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むすぶ、ひらく。 CHUBU Electric Power

むすぶ、ひらく。中部電力グループ
小林 大輔

RESEARCHERS

電力技術研究所

小林 大輔

DAISUKE KOBAYASHI

PROFILE

所属 電力技術研究所
研究・専門分野 機械系・材料強度学
学位 修士(ナノメカニクス専攻)東北大学工学研究科
博士(工学)東北大学(注)入社後、博士課程に在籍し取得
趣味・好きなこと スキー(ジャンプ、クロスカントリー、アルペン、基礎(クラウンプライズ獲得予定))、スポーツ観戦
研究キーワード 材料評価、寿命評価、損傷評価、強度評価、タービン

(注)2024年7月取材時

小林さんの専門分野を教えてください。

小林さん

分野で言えば機械工学ですが、その中でも材料強度学という、「ものの強さを科学すること」、別の言い方では「ものの壊れ方を研究すること」を専門としています。
時代とともに変化する新素材の性状を対象としているため、常に最先端の材料に触れられることが魅力です。

学生時代、機械設計の講義で、機械部品の厚さ・薄さをどう決めるかで疑問に思い、材料強度の概念に興味を持ちました。院生時代に子供のころに憧れた「超合金」を研究対象にする機会に恵まれ、以来、この世で最も過酷と言われる環境(高温、高負荷)で使用される実用最強材料の強さを解き明かす研究を続けています。

中部電力に入社を決めたのは、火力発電所のガスタービンブレードがたくさん取り揃えてあるのを見学させてもらった時です。わたしには、それらが今か今かと測定評価を待っている「宝の山」に見えました。現在、そのひとつひとつのブレードに向き合い、その材料が何年、どんな状態で使用するとどういう劣化状況になるのか、データと知見を蓄積しながら研究をすすめています。

(注)超合金とは
耐高温性、耐腐食性、耐酸化性など、極めて過酷な環境下でも優れた性能を発揮する金属合金のこと。主にニッケル、コバルト鉄を基とし、クロム、アルミニウムなどの元素を添加して特性を強化しており、ガスタービンエンジン、航空宇宙産業、石油化学プラントなどで広く使用されている。

これまで、どんな研究に取り組んできたのでしょうか。

入社以来、実際に発電用ガスタービンで使われている超合金製タービンブレードについて、材料の劣化やいつまで使えるのか明らかにする余寿命評価を目的とした研究に取り組んでいます。

一口に超合金といっても種類が豊富で、時代とともに進化しています。加えて、発電用ガスタービンなど、超合金が使われている機器の使われ方にも変化があるんですよ。
たとえば、火力発電は、「ベースロード電源」の役割だけでなく、現在拡大中の再エネが、天候によって発電量が変動した際の「調整役」としての機能も果たすようになりました。それに伴い、出力調整や頻繁な機器停止がおこなわれるため、稼働率自体も大きく変わってきました。
これまでと同じ材料でも、求められる「強さ」や「余寿命」の考え方が変わるため、それぞれに応じた状況を把握するよう努めています。

私が約10年前に発明した「結晶方位解析」は、それまでは見えなかった超合金の材料劣化を電子顕微鏡などを使って可視化・定量化できる技術です。かなり実用的な技術で、すでに国内外における現役発電所のタービンブレードの余寿命評価などに活用されています。
タービンブレードは超合金でできているがゆえに、1枚あたりが高級車1台分に匹敵する高価格。それがガスタービン一台あたりに数百枚使用されています。ブレードの劣化度、余寿命を評価し適切な交換タイミングを導き出すことで、大きなコストダウン(注)につながっています。

(注)関与した火力発電所全体で、計数十億円/年の削減に貢献

現在は、もっといろいろな材料に適用できるよう試行錯誤を続けています。

小林さん ガスタービンブレードの劣化度を可視化

ガスタービンブレードの劣化度を可視化

今後の夢や目標について教えてください。

先日(2024年6月)、ガスタービンの国際会議に出席したところ、「脱炭素社会実現には、クリーンかつ高効率発電設備であるガスタービンを「上手く使う」ことが必須」という考えが世界の共通認識であり、またそのための技術も強く求められていることを再認識しました。

上手く使うためには、効率的に燃焼する技術はもちろんですが、機器のメンテナンス・交換タイミングを見極めることも重要だと考えています。
これまで同様、余寿命評価の精度を高めて適切な交換タイミングを提案していく一方で、蓄積データをもとに、安心、安全に運転してもらうための使用方法についても提案し、火力発電をサポートしていきたいと思います。
また、ガスタービンはジェット機や一部の船舶にも使用されています。いずれはそれらのガスタービンの余寿命評価技術も確立して「うまく使う」ためのサポートをすることで、脱炭素社会実現に貢献していきたいですね。

今後も我々の技術を世界中に広げるため、まだまだ研鑽を続け、確かな実績を積み上げていきます。

小林さん

技術報告(技術開発ニュース)

研究内容(ポスター)

特許等

金属材料の疲労履歴推定方法及び余寿命推定方法(特許第6276963号)

ニッケル基超合金の劣化診断方法(特許第6093567号)

金属材料の破壊原因推定方法、および破壊原因推定システム(特許第5855881号)

渦龍探傷センサ(特許第5871551号)

多結晶金属材料の劣化診断方法、装置およびシステム(特許第7093928号)

ニッケル基超合金の劣化診断方法、装置およびシステム(特許第7093929号)

金属材料のクリープ損傷を評価する評価方法および評価装置(特許第6865569号)

基準方位の推定方法、及び金属材料の破壊原因の推定叉は損傷率を評価する装置(特許第6805001号)

所属学会

日本材料学会

日本材料強度学会

日本機械学会

火力原子力発電技術協会

日本学術振興会R054カーボンニュートラル実現のための耐熱材料委員会

ターボ機械協会 蒸気機械委員会

日本非破壊検査協会

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