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2018年度
ボトムアップでD&Iの組織風土醸成へ
仕事と育児の両立支援
インタビュー
人事部 東京人事室
一瀬 光さん
当社では2014年から「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進ワーキンググループ」を立ち上げ、各部門から推薦されたメンバーが、セミナー企画等の取組を通じてダイバーシティ推進に取り組んできました。2024年からは、メンバーを各部門からの推薦ではなく、より多様な社員が参加できるよう、D&Iに関心のある社員を全社的に募集しました。これにより、ボトムアップでも変革を進め、D&Iが浸透した組織風土を目指しています。募集時には「メンバーが集まらなかったら...」という不安もありましたが、20名の社員からの応募がありました。メンバーは、偶然にも男女半数ずつ、研究職、技術職、事務職など多種多様な社員が集まり、まさにダイバーシティに富んだメンバー構成となりました。
集まったメンバーは、「女性活躍推進チーム」、「介護と仕事の両立支援チーム」、「育児と仕事の両立支援チーム」、「グローバルチーム」、「アンコンシャスバイアスチーム」の5つのチームに分かれ、それぞれ意見を出し合い様々な企画を検討・実施しています。
D&Iに高い関心を持つ社員が集まったことで、これまで以上に多彩な企画が実現しています。介護と仕事の両立支援チームでは認知症介護に関するセミナーの開催、女性活躍推進チームでは女性の健康セミナーの開催や有給取得促進ポスターの作成、アンコンシャスバイアスチームではワークショップ動画や理解度テストの配信などを実施しました。育児と仕事の両立支援チームでは、育児と仕事の両立について職場全体でより温かな気運を高めていくため、育児川柳大会を開催し、約180名の社員の参加がありました。参加者には参加賞としておそろいのトートバックを配布し、社内での会話のきっかけにもつながっています。そのほかにも、育児休業から復帰した社員のオンライン座談会やワーキングペアレンツのオンライン座談会を開催し、仕事と育児の両立方法などについて意見交換ができる貴重な場として、参加した社員からは継続開催を希望する声があがっています。
人事部としては、育児休業取得希望者へ産休や育休取得にあたっての不安や疑問点、利用できる制度などに関する説明を個別に行っています。利用できる制度や給与への影響など、その人が気になっていることについて個別に説明をすることで、安心して育児休業を取得してもらうことにつなげています。
育児休業を取得し、復職することは当たり前となってきていますが、子育てと仕事の両立にあたって不安や悩みを持つ社員もいます。育児休業から復帰した社員の座談会や、ワーキングペアレンツの座談会を通して、同じ悩みを持つ社員同士で交流をすることで、参加者からは「悩んでいるのは自分だけではないと気持ちが楽になった」、「両立のコツなどを知ることができて良かった」などの声がありました。
また、育児休業に関する個別説明の実施に加え、育児休業の最初の3日間が有給となっていることもあり、男性の育児休業取得率は2020年の48%から2024年は78%まで増加しています。
ワーキンググループのリニューアルとあわせて、社内のD&I推進ポータルサイトもリニューアルしましたので、より一層ワーキンググループの活動についても社内へ発信していき、ダイバーシティへの意識を社内へ浸透させていきたいと考えています。
男性の育児休業取得者についても増加はしているものの、勤務形態や人数構成などの都合で育児休業を取得しづらい部署があるのも事実です。また、育児と仕事の両立、介護と仕事の両立については少しずつ社内に意識が浸透している一方で、今後は治療と仕事の両立についても制度を整えていかなければならないと感じています。様々な事情を抱える人が増えていく中で、社員が働きやすく、働きがいのある風土をつくっていきたいです。
育児休業の取得で変化した、男性が育児に参画する社会への考え
OS-1事業部
大宮エリア茨城県担当
辻 幸佑さん
私はこの度、第二子が誕生したことにより初めて育児休業を検討し、3ヵ月間取得しました。営業職の立場上、担当エリアにおいて休業期間中担当者が不在の環境、また担当エリアのMR職(医師や薬剤師に医薬品情報を提供する職種)の方との連携、チーム内においても理解してもらえるかなど、育児休業を取得することへの不安でいっぱいでした。しかし、上司並びに担当エリアの多くの方にご協力いただき、無事に取得できたことは感謝しかありません。私自身もできるだけ不在時の環境を整えようと心掛け、担当エリアの同僚としっかりコミュニケーションをとっていきました。また、育児休業を取得した経験者も周りに少なかったため、申請や給与面で不明な部分もありましたが、人事部に説明してもらい解決できました。
取得から最初の1週間程は、担当エリアで問題は出ていないだろうか、本当に3ヵ月も取得して良かったのかなど考えることもありましたが、妻に任せていた家事、育児部分を日々こなしていくことで、いかに普段支えられていたのか体感でき、非常に貴重な時間をもらえたと今は後悔なく、育休中に支えてくれた方々へ感謝の気持ちでいっぱいです。育休中の出来事としては早朝夜間の授乳、オムツ替えタイミングの意識は第一子では気にできていなかったと大いに反省することとなりました。また子どもたちのたくさんの初めてデビューを妻とリアルタイムで共感できたことは、素晴らしい体験となりました。
今回、育児休業を終え、取得前に比べて家族に対し自分は何ができるのかを考える時間が増えました。また復帰してからも育児休業が仕事へのモチベーション向上にもつながっていると感じています。復帰後もなるべく早朝夜間の授乳は進んで対応し、子どもと接する時間を大切にできています。日常の疲れはありますが、どのような形で育児にかかわっていけるのかを常に考え行動することで、できることも増えています。まだまだ男性の育児参画はハードルが高い社会であると考えており、私自身、3年前の第一子の際には育児休業は取得していませんでした。しかし今回取得して感じたことは、我々の世代が今後の世代のために、まずは進んで育児休業を取得し、経験し、より男性が育児に携われる環境を整備していく役目を担っていると認識して行動していかなければならないと感じています。より一層男性の育児休業取得率が向上する社会になって欲しいと思います。
(データの取材時点:2024年12月)