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2022年度
女性だけでなく全社員の満足度向上を目指す
仕事と育児の両立支援 仕事と介護の両立支援 テレワーク 再雇用制度 妊娠中の労働者支援 男性育児参画 短時間正社員制度 女性活躍推進 女性採用拡大 女性職域拡大
インタビュー
内部監査室 執行役員
簑田 美紀さん(右)
プロジェクトメンバー
曽我 有喜さん(左)
当社は男性が8割を占める会社です。2016年に女性活躍推進法が施行され、世の中の動きも変わってくる中で当社ができることは何かと考えたときに、まず、女性管理職が圧倒的に少ない現状を打開したいと考えました。そのためには、各自のマネジメントスキルの増強と、女性にとっても働きやすい環境づくりが不可欠です。そこで、2018年に女性メンバーによるポジティブアクションプロジェクトを発足。皆が働きやすい環境づくりのために何が必要か、課題は何か、どう解決するかを議論し、解決してきました。現在このプロジェクトは、1)健康経営、2)介護休業制度の拡充、3)女性活躍推進PR、4)男性育児休業取得推進、5)まい活(就業時間内に10分で自己研鑽)、6)SDGs推進、7)GIKENニューノーマル推進、8)チャットボット推進(社員の問い合わせ対応時間を削減)の8つのチームで活動を行っています。
このプロジェクトの目的は、女性社員のみならず、全社員の働きやすい職場づくりと社員満足度の向上です。また、女性メンバーが自らプロジェクトを運営することによって課題解決スキルやリーダーシップを身につけ、管理職候補として育っていくことにも期待しています。
(1)GIKENニューノーマル推進
社員満足度の向上や、生産性向上につながる様々な施策を打ち出しました。たとえば、服装をカジュアルにすることで、働きやすさを向上するだけでなく、アイロンや靴磨きといった家事負担の軽減にもつながりました。
また、コロナ禍を逆手にとってテレワークを導入し、5つのレス=出張レス、通勤レス、ペーパーレス、オフィスレス、社宅(転勤)レスを実現。働きやすさだけでなく、生産性向上、コスト削減、エネルギー消費量削減、CO2削減等も実現しました。
(2)男性の育休取得推進
当社では、2018年度までの男性育休取得者はゼロでした。社員アンケートを行ったところ、こどもが生まれたら育休を取得したい社員は67%。取得したくない・わからないと答えた残り33%は、育休取得に対し罪悪感や収入面の不安があることがわかりました。そこで、給付金シミュレーションツールの構築、男性育休取得推進宣言、説明会や育休専用ページの開設などを行い、育休取得の機運を高めました。また、3カ月以上の育休取得者には最大15万円を支給する育児休業支援金も創設しました。
(3)手厚い育児支援
育児短時間勤務や子の看護休暇、時間外労働の制限、所定外労働の免除、深夜業の免除といった、育児にかかわる支援を、法令より手厚くし、利用期間をこどもが小学校を卒業するまでに拡大しました。
男性の育休取得率は2019年度に30%、2021年度には100%を達成。平均取得日数は60〜110日と長いのが特徴です。この成果が認められ、厚生労働省の主催する「イクメン企業アワード2020」でグランプリを受賞しました。社内での男性育休取得の機運が高まり、採用面でも男子学生に良いアピールになっています。
その他、2022年になでしこ銘柄に、また健康経営優良法人に認定されました。また、ポジティブアクションプロジェクトメンバーから6人の女性管理職が誕生しています。様々な賞をいただいたことや、働き方改革の取組は、採用面によい影響を与えており、問い合わせが増えています。
初めての女性主体のプロジェクトチームに対し最初は反発もありましたが、女性の働きやすさだけにフォーカスするのではなく、全社員の働きやすさや満足度を追求し、例えば誰でも休める環境を構築する、など、成果を上げていったことで、周囲の理解や支援も得られるようになりました。
メンバーはプロジェクト運営の経験が浅く、最初は戸惑いもあり、またどのメンバーも本業と並行しながらの活動のため、タイムマネジメントなど両立には苦労しています。しかし、自分達の手で「会社や社会を変えている」という誇り、社内外の人脈の構築など、本業では得ることのできない多くの学びと経験を得られています。
働き方改革にはゴールがありません。時代や社員のニーズに合わせ日々改善していく考えです。男性育休取得100%も、維持できるよう、情報発信を継続していきます。男性育休は子育てだけのためではなく、奥様との時間を持ち、リフレッシュしてより仕事に前向きに取り組むためにも有効です。社員とその家族の幸せが当たり前になるよう推進していきます。
今後は労働人口不足が深刻になり、女性はもちろん、外国人や、高齢者などの多様な人材が活躍できる社会でなければなりません。当社はこの活動を通じて、社会問題の解決にもつなげ、現状に満足せず、若い世代の意見も聞きながら、今後も改革を進めていきます。
同じ会社の夫とペア育休を取得。
かけがえのない時間を過ごせた
開発部 製品設計課
主任
前田 いづみさん
2010年に入社し、開発部門で設計や製図、構造解析等の仕事に7年従事しました。2017年に長女を出産し、育休後復帰。育児短時間勤務を利用して働きました。2021年第2子を出産。この時、同じ会社に勤める夫とペア育休(夫は3カ月半)を取得しました。これまで夫は出張が多く、家にいる時間が少なかったのですがペア育休のおかげで家族そろって過ごすことができ、とてもよかったと思っています。ぜひ、他の多くの人にも体験してもらいたいです。
長女のときは、まだ働き方改革が進んでおらず、育児短時間勤務制度を利用する人は近くにいませんでした。ロールモデルがいないので、短時間で仕事がこなせるのか、こどもが病欠して仕事が途切れたらどうしようと不安でした。でも、臆することなく利用して良かったと思います。人より早く帰る不安は仕事のやり方を工夫することで解消できましたし、私が制度を利用することで、後に続く人が増えていったからです。夫の育休取得も、本人は抵抗があったようですが、実際に取得してみると、夫の部署でも後に続く人が出ているそうです。
1人目の出産時には夫は育休を取りませんでしたし、出張も多かったので、ワンオペ育児をしながらの両立は大変でした。「もう辞めようか」と思ったこともありますが、モノづくりと会社への愛情から踏みとどまりました。今思えばあの時の苦しさも、「あの時がんばれたのだから」という自信になっていると思います。ただ、ここ数年で会社の制度も整い、インフラが整備されてテレワークも快適にできるようになりました。もう根性論でがんばらなくてもよくなったのは感慨深いですね。
今は子育てのため休んでいますが、以前は私もポジティブアクションのメンバーとして、改革に関わってきました。活動のおかげで多角的な視野を持って課題解決するスキルが身について良かったと思います。今後、この経験をキャリアアップに活かしていきます。
(データの取材時点:2022年9月)