エネルギアグループ知的財産報告書(2018年2月)


本報告書は,エネルギアグループの研究・開発および
知的財産に関する活動についてご理解いただくための
情報提供のみを目的としており,いかなるコンテンツも
投資を勧める目的で掲載されてはおりません。
投資に
関するご判断は,利用者ご自身の責任において行われ
ますようお願いいたします。
本報告書記載内容のうち,当社グループの計画,方針,
戦略,事実認識等,将来に関する記述をはじめとする,
既に実現した事実以外の事項は,現在入手可能な情報
から得られた予測,想定,計画等を基礎としています。
また,既に実現した事実および一定の前提に基づいて
予測を行っており,客観的な正確性,将来の実現可能性
を保証するものではないことをご承知おきください。
本報告書に関する注意事項
この報告書について,
ご意見,
お問い合わせなどがございましたら,
お気軽に下記までお寄せください。
エネルギア総合研究所
(知財啓発法務グループ)
〒730‐8701 広島市中区小町4‐33
TEL 082‐544‐2912 FAX 082‐544‐2913
http:/ /www.energia.co.jp/eneso/tech/chizai/
エネルギアグループ
知的財産報告書
2018年2月「地域で選ばれ、地域をこえて成長する 企業グループ」をめざして│『海外事業』を支える 知的財産活動特別インタビュー 中国電力株式会社
代表取締役 社長執行役員
知財で
電力新時代を
切り拓く。
活 用
人 材
保 護 創 造
エネルギアグループの
知財活動イメージ
エネルギー業界の競争環境の変化が進むなか,
競争優位の源泉とな
るものは,
保有している企業のみがコントロールできる知的財産であり,
それを生み出す人材と考えます。
エネルギアグループは,
ステークホルダー
の皆さまとのつながりを大切にしながら,
積極的に知財戦略を推進すると
ともに,
それを支える人材育成に取り組んでいます。・戦略的な権利化・知財リスクへの対応・創意工夫・研究・開発・知財価値の顕在化・事業活動の自由度確保・人材育成・啓発活動・競争力強化を通じた企業価値の向上・積極的な情報発信
株主・投資家の
皆さま・低廉で質の高い電気の安定供給・知財を通じた社会貢献
お客さま・地域社会・標準化への取り組み・知財を通じたアライアンス
他事業者など・外部知見の有効活用・一体的な研究・開発
研究パートナー
(メーカー・大学・研究機関等)
当社グループは,
電力システム
改革を単に受け身に捉えて送配電
事業を分けるだけではなく,
これを
機に,
電力小売全面自由化によって
激化していく競争に打ち勝ち,
グル
ープ全体の競争力を強化することに
向けて,
昨年10月に全社的な組織
見直しを実施しました。
過去70年
近く発電・送配電・小売りの一貫
体制で営んできた事業を分割する
ことは,
これまで経験のない大変革・大事業です。
エネルギー事業を取り巻く環境
が大きく変わる中で,
当社グループ
が注力する取り組みのひとつが知財
活動です。
事業を通じて開発した
自社技術を知的財産として特許など
の形にし,
それを活用することで
企業価値の向上につなげていき
たいという考えです。
知財活動の推進は,
蓄積してきた
技術を他社ではまねできないものと
して保有し続けることを可能にする
ことから,
競争力の強化に寄与する
ものと考えています。
現在,
分社化後
の知財管理も含めて検討を進めて
います。
当社グループの成長戦略の中に
海外事業への取り組みがあります。
新たな成長事業の育成・拡大に
向け,
海外事業にこれまで以上に
力を入れて取り組むため,
2015年
6月に国 際 事 業 部 門を設 置しま
した。
当社グループの海外事業の
展開先は世界全体を視野に入れて
いますが,
将 来の電力需 要の約
半分がアジアに集中する予測を
踏まえ,
2016年7月には,
今後の
展開の第一歩となる海外拠点と
して,
シンガポールに当社初の駐在
員事務所を設置しました。
同事務所
において,
アジア諸国を中心に海外
の発電市場の情報収集を行って
います。
当社グループは,
競争優位性を
図るため,
将来的な海外事業展開を
見据え,
それに対応した国,
技術
分野での権利取得に取り組んでき
ています。
今回の報告書では,
こう
した成長戦略である
「海外事業」を支える知財を特集として取り上げ
ています。
「海外事業を支える知財
活動」
の一端をご覧いただければ
幸いです。
当社グループは,
知的財産制度の
枠組みを尊重・活用した知財戦略の
取り組みを一層深化させ,
ステーク
ホルダーの皆さまのご期待に応えて
まいりたいと考えています。
その成果
を知的財産報告書をはじめとした
さまざまな活動を通じて積極的に
情報発信するとともに,
皆さまから
お寄せいただく声に十分耳を傾け
てまいります。
今後とも,
一層のご理解とご支援
をいただきますよう,
よろしくお願い
します。
知財活動を競争力強化の
源泉として
海外事業を支える
知財活動
ステークホルダーの皆さまの
期待にお応えするために
01 02
05-06 07-08 09-10
海外事業を支える
技術力
海外における
権利化方針
「地域で選ばれ,
地域をこえて成長する企業グループ」
をめざして─
特 集
『海外事業』
を支える
知的財産活動
特別インタビュー
電気事業を支える基盤技術と特許の関わり 16-19216
しかく電気事業を支える基盤技術
17-19
しかく基盤技術と特許の関わり
基盤技術は
「発電」
「送電」
など10の分野に大別され,
相互に連携することで低廉で安定した電力供給を実現
基盤技術を権利化し事業活動の自由度を確保するとともに,
保有特許を活用するためのライセンス活動も推進
保有する特許の事業への貢献を把握するという経営の観点から,
特許の価値の定量的評価を実施
研究・開発への取り組みと独自技術 20-243知財戦略の基本理念と推進体制 11-15120-21
しかく研究・開発戦略
22-23
しかく研究・開発の意義と独自技術
知左ヱ門博士の知財こぼれ話 ... 隠岐ハイブリッド大作戦
グループ企業の知財活動への取り組み ... 株式会社エネルギア・コミュニケーションズ24しかく研究・開発推進体制
事業強化に向けて特に優先度の高い分野に重点的に経営資源を配分するなど,
効果的な研究・開発を推進
価値の高い成果を生み出すため,
研究•開発の取り組みを効率的に進める規程や体制を整備
大規模設備や複雑な送配電ネットワークの運用ノウハウ・技術を基に,
ユーザー視点で独自の研究•開発を実施
共同研究,
共同開発やクロスライセンス,
標準化活動などを通じて,
外部の知見や技術を有効活用
11-12
しかく知財戦略の3つの基本理念13しかくエネルギアグループの知財戦略の基本的な考え方
14-15
競争優位の源泉は知的財産であり,
それを生み出す人材であるという考えに基づき3つの基本理念を規定
社員の約半数が発明者という裾野の広い活動や,
現業機関の社員の発明の多さが知財活動の特長
しかく知財戦略推進体制
知財戦略推進のための支援体制や会議体を整備し,
事業戦略,
研究•開発戦略,
知財戦略を一体的に展開
事業運営のあらゆる場面で生み出されている技術・ノウハウ・アイデアなどを確実に知財化・権利化
知財戦略の推進により企業価値を向上させるため,
長期的視点で方針•目標を設定し,
段階的に展開
知財リスクへの対応 29-30629-30
しかく知財リスクに対する日常業務での対応30しかく他者商標権侵害の防止に関する体制
コンプライアンス最優先の考え方に基づき特許権や商標権の侵害リスク対応を実施
リスクを回避するため,
社外に発信する広報・広告媒体の作成段階で商標リスクの有無を審査する体制を策定
CSRの取り組み 31-327EnerGia IP Activity 2017 ー知財活動の概観ー
活 動 報 告 33-34
特許の価値の定量的評価/特許出願・登録件数・登録率の推移/発明者人口の推移 ほか
商標への取り組み 27-28527-28
しかく商標を通じたメッセージの発信28しかく戦略的事業領域での商標活用
シンボルマーク
「EnerGia」
やシンボルスポーツのチーム名を,
お客さまとのコミュニケーションで積極的に活用
電気事業を中核とした幅広い事業で総合力を発揮するため,
エネルギアグループのシンボルマークを制定
知財マッチングによる地域との連携 25-26425
しかく知財マッチングへの取り組み
中国地域の課題解決と発展をめざした知財マッチングの全体像26しかく行政と連携したオープン・イノベーションの推進
研究・開発ニーズにマッチする地元企業の探索 26しかく行政・金融機関等が開催する知財マッチング会への参加
自治体や金融機関との連携による知財マッチングの取り組み31しかく知財を通じた貢献活動32しかく地域貢献の推進
熊本地震復興支援によるCSRを意識した知財活動
地域の人材育成や研究開発成果の紹介を通じて地域社会へ貢献
本報告書の開示項目は,
経済産業省の
「知的財産情報開示指針」
を踏まえ,
当社の取り組みの特長が最も明確になるよう,
項目の配列などを変更した構成としています。26・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・椋梨 敬介様
(株)YMFG ZONEプラニング 代表取締役社長
佐藤 元春様
ひろしま産業振興機構 知財戦略マネージャー26・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小林 隆宏様
岡山県産業振興財団 ものづく
り支援部 研究開発支援課 コーディネータ26・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
高下 真
管財部門
(原子力建築グループ)21・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・横林 亮介
エネルギア総合研究所
(ネットワーク設備グループ)26・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
石部 裕之様
岡山県 知財総合支援窓口 コーディネータ30・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・岡 博司
エネルギア総合研究所
(知財企画権利化グループ)
VOICE
03 04
シンガポール
マレーシア
チャンギ空港
マリーナ・ベイ・サンズ
マー・ライオン
↑チャンギ空港
地下鉄タンジョン・パガー駅
当社グループは,
電力小売全面自由化を契機に競争が本格化していく中,
当社グループが勝ち残り,
将来にわたって成長し発展していくため,
「地域で選ばれ,
地域をこえて成長する企業グループ」
をめざし,
成長事業の育成・拡大を図っています。
海外事業はこうした取り組みのひとつになります。
特集では,
「海外事業を支える技術力と知財」
という切り口で海外事業の取り組みをご紹介します。
『海外事業』
を支える 知的財産活動
特 別 インタビュー
国際事業部門長 平野 正樹
ています。
当社はこれまでに4,000件を超え
る特許を蓄積してきましたが,
海外事業展開
を見据え,
この中に含まれる火力発電所の
余寿命診断や簡易補修技術などを中心に,
海外事業の取り組み方針に対応した技術
分野,
対象国での出願・権利取得が図れる
よう,知的財産活動を海外へも展開してい
ます。具体的には,
次の2点を念頭に取り
組んでいます。
一つ目は,
特許取得による技術の独占で
す。
海外事業へ参画する場合,
当該国では
当社しか使用できない特許技術を保有する
ことで提携先等へ当社の比較優位性や技術
力をPRすることができます。
当社が参画
常駐の海外事務所としてシンガポール駐在
員事務所を設置し,
アジア諸国を中心に
海外の発電市場の情報収集等を継続的に
行っています。
当社はこれまで,
台湾での変電所新設,
