アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
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小学3年生校外学習 乳房山登山!
2025年08月05日
母島
那須瑞生
はじめまして!今年の4月から小笠原村は母島、母島自然保護官事務所にてアクティブ・レンジャーとして活動している那須瑞生と申します。以後、お見知りおきを!
日本一遠い母島 母島一高い乳房山
さて私、つい半年前まで石垣島で働いておりました。東京都心から非常に離れた島です。そこからさらに西にある日本最西端の与那国島が国内で最も遠い島だそうで、都心からおよそ2,000km離れていますが、実は飛行機を使えば羽田空港から石垣島の南(ぱい)ぬ島石垣空港まで約3時間、与那国島までは石垣島での乗り換えを含め計約4時間、それほど時間がかかるわけではありません。では「時間がかかる」という意味でいちばん遠い有人島はどこなのか――と申しますと、ここ、小笠原諸島・母島ではないでしょうか。東京都港区の竹芝桟橋から船に揺られて父島まで24時間、そこから母島まではさらに2時間ほどかかります。母島の人口は約400人で、村立母島小中学校という小中一貫の学校が1校だけあります。高校は父島にしかないので、子供たちは中学校を卒業後、高校へ進学する場合は父島か内地に引っ越すことになります。
今回は、そんな母島の小学3年生対象の校外学習で乳房山に登ったときのことをお話しします。乳房山は母島の最高峰で、標高は462.6m。集落のすぐ近くに登山口があるためアクセスが容易で、母島特有の雲霧林に覆われ、固有のカタツムリをはじめとした小笠原にしかない自然を楽しめる山となっております。
※(注記)ちなみに沖縄本島の最高峰は与那覇岳(503m)で、乳房山とさほど変わりません。母島というわずか20km2ほどの小さな島にこれほどの高低差があることを考えると、起伏に富む母島の地形が想像できるかと思われます。
今回は、そんな母島の小学3年生対象の校外学習で乳房山に登ったときのことをお話しします。乳房山は母島の最高峰で、標高は462.6m。集落のすぐ近くに登山口があるためアクセスが容易で、母島特有の雲霧林に覆われ、固有のカタツムリをはじめとした小笠原にしかない自然を楽しめる山となっております。
※(注記)ちなみに沖縄本島の最高峰は与那覇岳(503m)で、乳房山とさほど変わりません。母島というわずか20km2ほどの小さな島にこれほどの高低差があることを考えると、起伏に富む母島の地形が想像できるかと思われます。
登山スタート
さて、今年の小学3年生は4人で、うち1人は一度乳房山に登ったことがあるとのこと。引率の先生方と環境省の職員合わせて10人で登りました。今回乳房山には西側から登り東側から降りる時計回りのルートだったのですが、序盤は特に登りが厳しいため子供たちからは開始早々に「休みたい」「帰りたい」と不満の声がちらほら……。
しかし厳しい登りを越えると、子どもたちも徐々に調子を取り戻し上機嫌に。2時間ほど登ると湿度が上がり、小笠原固有のカタツムリなどさまざまな動植物が見られるようになってきます。子どもたちは今回の校外学習に向けて事前に乳房山で見られる動植物を予習してきており、それらを自分の目で見ることが目的の1つになっております。
今回見られた動植物の一部を紹介します。
葉の上に付くオガサワラオカモノアラガイ
・オガサワラオカモノアラガイ。小笠原諸島でも現在はここ母島でしか見られない固有種です。こう見えてカタツムリの一種で、湿度の高さや外敵の少なさから殻が退化したといわれています。
木の枝を登るオトメカタマイマイ
・オトメカタマイマイ。10種以上居る小笠原固有のカタマイマイの1種です。これまた母島でしか見られません。
しかし厳しい登りを越えると、子どもたちも徐々に調子を取り戻し上機嫌に。2時間ほど登ると湿度が上がり、小笠原固有のカタツムリなどさまざまな動植物が見られるようになってきます。子どもたちは今回の校外学習に向けて事前に乳房山で見られる動植物を予習してきており、それらを自分の目で見ることが目的の1つになっております。
今回見られた動植物の一部を紹介します。
最初はなかなか自力で生き物を見つけられなかった子どもたちですが、登りながら探していくうちに生き物を見つける精度がどんどんあがり、とうとう葉の裏に映った影でカタツムリを見抜くレベルに。少年漫画の主人公のごとき子どもたちの飲み込みの速さに驚くばかり。ちなみに私は最後尾なのもあって、ほとんど自力でカタツムリを見つけられませんでした。不甲斐ない……。
登頂
登り始めて約2時間半。乳房山山頂に着きました。快晴の日でも乳房山山頂は霧がかっていることも多く、せっかく登ったのに山頂からの景色は真っ白で何も見えない…なんていうことも珍しくないのですが、この日は天候に恵まれ、集落をよく見下ろすことができました。
このとき事前に母島観光協会で登山証明キットを買っておき、山頂で標識を石刷りすると、下山後に登山証明が手に入ります。
このとき事前に母島観光協会で登山証明キットを買っておき、山頂で標識を石刷りすると、下山後に登山証明が手に入ります。
後半戦
山頂に着いた後は後半戦、東側のコースに入ります。東側のコースは崩落と落石の危険のため一部通行止めになっていたのですが、3月から暫定通行可能になりました。とはいえ危険が完全になくなったわけではないので、お越しの際は十分気を付けて、落石注意の区間はすみやかに通り抜けてください。
登山道途中で海と集落を見渡せる景色を撮影
・道中の開けた場所から、南の海を撮影。中央に母島の集落、奥に見えるのは向島、平島、姉島といった母島の属島。右手前のキリタンポかガマの穂のようなものはツルアダンの実。
登山開始からおよそ3時間半、下り途中の休憩所でお昼ご飯を食べ、しっかりと休憩をとりました。ここからはなだらかな下りが続きます。
テリハハマボウの黄色い花と赤い花が1つずつ
・この花はテリハハマボウといいます。咲いてすぐの間はこのように黄色なのですが、1日で左下のように赤くなりやがて落ちることから「イチビ」とも呼ばれます。
登山開始後約6時間、みなさん無事に下山できました!
母島にお越しの際は、ぜひ乳房山に登ってみてください。
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ここにしかない貴重な自然の魅力を、写真や動画で発信しています。
ぜひご覧ください!
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