「スマホ熱中症」にご用心!夏を乗り切るポイントを品質のプロが解説!

今年も暑い夏がやってきました。猛暑が続く中、スマホの取り扱いで注意すべき点や、起こり得るトラブルについてご紹介します。

スマホ熱中症と夏に多いご申告

最近、高温環境下でスマホを使い続けた際に発生する不具合を「スマホ熱中症」と呼ぶことがあり、そんな高温が続く夏を迎えると発熱に関するご申告が増える傾向があります。

くろまる発熱のご申告推移

夏にスマホが熱いと感じる理由の一つとして、スマホの取扱説明書に記載されているとおり、周囲温度5°C〜35°Cがスマホの使用可能な温度範囲としてご案内しておりますが、夏の外気温の上昇により、それ以上の高温環境となる場所が増えます。

くろまる外気温の温度上昇

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アスファルトの温度は60°C超え

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窓際の日光があたる場所に
スマホを置いた状態で50°C超え

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砂浜や海辺のウッドデッキで60°C超え

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そもそも一般的な電子機器が動作する際には熱が発生するもので、スマホより大きいパソコンなどは内部温度の上昇に対し、排熱用のファンなどで熱を下げることができますが、スマホは小型化や防水設計のため、その冷却機能を備えることが難しく、CPUやカメラユニット、バッテリーなどから発生する熱はスマホのボディから放熱するしかありません。このため外気温が上昇すると、スマホは熱を逃がすことができず、熱くなり易く、冷めにくくなってしまうのです。

夏のユースケース検証

(1)発熱の検証

恒温槽という内部の温湿度を任意の数値に設定できる機械を使用し、環境温度を変化させ、発熱温度の差異を確認する検証を実施しました。同じ使い方でも環境温度によってスマホの表面温度が変わります。

(注記) 動画を連続再生かつ充電中で表面温度が安定した状態

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恒温槽

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恒温槽の中で動作する端末

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検証を実施した
KDDIシステム戦略部 桑田 卓哉

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<解説>

  • 環境温度が高いほど、スマホの表面温度も高くなります。夏場はスマホも高温になり易い、という事実を知った上で、スマホが熱くなり、普段よりも調子が悪い、故障かな?と感じたら、速やかに「スマホの電源をオフ」にしたり、「涼しい室内で休ませる」などして、スマホを冷やして再度確認をお願いします。
  • 環境温度45°Cでは、再生している動画の動きがカクカクしていましたが、できるだけスマホの温度を上げないように、「温度制御」が動作しているためです。
  • 「スマホの冷やし方の良い例・悪い例」 「温度制御」やスマホを詳しく知りたい方は、こちらのページを参照ください。

(2)高温環境下でのバッテリーの劣化検証

夏は外気温が高温になる場所が増えますが、リチウムイオンバッテリーの特性として高温環境下では劣化しやすい性質があります。高温環境の場所ではスマホは放置しないなど注意が必要です。

  • 車のダッシュボードは高温となり、80°C超えとなります。
  • 冷房をかけていてもダッシュボードの環境は高温となります。(エアコン23°C設定で30分でも60°C超え)

ダッシュボードの上にスマホを設置し、カーナビ利用している状態も想定し、85°Cの温度環境にてバッテリー容量の低下を検証しました。

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エアコンをつけていても(23°C設定。約30分)
ダッシュボードの上は暑く、60°C超え

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85°Cで検証したバッテリー
(1〜2mmの膨張を確認 )
(注記) 専門家が実験を行っております。
大変危険ですのでマネしないでください。

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<解説>

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  • スマホに内蔵されたリチウムイオンバッテリーは、概ね45°C環境以上の環境にて著しく劣化します。
    劣化メカニズムについては、信州大学 是津教授にもコメントをいただきました。

リチウムイオンバッテリーは、内部で化学反応によりエネルギーを蓄えていますが、高温になるとその反応が加速し、 電解液の分解や電極表面に形成する被膜の破壊が進行します。

これにより、バッテリーの内部抵抗は上昇し、エネルギー効率が低下するとともに、繰り返し使用による 「容量劣化」の速度が早まります。

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リチウムイオンバッテリーに詳しい
信州大学 是津教授

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バッテリーの劣化に関わる化学反応イメージ

電池の中で進む異常発熱反応のイメージ

  • 今回の実験では容量の劣化と一時的な膨張が見られましたが、温度や期間、バッテリーの状況によっては、以下の可能性が否定できません。
  • バッテリーの更なる膨張とそれに伴うスマホの破損。
  • バッテリーの発火。
  • カーナビとしてスマホやタブレットを使用されている方もいらっしゃいますが、くれぐれも"車に置きっぱなし"は止めましょう。

その他の注意ポイント

1予期せぬアプリ動作によるスマホの発熱について

ゲーム中、動画鑑賞中、カメラ撮影中など、スマホが熱を持つことを意識しながらご利用する場合は違和感を感じませんが、「意識していないスマホの動作」でスマホが発熱した場合、不安を感じることがあると思います。我々が「意識していないスマホの動作」で発熱を経験したケースは下記となります。

ケース1:アプリ異常動作による発熱

  • 時々スマホが温かくなることに気がつき表面温度を測定すると、最大45°Cまで上昇していることを確認。
  • スマホ内部の動作を、スマホの開発で用いる特殊な方法で確認したところ、ウェアラブルデバイス用のアプリが頻繁に動作しており、スマホのCPU使用率を100%に近い値で推移させていた。
  • 当該アプリをアンインストールしたところ、その後、同様の発熱の症状は確認されなくなった。

ケース2:頻繁に動作するアプリによる発熱

  • 位置測位を自動で行うアプリのインストール後、時々スマホがほんのり温かくなることが気になった。
  • 表面温度を測定すると、アプリインストール前は約30°Cであったがだったのが、35°Cまで上昇していた。
  • スマホの内部動作を確認したところ、当該アプリで、位置測位の関連処理が絶えず動作していた。
    CPU使用率はケース1より少し低い値であったが、発熱は収まる様子がなかったため、当該アプリをアンインストールを行うことで事象は改善した。

上記のようなケースに遭遇される場合は、発熱の要因と思われるアプリや使っていないアプリなどアンインストールすることをおすすめします。

  • すべてのウェアラブルデバイスのアプリ、位置測位を行うアプリで同様の事象が発生するわけではありません。

温度上昇したスマホのサーモ写真

2機種によって温度上昇は異なる

ガラケーと呼ばれる携帯電話からスマホに機種変更をされたお客さまから、スマホが発熱するとご申告をいただくことが良くあります。一般的に携帯電話は、スマホよりも消費電流が小さく表面温度が低いです。このため、スマホへ機種変更された際、スマホの温かさに不安を感じられ、故障と勘違いされることがございますが、これら製品を調査しても正常と診断されることが大半となっています。
ご利用にあたっては問題ございませんので、安心してご利用ください。

KDDI・ドコモ・ソフトバンク・楽天モバイルでは、MCPCと連携して、スマホを安全にご利用いただくための情報を発信しています。

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