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多くの企業で抱えていると思われるメンタルヘルス関連の事案に対し、社会保険労務士の2人がリレー方式で答えていきます。
※(注記)これらの内容は、あくまでも1つの事例である旨、ご了承ください。
休業や復職の際に従業員から提出された診断書の取扱いは、どのようなことに注意をしたらいいですか?
「個人情報保護法」の施行に伴い、厚生労働省では具体的な労働者の個人情報の取扱いについて「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」を定め、さらに最も配慮が必要な個人情報である健康情報について「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」を定めています。メンタルヘルスに関する個人情報も保護への配慮をすべき情報としてその取扱いには他の健康情報と同様に慎重に取扱う必要があります。
個人情報の取扱いの注意すべき点は次の通りです。
以上のことからご質問にある従業員から提出された診断書については、その利用目的を明確にし、利用目的以外で使用しないようにする必要があります。休業の確認のために提出された診断書であれば、その範囲で利用し、決して人事の処遇などで利用してはなりません。そのためには取り扱う担当者を限定する等のルールを設けるようにします。
従業員から提出された診断書の内容以外の情報について主治医から情報を収集する必要がある場合も、あらかじめこれらの情報を取得する目的を従業員に明らかにして承諾を得るとともに、必要に応じ、従業員本人から情報の提出を受けることが望ましいです。
「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」では、事業場における心身の状態の情報の適正な取扱いのための規程(以下「取扱規程」という。)について、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について定めていますので、指針を参考に規程を策定し、運用していくことが大切です。
従業員からの信頼があってはじめて成り立つメンタルヘルス対策であることを常に念頭に置いておくことが重要です。
根岸純子(ねぎし じゅんこ)
根岸人事労務事務所
特定社会保険労務士、シニア産業カウンセラー、キャリア・コンサルタント
大学卒業後、都内金融機関に勤務。平成10年社会保険労務士試験合格。その後、社会保険労務士事務所勤務を経て、平成11年に独立開業する。開業後、産業カウンセリングに出会い、勉強を始め、現在は労使のトラブル防止にカウンセリングやコミュニケーションスキルを活かした相談を心掛けている。
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