200407:2004年(平成16年) 新潟県中越地震・川口町

【概要】

(1)被害の概要

しろまる町勢

表1 川口町の概要
人口等人 口 5,234人 世帯数 1,522世帯 (平成20年4月1日現在)
地理新潟県のほぼ中央、長岡市の南20kmに位置する。
町総面積 50.03km2
大河信濃川と清流魚野川の合流地点にあり、その河川で作られた河岸段丘と山間地域で町を形成している。
特産等魚沼産コシヒカリやエノキタケなどを主体に、農業が基幹産業となっている。

しろまる人的被害

表2 人的被害
死亡負傷
6人重傷38人
軽傷24人

(出典)新潟県川口町『平成16年(2004年)新潟県中越地震』平成20年3月31日。

しろまる住家被害(平成18年1月1日現在)
・町全体で、78%もの住家が半壊以上の被害を受けた。特に田麦山、和南津、木沢・峠の3地区は壊滅的被害であり、田麦山では99%が半壊以上の被害を受けた。

表3 住家被害(平成18年1月1日現在)
地区別被害内容(棟)
全壊大規模半壊半壊一部損壊被害なし合計
和南津77814140113
中山42730280107
東川口16338102550358
西川口5034931343314
牛ヶ島172548251116
武道窪226143146
相川28112531196
荒谷8661021
木沢・峠45643058
田麦山・小高1546820170
合 計60614734429661,399
(比率%)(43.3%)(10.5%)(24.6%)(21.2%)(0.4%)(100%)

(出典)新潟県川口町『平成16年(2004年)新潟県中越地震』平成20年3月31日。


図1 各地区家屋の被害状況図

(出典)新潟県川口町『災害復旧・復興への取り組み』。

(2)災害後の主な経過

表4 災害後の主な経過(川口町の取組状況)
年月日項 目
平成16年 10月23日17:56 新潟県中越地震発生(震度階級7、マグニチュード6.8)
10月23日災害対策本部設置、全戸に避難勧告
11月1日窓口業務の再開 衆・参議院災害対策特別委員会現地視察 かわぐち地震災害対策広報(第1号)の発行
11月2日応急仮設住宅の入居、家屋の取崩しなどの相談受付開始 建物の危険度判定調査開始
11月4日応急仮設住宅入居申込開始(〜15日) 家屋被害調査開始(〜中旬)
11月7日被災住宅相談窓口開設(〜15日)
11月8日応急仮設住宅の建設に着手(川口中学校)
11月9日宅地の危険度判定相談開始
11月12日町民震災相談窓口開設
11月16日峠、小高、向山、荒谷の各地区を除き避難勧告解除
11月18日応急仮設住宅建設場所決定(10箇所412戸建設)
11月20日り災証明発行開始(〜23日)
11月21日田麦山地区説明会
11月23日小高地区集団移転を町に申し入れ
11月25日応急仮設住宅入居決定通知の交付と入居説明会開始 住宅応急修理、生活再建支援等相談窓口開設 家屋被害再調査受付(〜30日)
11月26日激甚災害の指定を受ける
12月1日家屋被害調査再調査開始(〜5日)
12月2日応急仮設住宅の入居開始
12月10日新潟県中越地震災害義援金の配分(第1回)
12月24日川口町中越地震災害義援金の配分(第1回)
平成17年 1月7日 国土交通省に要望(町長上京)
1月28日町総代会開催(震災復興対策本部について) 小高地区が移転地を西川口地内に要望する
2月1日川口町震災復興対策本部の設置 川口町豪雪対策本部の設置
2月4日町震災復興対策本部会議(第1回)
2月9日町議会震災復興特別委員会
2月14日町震災復興対策本部会議(第2回)
2月26日川口町復興計画講演会(商工会館)
3月3日政府調査団豪雪現地調査
3月4日町震災復興対策本部会議(第3回)
3月15日町復興計画策定部会
3月29日国土交通省防災集団移転促進事業現地視察
4月1日中越大震災に伴う災害復旧派遣職員に辞令交付(計13名)
4月7日町震災復興対策本部会議(第4回)
4月15日川口町中越地震災害義援金の配分委員会(第2回)
4月18日町復興計画策定部会(第2回)
5月10日町復興計画策定部会(第3回)震災復興計画中間骨子案について
6月1日中間骨子案(概要版)全戸配布
7月5日町復興計画検討委員会(第1回)
10月17日町震災復興対策本部会議:震災復興計画の策定について

