぞれの短所を補い長所を活かす、データの統合を行い、都市内滞留者・移動者の特性について分析する。
D-4-3 地域の生活環境が出身地への移住意向に及ぼす影響 - 現住地と出身地の生活環境評価や各項目の重視度に着目して –
PDF 関口 達也, 林 直樹, 杉野 弘明, 寺田 悠希
本研究では、Webアンケートにより得られた全国的なデータを用いて定量的な分析を行い、出身地への移住意向に影響を与える生活環境項目を抽出する事を目的とする。分析では、現住地と出身地の生活環境の評価を考慮した定量モデルを作成し、移住意向への影響が大きい生活環境項目の抽出と、各項目の地域差の発生しやすさを把握する。また、各項目の重視度を用いた分析も行う事で、人々の評価意識構造との関連についても検討を行う。
D-4-4 中国における地級・県級行政区統計を用いた地域構造分析
PDF 坪井 塑太郎
近年では中国国内の地域データの多くがインターネット上で公開されるなど,比較的容易にその取得は可能になっている.しかし,それらは一級行政区(省・直轄市・自治区)単位で行われているものが多く,マクロ的な把握は可能になっているが,本研究では,域内の詳細な分布特性や地域間相互の関係性を検討するために,下位行政区に相当する地級・県級の自治体に着目し,同地域データを用いて地域構造を明らかにすることを目的とする.
D-4-5 首都圏大規模開発地を対象とした地域の持つ特徴量抽出ならびに定量化の為の研究
PDF 前田 翠, 関本 義秀
The purpose of this research is to extract features of areas, quantify those features, and to compare areas based on them. In this research, we refer a plot of land that is within a neighborhood as one area and calculate similarity ratio between areas in Tokyo 23 wards by cosine similarity based on 8 different feature values, which are also calculated in this paper. The results show that pairs of similar areas which are chosen by cosine similarity are consistent with our recognition.
10月29日 (日) 9:00〜11:00
A-5: 【企画セッション】
GISとARを組み合わせた地理教育
オーガナイザー:伊藤 悟, 山本 佳世子
高等学校で2022年度以降、必履修科目として開設される「地理総合」では、GISの活用がより重要になる。しかし、GISの活用について、学校現場に不安がないわけではない。そこで、容易にGISを利用し、かつ効果的な授業が展開できる方法の1つとして、GISとAR(拡張現実)技術の組み合わせに関心を寄せ、本セッションでは、その授業実践の試みやシステム開発について、次のような報告をもとに意見・情報交換を行う。 1) 伊藤 悟,井田仁康PDF 「地理教育におけるAR(拡張現実)技術の有用性-位置情報型ARに焦点をあてて-」 2) 久島 裕,伊藤 悟,鵜川義弘,秋本弘章PDF 「GISとARを組み合わせた地理教育(1)-福井県立武生高等学校での実践例-」 3) 大西宏治,秋本弘章,鵜川義弘,伊藤 悟PDF 「GISとARを組み合わせた地理教育(2)-富山高等専門学校射水キャンパスでの実践例-」 4) 秋本弘章PDF 「GISとARを組み合わせた地理教育(3)-獨協大学の教職課程における教材開発実践-」 5) 鵜川義弘,齋藤有季,伊藤 悟PDF 「地理・環境・防災教育に使える位置情報型ARアプリの開発」 6) 山本佳世子,牧野隆平PDF 「地理教育におけるバーチャル時空間情報システムの利活用」
B-5: 災害(被害把握) 司会: 沖 拓弥 + 概要を表示
B-5-1 空間的相互作用モデルを用いた東日本大震災における活動地別死亡率の推計
PDF 小松 謙, 磯田 弦
東日本大震災は日中に発生した災害であるため、被災者はかならずしも居住地ではなく活動地で被災している。既存の警察発表データでは、死亡者の居住地は明らかにされているが活動地は示されていない。そこで本研究では、東日本大震災死亡者の被災場所について空間的相互作用モデルを適用して小地域レベルでの居住地と活動地の相互作用の推計を行い、活動地別死亡率を推計する。
B-5-2 被災地からの写真付災害通報を活用した災害状況可視化システムの提案
PDF 小野 慎平, 荒木 俊輔, 硴崎 賢一
災害発生時の被災対応を速やかに行うためには、災害情報の収集と分析が重要である。従来電話による災害通報が多用されているが、口頭では災害の場所や内容を正確に取得し迅速に分析することが難しい。そこで、本研究では被災地からスマートフォン等で送られてきた写真を利用した災害状況の収集・可視化システムの構築を進めている。本システムでは、写真のExif情報から取得した位置時刻情報に基づき災害情報を地図上に集約することで、災害発生の場所や範囲、時間的・空間的な進展を可視化する。さらに、抽出した位置情報とハザードマップや人口情報を照合することで自動的に災害の種類や被災者数の推定を行うシステムの実現を目指している。
B-5-3 大地震により損傷した鉄筋コンクリート造建築物の三次元点群データによる壁面損傷性状評価手法に関する研究
PDF 平河 拓也, 曾 鑫, 荒木 俊輔, 硴崎 賢一, 向井 智久, 石井 儀光
大地震動により生じた鉄筋コンクリート造建築物の壁面損傷性状を、レーザープロファイラによって得られた三次元点群データを使用して分析するとともに可視化する手法に関して検討を行った。
B-5-4 大地震により損傷した鉄筋コンクリート造建築物の三次元点群データによる残留変形計測法に関する研究
PDF 朝田 拓照, 曾 鑫, 荒木 俊輔, 硴崎 賢一, 向井 智久, 石井 儀光
大地震動により生じた鉄筋コンクリート造建築物の残留変形を、レーザープロファイラによって得られた三次元点群データを使用して正確かつ迅速に計測する手法に関する検討を行った。
B-5-5 鉄筋コンクリート造建築物の三次元点群データを利用した地震後の損傷状況の図面の作成手法に関する研究
PDF 曾 鑫, 朝田 拓照, 行徳 直光, 荒木 俊輔, 硴崎 賢一, 向井 智久, 石井 儀光
大地震による被害を受けた建築物の被災状況の危険度を確認するためには、建築物の損傷性状の正確な把握が求められる。そこで本研究では、レーザープロファイラによって得られた鉄筋コンクリート造建築物の三次元点群データから建築物の地震後の損傷状況の図面を作成する方法の検討を行った。
B-5-6 大地震時におけるSfMを活用した建築物被害図の迅速な作成方法の実用化に向けた検証
PDF 阪田 知彦, 岩見 達也
大規模地震時において早期の建築物被害の面的な把握と可視化は、様々な災害対応の場面において重要な地理的情報である。しかし,建築物は対象数が多いことから手間と時間がかかるとされてきた。大地震発災直後の市街地の被害状況を撮影した空撮画像等から迅速に建築物被害図を作成する方法の開発の一環として、SfM(Structure from Motion)により3次元化したデータと発災前の建築物データ等の地理空間情報に基づいて迅速さを重視した建築物被害図の作成方法の概要と実用化に向けたいくつかの検証結果について報告する。
C-5: 3Dデータ 司会: 瀬戸 寿一 + 概要を表示
C-5-1 大規模三次元点群データを用いた文化遺産のVR体験システムの構築に関する研究
PDF 浜田 侑輝, 曾 鑫, 荒木 俊輔, 硴崎 賢一, 向井 智久, 石井 儀光
文化遺産の現状把握と保全のために取得した点群データを利用して、そのVR体験を行えるシステムの開発を進めている。規模の大きい対象物の点群データは膨大な量になり、 表示速度が著しく低下するため、そのままでは、高いフレームレートで高速な表示を行う必要があるVRシステムで利用できないという問題がある。そこで本研究は,大規模な点群データに基づく表示を高速化する表示方式の検討を行った。
C-5-2 GIS3DモデルによるCyber Physical City System のためのプラットフォーム構築の試み (2)(研究会ポータルの運用と課題)
PDF 谷 光清, 佐藤 裕一, 佐土原 聡
本研究は、これからの自律型のスマートな社会づくりのための社会システムデザインに関する。こらからの都市環境の社会課題は多岐にわたり、課題の増大や複雑化が進んでいる。それに伴い、従来の自治から住民(需要者)主体の自律化社会が求められる中で住民が参加し、扱いやすい地図情報プラットフォームが求められている。今回、需要者を研究者に見立て、研究用のポータルを構築、試行することで実践的な課題探索研究を行った。
C-5-3 GIS3DモデルによるCyber Physical City System のためのプラットフォーム構築の試み (3)
PDF 佐藤 裕一, 谷 光清, 佐土原 聡
GIS 3Dモデルを基盤としてCyber Physical City System を構築するための全体アーキテクチャの基本的な枠組みを構築することを検討している。今回は横浜みなとみらい21地区を対象フィールドとして、CPCSの構築にあたっての具体的な課題と開発手法、特にSystem of Systemsのコンセプトを導入して、異なるドメイン(領域)のコンポーネントを連携する手法について検討した。
C-5-4 3D Tilesを用いた効率的な3次元都市空間データの作成と表示
PDF 福島 佑樹, 関本 義秀, 瀬戸 寿一
近年,科学技術の発展により個人で使用するコンピュータの性能が著しく向上している.コンピュータの高性能化に伴い,専用のソフトウェアを必要とせずWebブラウザ上で地理情報の解析や表示が可能なWeb GISが普及してきている.しかし,既存のWeb GISは,建物などの広範囲かつ大量に存在する3次元都市データを軽快に表示することが困難である.そこで,本論文では,オープンソースの3次元Web GISであるCesiumを用いて軽快に表示可能な3次元都市空間データの作成手法について述べる.特に,地図タイルと同様,表示に必要な部分のみ必要な解像度で配信するオンデマンドストリーミングを3次元モデルで実現した3D Tilesについて述べ,様々な環境における3D Tilesの動作を検証する.また,3D Tilesを用いた建物と人の流れの効果的な3次元表現手法を3次元都市空間の表現例として例示する.
