(添付資料) 「いぶき」一般提供開始データについて 「いぶき」搭載の主センサである温室効果ガス観測センサ(TANSO‐FTS)にて取得した
輝度スペクトルデータ(レベル1Bプロダクト)の初期校正作業が完了し、それに対応した輝
度スペクトル注 1)
(レベル1Bプロダクト)の一般ユーザへの提供の準備が整ったため、同デ
ータの提供を 10 月 30 日より開始致します。
データの取得は、利用希望者が国立環境研究所のウェブサイトにおいてユーザ登録を
行ったうえで、データベースの中から希望する地点、日時のデータを検索・選択の上ダウン
ロードする方法により可能となります。当面は 10 月 29 日以降の観測データの提供となりま
す。ユーザ登録には電子メールアドレスが必要です。 データ提供に関するホームページ:http://data.gosat.nies.go.jp/ 「いぶき」搭載の副センサである雲・エアロソルセンサ(TANSO‐CAI)の地球観測画像デ
ータ注 2)
(レベル1B及びレベル1B+プロダクト)についても初期校正は完了しており、準備
が整い次第、一般への提供を開始する予定です。時期は 11 月中旬を見込んでいます。 (注 1) 太陽の地球表面での反射光または大気からの熱放射を光の波長別に分光して測
定した光のエネルギーの様子。大気中の気体は特定の波長での吸収を示し、その
強さなどから気体の存在量の情報が求められる。
(注 2) CCDカメラで捉えた地球方向の画像データ。地理情報のほかに雲の被覆状況など
がわかる。 (1) TANSO‐FTS のレベル1Bプロダクト(輝度スペクトル)の例
提供を開始する TANSO‐FTS のレベル1Bデータは、表1に示すバンド 1〜4 のスペクトル
で構成されています。バンド 1〜3 については、偏光別にそれぞれ P 偏光と S 偏光のスペク
トルデータ注 3)
が提供されます。
表 1 TANSO‐FTS の仕様
(注 3) 光には波長(色)、強度(明るさ)の他に「偏光」という性質があり、「いぶき」では、直
交する Pと S成分の偏光情報を取得する。偏光は観測時の地表面、大気中のエア
ロソルや薄い雲の状態によって変化するため、それを解析に利用する。 図 1 は 2009 年 4 月 23 日に茨城県つくば市上空で観測された TANSO‐FTS のバンド 1
〜4 の輝度スペクトル(バンド 1〜3 は偏光別のスペクトル)です。横軸が波長(ミクロン)、縦
軸が分光放射輝度(波長分別された光の強さ)を表します。各バンドで観測対象ガスの吸
収が測定されていることがわかります。 図 1 輝度スペクトルの例(2009 年 4 月 23 日のつくば地点の観測スペクトル) なお、これらの輝度スペクトルデータを解析することにより、二酸化炭素とメタンの濃度が
導き出されます。これらのデータが蓄積されることにより、図 2(2009 年 9 月 1 ヶ月間の「い
ぶき」観測データから求められた二酸化炭素のカラム平均濃度注 4)
(未検証)の例)や、図 3
(2009 年 9 月 1 ヶ月間の「いぶき」観測データから求められたメタンのカラム平均濃度(未検
証)の例)のような全球分布が得られます。なお、当結果は未検証の解析結果であるため、
推定された個々のカラム平均濃度値に解釈を与えることは適切ではありません。このよう
な濃度データについては、平成 22 年 1 月末を目処に、初期検証作業とそれに基づくデータ
処理手法の調整の後に、一般提供を開始する予定です。
図 2 「いぶき」観測データから求められた二酸化炭素のカラム平均濃度(未検証)の例
(2009 年 9 月 1 ヶ月間)
図 3 「いぶき」観測データから求められたメタンのカラム平均濃度(未検証)の例(2009 年 9
月 1 ヶ月間) (注 4) カラム平均濃度:地表面だけでなく、上空までの鉛直の柱(カラム)の中にある空気
全量に対する対象気体量の平均濃度。 (2) TANSO‐CAI のレベル1B画像例
TANSO‐CAI レベル1Bプロダクトは、表 2 に示す TANSO‐CAI のバンド 1〜4 の 1 ストリ
ップ注 5)
のデータ(GOSAT の軌道に沿ったほぼ半周回分のデータ)をフレーム注 6)
に分割し、
バンド 3 のセンサ座標に合わせて内挿を行わずにバンド間の位置合わせ(レジストレーショ
ン)を施したもので、4 つのバンドから構成されます。図 4 は、日本付近のサンプル画像で、
バンド 1,2,3 にそれぞれ青、赤、緑を割り当てたものです。 表 2 TANSO‐CAI の仕様
(注 5) ストリップ: 衛星の軌道に沿った日照部の幅約 1000 km の一連のデータ。
(注 6) フレーム:昼夜を通した衛星の地球1周分の 1 ストリップを 60 に分割した単位。日
照部には 30 または 31 フレームのデータが存在する。レベル1B及びレベル1B+
プロダクトの提供単位である。
図 4 TANSO‐CAI レベル1B画像の例(2009 年 4 月 23 日の関東付近,緑:バンド 3,赤:バ
ンド 2,青:バンド 1 のデータを当てはめた合成画像) TANSO‐CAI レベル1B+プロダクトは、1 ストリップのデータ(GOSAT の軌道に沿ったほ
ぼ半周回分のデータ)を、レベル1Bと同様にフレームに分割し、内挿を行って地図投影法
に合わせ、バンド間の位置合わせ(レジストレーション)を施したものです。画像は、北が上
になるように幾何的に変換されています。4 つのバンドから構成されています。図 5 は日本
付近のサンプル画像で、バンド 1,2,3 にそれぞれ青、赤、緑を割り当てたものです。
図 5 TANSO‐CAI レベル1B+画像の例(2009 年 4 月 23 日の関東付近,緑:バンド 3,赤:
バンド 2,青:バンド 1 のデータを当てはめた合成画像)

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