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南アルプスの「ニホンジカ対策ワーキンググループ」とは?
2016年12月01日みなさん、こんにちは。
今日は会議についてお伝えしたいと思います。
(会議の様子)
●くろまる「ニホンジカ対策ワーキンググループ」とは?
南アルプスに関わる山梨県、長野県、静岡県、周辺10市町村、地主、林野庁及び環境省が構成メンバーです。
平成21年6月に発足した「南アルプス高山植物等保全対策連絡会」が時を経て、平成28年11月29日に南アルプス自然環境保全活用連携協議会傘下の「ニホンジカ対策ワーキンググループ」へ移行しました。
●くろまる何のために発足した?
南アルプスでは1990年代末頃からニホンジカによる影響が高山帯でも見られるようになったため、高山帯・亜高山帯の植生(お花畑)を保全するため、国や自治体でそれぞれ対策を始めました。
そして、平成21年6月 関係行政機関間で情報を共有することにより効率的・効果的な取り組みにつなげる場として「南アルプス高山植物等保全対策連絡会」が発足しました。
●くろまるニホンジカ対策方針を策定!
さらに、「南アルプス高山植物等保全対策連絡会」では多くの検討を重ねて平成23年3月31日「南アルプス国立公園ニホンジカ対策方針」を策定しました。そして5年後、状況の変化を把握するとともに名称を簡素化し、平成28年3月31日「南アルプスニホンジカ対策方針」として改訂・更新されました。
南アルプスニホンジカ対策方針では、南アルプスの高山・亜高山帯に影響を及ぼすニホンジカへの対策を、関係行政機関が連携・協力して実施するために、保全対象や目標、役割、実施すべき対策等を示しています。
※(注記)詳しくは南アルプス国立公園の各種資料のページにある、南アルプスニホンジカ対策方針をご覧ください。
ここまでカタく書きましたが、これまでの経緯を平たく言うと以下のような感じです。
< その1: 南アルプスでの異変に気付く >
1990年代末頃から、南アルプスの関係者が山の異変に気付き始めました。
南アルプスで高山植物のお花畑が減っていたり、
樹木の皮が剥されていたり、
植物が失われて土壌が流れ出てしまっていたり...
そして、「ニホンジカによる影響が拡大している」ということに気づき、県や市町村、国が対策を始めました。
(左から順に、ニホンジカによる食痕、樹皮剥ぎ痕、植物が失われ土壌が流れてしまった場所)
< その2: 現場の状況をちゃんと調べて整理しよう(平成20年度) >
平成20年、環境省はニホンジカによる影響などの現状を把握するとともに、今後の対策について専門家と検討しました。
その結果、ニホンジカからの影響は深刻で、関係者が協力して対策を進めていく必要があることがわかりました。
< その3: 情報共有の場が誕生(平成21年6月) >
南アルプスの自然が壊れてしまうのを食い止めるために皆で集まって、それぞれが、
・どんな対策をしているのか
・その対策の効果はどうなのか
・どんな課題があるのか
等の情報交換と意見交換をし、より良い対策につなげていく場を作りましょう!
ということで「南アルプス高山植物等保全対策連絡会(現、ニホンジカ対策ワーキンググループ)」が誕生しました。
11月29日の会議では、南アルプス自然環境保全活用連携協議会傘下のワーキンググループに移行した経緯が協議会事務局から報告され、了承されました。
また、オブザーバーとして招いた専門家から、南アルプスの高山帯を利用するニホンジカの移動経路調査結果と、そこから見えてくるニホンジカの行動特性等についてお話しいただきました。
さらに、ニホンジカの行動特性を踏まえた捕獲効果の検証が改めて必要であること等の助言も頂きました。
(北岳山荘付近でくつろぐニホンジカ)
[画像:北岳山荘付近でくつろぐニホンジカ]
防鹿柵の外側では高山植物が食べられ、昔の写真に見られたお花畑は衰退し、植物が失われて土壌が流れ出てしまったような場所さえあります。
このワーキンググループで共有される情報が有効に活用されるよう、今後も関係者と協力し取り組み続けます。