C-5-5 3次元都市モデルを用いた機械学習による観光写真撮影位置推定手法の試み
PDF 田邉 快登, 佐藤 俊明
近年、ジオタグ付き観光写真を用いた観光周遊に係る研究が多く存在する。しかし、ジオタグ付き写真は、ジオタグ無し写真に比べて絶対数は少なく、これによる解析は数量的偏りが存在しうる。そのため、ジオタグ無し写真の撮影位置を推定し、解析に利用可能とすることは重要である。そこで、仮想3D都市空間における観光写真を機械学習し、これによって実際のジオタグ無し写真のおおよその撮影位置を推定する手法を検討する。
C-5-6 ポリゴン縮小処理による3次元地形モデルの自動生成
PDF 村瀬 孝宏, 杉原 健一
整備案を具体的な形にする「3Dモデル」は,現実に出来るであろう「整備案」を分かりやすく周知し,合意形成に役立ち,「防災まちづくり」を支援する.しかし,整備案の3Dモデルを作成するには3次元CGソフト等を用いて,多大の労力と時間が必要である.筆者らは,これまでの研究で,電子地図上の建物境界線(建物ポリゴン)を長方形の集まりまで分割・分離し,各長方形の上にBOX形状の建物本体,上から見て長方形形状の屋根を載せて,建物3Dモデルを自動生成する手法を提案した.本研究では,「整備案の3Dモデル」を構成する,3次元建物モデルが建てられる整備した地形となる「3次元地形モデル」を外周線などのキー等高線から自動生成するシステムの研究・開発を目的とする.
D-5: 居住・土地利用 司会: 村上 大輔 + 概要を表示
D-5-1 表計算ソフトを用いた都市の空間計画立案支援シートへのデータ入出力機能の実装
PDF 相 尚寿, 片桐 由希子
人口減少・高齢社会に対応して都市空間のコンパクト化が注目されている。空間計画立案には人口分布や施設配置など多様な空間データの分析が有効ながら、自治体職員や地域住民にとって空間データの入手やGISの使用は依然としてハードルが高い。そこで筆者らは表計算ソフトで空間計画立案を支援し、計画の事業性を簡易的に試算するシートを提案した。一方、試算のパラメータとして入力する人口が10000マス分を超えることや試算結果をGISに移植できないことが課題であり、本稿では新たに搭載した、メッシュコードに対応付けられた人口データを本シート用に自動整形する機能、試算結果に緯度経度を付加して書き出す機能を紹介する。
D-5-2 スマートフォンを活用した空き家等の現地調査
PDF 伊藤 優, 魚谷 咲良, 髙橋 慧
現地調査において、紙地図や調査票を持ち歩き記入することがある。これによる資料紛失、調査後のデータ入力による誤りなどのリスクが考えられる。これらのリスクを少しでも軽減でき、普段使い慣れたスマートフォンを使用して簡単に効率の良い調査を行うためのアプリケーションを開発した。ここでは、最近社会問題となっている空き家についての調査事例に沿って紹介する。
D-5-3 デジタル電話帳を用いた空き家分布推定手法の検討
PDF 秋山 祐樹, 駒木 伸比古, 大崎 圭祐, 仙石 裕明, 六信 孝則, 杉田 暁
近年、日本では全国で空き家が増加し続けており、自治体においても空き家の分布を把握する必要性が高まっている。そこで広域の空き家の分布状況を迅速かつ安価に、そして継続的に把握・推定する手法が求められている。そこで本研究では最新から過去数年分のデジタル電話帳(個人宅を含むもの)を活用して、建物ごとの電話の開通状況を把握することで建物ごとの空き家率を推定し、同データを集計化することで、任意の空間単位でその地域の空き家数や空き家率を推定・把握する技術開発の検討を目的とする。
D-5-4 都市構造のモニタリングを目的とした空き家分布の広域推定モデルについて
PDF 小野 裕基, 植松 恒, 熊谷 樹一郎
少子高齢化の進展に対し,都市構造のモニタリングが必要とされている.その一端として空き家の分布を把握することが期待されているが,現地調査における時間と労力の問題や空き家の認定方法にもまだ多くの議論がある.本研究では,空き家の調査を実施するととともに調査結果から得られた情報を参照しながら,水道栓データ,固定資産データ,建物種別データを階層ベイズモデルに適用し,広域的な空き家分布の推定を試みた.
D-5-5 大阪府吹田市における共同住宅単位での年齢・世帯構成の長期的変化に関する分析
PDF 桐村 喬
本研究では、国勢調査の調査区地図や調査区別集計等を用いて、1975年以降の居住者特性の長期的変化の動向を分析し、分譲、賃貸、社宅などの共同住宅の特性と年齢・世帯構成の変化との関係を明らかにする。一定規模以上の共同住宅は、棟や団地単位で調査区が設定されているため、住宅特性と関連付けながら人口の変化を把握する。対象地域は、業務地区としての都心的特徴と、千里ニュータウンをはじめとする郊外住宅地としての特徴を備えた大阪府吹田市である。
D-5-6 モバイル空間統計サマリーデータの大字レベル居住地の推定方法
PDF 瀧澤 重志
モバイル空間統計の特徴は,人の時空間分布をそれなりの解像度で把握できることに加えて,都道府県レベルから大字レベルまでの3段階の空間解像度のレベルで,住所などの個人情報の集計値も取得できることである.このため,帰宅困難者など従来は詳細に推定することが難しかった問題に対して,より詳細な空間解像度で人口を推定できる可能性を有している.しかしモバイル空間統計は,秘匿処理により条件を付与したレコードの人口数が9人以下のレコードを削除してデータが提供されている.したがって,空間解像度が高くなるほど欠損数が多くなり,本来このデータが持つポテンシャルを十分活用できていない.そこで本研究では,他の荒い解像度のデータと国勢調査の小地域統計のデータを組み合わせ,大字レベル居住地を推定する手法を提案する.
E-5: 【ハンズオン】
SfM写真測量による簡単マッピング
オーガナイザー:内山 庄一郎・早川 裕弌
SfM(Structure from Motion)写真測量とは複数の写真から被写体の立体形状を復元する技術です。UAVを用いた公共測量マニュアル(案)(国土地理院、2017)にも取り上げられるように、特に、無人航空機(ドローン)で撮影した写真からオルソモザイク画像(写真地図)やDSM(数値表面モデル)を作成する作業に調和的な技術です。ハンズオンでは、この技術の概要と使いこなすコツを解説し、写真の撮影からオルソモザイク画像の出力までの一連の作業を行います。地形データを自分で作る時代の到来です。ぜひ、ご参加ください。ノートPC(Win/mac)と電源アダプタが必要です。
10月29日 (日) 12:20〜14:00
A-6: 【企画セッション】今後の地域の情報システム×市民×まちづくりのあり方
今後の地域の情報システム×市民×まちづくりのあり方
オーガナイザー:関本 義秀, 瀬戸 寿一
近年、IoT・スマートシティ等、技術的には様々なものが出ているが、地方自治体等、地域のステークホルダー等を巻き込むようなデータ、システムを使った興味深い取組や、国内外のトレンドはどのようなものがあるだろうか?以下の対談形式で進めていく。 「国内外のシビックテック・スマートシティの取組と地方間の連携」 (富山大・大西宏治 准教授 × 東大・瀬戸寿一 特任講師) 「市民協働型レポートちばレポの展開と地域のIoT」 (宮城大・蒔苗耕司 教授 × 合同会社Georepublic Japan・東修作) 「都市計画の現場とツールのあり方」 (東北大・増田聡 教授 × 東大・関本義秀 准教授)
B-6: 災害(防災・減災 1) 司会: 深田 秀実 + 概要を表示
B-6-1 特定緊急輸送道路の沿道建築物耐震化とアクセシビリティ評価
PDF 岸本 まき, 大佛 俊泰, 廣川 典昭
大地震発生直後の広域支援活動や消防・救急活動などを円滑に行うためには,特定緊急輸送道路の機能確保が必須となる.本稿では,まず,大地震時の物的被害モデルと緊急車両活動モデルを統合することで,特定緊急輸送道路を用いた空間移動を記述するシミュレーションモデルを構築する.つぎに,これを用いて沿道建築物の耐震化推進とアクセシビリティとの関係について定量的に評価する.
B-6-2 オープンソースライブラリを用いた津波浸水に関する時間発展の可視化
PDF 塩崎 大輔, 橋本 雄一
本研究はオープンソースライブラリであるCesiumを用いて、津波浸水に関する時間発展可視化システムを開発し運用することで、システムの有用性を検証することを目的とする。津波浸水データに関しては北海道総務部危機対策課が作成したデータをGISにてラスタ化し利用する。システムを運用した結果、津波発生からの経過時間を任意に設定する機能を実装することにより、システム上で逃げ遅れの状況をシミュレーションできるなど、システムの有用性が検証できた。
B-6-3 非構造格子を用いた浸水シミュレーションにおけるGISの役割
PDF 畑山 満則, 青木 和人
水防法第14条に基づき,洪水予報河川及び洪水特別警戒水位への水位の到達情報を通知および周知する河川(水位周知河川)において,洪水時の円滑かつ迅速な避難の確保を図るため,浸水想定区域図の作成が義務付けられている.浸水シミュレーションは,構造格子を単位として計算されるとこが一般的であるが,より直感的に土地利用や地形をを考慮すること可能な非構造格子を用いた手法が提案されており,実際のハザードマップ作製に利用されて事例も増えてきている.本研究では,非構造格子を単位とする浸水シミュレーションを行うために必要なデータ作成に対してGISの果たす役割について整理する.
B-6-4 オープンデータ化された防災関連空間情報を活用する防災ウェブアプリ「ハザードチェッカー」の開発
PDF 有馬 昌宏, 田中 健一郎, 亀井 達樹
構造物に依存しないソフト防災を効果的に機能させるためには,避難すべきかどうかの判断と避難するとすればどこにどのように避難するかの意思決定を支援する情報の提供が必要になる.ハザードマップや指定緊急避難場所や防災気象情報などの自然災害に関連する空間情報は,オープンデータとして公開が進み始めており,国土交通省の「重ねるハザードマップ」などのアプリも開発されてきている.しかし,これらのアプリで獲得できる情報は,情報品質の観点から評価すると,必ずしも情報品質が高くなるように配慮して提供されているわけではない.本研究では,現在地や住所等で指定した特定地点について,自然災害によるハザードの有無とその地点のある自治体に発令されている防災気象情報と近隣の指定緊急避難場所を表形式でわかりやすく表示し,さらにハザードマップもデジタル地図で災害種別に応じて切り替えて表示でき,自治体の防災関連ウェブサイトなどにもリンクが張られて,ワンタップでワンストップの防災関連情報の獲得が可能な防災関連空間情報の情報品質を高めるウェブアプリを開発しているので,このウェブアプリの開発の背景と機能と今後の発展可能性を紹介する.