【20040701】復旧・復興体制の構築(川口町)

・川口町では地震の翌年2月1日に川口町震災復興対策本部を設置し、震災復興計画策定に本格的に着手している。震災復興対策本部は本部会議と復興計画策定部会とで構成されている。復興計画策定部会は、主に庁内の直接の担当部署より1〜2名が選抜され、専門的部分からの計画の素案を作成に取り組んだ。
・復興計画策定には、学識経験者や町内の各種関係団体の長などからなる震災復興計画検討委員会と、地区毎の地区震災復興委員会が設置され、復興計画への意見、提案を行った。

川口町震災復興対策本部・本部会議
メンバー構成
本部長:町長
副本部長:助役
総務班(震災復興対策本部事務局・災害対策本部事務局を兼務)
復興計画班(震災復興計画策定事務局)
住民生活安定班
生活支援班
住宅応急修理班
災害廃棄物対策班
農業・水産・公園復興班
土木・農地農業施設復興班
公営企業復旧班
教育施設復旧班
震災復興計画検討委員会のメンバー構成
(職名)(所属等)
会長長岡技術科学大学教授
副会長川口町総代会長
委員川口町議会議長
委員川口町農業委員会長
委員川口町民生・児童委員協議会長
委員川口町公民館長
委員川口町消防団長
委員川口町商工会長
委員川口町商工会青年部長
委員川口町農業協同組合長
委員川口町社会福祉協議会副会長
委員川口町老人クラブ会長
委員川口町法人会長
委員川口町連絡長協議会長
委員川口診療所医師
委員庄司内科医院医師
委員川口町立川口中学校長
委員川口町立川口小学校長

図 計画の策定体制

(出典)新潟県川口町『川口町震災復興計画』平成17年10月。

【20040702】復旧・復興計画の策定(川口町)

しろまる復興計画の策定経緯

表 復興計画の策定経緯
平成17年会議等概要
1月28日大字総代会議・震災復興対策本部について
・地区震災復興委員会の設置について
2月1日震災復興対策本部設置
4日震災復興対策本部・本部会議・組織体制について
26日川口町の復興に向けての講演会
3月4日震災復興対策本部・本部会議・震災復興計画策定プロセスについて
12日震災復興とまちづくり講演会
15日第1回復興計画策定部会・震災復興計画策定プロセスについて
18日大字総代会議・震災復興計画策定プロセスについて
23日第1回地区震災復興委員会(東川口地区)・各区の課題検討
4月11日東川口地区まちづくり懇談会・東川口地区のまちづくりについて
・東川口駅前商店街振興会の取組について
・東川口地区震災復興委員会の取組について
18日第2回復興計画策定部会・震災復興計画の位置づけ、概要等について
19日〜28日第1回地区震災復興委員会
(西川口地区、田麦山地区、牛ヶ島地区、貝之沢地区、荒谷地区、武道窪地区、中山地区、和南津地区、相川地区、木沢地区)
・川口町復興計画の概要説明・地区震災復興委員会の役割、目的、進め方について・各地区の現状や復興まちづくりについての意見交換
5月6日第2回地区震災復興委員会(東川口地区)
10日第3回復興計画策定部会・震災復興計画中間骨子案について
13日第4回復興計画策定部会
18日第5回復興計画策定部会
19日震災復興対策本部・本部会議
6月1日中間骨子案(概要版)全戸配布・復興計画中間骨子案の周知及び町民意見(パブリックコメント)収集
3日町議会全員協議会・震災復興計画中間骨子案について
10日第3回地区震災復興委員会(東川口地区)・地区の震災復興に向けての課題について
・震災復興まちづくりについて
13日第6回復興計画策定部会・基本計画について
15日〜23日第2回地区震災復興委員会
(和南津地区、木沢地区、牛ヶ島地区、貝之沢地区、西川口地区、武道窪地区、田麦山地区、中山地区、荒谷地区、相川地区)
・地区の震災復興に向けての課題について
・震災復興まちづくりについて
26日第4回地区震災復興委員会(東川口地区)・震災復興まちづくりについて
7月5日第1回復興計画検討委員会・震災復興計画の策定について
・震災復興計画骨子案について
8月5日第2回復興計画検討委員会・震災復興計画骨子案について
23日第3回地区震災復興委員会(和南津地区)・震災復興まちづくりについて
30日第3回復興計画検討委員会・基本計画について
9月21日大字総代会議・震災復興計画骨子案、地区別計画について
22日町議会全員協議会
30日第5回地区震災復興委員会(東川口地区)・震災復興まちづくりについて
10月4日第3回地区震災復興委員会(牛ヶ島・貝ノ沢地区)・震災復興計画骨子案、地区別計画について
7日第4回復興計画検討委員会・震災復興計画(案)について説明
第3回地区震災復興委員会(西川口地区)・震災復興計画骨子案、地区別計画について
10日第4回地区震災復興委員会(和南津地区)
13日第3回地区震災復興委員会(木沢地区)
17日震災復興対策本部・本部会議・震災復興計画の策定について