ベトナムやカンボジアでの水力開発,
カンボ
ジアでの電力マスタープラン改定等に関す
るコンサルティング事業を実施して,
海外の
電気事業の発展に貢献してきました。
コンサルティング事業は,
事業を通じ相手
国との信頼関係を築くとともに,
当該国の
エネルギー情勢や政策等に関する情報が
得られるなど,
将来の出資によるさらなる
事業拡大への基盤作りにも寄与することから,今後も引き続き進めていきます。
これに加え現在は,
海外における発電事業
への出資参加にも力を入れています。
具体的
には,
2016年3月にマレーシアでの石炭火力
発電事業に出資参画しました。
本事業は,
クアラルンプールから約60kmの場所に,高効率USC
(超々臨界圧)
方式の発電設備を2機(100万kW 2)
開発するものです。
日本
で最初のUSC石炭火力を三隅に開発し20
年にわたる運転実績を有する当社の技術や
経験が活かせるプロジェクトです。
現地では,2017年1月に1号機ボイラの機器据付
工事に着手し,
同年7月以降同工事が本格化,また2号機の機器据付工事も並行して
進められていることから,
建設工事のピーク
を迎えています。
2018年末に1号機が試運
転を開始し,
2019年には1号機および2号
機が営業運転開始する予定で,
おおむね
計画通りに進捗しています。
海外における電気事業は当社の成長戦略
において有望な分野ですが,
海外においても
他国も含めた競争は厳しいものがあります。
その中で,
日本のあるいは当社の強みをより
積極的にアピールできる点が,
これまでの経
験に裏付けられた技術力です。
発電事業は,
経済的にかつ長期にわたり安定して高い性
能を維持した運転が継続されることが何より
も重要であり,
そこに当社が事業参加する
意義を認めていただければと考えています。
競合他社に対する当社の比較優位性の一
つが当社の保有する知的財産であると考え
すれば,
当該事業でそれらの特許技術を自
由に活用することができます。
本特集では,
これまでの国際出願により裏付けられた
「海外事業を支える技術力」や,当社の
「海外
における権利化方針」
について取り上げて
いますのでご覧ください。
二つ目は,
特許出願による認知度向上で
す。
特定の国へ一定数の特許出願をすること
により,
政府や関連機関等に対して当社に
対する注目度が高くなり,
認知度が向上して
競争入札時に優位に働く可能性があります。
当社はアジアの石炭火力を皮切りに,
海外
の発電事業への投資に参入しましたが,
今後
はアジアに加え欧米地域にも視点を置き,またガス火力や再生エネルギーによる発電事
業への参加についても検討を進め,
将来的に
は海外事業における望ましいポート
フォリオ
を実現したいと考えています。
知財面では,
英国のエンジニアリング会社
であるETD社
(European Technology
Development Limited)
に対し,
火力発電
所の高温蒸気配管の保守に関する包括的,
体系的な特許の実施許諾契約を結び,
当社
の技術が欧米においても展開される機会を
作りました。
知財にも裏付けられた当社の技術が海外
事業全体の競争力を生み出す源泉となり,
将来の収益力強化につながることと確信
しています。
日本の電気事業を取り巻く経営環境は,
2016年4月に電力の小売りが全面自由化
される一方,
今後国内需要増が見込めない
ことから,
非常に厳しいものがあります。
した
がって,
当社が将来に向けて成長していくた
めには新たな事業展開が必要ですが,
海外
の電気事業への参画は,
当社がこれまで
培ってきた技術や経験を活かせる有望な
分野として期待されています。
当社においては,
2002年に台湾での水力
発電所改修工事設計業務を受託して以降,
主としてコンサルティング事業を中心に海外
事業を展開してきましたが,
現在は発電事業
への出資参加を積極的に進め,
海外における
収益力の強化に取り組んでいるところです。
また,
海外における事業展開をさらに進める
ため,
2016年7月には当社初となる社員
国際事業部門長
平野 正樹
『海外事業』
を支える知的財産活動
TNB 三井物産 中国電力
マレーシア中間持株会社
3B Power
IPP事業会社 Jimah East Power
CEPIN70%50%100%50%30%マレー半島
クアラルンプール
約60km
マラッカ
海峡
建設地点
ヌグリ・スンピラン州 ジマ地区
インターナショナル
プラザ
シンガポール駐在員事務所
マレーシア石炭火力事務所 出資構成
海外事業の実施に当たり知的財産活動は
どのような意味を持つのでしょうか。3質問
今後の海外事業の展開について
教えてください。4質問
現在の活動状況について
教えてください。2質問
海外事業を
展開する位置付けは。1質問
05 06
火力発電所の高温蒸気配管の保守に関する信頼性をさらに向上させるための技術として,
「配管最大損傷部位の特定技術」,「高クロ
ム鋼配管の余寿命診断技術」,「配管補強技術」を,日本で初めて独自開発し,
当社の火力発電所に適用しています。
さらに,
これらの技術は,
英国のEuropean Technology Development Limited
(以下,
ETD社)
との間で,
当研究所が研究
開発した技術について特許の実施許諾契約を締結し
(2016年9月16日締結),ETD社の技術者に対して,
必要な技術の教授,
技術
データの提供等を行うためのトレーニングを行っています。
農業用水路等を利用して取水や発電などの利水を行う場合,
水路に堰を設け,
水位を確保する必要があります。
従来の水路を直線状
に横断する堰は,
取水機や発電機などの利水設備に不調が生じ,
排水ができなくなると,
堰を越える水かさが高くなり,
水路の側壁から
水があふれるという問題がありました。
そこで,
堰を水路内を屈曲しながら横断
する形状とし,
従来の直線状と比べて堰の
長さを長く
したことで,
利水設備の不調時に,
水が堰を越える際の長さが長くなる分だけ
水かさは低くなり,
水路の側壁からあふれ
にく
くなりました。
従来,
ダム式水力発電所は,
出水時に溢水
(いっすい)
が発生しないことに主眼を
おいた運用計画に沿って運転されており,
発電電力量を増加できる機会を逸して
いるという課題がありました。
そこで,
最適化理論を適用し,
所定期間ごとの水位と流入量等を考慮して,
各種制約を満たしたうえで発電電力量を最大化する運用計画を自動作成する
システムを開発しました。
火力・原子力発電所の取水系統には,
フジツボ類等の大型付着生物が付着し,
機器の性能低下,
管路の閉塞などの障害が起こる場合
があります。
その対策として,
従来から塩素
(次亜塩素酸ソーダ)
等の薬剤注入が行われていますが,
完全に付着を抑制することはできま
せんでした。
また,
将来的に塩素注入に関わる環境規制や社会情勢等で変化があった場合に備えて,
新たな対策技術について研究を
進めておく必要がありました。 当社では,
近年LEDにより,
さまざまな波
長で省電力,
長寿命,
低価格な光源を確保
することが可能となっていることに着目し,
特定波長のLED光の照射による生物付着
抑制方法を開発しました。
特定波長のLED
光の照射により,
二枚貝類幼生の閉殻行動,
フジツボ類幼生の忌避行動を誘起可能で
あること,
および幅広い生物種
(二枚貝類,
フジツボ類,
ヒドロ虫類,
コケムシ類,
ゴカイ類,バイオフィルム等)
について付着・繁殖
を抑制可能であることを確認しています。
再生可能エネルギーであるバイオマス資源の
利用拡大に向け,
ジャトロファ(注記)1の種子から精製
した燃料油を使用した発電試験(注記)2を実施し,
A重油と同等の環境特性および発電効率を示す
ことを検証しました。
東南アジア各国に自生するジャトロファの
発電利用により,
依然,
未電化地域が数多く存在
する東南アジア地域での電化の普及促進に寄与
することが期待できます。
(注記)1正式名称は
「Jatropha Curcas」。日本の生物学名は
「ナンヨウアブラギリ」。トウダイ
グサ科の中南米原産の落葉低木。
種子には毒性物質が含まれることから食料にできないエネルギー作物
であり,
種子からは,
良質な燃料が得られる。
また,
栽培地は肥沃な土壌である必要はなく,
耕作放棄された場所で栽培できることから,
安定調達が期待できる。
(注記)2独立行政法人産業技術総合研究所および株式会社広島環境研究所とともに,
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成を受け,
カンボジア工科大学およびカンボジア国
鉱工業エネルギー省と共同で,
2009年度から2010年度にかけてカンボジア国内において実施。
海外事業を支える技術力
関連特許:フジツボ類の付着抑制方法
(PCT/JP2014/082448)他(登録国:日本,
シンガポール,
出願国
(審査中):米国,
欧州,
中国,
韓国)
関連特許:燃料生成システムおよび発電システム
(PCT/JP2012/065019)
(登録国:日本,
インドネシア,出願国
(審査中):カンボジア,ベトナム)
くろまる 事例3:水力発電技術
関連特許:水路を利用した利水設備
(PCT/JP2007/063127)
(登録国:日本,
インドネシア,フィ
リピン)
くろまる 事例1:高温蒸気配管の保守関連技術
関連特許:配管の補強装置,
配管の補強方法
(PCT/JP2015/070759)他(登録国:日本,
出願国
(審査中):米国,
欧州,
カナダ)
関連特許:貯水施設運用支援システム,
貯水施設運用支援方法およびプログラム
(PCT/JP2009/070996)
(登録国:日本,
インドネシア,ベトナム,
台湾)
高温蒸気配管AA BAA BDDBBD EBEECくろまる 事例4:ダム運用技術Dくろまる 事例2:発電所における付着生物対策技術
B くろまる 事例5:非食用作物によるバイオマス発電技術E海水系統全体を
塩素注入により対策
付着防止が特に必要な箇所をピンポイントで
近紫外域LED光照射
(対策強化)
ジャトロファ
欧州
中国
韓国
台湾CC
フィリピン
カナダ
インドネシア
シンガポール
カンボジア
ベトナム
米国
海外事業を支える技術力
評価部位として,
応力
(物体
の内部に生じる力)
が高く,
損傷が発生するおそれの
ある部位を的確に選定でき
るため,
余寿命評価の信頼
性が向上します。
「クリープボイド
(金属内部に生じた
空孔)」「ひずみ」
「内部き裂」
を指標とし,従来は精度の高くなかった9Cr鋼
(鉄にクロムを9%程度含有させた鋼)
配管溶接部の寿命中期からの余寿命
診断を高精度に実施できます。
主に現場で簡単に施工
できる帯鋼補強技術に
より,
ボイラ配管溶接部
の寿命をさらに延長する
ことが可能です。
1配管最大損傷
部位の特定技術
2高クロム鋼配管の
余寿命診断技術
3配管補強技術
従来 発明
1配管最大損傷部位の特定技術
レーザー計測器
栽培状況 果実 種子
レーザー距離計
溶接部ひずみと寿命の関係
最大損傷部位
フランジ型
補強材
帯鋼
3配管補強技術
発電所に張り巡らされた配管中から損傷部位を数箇所に特定可能
高クロム鋼配管で従来不可能であった寿命中期からの
余寿命診断が可能
配管で余寿命が少ない
溶接部を補強し延命
2高クロム鋼配管の余寿命診断技術P電解塩素注入
ストレーナ
冷却水冷却器
LNG気化器
放水口
細管
復水器 機器冷却水系統
循環水管
循環水管循環水ポンプ水室スクリーンロータリスクリーンバー
取水口設備
貯水量最適化モデル作成
最適貯水量の計算 計画作成
(期間
[月or旬]別)取水量
実績DB
貯水量
実績DB
流入量
実績DB
ダム・発電所
諸元
・最大貯水量
・最小貯水量
・放水位
・損失落差
・責任放流量
・最大取水量
・最小取水量
・発電機効率ひずみ寿命
07 08 84920212627137 火力発電所には,