B-6-5 南海トラフ巨大地震を想定した四国地域内緊急輸送道路選定に関する事例研究
PDF 柳川 竜一, 三好 凌介, 岡本 孝裕
本研究では,四国地域を対象に南海トラフ巨大地震に関連する災害情報の可視化と,複合災害を考慮した緊急輸送経路の提案およびその効果について考察した.道路網は,各県が設定した緊急輸送道路をGIS上で加工し,起点である香川県高松市から目的地である終点(徳島県・高知県・愛媛県の防災拠点)への最適なルートを探索した.最適なルートの設定にあたり,津波冠水高は0.8 mを上回ると通行不能とし,道路上に潜在する土砂災害や液状化の被災リスクを加味した計12シナリオを作成した.得られた結果は,各経路上の地理的特徴,シナリオ別での総移動距離の差異や被災リスクの高さの観点から評価を行った.
C-6: 経済取引 司会: 磯田 弦 + 概要を表示
C-6-1 事業所情報を含む大規模企業間取引データと大規模人流データを用いた地域間資本流動の推定
PDF 山本 洋平, 秋山 祐樹, 篠原 豪太, 柴崎 亮介
本研究では民間信用調査会社が提供する大規模企業間取引データと大規模人流データを用いて、実体経済における地域間の資本流動を精緻に推定する手法について検討を行う。既存研究においては本社情報のみを用いた地域間資本流動推定は試みられていた。そこで本研究では、各企業の事業所データも利用し、企業間の資本流動である中間投入と消費を精緻に推定することで、実態に即した地域間資本流動を再現する手法を検討した。
C-6-2 企業間取引データと事業所データを用いた地域間資金流動の推定
PDF 篠原 豪太, 秋山 祐樹, 柴崎 亮介
本研究は、民間信用調査会社による企業間取引データと事業所データを用いて、全国規模で資金流動の実態について推定を行い、既存統計との比較によりその信頼性について検討するものである。既往研究では、各取引データより本社間の取引実態を把握した例が存在するが、本研究では、事業所データを用いて企業間取引データを事業所単位に分解することで、より精緻な資金流動の実態に関する推定手法の検討、およびその信頼性の検証を合わせて行っている。
C-6-3 大規模小売店舗の出店が既存店舗の売上げに与える影響に関する実証的検証
PDF 泊 将史, 瀬谷 創
大規模小売店舗が参入すると,短期的には地域の既存小売店の売上げや生産性,雇用,長期的には人口や地価に影響を及ぼすと考えられる.しかし,わが国ではこの点に関する実証的な検証はほとんどなされていない.本研究は,商業統計データを用いて,大規模小売店舗の出店が既存小売店の売上げに与える影響を実証的に検証するものである.分析対象は大阪府と兵庫県であり,分析手法としては差分の差(DID)法を用いる.大規模小売店舗の立地選択におけるサンプル・セレクションは,新経済地理学(NEG)分野の需要ポテンシャル関数を利用して,部分的にコントロールすることを試みた.分析の結果,大規模小売店舗の影響が補完的なものから,代替的なものになりつつあることが示唆された.
D-6: 安心・安全 司会: 佐藤 俊明 + 概要を表示
D-6-1 街頭犯罪を誘発する空間的要因の分析:兵庫県を中心にして
PDF 張 博童, 川向 肇
日本は他のアジア諸国と比較して、最も犯罪率の低い世界で最も安全な国の一つであると言われてきた。 しかし、近年、街頭犯罪が大きな問題となっている。 本稿では、兵庫県警察本部が公開している実際にWeb上で提供されたテキストベースのデータを加工して、空間時間データベースを構築した。このデータベースを用いて、性犯罪につながる恐れのある事案に関して時空間分析した結果の一部を報告する。
D-6-2 地理的犯罪予測の手法間比較 ー日本型犯罪予測手法の構築にむけた検討ー
PDF 大山 智也, 雨宮 護
地理的犯罪予測,すなわち,都市内の比較的狭い領域における将来の犯罪発生リスクを予測する手法は,日本でも昨年,京都府警が試験運用を開始するなど,わが国でも関心が高まっている.しかしながら,日本の犯罪発生水準は,諸外国に比して著しく低いことが知られており,欧米で生み出された予測手法が,わが国において有効に機能するかは,定かではない.本研究は,欧米で考案された予測手法をいくつかの系統に分類したうえで,国内のデータに適用,予測精度等を評価し,どのような手法が日本で有用であるかを明らかにする.さらに,今後日本の状況に特化した手法の開発にむけた方向性について議論する.
D-6-3 スノーリゾートにおけるGPS履歴を活用した動線把握と誘導方法の検討
PDF 松原 剛, 金杉 洋, 柴崎 亮介
大規模なスノーリゾートにおいて,スキー・スノーボーターが目的地までの到達経路を見失うことや,予定していた時刻に入山時の駐車場や宿泊地に戻れなくなるトラブルが発生している.原因として,リフトとゲレンデ間の複雑な接続,雪面の傾斜による一方通行,ゲレンデ滑走時間の予測が困難なこと等が挙げられる.そこで,実際の滑走者のGPS移動履歴を収集・分析し、より実態に即した移動時間を推定し,ゲレンデ内ナビシステムへの応用を検討する.
D-6-4 AEDマップの効果的活用と普及評価に関する研究-鹿児島県姶良市を例に-
PDF 鶴成 悦久, 市園 成一郎, 溝口 豊幸, 庄村 幸輝
地方公共団体ではAEDの普及啓発に関する取組みとして,その設置情報をホームページで公開している.一方,地域ごとに設置されたAEDの実態から,その評価を定量的に行い,救命率向上に向けた施策とAEDの普及推進計画に反映することが重要である.そこで,鹿児島県姶良市が運用を行うAED管理システムに含まれるAEDの設置データから,救急車両の空間的特性と地域ごとの人口動態をもとに,AEDの普及評価と地域特性を明らかにした.
D-6-5 災害時と平常時を想定した巡回支援アプリケーションの応用について
PDF 木村 将, 大佛 俊泰, 沖 拓弥
筆者らは、災害発生直後、限られた数の巡回者が複数の巡回先を効率的に巡回し、安否確認や怪我の手当てなど、住民同士の共助を支援するための地域内巡回支援アプリケーションの開発を行った。本稿では、本アプリを様々な場面で利用するため、各巡回者の担当と巡回順序の決定を、ネットワーク距離を考慮した方法に拡張する。さらに、災害時の地域内巡回による共助や、平常時のホテルの客室清掃業務の効率化など、具体的な問題に適用し、シミュレーションによりアプリ活用の有用性を検証する。
E-6: 【チュートリアル】
ArcGIS Proを体験してみませんか?
オーガナイザー:土田 雅代
最新GISデスクトップ アプリケーションであるArcGIS Proを体験してみませんか? ArcGIS Proは、3D対応、高パフォーマンス(64bit、マルチスレッド対応)、リボンインターフェイスの導入による優れた操作性やArcGIS Onlineの連携など、これまで以上に地理空間情報の可視化や分析、共有に有用なアプリケーションになります。業務や研究でさらに作業効率を向上させます。まだ試したことがない方は、是非この機会に触ってみて下さい!
10月29日 (日) 14:20〜16:00 【C7セッション 14:00〜】
A-7: 空間解析 司会: 熊谷 樹一郎 + 概要を表示
A-7-1 使いたい公衆トイレを探すためのトイレ属性推定と可視化アプリケーションの検討
PDF 小川 芳樹, 松原 剛, 小野 雅史, 柴崎 亮介
公衆トイレの空間分布・機能・衛生状況を把握して可視化することは、子供連れ、障害者、観光客が利用する際の有用な情報となる。本研究では,GISデータを用いて公衆トイレの空間分布を推定し、パーソントリップをン用いてトイレの混雑度を推定・収集する手法の検討を行う。トイレ情報をマップに表示することでユーザーに合った公衆トイレを見つけることができるアプリケーションを提案する。
A-7-2 電気自動車の消費電力量による道路ネットワークの評価と設計
PDF 茗荷 魁斗, 高松 瑞代
電気自動車は次世代自動車と位置付けられており,近年普及が進みつつある.電気自動車の消費電力量は道路勾配に大きく影響を受け,下り坂では回生ブレーキ機能により充電できるという特徴がある.そのため,電気自動車にとっては電力の消費が少ない経路を走行することが重要である.本研究では電気自動車の消費電力に着目して既存の道路を評価する.さらに道路勾配と道路の曲率を考慮して,効率的な電力の活用を可能にする道路設計手法を提案する.
A-7-3 道路延長と街区総数
PDF 薄井 宏行
近年,土地利用の効率化,細街路の解消,道路網などのインフラの維持管理の効率化を図るために,都心部における大街区化が進行中である.また,郊外部においても,計画的な都市の縮退とインフラの維持管理の効率化を図るために,道路網は縮小されることが想定される.ところが,街区総数と道路延長の関係は十分に解明されていない.本稿では,規範的な平面分割モデルとしてボロノイ図に着目し,道路延長と街区総数の関係を理論的に考察した.主な結論はつぎのとおりである.第一に,ボロノイ辺長の総和による道路延長の推定精度を東京23区の町丁目毎に検証した結果,59.1%の町丁目において,-0.15以上0.15以下の相対誤差で推定できることがわかった.第二に,街区総数による道路延長の推定精度を検証した結果,64.1%の町丁目において,-0.15以上0.15以下の相対誤差で推定できることがわかった.従って,街区総数による道路延長の推定精度のほうが,ボロノイ辺長の総和による道路延長の推定精度よりも高い傾向にあることがわかった.
A-7-4 The importance of "scale" in spatially varying coefficient modeling: a comparative study
PDF Daisuke Murakami, Paul Harris, Binbin Lu, Tomoki Nakaya
Geographically weighted regression (GWR), which is a regression approach with spatially varying coefficients (SVCs), attracts considerable attention. However, it easily suffers from multicollinearity, and is unstable. Under such background, we show the key role of "spatial scale" to stabilize GWR and other SVC models. We first show why scale is important. We then compare GWR, flexible bandwidth GWR, spatial filtering approaches, among others, and clarify how to stabilize SVC estimation.
B-7: 災害(防災・減災 2) 司会: 畑山 満則 + 概要を表示
B-7-1 大地震時の地域住民による延焼阻止活動に関するシミュレーション分析
PDF 沖 拓弥, 大佛 俊泰
大地震時における火災延焼被害の低減には,火災の初期段階に地域住民によって行われる延焼阻止活動が重要である.本稿では,筆者らがこれまでに開発した大地震時の物的被害・人間行動シミュレータを用いて,木造住宅密集地域における地域住民による延焼阻止活動の特徴を明らかにする.特に,延焼阻止に失敗した事例に着目し,時間的制約(出火から隣接建物への延焼までの時間)と出火建物の周辺環境との関係を分析することで,延焼阻止活動が成功するための要件を整理する.