(出典)新潟県川口町『新潟県中越地震の発生経過(発生から平成17年4月25日)』。

しろまる復興計画策定にあたっての住民の意向の反映

・川口町では、復興計画策定にあたって、住民の意向を十分に反映させるため、次のような体制で計画づくりに取り組んだ。


図 復興計画策定フロー

しろまる「川口町震災復興計画」の内容
・計画の基本的事項は、復旧と復旧後を見据えた町民と行政の協働による復興への取り組みを目指した。
しろまる対象・・・地震、風水害(土砂災害含む)、雪害
しろまる期間・・・初期 平成17年度から平成19年度
中期 平成20年度から平成22年度
後期 平成23年度から平成26年度
しろまる復旧と復興の基本的考え方
復旧:災害によって失われた施設や機能を災害の前の状態に戻すこと
復興:単なる復旧を越えて、その地域を再建し、よりよいまち(地域)にしていくこと
・計画では、復興の理念として4つの視点と5つの方針を設定し、それを実現するための重点プロジェクトとして、次の3つを掲げている。
1)活気あるタウンコアゾーンの形成
2)新たな「交流」の創出
3)活気あふれる「農業」の再生


図 復興の理念

(出典)新潟県川口町『川口町震災復興計画』平成17年10月。

しろまる復興計画の位置づけ
・新潟県復興ビジョン、第4次川口町総合計画、過疎地域自立促進計画と整合性を図りながら平成26年度までを計画期間として策定された。
・なお、第4次川口町総合計画は地震前に策定されたもので、全く状況が変わってしまったため、第4次川口町総合計画の後期計画(平成18年度から22年度)策定は中止し、新たに第5次川口町総合計画を策定することとなった。復興計画を受け、平成19年3月に、平成18年度から27年度までを対象とする第5次川口町総合計画を策定された。現在、合併の計画があり、第5次川口町総合計画は合併後も見据えた町の復興計画、将来像という位置づけとなっている。


図 計画の位置づけ

(出典)新潟県川口町『川口町震災復興計画』平成17年10月。

しろまる農業再生への取り組み
・川口町は農業が基幹産業であり、活力ある農業の再生が課題となった。震災前から、町の中心部の東川口を除くと、ほとんどが兼業農家であり、高齢化してくると兼業も難しくなり耕作放棄地が出てくるといった状況があった。同町には大規模な平地が少なく、山間部では地震により圃場や農道の被害、水の流れの変化などによって、農業の基盤自体が失われる可能性があった。そのため、県の復興基金事業である「手づくり田なおし事業」を活用して復旧し、耕作放棄地を増やさないような取り組みが進められた。
・しかし、地震後4年を経ても農業生産額は地震前のレベルには戻っておらず、農業所得を上げていかないと町の活性化も農業の振興も図れないという課題がある。そこで、従来の個人経営から団体経営による効率化を目指す方針をたてて取り組んでおり、震災後5団体が組織されるなどの状況となっている。災害前から農業収入は減少傾向にあったが、団体経営について説明したり意見を聞くと、自分の田で作った米というのにこだわりが強く、農地の共同利用には嫌がる声が多かった。こうしたことから地震前はなかなか進まなかったが、地震後に動き始めた。地震前からライスセンターを計画していた地域や、これまで廃棄していたモミガラを利用した「たい肥センター」を作ろうという計画があった地域などで、地震でもう農業ができないという農家が出て動きが一気に加速した。
・現在、会社をリタイアした団塊の世代などが、地元で自分たちで農業団体を立ち上げて、農地を集積していくという動きが起きている。
・農業再生への取り組みとしては上記の他に、通年型農業の促進、環境にやさしい農業、地産地消・換金、農産加工・特産化など、表のような取り組みが行われている。

