防災の動き



福島県浪江町樋渡・牛渡地区の地区防災計画づくり
福島県災害対策課

1 はじめに

本県では近年、災害が激甚化・頻発化してきており、これまでの経験が通用しない災害に備え、県民や地域における防災力の一層の強化が求められています。加えて、これらの取組を推進する、地域の実情に精通した防災知識を有するリーダーの存在が不可欠となっています。

そのような課題に対応するため、本県では今年度、「地域防災サポーター」制度を創設しました。防災士の資格を持つ方を「地域防災サポーター」として登録し、県と地域住民の橋渡し役として、今年度から県内各地の「地区防災計画(以下「計画」という。)策定支援注1」や「マイ避難推進講習会注2」に参加いただいております。

2 浪江町樋渡・牛渡行政区について

浪江町は、2011年の東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所の事故により、全町避難を経験し、2017年の一部解除まで、全住民が町外へ避難していました。

居住制限区域であった樋渡ひわたし牛渡うしわた行政区には、震災前には212世帯が居住していました。2017年に樋渡・牛渡行政区の避難指示が解除され、今(2024年4月時点)では、100世帯137人が居住しています(浪江町総務課への聞き取りによる)。

当該行政区は、震災前からの住民に加え、震災後、移住されてきた住民も非常に多く生活する地区となっています。

また、震災前から居住している住民の中には、避難先と浪江町を行き来する二地域居住を継続している方も多数います。

3 計画づくりと地域防災サポーターの活用

浪江町の樋渡・牛渡行政区では、2024年4月より、防災を切り口に「地域づくり」を進めていくことを目的に、計画づくりを始めました。

計画策定に当たっては、そのまとめ役である「地域防災サポーター」として、家族で樋渡・牛渡行政区へ移住された、防災士資格を持つ方が中心となって、計画策定に向けたワークショップを実施していただきました。一方、ワークショップに参加した住民の方々は、このワークショップを通して、地域のこと、防災体制作り、災害時の対応等について考察し、地区の特性や災害時にとるべき行動について、情報を共有することができました。

まさに、震災前からの住民と、震災後移住されてきた住民が、防災を切り口に協力し、地域コミュニティを醸成しました。

[画像:地区での計画づくりの模様]

写真 地区での計画づくりの模様

4 おわりに

計画は、立派なものを策定して終了するものではありません。地域というものは、時が過ぎれば人は変わり、街も変わります。計画は、その都度、実動訓練や経験を踏まえ、見直していく必要があります。

本県では、引き続き、地域防災サポーターの継続的な活動を通じて、防災活動をとおした地域コミュニティの醸成(地域づくり)と、住民主体で互いに助け合うことのできる地域(地域人材づくり)を目指していきます。

地域住民にとって、計画の策定は地域コミュニティ復活・醸成の入口であり、本県の地域防災サポーター登録制度を利用した持続可能な防災活動を実施することが、本事業が目指す「地域づくり」「地域人材づくり」なのです。


注1 地域住民が主体となり、災害時に備え、備蓄や避難経路といった計画を策定する支援。
注2 自分や家族に適した避難行動を考えるワークショップ。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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