B-7-2 GIS及びMMSと様々な建物データを活用した「減災都市づくり」への試み
PDF 白永 浩史, 宮野 裕子, 小堀 裕貴, 渡部 雄太
平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災うけ、耐震改修促進法が制定され、各自治体は平成27年には90%の耐震化率の達成を目標に耐震改修促進計画を策定した。しかし、耐震化が進んでいないのが現状であり、より具体的な施策が求められている。各自治体のもつ複数の情報「密集市街地と不燃領域率の範囲、空き家情報、老朽化した建物の位置」等を用い、GIS及びMMSを活用することにより、優先的に取り組むべき地域を視認することが可能であることを確認した。
B-7-3 すまいの耐震化の普及・支援のためのジオデモグラフィクスの活用
PDF 上杉 昌也, 矢野 桂司
住宅の耐震化が十分進んでいない京都市を対象に、すまいの耐震化の普及・支援・啓発を図るため、インターネットによるアンケート調査を行い、その具体的施策について検討した。町丁目レベルでの居住者特性を要約したジオデモグラフィクス社会地区類型を用いて、地区類型による地域活動への参加状況や住宅リフォームに関する情報の入手方法などの違いが明らかになり、地域タイプに合わせた啓発方法の改善について議論した。
B-7-4 X-band MPレーダ雨量情報による平成26年広島豪雨災害の動的雨量解析
PDF 西尾 雅弘, 森 正寿
X-band MPレーダ雨量情報を使用して、2014年8月20日広島県豪雨災害の雨量情報について地理情報システム(GIS)を使用し、動的な雨量解析を行い災害の発生地点、被害の拡大範囲などの情報を可視化する。
C-7: ボランタリーデータ・オープンデータ【14:00開始】 司会: 石井 儀光 + 概要を表示
C-7-0 クラウド川コモンズによる河川・流域名の可視化システムの構築
PDF 原 雄一, 片山 篤
日本には名前がついている河川だけで3万を超えると言われている.河川の名称は,本川であっても上流と下流では異なる場合があり,支川は別の河川名となる.現在地がわかるデジタル地図は,河川の名称などの注記が限定されている.したがって,地域を広範囲に渡って移動する場合など,河川名や属する流域の確認は,困難を伴うことが多い.このような課題に対して,本研究で構築するクラウド川コモンズとは,一級水系,二級水系の流域ポリゴンと河川ネットワークを現場でスマートフォンに表示し,現在地の位置確認から近傍の河川のネットワークと名称,さらに属する流域を把握することができるシステムである.
C-7-1 ボランタリーな地理空間情報の品質評価に関する一考察
PDF 山下 潤, 岩崎 亘典, 西村 雄一郎, 瀬戸 寿一
近年、ボランタリーな地理空間情報(Volunteered Geographic Information、VGI)の活用が活発化しているが、VGIは品質面で課題が残る。本報告では、まず国際標準化機構(ISO)が定める品質評価基準をVGIが満たしているか、その実態を把握した上で、公共データとVGIを品質評価の側面で比較する。さらに品質を保障するための場に関して、クラウドソーシングがVGI の品質保障の場となりうるかについても検討する。
C-7-2 市民のQOL向上に向けたオープンデータの提供方法にまつわる一考察
PDF 川向 肇, 多田 功, 水野 あすか
2010年以降、日本の先駆的な地方自治体では、オープンデータ公開の取り組みが行われてきた。しかし、その多くは、市民に提供して問題が発生しないデータを中心として提供するというスタイルで取り組まれている。本論文では市民の生活の質的向上に着目しつつ産官学連携型のオープンンデータ利用プラットフォーム提供を目指している兵庫県加古川市での取組の現状について報告する。
C-7-3 オープンストリートマップの道路データ品質評価と地域間比較
PDF 金杉 洋, 瀬戸 寿一, 関本 義秀, 柴崎 亮介
オープンな地図データとして整備されているオープンストリートマップは,ボランティアによって整備される性格上,データの鮮度や品質は必ずしも均質になっておらず,利用者のみならず編集者にとっても任意の地域におけるデータの品質が一定の基準で評価されることが期待される.本論文では,既往研究に基づき国内のデジタル道路地図(DRM)とオープンストリートマップの道路データの比較を通じて品質評価を行うと共に,評価結果の地域間比較を通じてオープンストリートマップの活用可能性について検討する.
C-7-4 ボランタリー地理情報(VGI)のデータ改善に向けた投稿情報の傾向分析:OpenStreetMapにおけるNotes機能を事例に
PDF 瀬戸 寿一, 西村 雄一郎, 岩崎 亘典, 金杉 洋
OpenStreetMap(OSM)の活動が展開される中で、近年データ品質の改善に向けたツールや評価が進んでいる。本発表では、2014年に新機能として実装されたOSM-Notesを事例に、OSMデータに対して、どのような品質問題が潜在するかを考察する。2017年7月現在、世界中で約30万のNotesがあり、日本では約5,000の投稿が確認できた。位置の間違いや店舗の閉店などの情報が多く、MAPS.MEなどのアプリケーションを介してOSMのユーザー登録者以外でも入力できることから、特定のユーザーではない投稿も多い。他方、他のOSMデータ作成が活発な国と比較すると解決率が低く、validationの観点からNotesについても継続的にモニタリングする必要がある。
C-7-5 G空間機能を拡張したデータプラットフォームの開発
PDF 柳下 大, 今井 優, 北島 理司, 嘉山 陽一, 大伴 真吾
官民データ活用推進基本法の施行により、行政や事業者が持つ様々なデータの公開と利活用が進みつつある。インターネット上でデータを公開する仕組みとして、データカタログサイトが利用されており、その中でも利用される頻度が高いツールとしてCKANがある。CKANに空間情報拡張実装を行った例として、総務省平成27年度「G空間プラットフォームの開発・検証に係る請負」がある。この成果はオープンソースとして再利用可能であるため、筆者らは、これをベースにさらなる空間機能の拡張実装を試みた。本発表では、多様な空間データ形式に対応したプレビュー機能、異なる空間データリソースを組み合わせた主題図作成・共有などについて説明する。またAPIを用いた外部アプリケーションとの連携事例としてQGISからAPIを介し登録されたデータに接続することによる、高度なデータ利活用について紹介する。
D-7: 教育 司会: 山本 佳世子 + 概要を表示
D-7-1 GitHubによるGISの実習用オープン教材の試験運用
PDF 山内 啓之, 小口 高, 瀬戸 寿一, 早川 裕弌
GIS教育の充実を目的に、大学等の実習授業に利用できる体系的な教材を開発し、オープンな活用を推進するプロジェクトを行ってきた(科学研究費基盤研究A「GISの標準コアカリキュラムと知識体系を踏まえた実習用オープン教材の開発」、平成27〜31年度、代表者:小口 高)。本プロジェクトでは、学部3〜4年生の実習授業や自主学習を対象に教材を開発し、GitHubで試験運用を行ってきた。本発表では、開発した教材の概要とともに、一般公開に向けたGitHubでの試験運用の手法や課題について報告する。
D-7-2 大学生のアクティブ・ラーニングを支援する「まちづくりマップ」の開発
PDF 笹谷 康之, 吉川 敦文, 宮内 隆行
大学生の都市・地域計画のアクティブ・ラーニングを支援するために、PCとスマートフォンから、POIを投稿し、このPOIを選択表示した地図を埋め込んだ記事を投稿するCMSの「まちづくりマップ」をWordPressで開発した。登録した300名の学生が「まちづくりマップ」を使い、地域調査レポートやキャンパスの樹木図鑑の作成を行う複数の授業を通じて、協働学習の方略を設計した。これを元に、学生が使いやすく、一般の人が見やすい改良を加えている。
D-7-3 準天頂衛星システム対応版『聞き書きマップ』の設計
PDF 原田 豊, 稲葉 信行, 上野 勝彦, 松岡 繁
先行研究で開発した野外調査記録作成支援ソフトウェア『聞き書きマップ』(原田ほか 2011, 2013, 2015)の学校教育現場などへの普及を図るため、準天頂衛星システムに対応した単一の端末装置と組み合わせて使用する、新たなバージョンの設計を行った。安価に出回っているスマートフォン用パーツを活用し、ハードウェア側とソフトウェア側とで負荷分担を最適化することにより、学校現場などの現有パソコンと、消耗品として購入可能な持ち歩き用端末装置とによる、準天頂衛星システム対応版『聞き書きマップ』の実現の見通しが得られた。
D-7-4 日本版Map Warperの構築と活用
PDF 矢野 桂司, 鎌田 遼
紙地図などをスキャンしたデジタル地図画像を、経緯度や投影法情報を持つGISの地図上に取り込んで位置合わせを行う技術は、ジオレファレンスあるいはジオレクティファイと呼ばれる。Map Warperは、オープンソースのジオレファレンス・webアプリケーションで、ニューヨーク公立図書館などで、所蔵する古地図のジオレファレンスに用いられている。本研究では、日本版Map Warperを構築して公開し、その活用方法やその推進方法を提案する。
E-7: 【チュートリアル】
スマートフォンで簡単現地調査
オーガナイザー:土田 雅代
巡検や調査でデータ収集される際にスマートフォンを使ってみませんか?ArcGIS Onlineのアプリケーションを使えば、データ収集から共有、分析まで一通りの流れを体験頂きます。セッション後には、現地調査するには、「あれ?こんなに簡単なの?」と感じていただけること間違いなし
ポスターセッション Poster Session グループ演習室 + 概要を表示 Click the button to show/hide abstracts
P-01 GISによるアキアカネの孵化予測日および保全のための水田の中干し延期日の表示
PDF 齋藤 四海智, 先崎 悠介, 米澤 千夏, 千葉 克己, 神宮字 寛
アキアカネ保全にむけた水田の中干し実施日の推定をおこなった。メッシュ平年値2010で示された気温および日射量データを用いて、宮城県内の1kmメッシュでの水田水温の推定をおこなった。推定水温、水入れ最盛日から仮定したアキアカネ卵の発育ゼロ点、有効積算温度から孵化日と10齢到達日をメッシュ単位で予測した。さらに現在の虫干し開始日と10齢到達予測日の差から求めた虫干し延期日についても示した。予測結果のGISでの表示は、環境に配慮したアキアカネの保全を目的とした栽培管理区域の選定に有効である。
P-02 深層学習を用いて地域内のアパート・マンションを同一基準で賃料推定し地図上で可視化する試み ー人工知能は緯度,経度から地域性を学習するかー
PDF B-1-3 小林 裕治
アパート・マンション等の賃貸情報は不動産取引会社等のWebサイトで広く公開されており, 容易に入手することができる. しかし賃貸物件は, 面積・築年数・構造などの不確定で地域性と関係のない属性を持つことから, 地価のように賃料を場所に紐づけることは容易でない. 本稿では,ビッグデータ(大量の賃貸情報)とディープラーニングを活用して賃料モデルを構築し,任意地点において定量的に賃料推定したのち,地図上で可視化する手法について述べる.