表 農業再生への取り組み事例
通年型農業の促進 木沢の藁細工、秋に収穫した大根で沢庵づくり、大豆で味噌造りなどのように夏・秋の収穫を冬場利用することが検討されている。
環境にやさしい農業 完全な無農薬ではなく、必要以上に農薬を使わない農業に取り組んでいる。エコファーマーという認定の取得などにも取り組んでいる。
地域循環型、地産地消、換金 道の駅に併設している「あぐりの里」では、地震前から農家の方が作物を販売することで生産者や農業に従事する高齢者が直接現金収入を得られるようになった。それが喜び、やりがいにつながって、徐々に規模が大きくなっている。
その他各種取り組み 農産加工・特産化(地域の特産品や料理の開発)、武道窪における、ふるさと姉妹都市の狛江市と体験農業の交流などの取り組みがある。

しろまる住宅再建
・住宅再建に関して、川口町では、被災住宅の解体撤去を町の負担で実施している(いわゆる公費解体)。この経緯については、次のような理由により実施されたとされる。
・「川口町では、多数の被災家屋が道路側に倒壊、傾くなどしており、余震での倒壊の他、積雪による2次災害の恐れがあった。被災した各個人に処理を任せると、いつ片付くかという見当がつかず、また道路が使用できないと復旧・復興活動そのものへの影響も発生するため、費用面を考える余地なく町周辺に展開していた自衛隊に委託し、公費解体に踏み切った。なお、自衛隊が行った公費解体に対しては別途費用が支払われた。なお自衛隊の意思決定プロセスについては不明である(川口町役場へのヒアリングによる)。」
・この後、町では、住宅の自力再建が困難な世帯に対し、罹災公営住宅を建設している。その際には、「住み慣れた地域で暮らしたい」など、地区や入居予定者の意見、要望もあり、地域コミュニティに配慮し各地区に分散して建設した。

表 年度別公営住宅建設戸数
地区名建設戸数建設年度入居年月備考
罹災者公営住宅和南津地区41718年9月高床・連棟式
貝ノ沢地区91718年9月
相川地区41718年9月
田麦山地区41718年9月
東川口地区391819年10月RC造5階建
西川口地区251818年12月高床・連棟式
85
その他よしとみ住宅161718年11月再建整備
小高集団移転先41818年12月小規模改良住宅
20

(出典)新潟県川口町『平成16年(2004年)新潟県中越地震』平成20年3月31日。


図 公営住宅の建設状況

(出典)新潟県川口町『平成16年(2004年)新潟県中越地震』平成20年3月31日。

しろまる町民主体の取り組み
・ヒアリングによれば、被災直後、地域のちょっとした道路被害などについては町民が自分たちで治すなどの経験をしたことなど、「あの地震を乗り越えたのだから」ということが自信になっているとのことである。その結果、従来は町が主導していた祭りやイベントなども地域で検討委員会、実行委員会をたちあげ、町がサポートにまわるようになってきているなどの、地震後、町民主体での各種の取り組みが行われるようになるなどの変化がみられるようである。
・また、地域の各種活動については、復興支援センターを通して各種NPOなどとの関係付けが進んでいる。なお、復興支援センターは、平成19年度までは同様の機能を町の企画商工課が担当していたが、19年度途中から県の復興基金で支援センター職員の人件費・事務費諸費を手当するメニューができ、19年度1名、20年度から4名の体制で、各地区の団体を応援している。各地区での取り組み事例は表の通りである。

表 地域コミュニティによる取り組み事例
地 区取り組み事例
東川口地区東川口震災復興委員会では、本町通り活性化委員会が組織され、毎月第3日曜日に歩行者天国のようなかたちで「よってげてぇふれあい市」という取り組みを実施している。
田麦山地区地域資源として「ぶな林」を活用した植樹に地震前から取り組んでおり、手入れをしたり、コンサートを開くなど「いきいき田麦山」の取り組みが進められている。HPの作成などにも取り組んでいる。
木沢地区木沢は非常に高齢化率が高く、なおかつ町の中で最も積雪量が多い地区である。「フレンドシップ木沢」は地震前から木沢焼という焼き物、閉校になった建物を利用して藁細工に取り組んでいる。また、交流として東京から体験宿泊に来たり、兵庫県西宮市の住民グループと交流している。
荒谷地区荒谷は町の一番奥の方に位置する25世帯ほどの集落であったが、地震後移転した世帯も多く現在は15世帯程度である。「ハートフル荒谷塾」では、山菜とりツアーなどのイベントを企画して各種交流を深めている。