船舶から石炭等の燃料を受け入れるための港湾が設けられています。
港湾内では,
船舶の航行や停泊に
必要な水深を確保するため,
定期的に測量を行い,
所定の水深が確保できていない水域では維持浚渫
(しゅんせつ)
工事(注記)
行っています。
水深の変化は,
隣接する水域間における堆積物の移動によっても発生し,
例えば,
船舶の航行や波浪などの
影響によって舞い上がった砂や浮泥が流れ込む場合や,
隣接する水域間で海底面の高さが異なっている場合に,
境界の法面
が崩壊して堆積物が流れ込む場合があります。
維持浚渫工事には多額の費用を要するため,
従来から頻度の低減が望まれて
いました。
当社での海外事業展開にあたっては,
当社が保有する技術ノウハウを,
事業を構想しているすべての国で権利
確保していくこととし,
国際的に通用する権利となり得る可能性がある発明は,
将来の海外事業展開支援等を
目的に,
PCT出願(注記)を実施しています。
当社では,
国際調査結果受領後,
日本へは速やかに移行手続を行い,
日本以外へは移行期限までに,
事業
分野に応じた権利化対象国に移行手続を行うこととしています。
(注記)CPGとは
日本国特許庁は,
カンボジアでの日本企業の円滑な事業展開のため,
投資環境整備の観点から知的財産制度の整備・強化を支援して
います。
その中で,
カンボジア工業手工芸省
(カンボジアにおいて特許・意匠を所管する知財庁に相当)
との間で,
2016年7月1日より,
特許の付与円滑化に関する協力(CPG:
Cooperation for facilitating Patent Grant)
を開始しました。
CPGは,
日本国特許庁と所定知財庁との合意に基づき,
日本で審査を経て特許となった出願に対応する出願について,
出願人からの
申請により,
実質的に無審査で当該所定知財庁でも特許が付与されるというものです。
これにより,
出願人が日本で登録された特許と
同様の特許を当該国で早期に取得できるとともに,
審査体制が十分に整備されていない途上国・新興国における特許付与までの
手続きの負担が軽減されます。
また,
日本国特許庁は,
2016年11月1日より,
ラオス知的財産局との間でもCPGを開始しています。
(注記)PCT出願とは
特許協力条約(PCT:
Patent Cooperation Treaty)
に基づく国際出願のことで,
条約に則った1通の出願書類を,
自国の特許庁
に定められた言語
(日本国特許庁の場合は日本語若しくは英語)
で提出すれば,
その時点で全加盟国
(日本を含む152カ国:2017年
3月現在)
に同時に出願したのと同じ効果を得ることができます。
PCT出願をすると,
類似する発明が過去に出願された
(公知となった)
ことがあるかの調査
(国際調査)
が行われ,
その発明が特許取得に必要な要件を備えているか否かについて見解書が作成されますので,
各国で権利化する際に参考とすることができます。
各国で権利化するためには,
移行期限
(国際出願から30カ月以内)
までに移行手続
(翻訳文の提出,
料金の支払い等)
を行い,
国ごとに審査を受ける必要があります。
当社はCPG(注記)などの各種制度を活用して,
東南アジアでの早期権利化を図っています。
(登録国:日本,
CPG制度を利用してカンボジアへ早期権利化手続中
(出願完了 KH/P/2017/00034))東南アジアにおける早期権利化の取り組み
海外における権利化方針
しかくCPG手続フロー
(注記)港湾等の底面を浚って土砂等を取り去る工事
発明の概要・効果
港湾内の所定の水域
(電力会社の管理水域である泊地等)
の周縁部に,
内側よりも深く浚渫して水底面を深くした
堆積物捕捉部を設けます。
この堆積物捕捉部によって隣接する水域から流れ込んできた砂や浮泥などの堆積物が
捕捉されるため,
内側に流れ込んで埋没するのを防ぐことができます。
その結果,
従来よりも所定の水深を長期間維持
することが可能となり,
維持浚渫工事の間隔を長くして,
港湾の維持管理費の低減につながりました。
日本特許査定後,
CPG申請
カンボジア移行 CPG申請 カンボジア特許査定
日本特許査定
日本移行
PCT出願
PCT出願
国際調査
日本移行 日本審査 日本登録
外国移行 外国審査 外国登録
海外における権利化方針
航路 (国・
地方自治体の管理水域)
泊地
(電力会社の管理水域)
桟橋
発電所
境界
堆積物捕捉部
事例:航路・泊地の水深を維持する水底構造(PCT/JP2016/083703)
しかくPCT出願から権利化までの流れ
海外への出願件数
(有効分)
20カ国288件
(登録件数:82件)
発電所管理・メンテナンス技術
再生可能エネルギー
関連技術
非接触
給電技術
送配電設備管理・メンテナンス技術
石炭ガス化
技術
電力需給
調整技術
その他11569535PCT出願
(移行前)10009 10
しかく知財戦略の3つの基本理念
エネルギーサービスを中心に,
お客さまに満足していただける質の高いサービスを安定的にお届けするという当社グループとしての
使命は,
自ら考え創意工夫を行うという意識が高まり,
それを全社員が実践することで初めて達成できるものと確信しています。
また,
コンプライアンス最優先を経営の基本として掲げており,
他者の権利を侵害することがないよう,
社員一人ひとりが常にその
ような視点を持つ必要があります。
こうした当社グループの基本的な姿勢を知財面でも大切にしており,
「創造力の豊かな人材を育成する」,「事業運営のあらゆる場面
で生み出されている知的資産を確実に知財化する」,「他者の権利を尊重する」
ことを,
知財戦略の基本理念として規定しています。 エネルギアグループ
「経営理念」
のキーワードの一つ
「創造。」
には,
エネルギーを中心とする事業を通じて快適性や利便性などの価値
を生み出し,
ご提供することで,
豊かな未来を創造していく,
そのための努力を続けることが当社グループの使命であるという想いを込め
ています。
そして,
この
「創造。」
を担う主体は
「人」
をおいて他にありません。
この認識のもと,
「人材ビジョン」
により,
「自ら考え行動」
する
人材という変化の時代に社員一人ひとりがめざすべき姿を示し,
社員はこの方向をめざして自己研鑽に努め,
会社はその成長を支援し,
育成していくこととしています。
知財面でも,
創造力豊かな人材育成の推進を通じて知財戦略が着実に前進し,
その結果として企業価値の向上が達成されるとの考え
のもと,
活発な啓発活動を展開しています。
啓発活動は,
「知財を身近に感じ,
事業運営上の成果を発明として形にする意識を醸成すること
(=自ら考え行動すること)
の意識
付け」
を大きな目的の一つとしています。
知財部門主催の研修では,
業務内容,
階層・役職,
知財リスクの内容などに応じた,
多様
なカリキュラムを用意しており,
毎年数百名の役員
・社員が受講しています。
他にも,
社内各組織やグループ企業が開催する個別
研修への講師派遣,
eラーニングなどの自己啓発用教材の提供,
実務に役立つ情報の発信など,
さまざまな方法で社員の知財
活動をサポートしています。
また,
社員の発明創出活動を表彰するため,
「知財関連表彰制度」
を設けています。
2017年度は,
年間4件以上の発明を行った
社員を対象とする
「発明創出活動に対する表彰」
では57名,
技術評価が高く,
事業に顕著な貢献をしている発明を行った社員を
対象とする
「発明の事業貢献に対する表彰」
では社長表彰1名を含む計7名が表彰されました。
基本理念(1)創造力豊かな人材が育成され,
その創造力が十分発揮されることにより
知財戦略が推進されるとの認識に立ち,
人材育成と啓発活動を推進する。
特許出願実践セミナー
グループ企業知財研修への講師派遣 発明の事業貢献に対する表彰
(社長表彰)
当社はコンプライアンス最優先を経営の基本として掲げており,
知財戦略においても,
他者の権利を尊重することを大切にしています。
具体的には,
新技術を導入する際には,
他者の特許出願・登録情報のチェックを確実に行うこととしています。
また,
自社で利用して
いる技術については,
適切に権利化していくという取り組みを推進していますが,
この取り組みは他者権利を侵害しないという観点
でも有効に機能しています。
研究・開発を含め,
事業運営のあらゆる場面で生み出される技術・
ノウハウ・アイデアなどの知的資産を確実に知財化し,
日々の
業務をより良いものにしようとする社員の知的創造の成果を担保しています。
知財戦略推進の基本ルールである
「知財規程」
でも,
「業務の過程等で生み出された知的資産の知財化に努めること」
を社員の責務として定めています。
この理念は,
特許登録件数が着実に増加していることや,
「発明者人口」
(特許出願経験のある社員数)
が全社員の約半数に相当
するほど裾野の広い活動が展開されている,
という形で具現化されています。
営業所・発電所・電力所など現業機関の社員による発明の割合が高いこと,
また事務系社員の発明も多数あることも,
大きな
特長です。
広義のサービス業である電気事業にとって,
お客さまや地域に密着した現場での創意工夫は,
サービスの質に直結する
ため極めて大切です。
現業機関の社員や事務系社員による発明の多さは,
社員が常にサービスレベルの向上をめざして創意工夫
を重ねていることの表れだと考えています。
基本理念(2)事業運営のあらゆる場面で生み出されている知的資産を知財化し,
それを活用することにより,
市場競争力の強化と企業価値の向上を図る。
基本理念(3)自らの知的資産を知財化し,
それを最大限に活用すると同様,
他者の権利を尊重し,
その権利を侵害することのないよう留意する。
事例:煙道の外装体構造
(特願2015‐18710)
火力発電所ボイラーからの排ガスを流すための煙道は金属製であり,
ボイラーの起動・停止により内部の
温度が大きく変化するため,
頻繁に伸縮しています。
特にコーナー部分
(煙道が曲がる部分)
の保温外装板
取り付け部には,
煙道の伸縮により無理な力がかかるため,
保温外装板が破損したり,
煙道から脱落したり
することがあります。
また,
修理を行っても,
煙道の伸縮自体をなくすことはできないため,
何度も同様な脱落・破損が発生
してしまうという課題がありました。
【発明の概要・効果】
煙道コーナー部分の保温外装板に湾曲部を設け,
煙道が伸縮してもこの湾曲部でその影響を吸収することにより,
取り付け部には無理な力がかからないように改良しました。
この発明により,
保温外装板の修理費用を低減できると
ともに,
保温外装板の変形による雨水の浸入を防止し,
保温材の劣化や煙道の腐食を抑制することが可能となりました。
関連➡P29
関連➡P34
発 電
知財戦略の
基本理念と推進体制1 幅広く高度な技術からなる基盤技術や独自技術は,
研究・開発や業務のあらゆる場面で行われる
創意工夫の積み重ねにより創出されます。
その成果を確実に知財化し活用していくため,
エネルギア
グループでは,
知財活動を積極的に推進しています。
知財戦略の基本理念と推進体制
保温外装板
取り付け部
煙道
破損・変形
従来の状況 発明後の状況
煙道ケーシング
熱伸び
湾曲部が変形することにより
保温外装板取り付け部に無理な力がかからない
熱伸び
熱伸び
煙道ケーシング
熱伸び
11 12
エネルギアグループでは,
知財戦略の取り組みの基本的方向性や目標を示す
「知財戦略基本方針」
を毎年度定め,
基本ルールで
ある
「知財規程」
に従い,
知財戦略を推進しています。
「知財規程」
により各組織の長の責務・役割,
組織として知財活動を展開する
ために必要な基本的事項を明確に示し,
研究・開発や創意工夫の成果が適切に知財化されるように図っています。
しかく知財戦略推進体制
知財戦略の推進には,
「実施」と「支援」
という2つの側面があります。