P-03 グリーンインフラとEco-DRRに着目した熊本地震の自然災害分析
PDF 藤田 直子
Eco-DRRは「生態系を活用した防災・減災(Ecosystem-based disaster risk reduction)」の略であり,生態系と生態系サービスが危険な自然現象の緩衝帯・緩衝材として用いられ,食糧や水の供給などの機能が人間や地域社会の自然災害への対応を支える考え方である.本研究では,熊本地震で被災した集落,農地,景観地の実態を収集・分析し,自然災害発生パターンの解析によりEco-DRRが熊本地震被災地でどのように機能したのかを明らかにする.
P-04 ネットワークに着目した近世城下町の空間分析
PDF 児玉 史, 奥貫 圭一
本研究では、近世城下町を題材に、絵図などの限られた史料から城下町の空間的構造を検討した。具体的には、近世の高知城下町と高崎城下町を事例として、限られた時点の絵図や復原図だけを根拠に、城下町を構成する「町」の隣接・接続関係を抽出して、これにネットワーク分析の手法を適用した。その結果、少ない史料に基づく分析から過去の地理空間の性質を定量化し、またその変遷を時空間的に推定・補完できることがわかった。
P-05 震災時における高層建物教室の避難経路混雑度を推定するシミュレーション分析
PDF 山田 和哉, 政金 裕太, 岡部 篤行, 木村 謙
文科省地震調査研究推進本部によると、M7クラスの首都直下型地震が発生する確率は30年以内に70%程度と予測されている。都心にある多くのキャンパスでは、建物密度も学生密度も極めて高く、また教室も高層建物内であることが多いため、その防災対策は大きな課題である。本研究では、青山学院大学青山キャンパスを事例にとり、高層建物にある教室から避難する人間行動をシミュレーションして経路ごとの避難者数を定量的に推計し、経路の容量を越して事故が起こりそうな危険場所を指摘する手法を提案する。
P-06 農林業センサスを用いた耕作放棄地の空間計量経済分析
PDF 鈴木 敬和, 河端 瑞貴
日本農業の超高齢社会化に伴い,耕作放棄地が増加してきている.本研究では,農林業センサスおよびGISと空間計量経済分析手法を用いて,耕作放棄地の空間パターンや経済的価値,空間スピルオーバーを分析する.農林業センサスのパネルデータに周辺環境やアメニティ情報を結合し,周辺環境やアメニティの違いによる耕作放棄地の価値や空間パターンの差を明らかにする.その結果に基づき,耕作放棄地の有効な活用法を検討する.
P-07 道路延長と街区総数
PDF A-7-3 薄井 宏行
近年,土地利用の効率化,細街路の解消,道路網などのインフラの維持管理の効率化を図るために,都心部における大街区化が進行中である.また,郊外部においても,計画的な都市の縮退とインフラの維持管理の効率化を図るために,道路網は縮小されることが想定される.ところが,街区総数と道路延長の関係は十分に解明されていない.本稿では,規範的な平面分割モデルとしてボロノイ図に着目し,道路延長と街区総数の関係を理論的に考察した.主な結論はつぎのとおりである.第一に,ボロノイ辺長の総和による道路延長の推定精度を東京23区の町丁目毎に検証した結果,59.1%の町丁目において,-0.15以上0.15以下の相対誤差で推定できることがわかった.第二に,街区総数による道路延長の推定精度を検証した結果,64.1%の町丁目において,-0.15以上0.15以下の相対誤差で推定できることがわかった.従って,街区総数による道路延長の推定精度のほうが,ボロノイ辺長の総和による道路延長の推定精度よりも高い傾向にあることがわかった.
P-08 Web-GISを用いた統計地理の授業支援システムの構築
PDF 塩原 礼, 山本 佳世子
2020年から学習指導要領が改訂され、高等学校社会科においては「地理総合」が新設され必修化される。さらにその内容にGISの利用が盛り込まれることが決まった。高等学校社会科の先生方は専門とされている分野が様々であり、現在タブレットを用いて授業されている先生方も増えてきているものの、苦手な方もいらっしゃることが予想され、いきなり盛り込まれても授業をするのが難しいのではないかと考えた。そこで地理の授業の中にある統計地理分野において、Web‐GISを利用した授業の支援システムとして3Dの資料集のような教材を作り、どのように授業内で使えるかを示す。先生方へ向けたシステムとして最初は構築するが、これをWebアプリ化することで、授業を受けている生徒が授業の復習に使えるようにし、またパソコンを用いた地理の授業を展開できるようにする。
P-09 パーソントリップを考慮した保育施設の適正配置の評価方法
PDF 佐藤 桂祥, 山本 佳世子
近年のわが国では、経済・社会環境の変化に伴い、両親が共働きをする家庭が増えたため、少子化が進んでいるにも関わらず、保育施設の需要が増加している。そのため、保育施設や保育士が不足しており、入所希望をしたが、満員で入所できないという待機児童問題が生じている。待機児童問題は特に大都市圏で生じている。両親が共働きをする際、子供を施設に預けなければ安心して働くことができないため、待機児童問題を解決する必要がある。しかし、国や地方自治体もこの問題の対策に取り掛かっているが、未だ解決に至っていない。本研究は、GISを用いて、「対象となる年齢の人口分布」に、人口の分布のみでは解決は難しいため、「送迎行動に着目したパーソントリップ」を加えた二つの観点から保育施設の配置の評価方法を提案することを目的とする。評価対象地域は東京都調布市とし、保育施設の不足地域を抽出することにより、待機児童問題の解決に貢献する。
P-10 地理的犯罪予測の手法間比較 ー日本型犯罪予測手法の構築にむけた検討ー
PDF D-6-2 大山 智也, 雨宮 護
地理的犯罪予測,すなわち,都市内の比較的狭い領域における将来の犯罪発生リスクを予測する手法は,日本でも昨年,京都府警が試験運用を開始するなど,わが国でも関心が高まっている.しかしながら,日本の犯罪発生水準は,諸外国に比して著しく低いことが知られており,欧米で生み出された予測手法が,わが国において有効に機能するかは,定かではない.本研究は,欧米で考案された予測手法をいくつかの系統に分類したうえで,国内のデータに適用,予測精度等を評価し,どのような手法が日本で有用であるかを明らかにする.さらに,今後日本の状況に特化した手法の開発にむけた方向性について議論する.
P-11 大学生のアクティブ・ラーニングを支援する「まちづくりマップ」の開発
PDF D-7-2 笹谷 康之, 吉川 敦文, 宮内 隆行
大学生の都市・地域計画のアクティブ・ラーニングを支援するために、PCとスマートフォンから、POIを投稿し、このPOIを選択表示した地図を埋め込んだ記事を投稿するCMSの「まちづくりマップ」をWordPressで開発した。登録した300名の学生が「まちづくりマップ」を使い、地域調査レポートやキャンパスの樹木図鑑の作成を行う複数の授業を通じて、協働学習の方略を設計した。これを元に、学生が使いやすく、一般の人が見やすい改良を加えている。
P-12 市区町村シンボル選定種の全国調査結果の傾向並びに空間的可視化の試行と地域分析への展開 ー 市区町村の木・花・鳥・魚 ー
PDF 吉川 慎平, 渡部 俊太郎
現在,全国1,700余の自治体の殆どは「市区町村の木・花・鳥・魚」などと銘打って、地域(郷土)の自然や景観、農林水産物等の中から,代表的な動植物種をそれぞれ独自に選定し,公表している.本研究では、地域分析の一つの切り口として,これらの「市区町村シンボル選定種」に注目し,全国の自治体における選定状況の実態調査,並びにGISを用いた空間的可視化を通じ,結果から傾向を捉えることを試みた.
P-13 熊本地震被災地におけるランドスケープに関する研究
PDF 枝尾 亜斗夢, 藤田 直子, 唐 明暉
本研究では、昨年4月に発生した熊本地震に対して、熊本地震被災地における復興に対する自治体の動きをランドスケープの側面から分析していく。方法としては、熊本県下全45市町村に対して震災復興計画の収集・分析を行い、復興計画の実施によって生じる景観変化をGISを用いた分析を通して地理情報として把握する。更に、景観変化が大きい地域は3Dプリンタを使った立体地図を作成し、地域住民による評価を実施する。
P-14 ECO-DRRの視点から見た複合災害発生場所の土地利用評価―熊本県を事例として―
PDF 唐 明暉, 藤田 直子, 枝尾 亜斗夢
本研究では、2016年4月の熊本地震と6月の豪雨災害が発生した熊本県内の市町村に注目し、地震と豪雨の発生データ、並びに災害発生データを収集し、それらのデータを元に土地利用と複合災害の関連を分析し、リスクを明らかにする。そして、Eco-DRRの視点から生態系サービスの減災効果を評価し、複合災害の影響範囲と比較することで、自然資源の利用方式を検討し、効果的な減災方法を明らかにする。
P-15 長崎県対馬市厳原町における群倉の類型分析
PDF 小林 秀輝, 藤田 直子
長崎県対馬の農村集落には現地で「コヤ」と呼称される倉庫が多く見られる。この倉庫の特徴として、群倉(倉庫群)が形成されていることが挙げられるが実態が明らかになっていない。本研究では対馬市南部の厳原町における群倉の実態を明らかにする事を目的として調査分析を行った。群倉の立地や形態を記録した現地調査を元に立地と形態に着目してコヤの類型を分類したのち、GISを用いて群倉が設けられている土地の地質や植生の分析を行った。
P-16 GISを活用した共同農園の管理法の利便性に関する研究
PDF 倉田 将幸, 藤田 直子, 馬 晨
農体験は、様々な側面から実施による効果が検証されており、農園の開設数も増加している。一方で、維持管理の難しさなどから継続性などにおける課題も増えている。そこで、本研究では福岡県福岡市室住団地の農園予定地において、GISによる管理手法を検討し、管理法の利便性を向上させることを目的として研究を行った。具体的には、区画の位置情報と利用者の活動情報を一元化して把握出来るシステムを構築し、被験者による評価実験を行った。
P-17 GIS based groundwater potential mapping using Frequency Ratio and Shannon's Entropy models in Herat city, Afghanistan
PDF Gesim Nasir Ahmad, 岡崎 威生
The purpose is to produce groundwater potential map using Frequency Ratio and Shannon's Entropy models in Afghanistan. 11 effective factors such as slope percent, slope aspect, altitude, NDWI, NDVI, plan curvature, profile curvature, etc. were considered in this investigation. By using the above conditioning factors, GPMs was generated implementing FR and SE models. The predictive capability of FR and SE models were determined by the relative operating characteristic curve.