しろまる復旧・復興の制度的な課題等
ヒアリングでは、今回の復旧・復興への取り組みから、既往制度について次のような課題の指摘があった。
・復旧・復興の最大の問題は財政難である。今回、地震で一般会計から町の1年分の予算に相当する金額が支出されているが、交付税では埋められない分である。
・雪国では仮復旧の道路では除雪車が走れないという問題がある。除雪のためには本復旧なみの舗装が必要であり、「本復旧なみの仮復旧」を実施する必要があった。また、時間的な猶予も必要であった。積雪の期間が半年に及ぶため、復旧作業を実施できる期間が半分になってしまい、スケジュール的に厳しかった。

【20040703】広報紙作成の支援(川口町・練馬区)

しろまる東京都練馬区は、川口町にて広報紙作成の支援を行った。
しろまる支援職員の派遣状況
・11月1日(月)から13日(土)まで、交替で2名1班を派遣した。支援職員2名のうち、広報紙担当が実際の広報紙編集業務にあたり、もう1名が連絡調整や印刷などの手配に当たった。このような役割分担でスムーズに対応できた。
・支援職員は、やはり広報の文章を書く技術を持った職員であることが必要。特に初期の頃には、それが不可欠だった。
しろまる広報紙作成のためのリソースの確保状況
・派遣前日(10月31日)まで、川口町庁舎は立ち入り禁止だったため、基本的に「屋外で発行する」ことを前提に器材等を準備した。準備した器材は、印刷機、印刷用紙、ノートPC2台、発電機。
しろまる広報紙の作成・配布手順および川口町職員との役割分担
・第1班の初日、2日目は、情報の収集もままならない状態。災対本部のボードに貼られている情報から掲載内容をピックアップして案を作成し、川口町の広報担当者と相談しながら紙面を作成した。
・配布手段については、川口町広報担当から世帯数が2,000世帯と聞き、2,000部印刷して避難所を経由して配布してもらうこととした。
・3日目からは「この情報を載せて欲しい」と各部署から上がってくるようになった。その結果、「どの情報を載せるか」は災対本部で決定する事項と位置づけられるようになった。

【20040704】中心市街地の復興(川口町)

・今回の地震で川口町では、中心市街地に甚大な被害が生じた。復興計画では、「活気あるタウンコアゾーンの形成」を重点プロジェクトとして掲げ、安全・安心の基盤整備と商業の活性化を図ろうとしている。町の中心部における「目に見える復興の姿」が地域再生の起爆剤となることが期待されている。
・震災後、10地区毎に復興委員会が立ち上げられた。平成21年3月現在では、東川口だけが引き続き検討を進めている。東川口地区復興委員会では、経済活性化、まちを花で飾る、など各種の部会が増えつつある。東川口地区全体としては、地震で被災し転出した家や復興住宅入居者の空き地の活用として、テントをたてて木製のベンチを置くだけでも学生が立ち寄ったり、近所の方が集まるきっかけになるのではないか、人が集まることで何かが生まれるのではないか、との期待がある。

しろまる世代を超えて集い賑わう空間づくり
1人々の交流の場となる駅前空間の形成
・越後川口駅前において、温泉などを活用した交流施設の整備検討など、川口町の玄関口としてふさわしいシンボル的な空間づくり。
2復興のシンボルとなる中心軸の形成
・安心・快適な駅前通りとするため、越後川口駅から国道17号に至る県道向山越後川口線の拡幅・歩道整備の促進。
・県道整備に合わせて沿道商店街の修景、緑化など地域環境の向上に配慮した復興のシンボルロードとしての整備。
3シンボルロード沿道の活性化
・震災による地域住民の減少、商店の廃業等により賑わいが減少した商店街の再生、連携、活性化のために、シン
ボルロードと一体的に、通りの連続性やまちなかの賑わいを創出する休憩施設、広場等の整備、新たな店舗誘致の環境整備など。


図 中心市街地の復興計画

(出典)新潟県川口町『川口町震災復興計画』平成17年10月。

【20040705】防災集団移転への取り組み(川口町)

しろまる地区の概要と被害
・防災集団移転促進事業の対象となった小高地区は、周囲を標高100〜300mの山々に囲まれ、一級河川相川が集落の中央部を北に向って貫流する、町の最南部の集落である。
・小高地区は、地震前25世帯103人の集落だったが、全壊24戸大規模半壊1戸という被害でほぼ集落全滅の状態となった。この地区は、もともと地すべり防止区域でもあり、地盤的に危険な場所であった。小高集落は沢の周辺にあり上流に自然ダムができてしまったこともあって、地震の一ヶ月後の11月23日に集団移転の要望を町に提出した。なお、小高地区には1戸だけが残ることとなった。