事業本部等は日々の業務の中で創出される技術・ノウハウ・アイデアの知財化や保有特許技術の活用などの
「実施」を,知財部門はその活動が円滑に進むよう
「支援」
を担っています。
それぞれ
が役割を果たすことで,
全社一体となった知財戦略を推進しています。
知財戦略推進に関する重要事項の審議などを行う場として,
事業本部副本部長や部門長を委員とする
「知財戦略会議」
を設け,
知財戦略基本方針の審議,
知財戦略の実施状況・結果の報告,
知財リスクに関する情報の共有化などを行っています。
事業戦略,
研究・開発戦略および知財戦略を三位一体で展開するべく,
エネルギア総合研究所長のもと,
経営に深く関わるメンバー
からなる研究・開発推進会議と知財戦略会議が,
相互に連携を図っています。
知財戦略の2つの側面
知財戦略会議
事業戦略,
研究・開発戦略,
知財戦略の一体的な推進
事業本部等
知財戦略推進体制を整備し,
知財戦略を推進
しかく知財戦略基本方針に基づく推進計画の策定
しかく推進計画の中期経営計画への織り込みと実施
円滑な知財戦略の推進に資する環境整備
しかく知財戦略基本方針の策定
しかく支援体制の構築,
啓発活動の実施
エネルギア総合研究所
(知財部門)
議長:エネルギア総合研究所長
研究・開発推進会議
しかく委員:事業本部部長,
部門部長
しかく研究・開発戦略,
方針および
全社の研究・開発計画などを審議
知財戦略会議
しかく委員:事業本部副本部長,
部門長
しかく知財戦略推進に関する重要事項を審議
しかく専門的・詳細な検討を担う
「部会」を,下部機関として設置
連 携
支 援
関連➡P24
しかくエネルギアグループの知財戦略の基本的な考え方
基盤技術を構成する10の技術分野 ( )
内の数値は各分野の登録特許数
(2015年12月末)
電力小売りの全面自由化を迎え,中国地域においてお客さまに選んでいただける電気事業者であり続けるとともに,
グループの強み
が活かせる事業領域において,
中国地域の内外を問わず,
持続的な発展につながる挑戦を続けることが,
ますます重要になります。
電気事業や新たな事業領域において競争に勝ち抜いていくためには,
競合他社に対する優位性をいかに構築していくかが鍵と
なりますが,その競争優位の源泉となるものは,
保有している企業のみがコントロールできる知的財産であり,
それを生み出す人材
と考えています。
2002年に知財の取り組みを本格化して以降,
事業運営のあらゆる場面で生み出されている技術・ノウハウ・アイデアなどを確実
に知財化・権利化し,
積極的な活用を図ることで企業価値を向上させることを基本として,
知財戦略推進のための基盤整備や着実で
戦略的な権利化の推進,
知財リスク対応を推進するとともに,
知財をグループ経営ビジョンの実現に向けた全社的取り組みを下支え
するための方策の一つと位置付け,
経営との関係性を強化しています。
企業価値の向上に貢献するという知財戦略の目的を実現するため,
その時々の課題に応じて方針や目標を設定し,
戦略的・段階的
に対応を進めています。
知財創出基盤の早期確立が求められた初期においては量的拡大を志向し,
その後,
質を重視した活動に
シフトしました。
現在は,
電力システム改革をはじめとした経営環境の大きな変化への対応として取り組む電気事業の競争力強化や域外・海外へ
の展開といった成長分野など,
事業戦略上特に重要となる分野を中心に,
事業の構想段階から市場動向や自社・他社の特許情報の
分析を行い,
その結果を踏まえた適切な特許出願により早期の事業化に貢献するなど,
より経営に密着した知財戦略を推進しています。
知財戦略の段階的推進
しかく施策の展開の流れ
(各段階での取り組み)
2002〜2007年度
量的拡大
しかく経営における知財戦略の
位置付けの明確化
(中期経営計画への織り込み)
しかく知財戦略推進体制の基盤整備
しかく特許出願の量的拡大
2008〜2012年度
質的向上
市場競争力の強化,
企業価値の向上
しかくより戦略的な権利取得・活用の展開
(特許網構築)
しかく活動成果の経済価値評価
(定量評価)
しかく知財で担保される独自技術の
貢献度を社内外に発信
しかく事業戦略の構想段階に
おける自社・他社特許分析
しかく知財を活用した競争力強化の
実現,
成長事業の育成・支援
2013年度〜
競争力強化および
事業戦略への貢献
現在のステージ
知財戦略の基本理念と推進体制
13 14
しかく電気事業を支える基盤技術
基盤技術を構成する10の技術分野 [ ]
内の数値は各分野の登録特許数
(2017年12月末)
電力会社の事業モデルは,
さまざまな発電方式でつくられた電気を,
送電線や配電線を通じてお客さまに安定的にお届けすること,
そして,
電気の使い方に応じてお選びいただける料金メニューを用意したり,
効率的なエネルギーの利用方法などを提案したりする
ことを通じてお客さまにご満足いただくことであり,
技術的側面においては次の特性を有しています。 こうした電気事業の特性や,
社会的要請,
お客さまから寄せられるニーズなどにお応えするために必要となる基盤技術は,
10の分野に
大別できます。
それぞれの技術が蓄積され,
緊密に連携することで,
低廉で質の高い電気を安定的にお届けすることができます。
くろまる電気は産業や暮らしを支える重要な社会インフラであり,
長期的・安定的に電気をお届けするという社会的要請に
応えることが求められる。
くろまる適正な電圧や周波数を維持し,
質の高い電気を効率的にお届けするために,
高度かつ広範な技術が必要となる。
燃 料
発 電
送 電
系統運用
変 電
配 電
お客さま
土木建築
全社基盤システム
新規事業等
技術分野
発電に使用する燃料
(燃料油・石炭・LNG等)
の購買・輸送・貯蔵管理
発電所
(火力・原子力・水力・太陽光等)
の運転・保守・運用
発電所から変電所まで高い電圧で電気を届けるための送電設備の建設・保守・運用
供給区域内の電気使用状況の監視,
発電量・電気の流れの制御,
需給バランスの維持
お客さま設備に応じた電圧に変圧するための変電設備の建設・保守・運用
変電所で変圧された電気をお客さまに送るための配電設備の建設・保守・運用
お申し込み受付や検針の効率化,
お客さまニーズに即した省エネルギー等に関する技術
発電所や変電所等における土木関係設備の計画・設計・施工管理および維持管理
発送電設備や各種業務を支える通信ネットワークや情報システムの構築・維持管理
新規事業領域におけるお客さまの利便性・快適性向上に資する技術
技術内容
燃料
[138件] 発電
[1,208件] 送電
[279件] 変電
[405件] 配電
[1,036件]お客さま
[251件]
土木建築
[319件]
全社基盤システム
[507件]
系統運用
[243件]
新規事業等
[346件]計:
4,732件
株式会社エネルギア・コミュニケーションズ
(略称:エネコム)は,主に中国地域を事業基盤として,
地域に根差した,
情報通信
事業
(電気通信事業と情報処理事業)
を展開しています。 エネコムは,
2014年秋からドローン
(無人航空機)
の活用に関する研究に取り組んでいます。
これまで培った情報通信の
ノウハウに加え,
ドローンに関する知見と実績も蓄積できており,
これらは,
貴重な知的財産として権利化を進めています。
当社では,
機体の販売から教育・訓練のほか,
関連システムの開発,
インフラ構築までをトータル的にワンストッ
プでサービスを
提供することが可能です。
電力設備の点検効率化や作業者の安全の向上を目的として,
ドローンを活用した送電線や鉄塔の点検を検討
しています。
また,
メガソーラーなどの広大な敷地の太陽光パネル点検の実証実験を行い,
効果を確認しました。 「広島県・今治市国家戦略特区」
において,
規制改革事項
「特定実験試験局制度に関する特例」
を活用し,
ドローン
に関する通信技術とドローンを使用し,橋,ダムの
「インフラ点検」と「物資輸送」
に関する実証実験を行いました。
設備点検に関するドローンの活用方法や,
効率的運用計画,
およびこれらを実現する情報システムについての特許を出
願しています
(特願2017‐176136等)。また,
当社のドローン事業を総称する名称について商標出願しています
(商願
2017‐132372)。ドローン事業への取り組みについて
グループ企業の知財活動への取り組み
―株式会社エネルギア・コミュニケーションズ―
【知財活動への取り組み】
インフラ点検
電気事業を支える基盤技術と
特許の関わり2 発電所でつくられた電気を,
送電線や配電線を通じてお客さまのもとにお届けする。
このためには,
発送電に関する技術に加え,
これを支えるさまざまな技術が必要となります。
長年にわたり培われてきた
これらの技術が,
安定供給に欠かせない基盤技術として,
また,
競争環境下において成長していくための
事業基盤を確立するための知的財産として,
当社の電気事業を支えています。
知財戦略の基本理念と推進体制
【これまでの主な取り組み】
(開発担当)
情報システム本部開発センター
空尾 英樹
しかく電力設備点検への活用研究
しかく国家戦略特区での実証実験
15 16
特許出願の目的
しかく基盤技術と特許の関わり
基盤技術を特許で担保することの意義
電気事業者としての使命を果たす上で不可欠な基盤技術を活用し,
長期的・安定的に電気をお届けするとともに,
将来の成長に
向けた取り組みを強化し企業価値の向上を図るためには,
基盤技術を
「自社の権利」
として確保することが重要です。
特許が有する最大の効力は
「特許権に基づく事業の差し止め」
にあり,競合他社が先に権利を確保すると,
特許技術を利用できず事業
を中止せざるを得ない,あるいは許諾を受けるための交渉で事業が長期にわたり停滞する,などの事態に直面することとなります。
基盤技術を特許で担保して
「事業活動の自由度を確保」
することは,
社会インフラを担う当社にとって非常に重要な意義を持つと
ともに,
競争力強化に資する重要な経営資源を獲得するという点においても大切であると考えています。
事例:装着具
(特願2016‐2741,
意匠登録第1556776,1556777,1556992号)
【発明の概要・効果】
事例:データ追跡システム
(特許第5951654号)
しかく自社特許技術を事業で自由に実施 しかくクロスライセンス(注記)
による他社技術の活用
しかく他社実施によるライセンス料の獲得
(注記)複数の企業が,
それぞれ保有する特許技術を相互に実施許諾しあうライセンス形式
自由度確保 事業収益拡大への貢献
事業の差し止め 経済的負担の発生
しかく特許技術を実施できず事業が遅延・中止
(他社特許の実施許諾が受けられない場合)
しかくライセンス料や損害賠償金の支払い
(他社特許技術を自社で実施する場合)
競合他社が
権利確保すると
高圧のお客さまの電力メーターは,
計量可能な電圧・電流に下げるための変成器とともに設置されてい
ます。
この変成器とメーターとの間には,
メーターの交換作業中でも計量するための代替メーターや電圧計等,各種機器を接続するチェックターミナル
(端子台)
が設置されています。
チェックターミナルの内部は金属
端子が剥き出しになっているため,
機器の接続作業時に,
金属端子に誤って触れて感電したり,
機器のリード線やドライバー
が隣の金属端子に接触して短絡させたりする等の災害が発生する恐れがありました。
【発明の概要・効果】
本番環境
(実際のシステム)
から検証用環境
に伝送された本番データを追跡するシステム
を開発しました。
検証用環境に伝送した本番
データの一覧を伝送実績ファイルとして本番
環境に残しておき,
検証用環境において,
残存
する本番データと照合し,
未消去の本番デー
タを抽出することで,
検証用環境に伝送された
本番データを確実に削除することができます。
システム
配 電
事例:室内設備の冠水を防止する防火扉
(特許第6204402号)
発電所では,
水などの不燃性の液体を収容する貯留設備が防火区画内に設置されていることがあります。
