企業の防災対策・事業継続強化に向けて 〜切迫する大地震を乗り越えるために〜(簡易パンフレット)


企業の防災対策・
事業継続強化に向けて
〜切迫する大規模地震を乗り越えるために〜
防災対策
事業継続
発生確率が高く切迫する大規模地震
〜地震はいつ発生してもおかしくない〜
しろいしかく 今後発生が想定されている大規模地震
日本は、世界的に見て自然災害の多
い国であり、毎年、地震・台風・豪雨
などの被害が続いている。特に、大規
模地震については、今後30年以内に発
生する確率が、
南海トラフ地震(注記)は70〜80%、
首都直下地震は70%とされており時間
とともに切迫性が高まっている。
〜 南海トラフ地震 〜
中央防災会議が対象としている大規模地震
日本海溝・千島海溝
周辺海溝型地震
南海トラフ地震
南海トラフで発生するM8から
M9クラスの地震
首都直下地震
南関東地域における
M7クラスの地震
中部圏・近畿圏
直下地震
海溝型地震 直下型地震
(注記)南海トラフ地震防災対策推進基本計画
の策定から10年を迎えることから、
2024年度本計画を見直し予定。
南海トラフ地震の発生に伴い、関東から四国・九州にかけて極めて広い範囲で揺れ/津波/火災に
伴う甚大な被害が発生することが見込まれる。
直近の事例
安政東海地震M8.6安政南海地震M8.71854年
1944年
約32時間後
昭和東南海地震M8.2昭和南海地震M8.4約2年後
90年
【「駿河湾〜紀伊半島沖」に「大すべり域+超大すべり」域を
設定した場合の津波高分布図】
【強震動生成域が陸側寄りの場合の震度分布図】
南海トラフ沿いでは
概ね100〜150年で
大地震が繰返し発生
☞直近の昭和南海地震からまもなく80年が経過
地震はいつ発生してもおかしくない。
また、地震は一度では終わらないかも!
大規模地震に伴い想定される被害・影響
〜広範囲にわたる甚大な被害〜
引用:各地震の被害想定報告資料(内閣府)
首都直下、南海トラフのGDPは2022年の名目GDP
しろいしかく 南海トラフ地震の被害想定 ×ばつ ×ばつ ×ばつ <前月比31.1%減>
リーマンショック後の最大低下幅を超過
<前月比13.7%減>
統計上、1か月間での最大低下幅
被災地
◇東日本大震災時における鉱工業生産指数の比較
被災地外でも生産活動に大きく影響
出典:経済産業省「震災が鉱工業生産に及ぼした影響について(平成23年1月〜3月期)」
被災地外
しろいしかく サプライチェーンを介した影響
<事業活動に及ぼす甚大な影響の回避に向けて> ☞1社1社の「事前の備え」が必要不可欠!
特に「事業継続計画の策定」「仕入先の複数化」「企業間や業種を超えた連携」等
〜参考:大規模地震による経済被害想定〜
関東大震災 東日本大震災 首都直下(想定) 南海トラフ(想定)
経済被害 約55億円 約16.9兆円 約95.3兆円 約214.2兆円
当時GDP 約149億円 約497兆円 約556兆円 約556兆円
GDP比 約37% 約3% 約17% 約38%
停電件数最大 約2,710 万軒
電力
▣ 東海、近畿、山陽、四国、九州で
広域的に停電発生
▣ 停電は、数日間で解消。 電柱被害に
基づく停電は復旧に約1〜2週間を要す
通信 不通回線数最大 約930 万回線
▣ 固定回線は、最大約4週間で復旧。
停電による携帯の不通は数日で解消
▣ 電力と同様に広域的に通話支障発生。
携帯電話も直後は大部分で通話不可
死者・行方不明者 最大約32.3万人
(冬・深夜に発生)
全壊焼失棟数 最大約238.6万棟
(冬・夕方に発生)
これら以外にも、上下水道、都市ガス、道路、鉄道、空港、港湾での甚大な被害が想定
されており、企業の事業継続に影響を及ぼすおそれあり。
(注記)詳しくは、「南海トラフ巨大地震の被害想定について(第2次報告)」(平成25年3月18日)
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg/pdf/20130318_shiryo2_2.pdf
「事業継続」に向け取り組みましょう!
