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インクジェット印刷ペロブスカイト太陽電池

薄くて軽く、曲げられる。インクジェット技術で次世代型太陽電池の高生産性と低コスト化を実現

背景

産業界では、脱炭素社会の実現を目指して温室効果ガス削減目標の設定やロードマップの策定・公開が進められており、その達成手段の一つである太陽光発電システムと、それを支える太陽電池に注目が集まっています。

従来のシリコン系太陽電池は、設置場所が平地であること、建物の屋上に設置する場合にはその建物に十分な耐荷重性があることなど、設置にさまざまな制約があります。このようなことから、より柔軟に設置できる太陽電池のニーズが高まっています。

ペロブスカイト太陽電池は、薄く、軽量で、曲げることが可能な次世代型太陽電池で、照度の低いエリアや垂直設置でも効率よく発電できるという特徴があります。そのため、従来のシリコン系太陽電池では普及が難しかった耐荷重性の低い建物への設置や、壁面などを有効活用することで、新たなエネルギー創出の手段となることが期待されています。

また、これらの特徴を活かして、IoT(Internet of Things)機器の自立型電源としても活用が期待されています。

しかしながら、ペロブスカイト太陽電池の普及に向けては、低コストで大量生産可能な生産技術が必要であり、屋根や壁面に合わせたサイズのカスタマイズ性や意匠性の付与も求められています。

解決したこと

リコーは、独自の有機半導体技術とインクジェット技術を用いた全機能層塗布により、真空プロセスレス・レーザー加工レスでのペロブスカイト太陽電池の成膜技術を獲得しました。

この技術により、ペロブスカイト太陽電池の高生産性と低コスト化を実現し、さらに、インクジェット技術の特徴を活かした高い意匠性の付与やサイズのカスタマイズも可能となるため、さまざまな応用展開ができると考えています。

インクジェット印刷で作製したペロブスカイト太陽電池

技術の特徴

1. 高変換効率・高耐久性を実現する技術

リコーは、長年の複合機の開発で培った有機感光体の技術を応用し、低照度の室内光でも発電する固体型色素増感太陽電池「RICOH EH DSSCシリーズ」を2020年に世界で初めて販売しました。この研究開発で培った有機半導体技術・処方設計技術・モジュール設計技術・封止技術を用いて、ペロブスカイト太陽電池の高変換効率・高耐久性を実現します。

2. 高生産性と低コスト化、意匠性付与、サイズカスタマイズ性を実現する生産技術

ペロブスカイト太陽電池は、透明電極上に電子輸送層、ペロブスカイト層、正孔輸送層、対向電極の各機能層を成膜して作製されます。

一般的な生産プロセスでは、電子輸送層、ペロブスカイト層、正孔輸送層をスピンコートやダイコートで塗布し、各層ごとにレーザー加工で不要な塗膜を除去します。また、対向電極を成膜する際には、真空状態で蒸着を行います。

このような生産方式では高価なレーザー加工機や真空蒸着装置が必要となり、各工程に時間を要するため、低コスト化と生産性向上に課題があります。

こうした課題に対し、リコーの強みの一つであるインクジェット技術を活用し、全機能層をパターニング塗布することで、レーザー加工・真空プロセスが不要となります。さらに、ロールtoロール搬送技術との組み合わせにより、高い生産性と低コスト化を実現します。

また、インクジェット印刷では、高精度パターニングにより任意の場所に全機能層を積層可能なため、意匠性の付与やサイズのカスタマイズにも対応可能です。

一般的な生産プロセスとリコーが目指す生産プロセスの比較

パターニング印刷例

リコーの想い

リコーは、長年培ってきたインクジェットヘッド技術、インク・サプライ技術、プリンティングシステム技術の3つのキーテクノロジーを応用・発展させ、世の中の常識を変える"ものづくりデジタル変換"で、新しい価値の創出を目指しています。

本技術は、機能性材料のデジタル印刷によりペロブスカイト太陽電池の製造を実現することで「機能するJetting」を具現化する取り組みの一つです。

インクジェット印刷によるフィルム型ペロブスカイト太陽電池の高生産性と低コスト化の実現は、ペロブスカイト太陽電池の迅速な普及に寄与すると考えています。これまでは設置が難しかった耐荷重性の低い屋根や壁面などの場所でのエネルギー創出や、IoT社会における各種センシングデバイスへの電力供給など、幅広い活用を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。

本技術の分類

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