地震発生の際,
区画内に設置された不燃性液体の貯留設備が破損すると,
流出した液体が区画にたまり,
他の設備が冠水する恐れがありました。
また,
防火扉は,
室内から室外に向けては開かないように設置される
ものもあり,
この場合,
室内の液体を扉から室外に容易に排出できないという課題がありました。
【発明の概要・効果】
防火扉の機能を保ったまま室外に排水可能と
するため,
片開き式の防火扉に,
室外に向けて
開く上下スイング式の子扉を追加しました。
防火
区画内の水位が機器設備の冠水許容限界以下
になるような高さに子扉を設置しておき,
丁番等
で防火扉本体に連結することで,
一定以上の水位
になると,
水圧によって自動的に子扉が開いて室外
に排水され,
水位が低くなると自動的に閉じるよう
にしています。
発明は,
原子力発電所の新規制に関する建築関係の対応を行っている中で,
原子力部門から上記事例のような課題があるので建築設備で対応できない
だろうかとの相談があり,
いろいろ考えた対応案の一つです。
実用化に至る段階では規制等に適合させるため数々の難問が生じましたが,
なんとか島根2号機に実装することができました。
実装した箇所では他の対策に
比べて大きなコストメリットが生じています。
発明内容自体は誰でも思いつき
そうなものなので,
重要な自己実施案件は素早く特許出願して防衛することも
大事だと感じました。
発明者から一言
管財部門
(原子力建築グループ)
高下 真
発 電
平面図 正面図
電気事業を支える基盤技術と特許の関わり
VOICE
作業時の感電や短絡災害を防止するためのゴム製
カバーを開発しました。
隣り合う金属端子の間を仕
切り板で分離することで,
短絡の発生を防止可能な
構造にしています。
また,
最上段・最下段の金属端子
への接触を防止するために,
端子全体を覆う側壁部
を設けました。
これによりゴム製カバーが変形しにくくなり,
装着作業も容易となっています。
側部の連
結部には,
リード線挿入部を設けているため,
カバー
がリード線の支障とならず,
常時取り付けておくこと
も可能です。
当社では高圧のお客さまのすべてのチェックターミ
ナルに本カバーを順次取り付けていく予定です。
当社の営業システムでは,
お客さま情報を含むデータを取り扱っており,
万全のセキュリティ対策が要求
されます。
システム開発の検証作業では,
実際のデータ
(本番データ)
を一時的に検証用環境へ移して,
作業
を行うことがありますが,
セキュリティ面から検証終了後は漏れなく本番データを消去する必要があります。
これまでは,
作業者および管理者による,
人間系でのチェックのみを実施しており,
消去漏れを防ぐために,
多大
な労力を要していました。・検証用環境への本番データの伝送・伝送実績ファイルの検証用環境への伝送・伝送実績ファイルの伝送履歴の更新・伝送履歴と消去履歴を対比し,
未消去データを抽出
本番環境
処理部
伝送実績ファイル
(伝送履歴)
(消去履歴)
記憶部
本番データ
・伝送実績ファイルと照合し,
本番データ
が残存するか判定・検証終了後の本番データの消去・伝送実績ファイルの消去履歴を更新し,
本番環境に伝送
検証用環境
処理部
記憶部
本番データ
(残存分)TL WF1F2Ha2R10
他設備許容
限界水位
子扉開放
水位
子扉
親扉
流出方向
カバーの構造
仕切り板
側壁部
連結部
リード線挿入部
カバー装着
リード線
チェックターミナル
17 18
事業上の重点課題における特許網の構築
中期経営計画で掲げる各種目標や重点実施項目などから,
優位性確保の観点を加味して重点課題を設定し,
重点課題の属する技術
領域について集中的に特許を取得
(特許網を構築)
する活動を推進しています。
特許網構築の例として
「間接活線工法・機材の開発」
があります。
配電工事を行う際,
電線の通電部分に直接触れず,
安全距離を
保ったうえで絶縁棒や先端工具を使用して作業を行う工法で,
停電を伴わないことから全国的に採用が進んでいます。
当社において
も間接活線工法に用いる工具・機材の開発に積極的に取り組み,
その成果を適切に権利化しています。
特許技術を自社で積極的に実施するとともに,
蓄積した特許に内在する新しい価値を見出し活用することで,
事業に貢献していく
ための活動にも取り組んでおり,
クロスライセンスや標準化技術への組み込みによる技術開発や資材調達コストの低減,
他社との
アライアンス構築,
新たな事業展開などさまざまな方策の検討を進めています。
また,
公共の利益につながる
「健全な競争」
を促進する観点から,
公益に資する技術の普及・浸透を図るための技術ライセンスなど
も行っています。
一方で,
ライセンス料などの金銭的利益のみを追求すると,
知的財産権の本質である競合他社をけん制する力が次第に下がると
いう弊害があります。
ライセンス活動における収入の獲得は,
知財戦略を推進した結果として達成されるものであるとの考えに基づき,
ライセンスにより自社の技術優位性が相対的に低下することのないよう,
目配りをしながら取り組んでいます。
しかく間接活線工法による作業風景
参考:クロスライセンスと事業規模
しかく間接活線工法・機材の特許出願状況
(注記)商用検索システムを用いて全文検索
「間接活線」
で抽出
特許技術とライセンス活動
基盤技術を特許で担保することで事業活動の自由度を確保し,
その結果得られた利益は特許が下支えしているものですが,
その効果
を財務の観点から捉えることは困難です。
一方で,
経営の観点からは,
保有する特許が事業へどのように貢献しているかを適切に把握する必要があります。
このため,
2007年度
以降,
特許の価値を定量的に評価する取り組みを進めています。
高品質で低廉な電気を安定的にお届けするために取り組んだ研究・開発や創意工夫の成果は,
定量面では効率化によるコスト低減と
いう形で効果を発揮します。
このため,
特許技術が用いられた施策のうち,
主なもののコスト低減額を算定し,
その累計金額を基に
「特許
の価値の定量的評価額」
を算定しています
(2016年度の評価結果は巻末に掲載)。特許の価値の定量的評価
2006年度 出願件数
(取り組み開始時) 2017年12月末 出願件数
工具・機材
工法
中国電力 電力他社計(注記)1074971430916244
事業規模a 特許件数c 事業規模b 特許件数d
A社 B社
A社特許1,000件を
B社にライセンス
B社特許100件を
A社にライセンス
10 1,000件
1 100件
特許技術集積度c/a100特許技術集積度d/b100しかく特許を利用する側は,特許権者に対価としてライセンス料を支払いますが,
相互に特許の利用を許諾するクロスライセンスの場合,両者のライセンス
料が一致すると,支払額は相殺されて0円となります。
対等な条件でクロス
ライセンスすることを
「パワーバランスを保つ」
と言います。
しかくこのパワーバランスは,
特許ごとの価値や件数だけでなく,
事業規模も考
慮されます。
仮にクロスライセンス対象のすべての特許の価値を同一と
した場合,
パワーバランスの指標は特許件数 事業規模=
「特許技術集
積度」
として表されます。
しかく左図の例のように事業規模が相手先の10倍の企業は,相手先の10倍の特
許を保有していてはじめて
「特許技術集積度」
が相手先と等しくなります。
関連➡P33
しかく研究・開発戦略
研究・開発においては,S(安全確保)
を大前提として3E
(供給安定性,
経済性,
環境保全)
を同時達成するため,
電気の
需要・供給・送配電ネットワークの各
領域で,
新たな価値創造に取り組んで
います。
その中でも,
事業強化に向けて特に
優先度の高い分野を
「重点開発分野」
として経営資源を重点的に配分する
など,
効果的に研究・開発を推進して
います。 「省エネルギー
(ピークカット),省CO2,
省コスト」
の実現
に向けて,
需要サイドの視点からエネルギー利用最適化
につながる技術の研究・開発に取り組む。
再生可能エネルギーが大量連系した場合でも,
電力品質
や安定供給に影響を及ぼさない系統安定化技術,
最適な
送配電ネットワーク技術等の研究・開発に取り組む。
重点開発分野
需要サイドからのエネルギー利用最適化分野
スマートコミュニティ構築に
向けた研究
研究・開発
テーマ例
隠岐ハイブリッ
ド蓄電池
システム技術実証事業
研究・開発
テーマ例
石炭灰固化物の沿岸域・淡水域への
応用に関する研究
研究・開発
テーマ例
蒸気タービン車室・弁き裂補修技術に関する研究
研究・開発
テーマ例
今後も石炭電源の安定運転を継続するため,
石炭の
クリーンコール技術
(石炭灰有効活用技術を含む)
の研究・開発に取り組む。
石炭利用分野
電源・ネットワーク設備の経年化が進む中で,
将来にわ
たり安定供給を継続するため,
計画的かつ効果的な更新・修繕につながる劣化診断技術や機器延命化技術など,
設備
経年化へ適切に対応する技術の研究・開発に取り組む。
予防保全分野
再生可能エネルギー普及促進分野
供給安定性
Energy security Economic growth
経済性
Environmental
conservation
環境保全
ネットワーク
「供給面」
「需要面」
の変化に柔軟に対応
供給面
発電の一層の高効率・低炭素化
(ベストミックス)
需要サイドを重視した
効率化と省エネ
需要面
Safety
安全確保
研究・開発への取り組みと
独自技術3 技術開発の進展,
地球環境問題や低コスト化などの社会的要請へ対応していくためには,
基盤技術を
常により良いものに磨き上げ,
新たな技術を創出していかなければなりません。
当社では,
これからの
電気事業を支えるための研究・開発に積極的に取り組み,
その成果を競争優位の源泉となる
「独自技術」
として積み重ねています。
電気事業を支える基盤技術と特許の関わり
対等な条件
でライセンス
可 能
パ ワ ー
バ ランス が
保たれている
19 20
(注記)1 高温やボイド
(空洞)
の進行等により金属組織に生じる変形・割れ等の損傷
事例:loTによる傾斜面監視システム
(特許第6164383号)
【発明の概要・効果】
水力発電所や送電鉄塔は,
急峻な山地に建設されることが多く,
周辺の傾斜面など特に地盤変位を把握する
必要性のある箇所については,
光波測距儀により年に数回ほど計測を行っています。
より早期に変位の兆候を
把握するためには,
高精度で常時計測を行う必要がありますが,
光波測距儀では,
天候や設置環境の影響を
受けて計測精度が低下しやすい,
設置に手間がかかりコストが高くなるという課題がありました。
地盤変位を計測する手段として光波測距儀の課題を解決できる傾斜センサを用います。
しかし,
傾斜センサでわずかな地盤変位を計測しようとすると,
傾斜センサ自体の他に,
設置する場所にも起因し,
傾斜角度が温度に依存して変動することが課題となります。
そこで,
傾斜センサと温度センサを設置した状態で取得
した傾斜角度と温度の計測データより,
傾斜角度の温度補正を行う方法を開発しました。
温度補正を行うには,
傾斜角度と温度の関係を正確に求める必要があります。
このとき,
地盤変位による影響を避けなければなりません。
そのため計測データを取得する時間範囲を限定した上で,
傾斜角度と温度の関係を直線近似し,
比例定数を求め,
温度補正することとしました。
比例定数は,
平均温度と対応させ,
1°Cずつ算出しています。
また,
温度変化幅が大きい
ほど比例定数の精度は高くなるという関係を使い,
比例定数の精度を高める工夫もしています。
エネルギア総合研究所
(ネットワーク設備グループ)
横林 亮介
私は,
情報通信関係の経験は長いのですが,
土木関係は素人です。
しかし,
素人で部外者だったからこそ,
従来の延長線上ではない視点で研究をやれた
という一面はあるのかもしれません。
傾斜角度を温度補正する方法は,
一見