P-18 空間統計を用いた訪日外国人観光宿泊クラスター分析:北海道の事例
PDF 羅 雁劼, 河端 瑞貴
本研究は、北海道地区を事例に、空間統計を用いた訪日外国人観光のクラスター分析を行う。北海道観光入込客数調査報告書の市町村別・月別(国別)訪日外国人宿泊者数データや国土数値情報の観光資源等のデータを用いて、季節変動などの外的要因による北海道観光の変化や国籍別観光行動パターンを把握する。さらに、特定地域への宿泊行動に影響を与える訪日外国人特有の決定要因を探ることによって、日本の観光政策や地域間経済連携政策に寄与したい。
P-19 交通量調査史料を用いた旧東京市中心部のOD交通量推定
PDF D-2-1 石川 和樹, 中山 大地
本研究では,大正後期の東京で行われた交通量調査の統計史料を用いて,当時の東京市中心部のOD交通量を推定する.OD交通量の推定には,交差点の分岐率と発生交通量のみからOD交通量を推定可能な吸収マルコフ連鎖モデルを用いた.また,既存の交通量調査地点のみでは地点数が少なく十分な道路ネットワークを形成できないため,分岐率を未知とする仮想の調査地点を複数配置し,進化計算手法のひとつである遺伝的アルゴリズムを用いて最適な分岐率へと収束させ,OD交通量を推定した.
P-20 地域の生活環境が出身地への移住意向に及ぼす影響 - 現住地と出身地の生活環境評価や各項目の重視度に着目して –
PDF D-4-3 関口 達也, 林 直樹, 杉野 弘明, 寺田 悠希
本研究では、Webアンケートにより得られた全国的なデータを用いて定量的な分析を行い、出身地への移住意向に影響を与える生活環境項目を抽出する事を目的とする。分析では、現住地と出身地の生活環境の評価を考慮した定量モデルを作成し、移住意向への影響が大きい生活環境項目の抽出と、各項目の地域差の発生しやすさを把握する。また、各項目の重視度を用いた分析も行う事で、人々の評価意識構造との関連についても検討を行う。
P-21 準天頂衛星システム対応版『聞き書きマップ』の設計
PDF D-7-3 原田 豊, 稲葉 信行, 上野 勝彦, 松岡 繁
先行研究で開発した野外調査記録作成支援ソフトウェア『聞き書きマップ』(原田ほか 2011, 2013, 2015)の学校教育現場などへの普及を図るため、準天頂衛星システムに対応した単一の端末装置と組み合わせて使用する、新たなバージョンの設計を行った。安価に出回っているスマートフォン用パーツを活用し、ハードウェア側とソフトウェア側とで負荷分担を最適化することにより、学校現場などの現有パソコンと、消耗品として購入可能な持ち歩き用端末装置とによる、準天頂衛星システム対応版『聞き書きマップ』の実現の見通しが得られた。
P-22 大地震発生時における月・曜日・時限ごとの帰宅困難学生数を推定するシステムとその適用
PDF 小松 美凜, 森岡 渉, 岡部 篤行
首都直下型地震が想定される地域の、大学の防災対策は重要である。本研究ではどの月の、何曜日の、何限に大地震が発生した場合、どの教室に何人の学生がいて、そのうち何人が帰宅困難者となるかを、内閣府の中央防災会議による帰宅困難者算出方法を用いて推定し、その結果を図示するシステムを大学と協働して開発した。その適用例として本システムを青山学院大学相模原キャンパスに使用し、帰宅困難者の概数を推定した。
P-23 健康増進を目的とした運動実践支援システムの構築
PDF 内藤 奏, 大河原 一憲, 山本 佳世子
日本では国民の医療費の増加が問題視されており、今後も増加することが予想される。厚生労働省は、健康日本21第2次において、健康の維持・増進のための目標のひとつに日常生活における身体活動の増加をあげているが、運動を継続的に実践するための手段が確立されてない。近年、情報処理技術の発展に伴い、地図のデジタル化や位置付きの情報を地図に反映することが可能となった。また、携帯情報端末も普及し、クラウドコンピューティングの環境が整備されたため、様々なウェブサービスを幅広い世代で容易に扱うことができるようになった。そこで、本研究はGISを用いた運動実践支援システムの構築を目的とする。対象地域は調布市とし、1)ウォーキングを安全かつ体力レベルにあわせて行えるルートの推薦、2)ウォーキングを行う上で必要な高度や距離情報を組み込む。本システムを利用し、地域の特徴を活かした健康づくりとコミュニティー強化を目指す。
P-24 オープンデータを用いたクリエイティブ産業のオフィス集積に関する研究
PDF 柴田 史奈, Andrew Burgess, 伊藤 香織
クリエイティブ産業がオフィスに求める機能は従来のものと異なり,従来考えられていなかったエリアでオフィス需要が拡大している.本研究では、本産業の集積地として知られるニューヨークマンハッタン区を対象とし,本産業の集積特性と建物特性を解明することを目的とする.Webスクレイピングにより得た米国の事業所電話帳「Yellow Pages」の企業情報とニューヨーク市の建物地理情報「PLUTO」を使用し,業種ごとの集積の特徴を把握する.
P-25 介護予防施設へのアクセシビリティと市町村単位の要介護度
PDF 小林 優一, 河端 瑞貴
本研究は、介護予防施設へのアクセシビリティと市区町村単位の要介護度との関係を分析する。2006年に介護度保険制度改革の一環で、介護予防を重視した政策が導入された。介護予防施設へのアクセシビリティの計算には、Luo and Wang(2003)のTwo-step floating catchment area method(2SFCA手法)を用いる。さらに、介護予防施設の利用による予防効果を市区町村ごとの要介護度で説明する。
P-26 海岸における行方不明者および遺留品捜索のためのGNSS受信機の精度評価
PDF C-2-1 古屋 聡, 米澤 千夏, 渡邉 学, 園田 潤, 金澤 靖
宮城県閖上地区の海岸では東日本大震災の行方不明者および遺留品捜索のため、航空機搭載レーダと地中レーダを用いて砂中の埋没物の推定が行われている。航空機搭載レーダ画像から現地で埋没物を推定するためには位置精度は重要である。本研究ではハンディGNSS 受信機の測位精度を、基盤地図情報をもとに幾何補正した高分解能光学衛星画像から読み取った基準区間を、実際に歩行しながら測定することによって評価した。その結果、受信する衛星の種類や数による測位精度への影響が確認された。
P-27 集積パターンに着目した商業集積の経済価値評価
PDF 松方 渓太
商業集積の階層構造の研究では、商業集積の階層によって顧客を惹きつける範囲が異なる事が示唆されている。本研究は、階層別に商業集積の経済価値を評価することを目的とする。そのためにまず、先行研究をもとに商業集積の階層構造を整理する。次に、ヘドニック・アプローチを用いて、階層別に商業集積がどの程度の範囲の周辺地域にどの程度の経済的な便益を及ぼすかを測定する。
P-28 事業所情報を含む大規模企業間取引データと大規模人流データを用いた地域間資本流動の推定
PDF C-6-1 山本 洋平, 秋山 祐樹, 篠原 豪太, 柴崎 亮介
本研究では民間信用調査会社が提供する大規模企業間取引データと大規模人流データを用いて、実体経済における地域間の資本流動を精緻に推定する手法について検討を行う。既存研究においては本社情報のみを用いた地域間資本流動推定は試みられていた。そこで本研究では、各企業の事業所データも利用し、企業間の資本流動である中間投入と消費を精緻に推定することで、実態に即した地域間資本流動を再現する手法を検討した。
P-29 時間別滞留人口分布に基づく都市空間構造の把握 ―モバイル空間統計の活用―
PDF 花岡 和聖, 中谷 友樹, 矢野 桂司
ビッグデータの一つとして、モバイル空間統計と呼ばれる携帯電話の位置情報から把握される滞留人口データがある。本研究では、このモバイル空間統計を用いて、京都市を対象に、一日の時間別滞留人口分布を性別・年齢別に分析し、都市空間の利用され方を明らかにする。クラスタリング等によるデータ分析の結果、デモグラフィクスによる空間利用の差異や都市空間構造の多面性が浮かび上がってきた。
P-30 電話帳データを用いた時系列ホットスポット分析
PDF B-2-2 森岡 渉, 貞広 幸雄, 岡部 篤行
店の出店や閉店の戦略をたてる立地マーケティングにおいて、地域の店の盛衰状況動向を分析することは基本的な分析である。そこで、本研究では、電話帳データを活用した、盛衰のホットスポット及びクールスポットを発見する手法を提案する。具体的には、東京都渋谷区内の各4分の1地域(250m)メッシュにて全店舗、開店、閉店、継続店に関する時系列ホットスポット及びクールスポットを見つけていく。
P-31 南海トラフ巨大地震を想定した四国地域内緊急輸送道路選定に関する事例研究
PDF B-6-5 柳川 竜一, 三好 凌介, 岡本 孝裕
本研究では,四国地域を対象に南海トラフ巨大地震に関連する災害情報の可視化と,複合災害を考慮した緊急輸送経路の提案およびその効果について考察した.道路網は,各県が設定した緊急輸送道路をGIS上で加工し,起点である香川県高松市から目的地である終点(徳島県・高知県・愛媛県の防災拠点)への最適なルートを探索した.最適なルートの設定にあたり,津波冠水高は0.8 mを上回ると通行不能とし,道路上に潜在する土砂災害や液状化の被災リスクを加味した計12シナリオを作成した.得られた結果は,各経路上の地理的特徴,シナリオ別での総移動距離の差異や被災リスクの高さの観点から評価を行った.
