性感染症(STD)
公開日:2016年03月29日
最終更新日:2024年11月13日
この記事を監修したドクター
東京都立病院機構 がん・感染症センター 都立駒込病院 婦人科医長 森 繭代 先生
10代20代を中心に増加傾向です
性感染症は、クラミジアやヘルペス、コンジローマ、淋菌など、10代〜20代を中心に増加傾向にあります。
英語では Sexually Transmitted Infection、略してSTI と呼びます。Infection「感染していること」をDisease「病気」に置き換えて、STD と呼ぶこともあります。
病気の元になる菌やウイルスは、性器の周辺、精液、腟分泌物、血液などにいて、セックスなどによって感染します。
性器による性交だけでなく、オーラルセックス、ディープキスなどによっても感染します。
クラミジア、淋病、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、HIV 感染症などおよそ15 種類の性感染症が知られています。また子宮頸がんのHPV( ヒトパピローマウイルス) も性行為によって感染します。
梅毒が増えています。
1960年代から減少傾向にあった梅毒ですが、2010年以降増加に転じ、今も増え続けています。一度治っても再び感染することもある病気です。性器や口の中に小さなしこりやただれができたり、痛みや痒みのない発疹が手のひらや足のうらなどにできます。無治療で放置すると、心臓や血管、脳に病変ができることがあります。また妊娠中に梅毒に感染すると胎盤を通じて胎児にも感染して、死産になったり子どもの神経や骨に異常をきたすこともあります(先天梅毒)。
セックスの経験があればだれでもかかる病気です
性感染症にかかった患者さんは、パートナーとの関係に不安を抱えたり、感染したことに対する罪悪感に悩まされがちです。
しかしながら、大切なことは、性感染症は「特別な人」がかかるものではなく、性経験があれは誰でもかかりうる疾患であるという認識です。
特にクラミジア感染症は、男女共に、ほとんど症状がありません。感染が長く持続した場合、クラミジアは組織を癒着させながら広がります。卵管が閉塞して不妊症の原因になったり、流産・早産の原因にもなります。
重症化すると、おなかの中全体に広がって腸管や内臓の癒着を起こし、激しい腹痛のため救急車で運ばれる場合もあります。
オーラルセックスをした場合は、クラミジアや淋病をはじめとした性感染症が喉の粘膜に感染することもあります。
予防にはコンドームをつけることが大事です
予防として、妊娠を希望しない性行為の際にはコンドームをつけることが必須です。オーラルセックスのときも同様にコンドームは必要です。
性感染症は治療可能な病気です。検査を受け、必要であれば産婦人科で治療してください。お互いに感染していないことが確認できて初めて、コンドームなしで、妊娠目的のセックスが可能になるのです。