簡単そうに見えますが,
さまざまな試行錯誤や観察を重ね,
求めたものです。
計測精度は,
重要なニーズだったので,
これが解決できる見通しが得られた
ときは,
とてもうれしかったです。
利用されてこその研究なので,
今後もニーズ
の本質を捉えた研究を大切にしていきたいと思います。
発明者から一言
しかく研究・開発の意義と独自技術
石炭火力のパイオニアとして,
他電力に先駆けて技術開発を行うとともに最先端の技術を導入するなど,
石炭火力発電を通じて
常に時代の要請に応えてきました。
供給安定性・経済性に優れる石炭を将来にわたって活用していくため,
高効率化やクリーン化の
取り組みを推進しています。
石炭は,
他の化石燃料に比べて,
資源量が豊富で地域偏在性が少なく,
価格も低位で安定していることから,
エネルギー自給率が
7%程度と低い我が国にとって重要なエネルギーであり,
当社としても,
石炭火力を重要なベースロード電源の一つとして位置付け
ています。
一方で,
石炭は他の化石燃料に比べ,
CO2排出量が相対的に多いという課題があるため,
三隅発電所への超々臨界圧
(USC)
石炭火力発電(注記)1
の採用や,
次世代の高効率石炭火力発電技術
「石炭ガス化燃料電池複合発電
(IGFC(注記)2)」
の基盤技術である
「酸素吹石炭ガス化複合発電
(酸素吹IGCC(注記)3)」
の実証事業など,
CO2排出量削減を図るクリーンコール技術の開発・導入に向けた
取り組みを推進しています。
大規模な発電設備や複雑な送配電ネットワークを用いて事業を行う中で,
グループ一体となって効率的な設備運用ノウハウや
保修技術を蓄積するとともに,
設備ユーザーの視点で独自の研究・開発を行っています。
また,
業務の中で発想したアイデアや設備運用ノウハウを,
ものづくりの視点で研究・開発を行うメーカーにフィードバックし,
より
効率的な設備にするために共同で研究・開発に取り組むこともあります。
当社,
グループ企業,
メーカーそれぞれが持っている技術を
融合させることで,
より高いレベルの研究・開発成果が得られています。
石炭火力の高効率化
(注記)1 蒸気を高温
(600°C級)・高圧
(24.5MPa)
にしてタービンを回す発電方式で,
熱効率が高くCO2排出量を削減可能。
(注記)2 石炭ガス化燃料電池複合発電
(IGFC)
IGFC:Integrated Coal Gasification Fuel Cell Combined Cycle, IGCCに燃料電池を組み合わせて発電効率をさらに向上させる技術。 (注記)3 酸素吹石炭ガス化複合発電
(酸素吹IGCC)IGCC:
Integrated Coal Gasification Combined Cycle,
酸素を用いて石炭をガス化し,
水素と一酸化炭素を主成分とする生成ガスを製造し,
ガスタービンと蒸気タービンにより複合発電する技術。
実証試験を進める中央制御室
実証事業スケジュール
本プロジェク
トは,
経済
産 業 省 補 助 事 業
(2012〜2015年度)
および国立研究開発
法人新エネルギー・
産業技術総合開発機構(NEDO)
助成事業
(2016年度〜)
として
実施し
ています。
事例:酸素吹石炭ガス化複合発電技術の実証研究
(大崎クールジェンプロジェクト)
当社は,
電源開発株式会社と共同で大崎クールジェン株式会社を設立し,
究極の高効率発電技術である
酸素吹石炭ガス化燃料電池複合発電
(IGFC)
とCO2分離・回収を組み合わせた革新的低炭素石炭火力発電
の実現をめざす
「大崎クールジェンプロジェクト」
を大崎発電所構内で進めています。
このプロジェクトは,
実証
試験を3つの段階に分けており,
第1段階としてIGFCの基盤技術である酸素吹石炭ガス化複合発電
(酸素吹IGCC)
実証を
2017年3月に開始しました。
第2段階では,
第1段階の設備にCO2分離・回収装置を追設するCO2分離・回収型IGCC実証を
計画しており,
設備の詳細設計を進めています。
さらに第3段階として,
第2段階の設備に燃料電池を組み合わせたCO2分離・回収型IGFC実証を計画しています。
石炭ガス化設備
設計・製作・据付 実証試験
実証試験
実証試験
第1段階
第2段階
第3段階
設計・製作・据付
設計・製作・据付
年度 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
酸素吹石炭ガス化複合発電
(酸素吹IGCC)
石炭ガス化燃料電池複合発電
(IGFC)
の概要
CO2分離・回収型IGCC
CO2分離・回収型IGFC
第1段階 第2段階
ガス化時の排熱・ガスタービンの排熱を利用
して水蒸気を発生させタービンを回す
排熱回収ボイラ
酸素
ガス化炉
蒸気 水素
蒸気タービン
発電機
燃料電池
ガスタービン
空気圧縮機
酸素製造
装置
石炭
一酸化炭素,
水素
第3段階
石炭をガス化して可燃性ガス
(水素,一酸化炭素等)
に変換
ガス化で発生した可燃性ガスを
燃焼してガスタービンを回す
発生した一酸化炭素を水蒸気と反応させ,
CO2と水素に変換した後,
CO2を回収CO2発 電
研究・開発への取り組みと独自技術
VOICE
傾斜角度
温度変化幅
比例定数
平均温度
温度
温度変化幅
傾斜角度
温度
データの誤差
比例定数
データの誤差が同じ場合,
温度変化幅が大きいほど
比例定数の精度は高くなる
傾斜面への傾斜センサの設置状況
傾斜センサ
送 電
21 22
外部リソースの有効活用
積極的に研究・開発に取り組み,
独自技術を適切に権利化していくことは,
重要な取り組みの一つですが,
技術やビジネスモデル
が急速に変化する環境下では,
他社の技術を効果的に導入するオープン・イノベーションの考え方も求められます。
当社においても,
外部知見を活用するための共同研究や共同開発,
蓄積した独自技術や特許を活用するためのクロスライセンス
や標準化活動などに取り組んでおり,
これらを通じて,
研究・開発の効率が高まる,
必要な特許が導入しやすくなる,
など事業への
貢献が期待されます。 こうした取り組みを有効に機能させるためには,
質・量を兼ね備え外部に対して価値を持つ特許ポートフォリオを構築すると
ともに,
それを管理・分析する仕組みを整えることが必要となることから,
オープン・イノベーションの時代にあってこそ,
その利点
を最大限活用するために,
知財戦略を積極的に推進していくことが重要だと考えています。
太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーは,エネルギー自給率の改善や地球環境負荷の低減に向けた貴重な
純国産エネルギーです。
当社では,再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に向けて,隠岐諸島において,日本初となる
ハイブリッド蓄電池システムによる実証事業
「隠岐ハイブリッドプロジェクト」
に取り組んでいます。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは自然条件などにより発電量が大きく変動するため,この変動分を
調整して使用量と発電量を常に一致させ,電気のバランスを保つことが必要になります。
本プロジェクトでは,再生可能エネルギーの発電量の変動を調整するために,
「はやく小さな変動」
を吸収する
「リチウム
イオン電池」と「おそく大きな変動」
を吸収する
「NAS電池(注記)」という特性の異なる2種類の蓄電池を組み合わせ,必要に応じて
電気を貯め,放電する日本初のシステムを構築しました。
2015年9月末から3年半かけて,蓄電池および内燃力発電機の協調制御や蓄電池の効率的な充放電管理・制御手法などに
関する技術実証を行っています。
本プロジェクトは,環境省が公募した
「平成26年度離島の再生可能エネルギー導入促進
のための蓄電池実証事業」
に当社が応募し,採択されました。
知左ヱ門博士の
知財こぼれ話
しかく研究・開発推進体制
価値の高い研究・開発成果を生み出すためには,
研究・開発の計画段階で,
その目的・目標や,
どのように事業で活用していくかを
明確に定めて,
効果的に取り組みを進める必要があります。
このため,
研究・開発に関する各組織の長の責務や役割,
計画・実施・
評価および成果の活用に関する基本的事項などを
「研究・開発規程」
として制定し,
関係箇所の合意形成を図っています。
経営企画部門が研究・開発戦略を示し,
これに基づき,
総括箇所であるエネルギア総合研究所が,
実施や成果活用を担う事業本
部等と連携して,
具体的な研究・開発計画を策定・実施する枠組みとなっています。
また,
研究・開発の目的や目標レベル・開発期間などの評価・調整,
社内の組織間連携,
知財部門との事前協議の徹底などに取り
組んでおり,
これらを通じて,
適切な計画策定や成果の確実な活用および知財の権利化を図っています。
研究・開発推進会議では,
研究・開発戦略や研究・開発計画などを審議しています。
会議は事業本部等の部長からなり,
研究実施
箇所や実用化箇所などが一体となって,
多角的な視点から活発な議論を交わしています。
研究・開発に関する役割分担
研究・開発推進会議
近年取り組んでいる研究・開発の概要や成果などについて,
『エネルギア総研レビュー』
で公表しています。
最近の主な研究成果
研究テーマ
エネルギア総研レビュー掲載箇所 http://www.energia.co.jp/eneso/tech/review/index.html
研究・開発戦略の提示
経営企画部門
研究・開発計画の策定・実施
事業本部等
連 携 支 援
エネルギア総合研究所
蒸気タービン車室・弁き裂補修技術に関する研究について
SQUID非破壊検査に関する研究
石炭灰造粒物を用いた干潟場の生物生息環境改善技術について
金属柱劣化判定装置による配電用金属柱の残存耐力推定に関する研究
配電系統における表計算ソフトを用いた電圧不平衡対策簡易評価支援ツールの開発
火力発電所の煙道腐食防止用ライニング材の調査
海洋鉄筋コンクリート構造物の塩害劣化特性
発変電所の所内電力量計自動読み取り実証実験について
将来のエネルギー価格見通し
(2017)
動的計画法を用いた冷暖房設備運用最適化ツールの開発
電気料金を考慮した蓄電池最適制御に関する研究
第50号
(2017年Vol.4)〃第49号
(2017年Vol.3)〃第48号
(2017年Vol.2)〃〃〃〃
第47号
(2017年Vol.1)〃エネルギア総研レビュー掲載号
関連➡P14
コラム
:隠岐ハイブリッド大作戦
研究・開発への取り組みと独自技術
再エネの
大幅な導入拡大が
可能に
住宅用太陽光発電増加分
500kW
新設
新設
新設
県営隠岐大峯山発電所
(風力)
1,800kW
南谷発電所
(水力)
100kW
油井発電所
(水力)
200kW
西郷発電所
(ディーゼル)
旧隠岐空港メガソーラー
既連系申込分メガソーラー
2,000kW
黒木発電所
(ディーゼル)
海土風力発電
2,000kW
1,500kW 1,500kW
隠岐諸島
鳥取
岡山
広島
山口
島根
西ノ島変電所
(ハイブリッド蓄電池システム)
6,200kW
リチウムイオン電池
2,000kW
NAS電池
(ナトリウム電池)
4,200kW
約3,000kW
約11,000kW
新設
(注記)正極に硫黄(S),
負極にナトリウム(Na),
電解質にベータアルミナセラミックスを用いて化学反応で充電,
放電を行う蓄電池。
寿命が長く,
大容量の充電,
放電を
行える特性がある。
出力
時間
「はやく小さな変動」
の吸収
変動要因:雲の通過等
再エネ導入量拡大
既設再エネ発電量
電力需要
の変化
ベース電源
(ディーゼル発電)
「おそく大きな変動
(余剰電力)」の
夜間利用
変動要因:太陽の位置等
「はやく小さな変動」
対策
小容量・高出力の
リチウム
イオン電池
「おそく大きな変動」
対策
大容量のNAS(ナス)
電池
ここが日本初!