P-32 高知県の施設園芸を対象としたクリーニングクロップの潜在収穫量と処理施設配置のシミュレーション
PDF 松岡 真如, 増田 貴則, 長谷 隆仁, 山田 正人, 永禮 英明, 藤原 拓
高知県では沿岸部を中心に施設園芸が盛んである。施設園芸では一般的に施肥量が多く、また一部の地域では湛水除塩を行なうため、余剰窒素による地下汚染の危険性が高くなっている。そこで、湛水前に吸肥能力の高い作物(クリーニングクロップ、以下CC)を栽培することで余剰窒素を吸収させる試みが実施されている。本研究の目的は、高知県の施設園芸を対象として、CCの潜在的な収穫量と、それらを処理する施設の配置をシミュレーションすることである。はじめに、2005年の農林業センサスにおける旧市町村を単位として、CCを導入可能な作物の作付面積を算出した。それを衛星画像から抽出した園芸施設へと分配することで地域ごとの潜在収穫量を求めた。続いて、収穫されたCCをJAの集荷場に収集することを想定して、道路や集荷場の位置の情報から各集荷場に収集される量を算定した。さらに、集荷場のうち1ヶ所か2ヶ所にCCの処理施設を配置すると仮定して、各集荷場からの運搬コストを評価指標として、処理施設を配置する集荷場を選択した。求められた最大収穫量は湿重量で67900トン、また処理施設は県中央部の1ヶ所か、東西に1ヶ所ずつであった。
P-33 GISを用いた全国農地ナビのビッグデータ解析
PDF 澁木 智之, 磯田 弦
Excel VBAによるプログラミングによってブラウザInternet Explorerの自動制御を行い、2015年4月より農地情報を公開し始めた新しいデータソースである「全国農地ナビ」から、新潟県の1区1市1村の全農地19万9462筆のデータをネット上からExcel上に落とし込んだ。そのデータを用いて、GISでバッファを用いた分析などを行った。この分析を通じて、既存の研究では経営体単位・集落単位でしか把握できていなかった圃場の分散状況などについて、市区町村レベルで現状を把握できた。
P-34 企業間取引データと事業所データを用いた地域間資金流動の推定
PDF C-6-2 篠原 豪太, 秋山 祐樹, 柴崎 亮介
本研究は、民間信用調査会社による企業間取引データと事業所データを用いて、全国規模で資金流動の実態について推定を行い、既存統計との比較によりその信頼性について検討するものである。既往研究では、各取引データより本社間の取引実態を把握した例が存在するが、本研究では、事業所データを用いて企業間取引データを事業所単位に分解することで、より精緻な資金流動の実態に関する推定手法の検討、およびその信頼性の検証を合わせて行っている。
P-35 近世出版図にみる描画された江戸の構図
PDF 塚本 章宏
近年、歴史時代や歴史資料を対象にGIS分析を適用する研究事例は増加してきている。そのため、過去の地理情報を直接的に取得することができる絵図・古地図は重要な資料と言える。しかしながら、出版図については、その歪みが大きいことが知られている。本稿では、こうした出版図の歪みとその経変的な変化を把握することを目的とする。そして、構図の把握や類型・系統の分析方法の一つとして、GISの援用が有効であるのかを検証する.
P-36 インドにおける長期プローブデータを用いたタクシーの営業行動に関する分析
PDF D-2-2 坂田 理子, 金杉 洋, Ashutosh Kumar, 関本 義秀
インドの諸都市では交通渋滞が慢性化し、深刻な問題となっている。インド都市部ではタクシーは中流層のポピュラーな移動手段であり、最適な渋滞緩和施策実行のためにはタクシーの挙動を知っておくことが必要である。近年タクシーの挙動分析にはプローブデータが用いられることが多いが、途上国での研究事例は少ないのが現状である。そこで本研究では、プローブデータを用いてインドにおけるタクシーの営業行動について分析する。
P-37 スノーリゾートにおけるGPS履歴を活用した動線把握と誘導方法の検討
PDF D-6-3 松原 剛, 金杉 洋, 柴崎 亮介
大規模なスノーリゾートにおいて,スキー・スノーボーターが目的地までの到達経路を見失うことや,予定していた時刻に入山時の駐車場や宿泊地に戻れなくなるトラブルが発生している.原因として,リフトとゲレンデ間の複雑な接続,雪面の傾斜による一方通行,ゲレンデ滑走時間の予測が困難なこと等が挙げられる.そこで,実際の滑走者のGPS移動履歴を収集・分析し、より実態に即した移動時間を推定し,ゲレンデ内ナビシステムへの応用を検討する.
P-38 Is there any seasonal trend in restaurants?
PDF 服部 恒太,塚本 章宏
This study will examine whether there is any seasonal trend among restaurants using data from the restaurant review web site, YELP. The study will also examine how YELP reviewers comment on restaurants (e.g., which positive and negative words they use) by text mining and mapping.
P-39 オープンストリートマップの道路データ品質評価と地域間比較
PDF C-7-3 金杉 洋, 瀬戸 寿一, 関本 義秀, 柴崎 亮介
オープンな地図データとして整備されているオープンストリートマップは,ボランティアによって整備される性格上,データの鮮度や品質は必ずしも均質になっておらず,利用者のみならず編集者にとっても任意の地域におけるデータの品質が一定の基準で評価されることが期待される.本論文では,既往研究に基づき国内のデジタル道路地図(DRM)とオープンストリートマップの道路データの比較を通じて品質評価を行うと共に,評価結果の地域間比較を通じてオープンストリートマップの活用可能性について検討する.
P-40 使いたい公衆トイレを探すためのトイレ属性推定と可視化アプリケーションの検討
PDF A-7-1 小川 芳樹, 松原 剛, 小野 雅史, 柴崎 亮介
公衆トイレの空間分布・機能・衛生状況を把握して可視化することは、子供連れ、障害者、観光客が利用する際の有用な情報となる。本研究では,GISデータを用いて公衆トイレの空間分布を推定し、パーソントリップをン用いてトイレの混雑度を推定・収集する手法の検討を行う。トイレ情報をマップに表示することでユーザーに合った公衆トイレを見つけることができるアプリケーションを提案する。
P-41 滋賀県大津市南大萱地区の小字境界の復元と土地利用の変遷の解析
PDF 林 珠乃
江戸期までの町・村に対応する「大字」を構成する区画である「小字」は、近世以前の文献や古地図に表れ、その土地の過去の履歴や特徴を把握する重要な手がかりになる可能性がある。しかしながら、近年の区画整理等によりその位置や境界が不明になる傾向がある。本研究では、滋賀県大津市の南大萱地区にある小字の境界を、明治期に作成された地籍図や地元の人々に対するヒアリング調査から明らかにし、ポリゴンデータを作成した。このポリゴンデータに、南大萱地区に保存されている区有文書に記載されている各小字における土地の開発と地目に関する情報を付し、1689年以降の土地開発と土地利用の変遷について解析した。その結果、17世紀後半から18世紀前半の開発は、集落や既存の農地の周辺の地域を畑地に変え、琵琶湖岸のエリアを農地に変更するものが主であり、18世紀後半から19世紀前半には山手の地域を畑地に転換する開発が行われたことがわかった。また、土地利用の変遷の解析から、1813年には田地は丘陵の中腹から湖岸にかけて広く分布し、畑地は丘陵中腹部に分布し、屋敷地は現在のJR瀬田駅周辺に分布していたことが明らかになった。
P-42 暴露人口を考慮した性犯罪被害リスクの算出・可視化の試み:「人の流れ」データを活用して
PDF 雨宮 護, 大山 智也
犯罪の被害リスクは,被害の数を,潜在的にその被害に遭う可能性の高いターゲット(人や物)の数で割ることによって求められる.対人犯罪の場合,通常,潜在的ターゲットの数の指標としては,夜間人口が用いられる.しかし,対人犯罪のターゲットである人間は,時間の経過と共に空間を移動しており,時間帯や地域によっては,夜間人口は良い指標とは言えない.本研究ではこうした課題を解決する試みとして,東京大学空間情報科学研究センター提供による「人の流れ」データを母数とする被害リスク算出を試みる.具体的には,ある大都市で認知された性犯罪を事例に,徒歩や自転車で移動する女性の数を潜在的ターゲットの数とみなしたリスクの算出を行う.これにより,これまでの指標で明らかとされてこなかった時間や場所における被害リスクの推定を試みる.
P-43 数値写真により作成した3次元計測データとオルソ画像の比較検証
PDF 山田 翔平
近年の技術進歩により、航空写真から3次元モデルを容易に作成することができるようになった。これまで2次元で確認していた建物や、地形形状についても、3次元モデルを使用することで直感的に把握することができる。本発表では、比較検討として、撮影時のラップ率の違う2パターンを使用して、デジタルオルソ画像、3次元モデルをそれぞれ作成し、各データの利点・欠点などを整理し、利活用方法について考察を行う。
P-44 複数地点からの常時画像モニタリングによる都市空間上の飛行物体の検出と分類
PDF C-2-5 祖父江 英謙, 福島 佑樹, 樫山 武浩, 関本 義秀
本研究では,都市上空を飛行する物体の検出から分類までを行うシステムの提案を行った.低解像度の飛行物体に対応するために,物体の検出・追尾に関しては背景差分法とトラッキングの1手法であるKCFを組み合わせた.また複数視点から撮影することで3次元軌跡を復元した.物体の分類に関しては深層学習を使用し,低解像度でも分類が可能であることを確認した.また,実際に六本木にてUAVを飛行する実験を行い,精度の検証を行った.