〜サプライチェーンを守る〜
しろいしかく サプライチェーン対策のポイント 〜西日本・生産メーカー(例)〜
【サプライチェーン構造(イメージ)】
垂直的な対策
1⃣「仕入先への確認」
災害による影響/事業継続対策を
1次仕入先やその先まで拡大し確認
2⃣「仕入先での代替」
仕入先別工場での代替生産
3⃣「仕入先の複数化」
仕入先を複数確保
水平的な対策
4⃣「企業内の代替」
企業内(別工場等)での代替生産
5⃣「企業間の連携」
他社との連携・相互支援協定
(代替生産、人員/設備の融通、
部品確保など)
仕入2次
仕入1次
生産
卸・販売
原料b社
販売1 販売2
原料c社
販売3 販売4
西日本 東日本
原料a社
部品A社
生産メーカー
西工場1⃣部品B社
西工場
部品B社
東工場2⃣部品C社5⃣生産メーカー
東工場
生産メーカー
他社
3⃣⃣4⃣垂直的な関係水平的な関係
☞ まずは、1⃣「仕入れ先への確認」(リスクコミュニケーション)から始めよう!
しろいしかく 事業継続に係る企業向け支援(地域連携)+BCP策定などの対策には、
行政や商工団体等の事業継続支援や
各種ツール等の活用が効果的。
大規模災害時は、事業中断が長期化
する懸念があるため、併せて、
災害保険加入や資金確保の検討も重要
(地震保険、資金調達枠確保等)
☞ 地域の中で、平時から
積極的なコミュニケーションを!AB
(参考)サプライチェーン対策の事例
〜サプライチェーンを守る〜
しろいしかく 仕入れ先への確認徹底、有事に備えた仕入体制構築垂直的事例食品・水産加工業 株式会社白謙蒲鉾店
紹介 :地元で100年以上にわたり笹かまぼこを作り続けてきた老舗企業
本社所在地(拠点):宮城県石巻市(販売25店舗、製造3工場)
従業員数 :約200名
▣ 原材料/資材など含めた、
全仕入先(約60社)に対
し、半期ごとに影響確認
を実施
▣ 品質/納期/価格等に加え
必ず、事業毎に、仕入先
の事業継続計画の確認、
製造拠点調査等を実施
A 仕入先への影響確認徹底
▣ 仕入先工場の災害リスク
を踏まえ、別工場(東日本
⇒西日本)での生産を可能
とするようトップ折衝
▣ 迅速に生産活動を再開さ
せるため、平時から有事
に備えた仕入れ体制構築
Bリスクに応じた代替生産要請
しろいしかく 自社での代替拠点確保、同業他社との連携強化水平的事例総合電気設備工事業 白鷺電気工業株式会社
紹介 :電気電力設備の新設/保守を行う総合電気設備企業
本社所在地(拠点):熊本県熊本市(その他県内・県外 5拠点)
従業員数 :約130名
当社
仕入先
仕入先
(別工場)
当社
(本社)
当社
(支社)
他社
(同業)
▣ 本社⇔県内支社間の長距離
無線LANシステムの構築
・携帯電話、衛星電話、
社内安否コール等も確保
・データは、委託先でバッ
クアップ確保等
▣ 実働要員の確保(支社)、
訓練等による要員多能化
A 本社機能代替設定(県内支社)
▣ 駆け付け要員確保
連携・連絡フローを確立し
他社は出動要請に従う
▣ 資機材の確保
電力・通信等のインフラ設
備の早期復旧を目指すため
に、電線・管等をスットク
し、リース会社との機材の
提供に関する協定も締結。
B 同業他社との連携(協定締結)
防災の取組(≒「事前の備え」)の概要
〜大規模地震から企業を守るために〜
しろいしかく 企業における防災の取組(≒「事前の備え」)とは
企業の事業活動は、主に4つの経営資源
(ヒト・モノ・カネ・情報)に支えられて
おります。しかし、大規模地震が、発生
した場合、何らかの制約を受ける可能性
が極めて高いです。
ヒト(従業員/家族等)
モノ(建物/設備/機器等)
カネ(運転資金/保険等)
情報(データ/システム等)企業
企業における防災の取組
にじゅうまる 災害発生時に、その経営資源を守り、事業活動を継続・復旧
させることを目的とした事前の災害対策です。
にじゅうまる 「防災対策」と「事業継続」の大きく二つの取組があります。
<イメージ>会社を守るためには必要な取組
防災の取組(≒「事前の備え」)
B.発災時の
対応への備え
C.発災後の
復旧への備え
など
加えて、地域の防災訓練への参画、地域自治体との災害時支援協定、地域の災害救援支援など、
地域との協調や地域貢献も大切な取組です
など など
防災対策
ヒトとモノの安全確保
〜従来の企業防災活動〜
事業継続
顧客への供給を継続
する経営戦略
安否確認
被害把握
ヒト・モノの
被害軽減
不可欠な資源
の喪失防止
耐震化
代替確保
方策
事業継続
対応手順
サプライ
チェーン対策
「防災対策」の確認をしましょう!