特性の異なる2種類の蓄電池を組み
合わせて協調制御する日本初の先進
的な取り組みです。
ハイブリッド蓄電池システム
協調
制御
23 24
しかく知財マッチングへの取り組み
当社グループは,
中国地域の自治体や金融機関等と連携し,
各地域で開催されるマッチング会等への参加を積極的に行って
おり,
その取り組みの一例をご紹介します。
知財マッチングや当社グループの特許紹介等に関するご希望
については,
ご遠慮なく下記までお問い合わせください。
しかく行政・金融機関等が開催する知財マッチング会への参加
国際知財収支が,
数兆円を超える黒字で増加傾向
(2016年財務省データ)
を示すなど,
知財
活動の重要性がますます高まる中,
広島県でも中小企業に対する支援の重要性が増しています。
こうした状況のもとで,
御社が知財マッチング支援を先行的かつ広域的に取り組まれ,
また,
ひろしま産業振興機構を介し,
県内の別の大手企業のマッチング支援参画を促されたことは,
大変大きな意義があるものと考えております。
御社をはじめ,
広島県や広島県発明協会等の関係機関と連携し,
ますますの浸透と革新的な
活用結果に結びつく
よう,
引き続き取り組んでいきたいと考えております。
地方創生コンサルティング会社である当社は,
地方創生実現のためにまずは,
「しごと」
作りが重要であると考えております。
そうした中で,
事業化創出に向けて,
広域連携の技術
マッチングフェアを開催しています。
知財を活用し地方創生に取り組む御社の姿勢は,
共に
地方創生に取り組むパートナーとして大変共感しています。
地域の中小企業の方々の知財
活用につながるように期待しています。
岡山県・岡山県産業振興財団が推進する
「次世代産業育成事業」
では,
本年度より
「オープン・イ
ノベーション」
の取り組みを開始し,御社にも
「技術ニーズ」
に関するご講演をいただきました。
御社が有する
広範囲な技術・知財を活用させていただき,
連携を進めることで,
県内
企業のイ
ノベーション創出,
活性化につながることを期待しています。
また,
岡山県知財総合支援窓口では,
ミクロものづくり岡山の精密
加工技術や次世代産業を担う企業の知財戦略を推進するために,
知財相談から人材育成まで積極的に取り組んでいます。
地域への
知財活動をしている御社と連携することで新たなるイノベーション
の創出と知財支援のアプローチを続けます。
岡山県産業振興財団
ものづくり支援部 研究開発支援課
コーディネータ
小林 隆宏様
しかく行政と連携したオープン・イノベーションの推進
知財マッチングは基本的に,
当社特許を地元企業に使っていただく取り組みですが,
逆に,
当社の研究・開発
ニーズを広く発信し,
当該ニーズにマッチする技術シーズを持った地元企業を探索するオープン・イノベー
ションの取り組みも2017年度から開始しました。
具体的には,
岡山県・岡山県産業振興財団からお誘いをいただき,
2017年7月31日開催の
「次世代産業セミ
ナー」
において当社の研究開発ニーズの発信を行い,
いく
つか有望なレスポンスをいただいているところです。
一方,
岡山県産業振興財団には,
地元企業を訪問した際に,
当社保有特許を紹介していただいています。
この
ような行政との連携活動をさらに充実させていきたいと考えています。
岡山県
知財総合支援窓口
コーディネータ
石部 裕之様
知財マッチングによる
地域との連携4 エネルギアグループは,
中国地域を事業基盤とする企業市民として,
これまで蓄積してきた
知財を地元企業に活用していただく取り組みを,
行政や金融機関等と連携して進めています。
本取り組みを通じて,
地域とともに成長する企業グループをめざします。
知財マッチングによる地域との連携
VOICE
VOICE
VOICE
(株)YMFG ZONEプラニング
代表取締役社長
椋梨 敬介様
ひろしま産業振興機構
知財戦略マネージャー
佐藤 元春様
2017年の知財マッチング会への参加については,
山口県においては,YMFG(株式会社山口フィナンシャルグループ)
の子会社である
株式会社YMFG ZONEプラニング主催の
「広域技術マッチングフェア」
に参加しました。
3月に開催された第1回では地元企業4社と
個別商談を行い,
うち1社と商談継続中です。
11月の第2回では,
地元企業5社と個別商談を行い,
うち,
2社とは商談継続中です。
広島県においては,
2018年2月に広島信用金庫主催
(広島県,
ひろしま産業振興機構,
広島県発明協会後援)の「平成29年度 ひろ
しん 知財活用ビジネス交流会」
に参加し,
個別商談を行った地元企業と商談継続中です。
岡山県においては,
岡山県・岡山県産業振興財団のご紹介でおかやま信用金庫ほか主催の
「第13回 岡山県しんきん合同ビジネス交
流会」
に参加し,
地元企業4社と当社特許に関する個別商談を行いました。
エネルギア総合研究所
(事業支援グループ)
TEL 050‐8202‐4709
(注記)株式会社山口フィナンシャルグループ
100%出資会社
「広域技術マッチングフェア」で知財紹介
(2017年3月,
11月)
株式会社YMFG ZONEプラニング(注記)
山口県
「知財活用
グループディスカッション」で技術・知財を紹介し,
活用等検討
(2017年10月)
岡山県
「第13回 岡山県しんきん合同
ビジネス交流会」
で知財紹介
(2017年9月)
「平成29年度 ひろしん 知財活用
ビジネス交流会」
で知財紹介
(2018年2月)
広島信用金庫
広島県
機 械・加 工
環境・省エネ
生 活・文 化
生 活・文 化
土 木・建 築
電動ドリルで動かす引張装置
搬送ラインを停止しないで,
フィルタ再生が行える集塵機
省スペース・省エネルギーの屋内型キノコ類の栽培装置および
この装置を用いた栽培方法
取り替えが容易なプランターを備えた水耕栽培装置
高層コンクリート構造物建築工事に用いる高強度コンクリート
を圧送する前に用いる
「流動性に優れた先送りモルタル」
当社紹介特許リスト
(2017年11月)・知的財産交流会・マッチング調整・製品化支援・新製品開発・新規事業進出・技術高度化・製品付加価値向上
連携
支援
知財・特許実施許諾・ノウハウ提供・技術指導
エネルギア
グループ
行政・金融機関 等
地元企業
おかやま信用金庫ほか
次世代産業セミナーの御案内
〜水素社会の実現を見据えたオープン・イ
ノベーションの推進〜
25 26
シンボルマークの防護標章登録
シンボルスポーツを通じた
お客さま接点の構築
しかく戦略的事業領域での商標活用
戦略的事業領域を結ぶグループシンボルマーク
シンボルスポーツのひとつであるラグビー部は,
2017年
シーズンから創設された
「ジャパンラグビー トップチャレンジ
リーグ」
に参入するにあたって,
社内公募によりチーム名称を
「RED REGULIONS」
としました。
当社のシンボルマークに使用され,
ラグビー部のチームカラー
でもある
「RED
(赤色)」は,
躍動感を表しています。 「REGULUS
(獅子座の中で最も明るい星)」と
「LION
(獅子)」の2つの単語を組み合わせた
「REGULIONS」
の造語は,
チーム
に関わるすべての人々が固い絆でつながることにより
「獅子」のように強いチームになるという思いが込められています。
新チーム名称およびロゴは,
お客さまとの重要なコンタクト
ポイント
(接点)
のひとつとして活用するため,
商標登録出願を
しています。 シンボルマークに蓄積されたお客さまからの信頼を適切に保護するため,
「防護標章」
の登録を受けており,
エネルギー関連の事業
において,
他者が防護標章と同一商標を使用することを制限する点で,
通常の登録商標よりも広く保護されています。
防護標章として登録されるためには,
その商標が著名であることが要件となりますが,
シンボルマークをさまざまな媒体で積極的に
使用したことで,
お客さまやお取引先さまなどに広く知られていると認められました。
これにより,
シンボルマークと混同の可能性がある商標が登録されることや,
お客さまが商品やサービスの提供主体を混同することで,
不利益を被るような他者の商標の使用を防ぐことができます。
エネルギアグループは,
電気事業を中核に幅広い事業からなっています。
各社の役割を明確にしたうえで,
その特性・特長を活かし
多様なニーズにお応えすることで,
より多くのお客さまに選んでいただくため,
戦略的事業領域を定め,
トータルソリューション事業を
展開しています。
グループとしての一体感の醸成やイメージの向上を図るとともに,
営業面でのグループ総合力の発揮をねらいとして,
創立50周年
事業では,
当社シンボルマークを基調とするエネルギアグループのシンボルマークも制定しました。
電力小売りの全面自由化後の競争環境においては,
「地域で選ばれ,
地域をこえて成長する企業グループ」
として,
「中国電力グループ」
イコール
「エネルギア」
として認知いただき,
お客さまの期待に応えられるように進んでいきます。
しかく商標を通じたメッセージの発信
当社のシンボルマークは,
1991年1月に制定されました。
当時の電気事業を取り巻く情勢は,
世界的なエネルギー問題,
地球規模
の環境問題,
規制緩和による競争激化など,
21世紀を前に大きな変化を迎えていました。
このような状況の中,
社員の意識改革や
社内の活性化,
地域の皆さまに信頼され親しまれる企業イメージの構築をめざすことを,
企業理念とシンボルマークによって明確
にしました。
企業理念は,
キーコンセプトと経営理念で構成されています。
キーコンセプトの
「ENERGIA」は,「エネルギー」
の語源であるラテン
語に由来し,
「エネルギーがもたらすあたらしく,
あかるく,
あたたかい活力ある社会」
であり,
その社会の実現に向けて努力していく,
という当社の姿勢を表すものです。
電力小売りの全面自由化を迎えるにあたり,
こうした当社グループの原点を再認識すると同時に,
今後の事業環境変化も展望し,
「グループとして将来にわたり大切にしていきたい思い」
を込め,
2016年,
エネルギアグループの新たな企業理念として掲げることに
しました。
これらの想いをシンボルマークに込め,
お客さまをはじめ私たちと関わりある皆さまとエネルギアグループをつなぐ目印として,
これからも積極的に活用し,
皆さまの信頼を高めていきます。
シンボルマークは,
「E」
を強調したダイナミックな
「EnerGia」
のロゴタイプと,
エネルギーの動きや成長する力を一体化した
造形に躍動感を伴う赤
(ウォームレッド)
と安定感を象徴する青
(ジェントルブルー)
で彩色し,
それを中国電力や中国地方
さらに地球を表したCリングで囲んだデザインで構成されており,
エネルギーを通じて,
お客さま
・地域・環境に貢献して
いこうとする中国電力の企業理念を表現しています。
シンボルマークが持つ意味合い
シンボルマークと企業理念
キーコンセプト シンボルマーク
商標登録第3104821号
グループシンボルマーク 戦略的事業領域
電気事業および
電気事業サポート
総合エネルギー
供給事業
環境調和
創生事業
ビジネス・生活支援事業
情報通信事業
(商標登録第5968806号,
商願2017‐96204,
商願2017‐96205)
商標への取り組み5 特許権と並ぶ重要な知的財産権に商標権があります。
商標は,
企業や,
商品・サービスに対するお客さま
からの信頼の証であり,
エネルギアグループとお客さまを結ぶ大切な知的財産であると認識しています。
シンボルマークやシンボルスポーツのチーム名称を商標として適切に権利化し保護することで,
安定的
に使用できるようにするとともに,
お客さまに安心してエネルギアグループの商品やサービスをお選びいた
だけるようにしています。
商標への取り組み
27 28
しかく知財リスクに対する日常業務での対応
知財リスク対応の取り組み事例
日常業務や研究・開発において当社が実施・検討している技術内容と他者特許を対比し,
侵害の有無を検討する
「特許権侵害
リスク対応」や,広告物やイベントなどで使用する媒体について,
他者商標権の侵害の有無や回避方策を検討する
「商標権侵害
チェック」
などを日常的に実施しています。 また,
権利確保面では,
共同研究などの成果を自社の権利として適切に確保するための契約書チェックを行う
「知財関連契約
審査」や,社外に公開予定の論文・技術資料などに未出願の内容が含まれ,
公開により特許を取得できなくなることを防止するため
のチェックを行う
「知財性確認」
などの仕組みを整え,
日常業務として実施しています。 なお,
現時点において当社の経営に重大な影響を与える知的財産関連の訴訟案件はありません。
社外に発信する広報・広告媒体は,
他者商標権侵害のリスクを回避するため,
作成段階で商標リスクの有無を審査する体制を
整備しています。 事前審査で懸念されるリスクが発見された場合は,
