環境省 Ministry of the Environment

報道発表資料

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1998年07月16日

アルミ製品製造工場排水に係るダイオキシン類調査結果(平成9年度)

環境庁では、平成9年度に通商産業省と協力してアルミ製品製造工場の排水中のダイオキシン類の濃度について調査を行った。
調査の対象は,(社)日本アルミニウム連盟加盟等の125工場のうち、アルミ製品製造工程由来の事業排水がある12工場すべてとした。
調査の結果、アルミ製品製造工場12工場中3工場の排水からはダイオキシン類が検出されなかった。ダイオキシン類の検出された9工場の最高濃度は24pg-TEQ/Lでり,12工場全体での平均値は6.2pg-TEQ/L,中央値は0.35pg-TEQ/Lであった。
今回の調査において比較的濃度の高かった3工場は,アルミ製品製造以外の事業排水を含んでいることなどから,更に詳細な調査を通商産業省と協力して行うこととしている。また,この詳細調査を踏まえて,比較的ダイオキシン類濃度が高い工場がある場合には,ダイオキシン類削減の技術的可能性を通商産業省と協力して調査を行うこととしている。

1 調査内容
環境庁では、これまで紙パルプ工場等及び公共用水域における環境中のダイオキシン類の調査を行ってきたが、平成9年度はアルミ製品製造工場排水に係る調査を行った。
(1) 調査対象工場
(社)日本アルミニウム連盟若しくは(社)日本アルミニウム合金協会加盟企業全てを含む125工場のうち、アルミ製造工程由来の事業排水のある12工場。ただし,(社)日本アルミニウム合金協会の加盟会社については,該当工場無し(別紙参照)。
(2) 試料の採取
調査対象工場の総合排水口から1工場について1検体(年1回)採水を行い,分析を行った。
なお、調査対象工場には、アルミ製品製造だけではなく他の事業も実施し、排水処理設備を共有しているところ等が3工場あったが、今回の調査は、アルミ製品製造プラント及び他の事業プラントからの排水を含む総合排出口において採水を行った。
(3) 分析項目
ポリ塩化ジベンゾジオキシン(PCDD)及びポリ塩化ジベンゾフランPCDF)。

2 調査結果
調査結果は、下表のとおりであった。アルミ製品製造工場12工場のうち,3工場からはダイオキシンが検出されなかった。ダイオキシンが検出された9工場のうち,最高濃度は24pg-TEQ/Lであった。12工場全体での平均値は6.2pg-TEQ/L,中央値は0.35pg-TEQ/Lであった。

ダイオキシン毒性等価量
(pg-TEQ/L)
工 場 数
検出されず
1pg-TEQ/L未満
1〜10pg-TEQ/L未満
10〜20pg-TEQ/L未満
20〜30pg-TEQ/L未満
3
5
1
1
2
調査工場数 12
最 大 値
最 小 値
平 均 値
中 央 値
24 pg-TEQ/L
0 pg-TEQ/L
6.2 pg-TEQ/L
0.35 pg-TEQ/L
注1 ダイオキシン類は超微量で存在するため,1兆分の1g/Lを表す1pg/Lを用いて表示する。また,ダイオキシン類には異性体が多く(ダイオキシン:75種,フラン:135種),毒性は異性体ごとに異なるため,異性体の中で最も毒性の強い2,3,7,8-TCDDに換算して
表示し,その場合は単位にTEQを付してpg-TEQ/Lと表示する。
注2 ダイオキシン類の測定は,異性体ごとに,四,五塩化物:1pg/L,六,七塩化物:2pg/L,八塩化物:5pg/Lを下限として行った。


3 今後の対応
今回の調査においてダイオキシン類が検出された工場について{1}アルミ製品製造事業以外の事業排水を含んでいるものが2工場あること,{2}下水処理場において凝集沈殿等の排水処理を行っているものが1工場ありその処理前で測定したこと,から通商産業省と協力して更に詳細調査を行うこととしている。また,この詳細調査を踏まえて,比較的ダイオキシン類濃度が高い工場がある場合には,ダイオキシン類削減の技術的可能性を通商産業省と協力して調査を行うこととしている。


(別紙)


アルミ製品製造工場排水に係るダイオキシン調査対象事業所




ここでいうアルミ製品製造工場は,次の2つの業種に分けられる。

しろまるアルミニウム圧延業(業界団体:(社)日本アルミニウム連盟,加盟会社率95%)
アルミを溶解し,スラブからアルミニウム板を,ビレットから管,棒,形材等を製造。

しろまるアルミニウム合金製造業((社)日本アルミニウム合金協会,加盟会社率約50%)
アルミニウムスクラップを溶解し,主に,鋳物やダイカスト用地金を製造。

しろまる上記2業種から,以下のとおり場外排水のある12工場に絞り,調査対象とした。

  ┌―――――――― 関係工場:125工場  ――――――――┐
  |               |
  | ┌―――――― 溶解炉保有:80工場  ――――――┐ |
  | |             | |
  | | ┌――― 湿式排ガス処理:34工場 ―――┐ | |
  | | |          | | |
  | | | ┌―――――――――――――――┐ | | |
  | | | |        | | | |
  | | | | 排水あり:12工場→調査対象 | | | |
  | | | |        | | | |
  | | | └―――――――――――――――┘ | | |
  | | | (処理水を循環している工場)  | | |
  | | |          | | |
  | | └―――――――――――――――――――┘ | |
  | |    (乾式排ガス処理工場)    | |
  | |             | |
  | └―――――――――――――――――――――――――┘ |
  |    (溶解炉を保有していない)    |
  |               |
  └―――――――――――――――――――――――――――――┘
連絡先
環境庁水質保全局水質規制課
課 長 畑野 浩(6640)
補 佐 西嶋 英樹(6643)

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