図 移転集落と移転先住宅団地

(出典)国土交通省『川口町の防災集団移転促進事業の変更計画概要』平成18年7月10日。


図 旧小高集落の状況

(出典)新潟県川口町『平成16年(2004年)新潟県中越地震』平成20年3月31日。

しろまる事業の経緯
・主な事業の経過は次のとおりである。

表 事業の経緯
年月日経過
平成16年10月23日中越大震災が発生
平成16年11月23日小高地区が町に集団移転の要望を伝える。
平成16年12月5日防災集団移転促進事業の概要説明会
平成17年1月2日小高集落が移転希望地を決定
平成17年7月12日国土交通省が小高地区防災集団移転促進事業計画に同意
平成17年9月6日小高地区を災害危険区域に指定、県報告示
H17.11団地造成工事に着手
H18.8団地造成工事完了
H18.8公営住宅建築工事に着手
平成18年12月23日公営住宅入居、全戸が12月末までに移転
平成19年3月16日集会施設完成
平成19年6月14日集落再生・元気づくりに向けた話し合いを開始
平成19年9月23日2年ぶりの運動会を開催

・防災集団移転促進事業により住宅団地の造成が行われ、最終的には18世帯77名(うち14世帯が自力再建、4世帯が小規模改良住宅)が造成した団地に移り、残りは戸別移転している。地域の要望として集落として残したいという意向があり、一般の公営住宅では入居者を特定できないことから、小規模住宅地区等改良事業を利用した小規模改良住宅が建設されている。この住宅では家賃低廉化も実施されており、平成18年からは地域住宅交付金で措置されている。
・ヒアリングによれば、復興への取り組みにあたってコミュニティを壊さず、つながりの継続性を重視した、とのことである。さらに、この事業の特徴として、何年かすると個人に払い下げることができるという点もあり、それらも考えてこうした事業が選択された。

移転先住宅団地の土地利用
入居戸数・・18戸 自力再建14戸 公営住宅4戸
総事業費・・約276,000千円
団地面積・・14,289m2
宅地面積・・5,840m2
(個人住宅)・・1戸当たり95坪(貸付)
(公営住宅)×ばつ1戸 ×ばつ2戸
広場整備・・550m2
団地内道路・・W=7.0m L=494m(歩行者用通路除く)
集会施設・・木造2階建1棟(延床面積約100m2)
公営住宅(小規模改良住宅・高床、木造、連棟式)×ばつ2戸
その他・・都市ガス、水道、公共下水道布設

図 移転先住宅団地の土地利用

(出典)吉田裕輔,佐藤大介,市古太郎,澤田雅浩,中林一樹『新潟県中越地震発生後半年間の災害対応と市街地空間利用について-新潟県川口町を事例として-』地域安全学会論文集No.7,平成17年11月。

【20040706】重機借上料の補助(川口町)

しろまる地震による被災箇所の復旧にあたっては、災害復旧事業の採択を待つ必要があり、早急な復旧が見込めないこと、被害規模が事業採択に該当しない箇所については関係者による対応が原則となることから、農業者の負担軽減のため、復旧作業に係る重機借上料を町で補助した。
しろまる対象施設
・農道・農業用施設(用排水路等)で、受益者が複数であること。
・その他公共用施設と認められるもの。
・農地の復旧等は対象外。
しろまる経費負担の範囲
・緊急に排土等が必要な箇所の作業等に係る重機借上料(運転手含む)
・補助員・仕上げ及び人力作業に係る作業員・人夫等は対象外。

【参考文献】
1)新潟県川口町『平成16年(2004年)新潟県中越地震』平成20年3月31日。
2)新潟県川口町『災害復旧・復興への取り組み』。
3)新潟県川口町『川口町震災復興計画』平成17年10月。
4)新潟県川口町『新潟県中越地震の発生経過(発生から平成17年4月25日)』。
5)吉田裕輔,佐藤大介,市古太郎,澤田雅浩,中林一樹『新潟県中越地震発生後半年間の災害対応と市街地空間利用について-新潟県川口町を事例として-』地域安全学会論文集No.7,平成17年11月。
6)国土交通省『川口町の防災集団移転促進事業の変更計画概要』平成18年7月10日。

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