対象となるネーミング等の表現を変更する対応をとり,
商標権侵害リスクを
未然に防止しています。 当社グループの事業に関わりが深い技術分野について,
特許情報に動きがあれば自動で配信するシステム
「SDI」を活用し,
事業本部等の知財事務局と知財部門が連携して,
知財リスク管理を行っています。
くろまる当社グループの事業活動に関係する他者の特許や技術動向を把握し,
他者特許権を侵害する疑いがある等の問題
事案を早期・効率的に発見
くろまる特定技術や他者技術開発などの動向
(関心テーマ)
を中長期にわたり追跡し,
他者特許権侵害の可能性がある場合
には技術戦略や研究・開発の方向性を見直し
【SDI(注記)
機能を活用した他社特許の監視】
しかく他者商標権侵害の防止に関する体制
当社では
「SDI」
機能を活用した他者特許の監視を行っています。
当社事業に関わりが深い
技術分野
(電力・ガス)
の特許情報に動き
(出願公開,
特許登録)
があれば,
「SDI」
配信先となって
いる事業本部等の担当者へ自動で特許情報が配信されます。
配信があれば,
他者特許を当社が
侵害していないか,
内容の確認を行い,
問題事案の早期発見,
早期解決につなげています。
また
事業本部等で判断できない場合は,
知財企画権利化グループへ相談いただくと,
弁理士と相談し,判断をすることになります。
今後も事業本部等と連携し,
一体となって知財リスク管理を
行っていきたいと考えています。
社員から一言
権利取得機会喪失リスク回避のための取り組み事例
当社は,
業務運営のあらゆる場面で生み出されているアイデアなど知的資産を,
知財化することを基本としています。
このアイデアなどを特許出願前に社外へ公表してしまうと,
特許権を取得できなくなってしまいます。
このため,
アイデア
などの秘密保持が重要であり,
知財規程においても
「発明に関する事項について,
原則として,
その発明の出願が公開(注記)
されるまでは,
他に漏洩してはならない」
と定めています。 こうした権利取得機会喪失を防止する必要から,
社外へ開示・公表する技術資料の内容を事前にチェックし,
公表
しても問題ないか確認する取り組みとして,
「知財性確認」
を行っています。
(注記)特許庁は,
出願の1年6カ月経過後に公開
エネルギア総合研究所
(知財部門)
2権利取得機会喪失リスク回避の
観点から,
内容をチェック
3確認結果の通知
4通知された確認結果を踏まえ,
開示・公表内容を検討
【研究成果等の社外発表前の知財性確認】
しかく
「知財性確認」
の流れ
技術主管箇所が
社外への開示・公表を
検討している技術資料1「知財性確認」
の依頼
技術主管箇所
(注記)Selective Dissemination of Information
(情報の選択的配信)
しかく他者特許監視の目的
知財リスクへの対応6 知財規程の基本理念の一つである
「他者の権利の尊重」,および
「コンプライアンス最優先」
という考え方
に基づいて,
知財リスクを回避するための取り組みを積極的に推進しています。 知財リスクへの対応
VOICE
エネルギア総合研究所
(知財企画権利化グループ)
岡 博司
指定した条件
(出願人,
技術分類,
キーワードなど)
に合致する特許
公報を抽出してメール配信
特許公報を
発行の都度
蓄積
必要により主管
に 技 術 内 容 を
確認依頼
新たに発行された
特許公報
新特許情報検索システム
(知財部門で管理)
各事業本部等の
知財事務局
各主管
29 30
しかく知財を通じた貢献活動
2016年4月に発生した熊本地震からの早期復興に特許の活用を通じて貢献することを目的に,
2017年9月に,
九州経済産業局,
一般社団法人熊本県工業連合会および九州電力株式会社と
「熊本地震復興支援事業に関する連携協定書」
を締結しました。
本事業は九州経済産業局の支援のもと,
事務局である熊本県工業連合会が設置する
「被災企業認定委員会」
の認定に基づき,
九州電力株式会社と当社が,
各々が保有する原則すべての特許について,
地震により直接的・間接的に被害を受けられた熊本県
の企業に対して無償で実施許諾を行うものです。
2018年1月には本事業の一環として,
特許庁・九州経済産業局主催の
『巡回特許庁 in 九州』
の中で開催された
「知財ビジネスマッチ
ング in 熊本」
に参加し,
地元企業へ特許技術の紹介を行いました。
今後も,
熊本県で開催される知財マッチングイベント等に参加するなど,
当社特許技術に関する情報提供・活用の促進を行っていく
こととしています。
熊本地震復興支援事業のスキーム
熊本地震復興支援
地域の人材育成への協力
しかく地域貢献の推進
「中国電力グループ研究開発成果展示会」
の開催
地域社会への貢献という観点から,
地元企業を対象とした知財研修活動への協力や,
高校生や大学生に向けた科学技術に関する
教育活動についても積極的に取り組んでいます。
近年の取り組みとして,
一般社団法人広島県発明協会が主催するセミナーへの
講師派遣など運営への協力や,
一般社団法人日本知的財産協会が行う研修会や講演会等への参画・協力,
インターンシップ実習生
の受け入れなどがあります。
また,
次世代層への環境エネルギー教育として
「わくわくE‐スクール」
を開催しています。
同スクールでは,
地域の小学校の社会見
学を受け入れ,
環境エネルギー学習を支援しています。
太陽光発電,
電気自動車,
雷インパルス電圧発生装置などの施設見学や理科実
験に加えて特許庁制作の知財ビデオによる
「小学生向け知財学習」
を取り入れ,
見学後
「発明を守る特許の大切さがわかりました」
と自筆の感想文が寄せられるなど,
高い評価をいただいています。
当社グループにとって,
地域社会と地域企業の経済的・技術的発展は大切であり,
低廉で良質な電気を安定してお届けするために,
将来を見据えた活用度の高い研究開発に取り組んでいます。
その成果とノウハウを広く地域の皆さまにお知らせするため,
「中国
電力グループ研究開発成果展示会」
を開催しています。
今年度も,
グループ企業とともにエネルギー産業の低コスト化,再生可能エネルギー利用や環境技術,
省エネルギー関連の製
品や解析ツール,
安全関連設備や装置など,
産業活動や生活に
役立つ研究開発の取り組みについて,
実物とパネルの展示を行い,
研究開発者が来場者にわかりやすく説明しました。
大学生を対象とした科学技術に関する教育活動
展示会の様子
施設見学
(電気自動車)
「中国電力グループ研究開発成果展示会2017」
2017年12月12日
中国電力本社ビル 1階西ホール
中国電力株式会社
グループ企業等8社
知財ビジネスマッチング in 熊本
CSRの取り組み7 エネルギアグループは,
CSRの取り組みの方向性と役員・社員の行動の根底に置くべき原則を定めた
「エネルギアグループCSR行動憲章」
のもと,
社会から信頼され,
選択される企業グループとなることを
めざし,
グループ一体となったCSRの取り組みを推進しています。
知財面からも,
熊本地震復興支援を目的とした特許使用に関する事業,
地域の人材育成への協力
など,
CSRの取り組みを展開しています。
CSRの取り組み
中国電力
地元被災企業
熊本県工業連合会
被災企業認定委員会
九州経済産業局
(本事業の周知・普及啓発を実施)
1特許情報提供
2特許情報紹介
3実施許諾の申請
4認定
5無償実施許諾契約
5無償実施許諾契約
九州電力
日 時
会 場
主 催
協力企業
31 32
ー 知財活動の概観 ー
しかく2016年度の算定結果
(当該年度時点で存続している特許を対象に毎年度再評価
(洗い替え)
を実施) EnerGia IP Activity 2017
活動報告
電気の安定供給,
競争力強化,
環境保全などに資する技術の研究•開発により新たな価値創造に取り組むとともに,
業務運営の
あらゆる場面で生み出される知的資産を知財として認識・活用し,
企業価値を向上していくことがグループ存立の基盤と考え,
戦略的
かつ効率的な権利取得・活用を進めています。
こうした知財活動を通じて創出された知的財産
(IP:lntellectual Property)
の実績は以下の通りです。1:
特許技術が導入・適用された施策のうち,
一定額以上のコスト低減効果が発生した件数。2:
技術を特許出願することで事業活動の自由度を確保できていることの金額効果。3:
対象技術が特許で担保されていることで当社のみがメリッ
トを享受できている金額効果。
2に特許技術の寄与度や特許の強さなどを加味して算定したもの。4:
クロスライセンスの対価となり得る特許技術の金額効果。
自社が対価性のある特許を保有していれば支払額が相殺されることから,
他社技術導入の原資として特許の金銭的側面
を評価したもので,
相手先企業との事業規模比により算出される係数Aの値により変動。 しかく港湾内の所定の水域の周縁部に,
内側より水底面を深くした堆積物捕捉部を設けることにより,
航路・停泊に必要な水深確保する
ための維持浚渫工事の間隔を長くできる方法を発明。
しかく本方法の採用により,
港湾の維持管理費が低減。
【評価対象特許の概要】
港湾の水底構造および港湾の水底埋没防止方法
(P10掲載事例)
特許の価値の定量的評価
特許の定量的評価のステップ
ステップ1
評価年数
2016年度(I)2015年度(II)(IーII)
166件
152件
14件
404億円
398億円
6億円
159億円
155億円
4億円
(×ばつA)
(×ばつA)ー1施策件数
2特許技術が関係した
コスト低減額
3特許の価値の
定量的評価額(α)4他社技術導入原資
獲得額
(×ばつA) ステップ2 ステップ3
特許が関係した
コスト低減額(注記)(a)特許技術が寄与した
コスト低減額(b)特許の価値の
定量的評価額(c)(b=a×ばつ特許技術の寄与度(注記))(注記)本事例では100%
(c=×ばつ排他独占性(注記))(注記)本事例では67%
その他の
効率化額
当社グループ全体の特許出願件数の推移
特許登録件数の推移
(登録日ベース)
特許出願件数の推移
(公開日ベース)
当社グループ全体の特許登録件数の推移
発明の排他独占性評価(注記)・・・・・・・・・・・・・ 67%
(15点満点で10点の評価)
しかく権利化状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3点
しかく権利としての強さ・・・・・・・・・・・・・・・・
4点
しかく代替技術に対する優位性・・・・・
3点
(注記)特許庁
「特許評価指標
(技術移転版)」をベースに,
当社の事業内容に合う評価項目を採用
(注記)計画額
(将来発生が見込まれる
低減額)
も含む
発明者人口の推移(注記)
特許登録率の推移
経験者 新規発明者
(注記)特許出願経験のある社員数
(2003年度からの累計)
[参考:当社社員数9,305名
(2017年3月31日現在)]1権利化状況
2権利として
の強さ
3代替技術に
対する優位性
しかく排他独占性評価表
5点 4点 3点 2点 1点
無効審判後も
権利維持
非常に強い
(基本発明)
代替技術なし
権利成立
(無効審判請求なし)
強い
(基本発明に準ずる)
拒絶査定を受け
審判継続中
(特許性あり)
弱い
(中程度の改良発明)
拒絶査定を受け
審判継続中
(特許性に疑問)
非常に弱い
(小幅な改良発明)
代替技術より
技術的に劣位
ー ー
権利未成立で
特許性の判断が困難
中程度
(大幅な改良発明)
代替技術より
技術的に優位
2013 2014 2015 2016 2017
(年)
(件)0200400600800193209480200
(件)4006008001,000
中国電力 電力上位3社平均 ガス上位2社平均
2013 2014 2015 2016 2017
(年)90%85%91%0%20%(件)40%60%80%100%
中国電力 電力上位3社平均 ガス上位2社平均
2013 2014 2015 2016 2017
(年)02,000
1,000
(名)
3,000
4,000
5,000
6,000
2013 2014 2015 2016 2017
(年)
2013 2014 2015 2016 2017(年)
(件)02004006008001000
中国電力 電力上位3社平均 ガス上位2社平均
2013 2014 2015 2016 2017
(年)
(件)020040060080047322074
4,000 4,291 4,477 4,762 4,964
291 186285202 87
しかく弁理士・・・・・・・
4名 しかく知的財産管理技能士
(2級)・・・・・・・ 135名 しかく知的財産管理技能士
(3級)・・・・・・・ 22名
知財関連試験有資格者数
33 34

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