報道発表資料
第14回「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」総会の結果について
( 要 旨 )
第14回「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」総会が、9月28日 (月)から10月3日(土)までウィーンにおいて開催された。
総会においては、温室効果ガスのインベントリー(排出・吸収目録)の算定方 法を充実・強化するため、IPCCにタスクフォースを新設することが決定され た。その中核的機能(議長及び技術的支援組織)については、我が国(環境庁)
の提案により、我が国に置くこととなった。
また、IPCC第三次評価報告書の執筆体制や吸収源に関する「土地利用変化 及び林業に関する特別報告書」等について議論が行われたほか、東京大学大学院 客員教授が新IPCC副議長として承認された。
なお、今回の総会に先だち、ローマにおいて、環境庁の資金協力により、土地 利用変化及び林業に関する第1回IPCC/SBSTA(注)ワークショップが 開催された。
今回のタスクフォースの誘致は、インベントリーに関する今後の検討が京都議 定書を実施していく上で極めて重要であるとの認識から行ったものであり、環境庁としては、今後とも京都議定書の実施に関する国際的な検討に積極的に参画・
貢献することとしている。
(注)SBSTA:「国連気候変動枠組条約の下の科学上及び技術上の助言に関する補助機関」
1.第14回IPCC総会の概要
:
平成10年9月28日(月)から10月3日(土)まで6日間O事務局長、各国代表など、総計約200人が出席。我が国からは、森環境庁地 球環境部研究調査室長をはじめ、木村通商産業省審議官、谷口東京大学大学院客 員教授など11名が出席した。
2.会議の主要な検討内容
インベントリーに関するタスクフォース
インベントリーに関するタスクフォースの新設
京都議定書においては、先進工業国について法的拘束力のある目標値が設定さ れた。この目標値に対する各国の排出量を算定するためには、京都議定書で合意
された吸収源の取扱い等の新しい要素を含め、既存のインベントリーガイドライ ンを充実・強化する必要がある。
このため、今回のIPCC総会において、インベントリーの検討のための新た な体制を確立することとされ、インベントリータスクフォースの新設が決定された。新たなタスクフォースは、既存の3つの作業部会の体制にならい、
:
先進国及び途上国より1名を選出する。により構成されることとなった。
(注)COP3や京都議定書と本件との関係
- COP3では、締約国が排出量・吸収量の推計にあたり、温室効果ガスのイ ンベントリー作成のための1996年IPCC改訂ガイドラインを用いるべきこ とを決定している。(決定2/CP.3)
- また、京都議定書では、議定書の締約国会合は、IPCCの検討結果とSB STAの助言に基づき、(i)のガイドラインによる推計方法を定期的に見直し、 適宜これを改訂すべきことを定めている。(京都議定書第5条2)
新たなタスクフォースについては、我が国がその中核的機能を引き受ける用意 がある旨、環境庁が中心となって提案を行った。
我が国提案の骨子は以下のとおり。
IPCC第三次評価報告書の執筆者や承認手続きについての検討が行われた。 執筆者については、今後、各作業部会において最終的な調整が行われ、10月中 に確定することとなった。
第1回IPCC/SBSTAワークショップの報告を受け、吸収源に関する「土地利用変化及び林業に関する特別報告書」についての議論が行われた。
本報告書は2000年5月に完成されることとなった。各章毎の検討内容や目次案は一部修正の上承認されたが、執筆者については、引き続き検討されることとなった。なお、本報告書は2000年に開催予定の国連気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)に報告される。
前IPCC副議長((財)地球産業文化研究所専務理事)の逝去に伴い、副議長の後任として、東京大学大学院客員教授が承認された。
3.土地利用変化及び林業に関する第1回IPCC/SBSTAワークショップ
IPCC総会に先立ち、土地利用変化及び林業に関する第1回IPCC/SB STAワークショップが、環境庁の資金協力により、ローマで開催された。
本ワークショップでは、IPCC「土地利用変化及び林業に関する特別報告書 」について、各章毎の検討内容や目次案、執筆者についての議論がなされ、その 結果についてIPCC総会に報告された。
- 連絡先
- 環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課研究調査室
(03-3581-3351)
室 長 :森 秀行(内線6743)
補 佐 :水野 理(内線6746)
担 当 :横田寛伸(内線6747)