P-45 関東地方における谷津田の地形的条件と地域分布
PDF David Sprague
関東地方の農業環境において生物多様性を育む景観要素が多く揃う谷津田は生態学者に注目されている。谷津田とは台地を侵食しながら上流へ向かって枝分かれしていく狭い沢の中で耕作される水田である。狭義の谷津田はある程度の傾斜地と、そこに繁茂する樹林地に囲まれているとされている。本研究では、幅の狭い水田を囲む地形を解析し、谷津田が関東地方の低地や台地において実際にどのような地形と植生の中に分布しているかを明らかにする。
P-46 東日本大震災における復旧・復興の早期回復要因の推定手法に関する検討
PDF D-4-1 佐藤 大誓, 小川 芳樹, 秋山 祐樹, 柴崎 亮介
地震災害に対するレジリエンスな社会の実現のためには、被害そのものを防ぐことだけではなく、被害を受けた後の復旧・復興についても、より早期の回復に向けた取り組みが必要である。そのためにも、災害後の早期回復要因を知ることは重要である。そこで本研究では、2011年東日本大震災における、各地域の被害率と、滞留人口の時系列変化およびインフラの時系列の復旧状況を比較し、災害後の復旧・復興の早期回復要因の推定を行った。
P-47 パーソントリップ調査データを活用した駅周辺における人の流れの把握
PDF 飯塚 重善, 吉岡 拓哉, 金杉 洋
神奈川県にある大船駅は、鎌倉市と横浜市の境界上に位置し、両市の中心市街地とは離れているものの、JR線、モノレールといった鉄道を中心とした交通の要衝となっており、人の動きが極めて複雑である。そこで、駅周辺のマーケティングをはじめ、交通計画、サイン計画等に活用するために、大船駅を中心とした“人の流れ”をダイナミックに時々刻々と変動する人々の動きを面的に把握する調査を実施した。その調査内容と結果、その分析内容を紹介する。
P-48 都市農業の実態と利用ニーズの分析を通じた農ある暮らしの実現に関する研究
PDF 馬 晨, 藤田 直子, 倉田 将幸
都市農業は「市街地及びその周辺の地域において行われる農業」と定義され、農産物の供給以外にも多面的な役割を果たすとされている。本研究では福岡市早良区を対象に、農地所有者・自治体担当部署へのヒアリング調査を行い、農地の分布と利用形態等をGISで分析した。更に、その結果を元に地域内に農園が新設される時の集客圏や農園に求められる形態や機能を明らかにするため、人口分布や年齢構成など各種統計情報を加えて分析した。
P-49 京都地籍図を用いた大正期における地価の時空間分析
PDF B-1-5 青木 和人, 矢野 桂司, 中谷 友樹
京都には1000年にわたる人為的な土地利用変遷があり、それぞれの時代における地価分布があった。しかし、過去の地価分布状況に関する時空間分析は、ほとんどされてこなかった。その理由は、過去の地価を示すデジタルデータが存在しなかったためである。そこで本研究では,デジタル復刻された1912年刊の京都地籍図データを対象にGISを用いて大正期における地価の空間的分布を明らかにする。
P-50 スペースシンタックス理論に基づく道路構造と地域住民のリスク認知との関係
PDF 谷端 郷, 村中 亮夫, 中谷 友樹
本研究は、地域住民が都市空間の中でどのような場所に危険を抱いているのか、都市空間に関わる地理空間情報と地域住民の意識とを用いて検討する。本研究では、京都府亀岡市篠町の地域住民から、身近な地域において危険に感じる場所や安全に感じる場所に関する意識データを収集しGISデータ化した。データ解析にあたっては、スペースシンタックス理論に基づく道路構造に加え、傾斜や幅員などの道路特性についても考慮した。
P-51 建物名称に含まれる地名の空間分布について
PDF 小池 束紗, 貞広 幸雄
本研究は、建物名称に含まれる地名の拡がりについて調査を行い、それらがどのような要因によりそのような拡がりをみせているのかを明らかにした。建物名称を決定するとき、そこに地名が含まれる場合があるが、命名者の判断により地名の選択が行われている。ゼンリン住宅地図のデータを用いて、経年的に建物名称に含まれる地名の拡がりを観察することは、この選択行動の集合を観察することであり、その要因を探ることで地域イメージの構成要素を明らかにした。
P-52 管理不全空き家の傾向と地区特性との対応に関する考察
PDF 馬場 弘樹, 樋野 公宏
近年,空き家が周辺に負の影響を与えると問題になっている.本研究では川口市を対象とし,空き家の管理不全を表す指標と地区単位の住環境特性との対応関係について分析する.空き家に関するデータは川口市空家実態調査の結果を用い,各地区の住環境特性は国勢調査,国土数値情報を用い,駅までの距離,人口密度等を推計して分析する.結果,各地区の特性から管理されやすい要素を抽出し,今後の市民共同の空き家管理の在り方について示唆を得ることを試みる.
P-53 福岡県古賀市新宮町における3Dマップ表示について
PDF 外園 慶明, 森山 聡之
福岡県古賀市及び新宮町において3Dマップの表示を行った。3次元データは、地盤高はDigitalGlobe衛星より作成した2mDTMを用いた。建物等人工構造物はshpファイル形式で格納された3D Vectorで建物高を利用できる。また、表示には50cm解像度のオルソ画像画像を利用した。これらのデータはNTTDataよりAW3D製品として有償で提供されている。ここで、問題になるのが樹木群である。樹木群の高さを除去すると、オルソ航空写真を貼り付けた場合のリアリティが問題となる。そこで樹木群を判別し樹木が存在する場合は地盤高ではなく樹木高を2mDTMに採用することにした。しかし、樹木群の自動判別は困難であったため、今回は手動で判別を行った。表示してみると、国土地理院の5mDTMよりはリアリティが向上したと思われる。今後は地元自治体や住民と連携しながら防災情報や自然環境保全のための表示等に活用したい。
P-54 東洋大学情報連携学部におけるGIS教育
PDF 横田 達也
東洋大学情報連携学部(INIAD)は、2017年4月に東京都北区赤羽台に新設された学部である。4つのコースがあり、シビルシステムコースでは、ICTやIoT技術とGISやリモートセンシングを活用し、個人と社会のクオリティ・オブ・ライフを高めることを目標に地球環境から地域・都市環境までを対象としたGISの教育と実習を行う。社会情勢に適合し、将来を見据えた教育のため、具体的な方針と計画に関する情報交換のための発表を行う。
P-55 ホタテガイ養殖漁場におけるMODISデータを用いたクロロフィルa濃度推定
PDF 関澤 彩眞, 米澤 千夏, 高橋 大介, 長澤 一衛, 尾定 誠
本研究では、ホタテガイ養殖漁場の餌料環境評価に、衛星リモートセンシングデータ(MODIS)を用いたクロロフィルa濃度推定が有効かどうか検証した。宮城県石巻市の雄勝湾を調査対象地域とし、現地の2015年-2016年の月例定期定点観測の結果と衛星データからのクロロフィルa濃度の推定値をGIS上で比較した。また、湾全体の現地観測データと衛星からの推定値の積算値を求め、両積算値の年変動における同調性を検証する。
P-56 空間統計を利用した選挙分析
PDF 中島 有希大
計量政治分析の分野では、空間的自己相関などの空間的なバイアスを無視した研究が多く行われてきた。一部では自治体の選挙における分析において空間統計が用いられているが、国政選挙の分析は十分に行われていない。本研究では、2014年に行われた第47回衆議院議員総選挙データを用いて空間計量経済学的分析手法を利用した投票行動分析を試みる。説明変数には社会経済属性などのほか政策的な変数を採用する。また空間統計指標を用い、地域特性や空間的異質性を定量的・実証的に明らかにする。そして、空間統計を用いることでモデルが改善することを示す。
P-57 Space-time cubeを利用した時空間カーネル密度推定および関連する分析的可視化環境の開発
PDF 中谷 友樹
平面の直交2軸を地理座標、垂直方向軸を時間座標として示す時空間キューブ表現は、時空間的な分布・軌跡データの視覚化に利用されてきた。とくに点的事象の分布傾向把握を容易にするために、時空間カーネル密度推定によるデータ変換が提案され、犯罪や疾病の空間疫学研究でその有用性が確認されてきた。本研究はその利用を容易とするRを利用した分析環境の開発や関連する時空間データ処理を、具体的な犯罪や疾病データを用いて提案する。
P-58 災害環境研究から復興まちづくりへ繋ぐ復興・生活環境評価システムの開発
PDF 平野 勇二郎, 吉岡 明良, 高木 麻衣, 中村 省吾, 五味 馨, 戸川 卓哉, 辻 岳史
東日本大震災後,被災地における環境動態や環境回復,災害廃棄物の環境への影響評価など,数多くの震災関連研究が行われてきた.こうした研究の知見の蓄積により現実的な地域の復興に貢献するためには,地域の住民や自治体にとって有益な情報発信していくことが必要である.そこで,避難住民への地域情報提供や安全・安心の確保,自治体の将来シナリオ設計の支援を目的とした地域情報システムの開発を進めている.本研究ではその基礎研究として,種々の地域環境評価と,地域環境データの水平展開し,試作版のシステムへ実装した.
P-59 大規模イベント開催時における集団向けの集合場所推薦システムの構築
PDF 飛鳥井 翔太, 山本 佳世子
日本では多くの音楽イベントが行われており、その規模は数百人〜数万人のものまで大小様々である。こうしたイベントの際には客の多くが2人以上のグループで行動しており、イベントの開演前、終演後に合流しようとするため、混雑が長時間に及ぶ。本研究では、こうしたグループに対して、会場近辺以外の最適な集合場所(駅)を提案するシステムを構築することを目的とする。システムの要件として、1)グループの各個人の自宅最寄り駅及び会場の所在地のデータから集合駅を提案すること、2)Webブラウザ上で動作することの2点を最低限のものとする。ただし、これらのみがシステムの要件であった場合、どのようなグループでも最適な集合駅がターミナル駅となる可能性がある。そのため、3)より会場に近い場所がよい、電車に乗らず、徒歩での移動が多くてもよい、などといったグループの嗜好性を考慮した提案をすることも、システムの要件とする。また、集合駅近辺の飲食店やアミューズメント施設等の情報も、システムのデータベースに加えることにより、システムの実用性を向上させることができる。
P-60 災害発生時における情報共有を目的としたソーシャルメディアGISの構築
PDF 佐々木 照, 山本 佳世子
災害対策として自治体はハザードマップを作成している。しかし、リアルタイムに情報更新を行うことが難しく、災害発生時の情報共有には適していない。災害発生時にも効率的に情報共有を行うためには、平時に使い慣れたシステムを用いて情報共有が行われることが望ましい。そこで本研究は、減災のために平時から災害情報の閲覧や投稿を通じて地域住民の防災意識を高めつつ、災害発生時を想定した情報共有支援を行うソーシャルメディアGISの構築を目的とする。本研究では、災害時にも迅速に本システムを利用できるように、地域知の情報投稿・提供も平時に行うことでシステムを地域住民に親しみやすくさせる。また災害時には情報過多が予想されるため、行政の提供情報と地域住民の投稿の災害情報を整理・提供することを可能とする。特徴として、1)地域住民の投稿を可能とし、平時から災害情報や地域知の活用をしやすくするためにフィルターを導入し、地域住民の様々な活用を支援する、2)災害時における行政の提供情報と地域住民の投稿から災害情報を提供する、3)カラーユニバーサルデザインを用いて色弱の方でも危険情報を把握できることを可能にする。
P-61 学力及びその分散を最適化する学区設定方法の研究
PDF 山方 大志, 貞広 幸雄
これまで学区の最適化においては、通学距離や児童数を目的変数としてきた。しかし現在、児童数の減少や都市部への人口集中により、学校内及び学校間の学力格差が問題視されている。そこで本研究では、数理最適化ソフトウェア及びGISを用いて、学力とその分散を目的変数とした学区設定方法の最適化手法を模索する。