〜事業継続に繋げるために〜
しろいしかく 防災対策の重要性 〜主にヒト・モノを守る行動〜
防災の取組は、生命の安全確保(ヒト) と物的被害(モノ)の軽減を目的
としています。備えが出来ているか、改めて、確認して下さい!
防災対策
ヒト・モノ
を守る
事業所の耐震化
人命の安全確保
(避難経路/救命救助)
安否確認
役割・体制
(指揮命令、被害確認)
教育・訓練の実施
食料・医薬品、トイレ
等の備蓄
二次災害防止
(出火/落下/飛散/浸水)
オフィス家具・機器の
転倒防止従業員と事業所の安全確保が第一優先しろいしかく 防災対策に関する企業の声とその効果
防災対策の効果試算〜首都直下地震〜
出典:内閣府 平成25年12月首都直下地震対策検討WG
防災対策に関する企業の声〜被災企業調査〜
出典:内閣府 令和元年 事前対策が事業に与える影響のアンケート調査結果
回答事業者:n=99195兆 67兆50兆050100
社会全体の経済被害額
防災対策なし
二次災害対策
(出火防止等)
二次災害対策+耐震化
さんかく約45兆円
90.1%
92.6%9.9%7.4%
転倒防止(設備の固定)
耐震化(免震制震含む)
耐震化・転倒防止の効果( 東 日 本 大 震 災 / 熊 本 地 震 被 災 企 業 )
物的損害額の低減が図れた 物的損害額の低減が図れなかった
企業の声(新潟中越地震、新潟中越沖地震)
事業内容 機械製造業(新潟県)
被災状況
(H16新潟中越地震)
被災後の
取組み及び効果
(H19新潟中越沖地震)
工場では機械設備や製品が転倒、通路に段差が生じるなどの
被害があり、事業再開は2ヶ月後となった。
しろいしかく震度6強の揺れに対応できるよう事務所/工場を改修。
しろいしかく全ての機械設備に地震感知器を取り付け震度4で停止する
ように設定したほか、強化棚設置や機械等の転倒を防止。
しろいしかくその結果、新潟中越沖地震の際には、2日間生産を止めた
だけで通常生産を再開。
事業継続計画(BCP)の策定に取り組みましょう!
〜企業の経営戦略の一つ〜
業績
悪化
しろいしかく 事業継続計画(BCP)とは?
不測の事態が発生しても、重要な業務を
中断させない、又は中断しても可能な限り
短期間で復旧させるための方針、体制及び
手順等を示した「行動計画」のこと
競争力
低下
顧客
影響
信頼
低下
BCPは経営戦略
として必要なんだ
しろいしかく BCP策定の重要ポイント 〜大規模地震の影響/想定リスクを踏まえ〜
事業継続
経営を守る
3.必要リソースの確保
しろいしかく 重要業務に必要な最低限の
リソース(ヒト/モノ/カネ/情報)
しろいしかく リソースをどのように確保するか
(復旧させるのか、代替確保するか)
2.目標復旧時間の設定
しろいしかく 重要業務について、
・いつ頃まで復旧すべきか
・どの程度まで許容できるか
復旧までの許容時間・水準を見極め
1.重要業務の選定
しろいしかく 優先的に復旧すべき製品/サービス
(観点)・売上/利益への寄与
・顧客の必要性
・納期短いもの
最初に、
1事業継続に対する基本方針を明確化
(例えば「人命を最優先とする」「重要顧客に対する供給責任を果たす」等)
2事業中断による影響、想定事象やそれに伴うリスクを想定
(大規模地震においては、一定期間、ライフラインや交通の制約があることも踏まえる)
☞そのうえで、完璧なものを目指すのではなく、3つの要素を明確化!
