放射線のはなし 放射線がもたらす人体への影響
100ミリシーベルト以下の放射線を受けた場合、人体への影響は確認されていません。
放射線を受けても、人体には修復機能が備わっています
放射線を身体に受けることにより染色体内のDNAが傷つきますが、人体には損傷を修復する機能が備わっているため、放射線量が少なければほとんど修復されます。また、同じ量の被ばくであっても、数回にわたり、あるいは長期間にわたって被ばくする場合には人体への影響は小さくなります。
一度に多量の放射線を受けると細胞の修復ができなくなります
一度に多量の放射線を受けると、放射線によって傷ついた細胞を十分に修復することができなくなり、人体に影響が出るとされています。
これまでの疫学調査などから、一度に多量の放射線を受けると下記のように影響が出ることがわかっています。また、全身被ばくと局部被ばくとでは、同じ放射線の量を受けた場合、全身に被ばくした方が人体への影響は大きくなります。
放射線によるがんの影響
放射線を身体に受けることにより染色体内のDNAが傷つきますが、人体には損傷を修復する機能が備わっているため、放射線量が少なければほとんど修復されます。また、同じ量の被ばくであっても、数回にわたり、あるいは長期間にわたって被ばくする場合には人体への影響は小さくなります。
(注)国際放射線防護委員会(ICRP)は、放射線の安全で有効な利用が行えるよう、 放射線防護に関する国際的な基準を勧告しています。
放射線防護の基準値
放射線防護の基準は「より安全に配慮し、受ける放射線の量はできるだけ少なくした方がよい」という考え方に基づいています。100ミリシーベルト以下の低線量被ばくの影響は、科学的なデータはないものの、被ばくによるリスクを減らすという観点から基準値が定められています。
放射線防護の線量の基準
- 出典:
- 電気事業連合会「原子力2012(コンセンサス)」他より作成
放射線防護の線量の基準は以下のように定められています。
- (1)平常時の公衆の被ばく限度
- 年間1ミリシーベルト
- (2)事故発生初期大きな被ばくを避けるための基準
- 屋内避難10ミリシーベルト
- 避難50ミリシーベルト
- (3)緊急時の状況(事故継続など)における基準
- 年間20〜100ミリシーベルト
- (4)事故収束後の汚染による基準
- 年間1〜20ミリシーベルト
- (5)長期的な目標
- 年間1ミリシーベルト
- (2)〜(5)は事故発生後の想定です
- (4)(5)は事故収束後の想定です
国際放射線防護委員会(ICRP)は緊急時の被ばく状況において、放射線防護の基準値を年間20ミリシーベルト〜100ミリシーベルトとしています。国の原子力安全委員会では、緊急事態期として、その基準の中で最も低い値である20ミリシーベルトを採用してます。長期的には、年間で受ける放射線量を1ミリシーベルト以下まで戻すことを目標としています。