2019年6月 - 2024年3月
階層的数値モデル群による短寿命気候強制因子の組成別・地域別定量的気候影響評価
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究S) 基盤研究(S)
エアロゾル気候モデルMIROC-SPRINTARSを用いて、主要な短寿命気候強制因子(SLCFs)である硫酸塩エアロゾルの燃料消費起源の前駆気体SO2の排出量を全球一様の比率で増減させる感度実験を行った。その際のCO2濃度を、2000年レベルおよびその2倍の2パターンに設定した。その結果、同量の硫酸塩エアロゾル濃度の低下であっても、気温上昇はCO2濃度が高い状態の方が大きくなることを示した。これは、大気汚染対策を実施する場合、同時に温室効果ガス濃度の上昇を抑制しなければ、地球温暖化が加速度的に進行することを示している。この研究成果の論文公表に合わせてプレスリリースを行ったところ、関心が高く、計5紙に掲載されたほか、国際的な科学ニュースサイトでも紹介した。
硫酸塩エアロゾルのほか、ブラックカーボン(BC)の排出量を変化させる感度実験をMIROC-SPRINTARSを用いて行った。BCは大気の加熱によって降水量を大きく減少させることで、顕著な負の水循環感度を速い応答として生み出すのに対して、硫酸塩は主に地上気温の変化に連動する遅い応答として起こる水蒸気フィードバックの結果として、正の水循環感度を生み出すことがわかった。
NICAM-Chem全球14kmの雲解像モードにおいても、SO2およびBCの排出量を全球一様に変化させる感度実験を行い、従来の気候モデルでは解像できない雲に関わる SLCFsの気候応答を直接的に計算することの重要性を示唆する結果が得られた。
当初計画以上の研究成果を求めて、超高解像度エアロゾルモデルSCALE-SPRINTARSの開発に着手した。このモデルの水平分解能は、個々の雲の過程を扱える数十〜数百mであり、超高分解能で大気エアロゾルの輸送過程を計算し、得られるエアロゾルの時空間分布とSCALEの大気放射過程および雲・降水過程との相互作用を表現できることになる。
研究代表者の竹村は7年連続で、研究分担者の須藤は2年連続でHighly Cited Researchersに選出された。
硫酸塩エアロゾルのほか、ブラックカーボン(BC)の排出量を変化させる感度実験をMIROC-SPRINTARSを用いて行った。BCは大気の加熱によって降水量を大きく減少させることで、顕著な負の水循環感度を速い応答として生み出すのに対して、硫酸塩は主に地上気温の変化に連動する遅い応答として起こる水蒸気フィードバックの結果として、正の水循環感度を生み出すことがわかった。
NICAM-Chem全球14kmの雲解像モードにおいても、SO2およびBCの排出量を全球一様に変化させる感度実験を行い、従来の気候モデルでは解像できない雲に関わる SLCFsの気候応答を直接的に計算することの重要性を示唆する結果が得られた。
当初計画以上の研究成果を求めて、超高解像度エアロゾルモデルSCALE-SPRINTARSの開発に着手した。このモデルの水平分解能は、個々の雲の過程を扱える数十〜数百mであり、超高分解能で大気エアロゾルの輸送過程を計算し、得られるエアロゾルの時空間分布とSCALEの大気放射過程および雲・降水過程との相互作用を表現できることになる。
研究代表者の竹村は7年連続で、研究分担者の須藤は2年連続でHighly Cited Researchersに選出された。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H05669
- 体系的番号 : JP19H05669
この研究課題の成果一覧
講演・口頭発表等
4-
Takemura, TJpGU-AGU Joint Meeting 2020 2020年7月14日
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Takemura, TJpGU-AGU Joint Meeting 2020 2020年7月13日 招待有り