事業継続には、重要情報やシス
テムを使用できることが不可欠
(バックアップ保持、電源確保
などは重要な対策)
特に、部品や素材・原料(≒モノ)の確保においては、1次仕入先だけでなく、
その先の仕入先(即ちサプライチェーン)も意識
☞ BCP策定は、企業の経営かつサプライチェーンを守る第一歩!
(参考)BCPの起案の流れ
〜事業継続計画(BCP)の策定〜
基本方針・目的
・製品/サービス等の供給の継続、又は早期の再開により、
顧客への影響を極力少なくする。
しろいしかく イメージ:A電気工業株式会社(中小企業)
B社工場1C社本社・第一工場
材料
海外
半導体部品
原料
調達
B社工場2
半導体部品
第二工場
事業中断の影響
・売上、利益、市場シェアへの影響(売上/利益50%減)
・顧客影響(原材料調達が困難になり、取引先への出荷不可)
・資金繰り(収入が止まることで、運転資金が翌月にひっ迫)
リスク想定
・第一工場を含む地域における地震(震度6以上)。第二工場
は、大規模地震や水害のリスクが低い地域。
・ 第一工場において津波時0.5〜3mの浸水(ハザードマップ確認)想定事象
(調達)調達先C社の生産が停止した場合、材料を調達で
きず、生産がストップ。
原料はすべて海外からの海上輸送のため、港湾
が閉鎖されると、生産がストップ
(物流)物流網が回復しない場合、取引先への出荷が停止
(ヒト)第一工場に専門技術者が出勤できない場合、
生産ラインの立ち上げができない
(出勤) 当日:緊急対応要員のみ、2日目30%、5日目迄60%
(ライフライン想定)
電気・通信:当日停止、3日目まで回復
ガス・水道:当日停止、5日目まで回復
道路:緊急車両優先の規制、渋滞多発リスク重要業務
目標復旧時間
必要リソース
主要取引先B社向け半導体部品の生産・供給
5日以内
・B社向け半導体製造部品の原材料
(調達先の二重化:災害発生時、各社の状況に応じ仕入れ)
・当該部品生産ライン立ち上げの専門技術者
(要員の多能化:当該の専門技術者を育成し両工場に配置)
・海外調達原料
(荷揚げ港変更:第二工場に近い港へ変更できるよう手配)BCP検討プロセスBCP起案
5日以内に、第二工場にてB社向け半導体部品の生産ラインを立ち上げ
業種(製品) 製造業(半導体部品)
売上・従業員 50億 従業員150人
拠点 本社・第一工場(千葉)、第二工場(福岡)
取引先 B社(50%)、C社(20%)、D社(10%)、その他
仕入先 国内E社、海外仕入れ先
(参考)BCP策定に向けた支援ツール
〜事業継続計画(BCP)の策定〜
(内閣府)事業継続ガイドライン
内閣府防災では、東日本大震災前から防
災力向上における企業BCPの重要性を認
識し、これの普及促進のため、2005年8
月にガイドラインを作成。
事業の中断をもたらす可能性がある、あ
らゆる発生事象について適用可能で、国
際的な規格等とも整合が図られている。
(中小企業庁)事業継続力強化計画(認定制度)
中小企業庁では、中小企業が策定した
防災・減災の事前対策に関する計画を
経済産業大臣が「事業継続力強化計
画」として認定する制度を2019年7月
より運用。
認定を受けた中小企業は、税制措置や
金融支援、補助金の加点などの支援策
が受けられる。
(中小企業庁)中小企業BCP策定運用指針
中小企業へのBCPの普及を促進するこ
とを目的として、中小企業関係者や有
識者の意見を踏まえ、中小企業庁が作
成したものです。指針には、中小企業
の特性や実状に基づいたBCPの策定及
び継続的な運用の具体的方法が、わか
りやすく説明されています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline202303.pdf
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.htm
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/bcpgl_download.html#output
(内閣官房)国土強靭化貢献団体認証「レジリエンス認証」
レジリエンス認証制度は、大企業はも
とより、中小企業、各種団体における
事業継続の積極的な取り組みを広める
ことにより、すそ野の広い、社会全体
の強靭化を進めることを目的。
国土強靭化貢献団体の認証に関するガ
イドライン」に基づき本制度を運営。
https://www.resilience-jp.biz/certification/
(問い合わせ先) 内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(防災計画)付 田中、岩間
TEL: 03-5253-2111(大代表)

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