2階建客車 (グラーツ・ケーフラハ鉄道)
| グラーツ・ケーフラハ鉄道B 101-110形客車 グラーツ・ケーフラハ鉄道BS 201-205形客車 | |
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グラーツ・ケーフラハ鉄道の2階建て客車(新造車両) (2023年撮影) | |
| 基本情報 | |
| 所有者 | グラーツ・ケーフラハ鉄道 |
| 製造所 | シメリンク・グラーツ・パウカー (ドイツ語版) |
| 製造数 |
B 101-110形 10両 BS 201-205形 5両 |
| 運用開始 | 1993年 |
| 主要諸元 | |
| 車両定員 |
B 101-110形 着席132人 BS 201-205形 着席112人 |
| 全長 |
B 101-110形 26,400 mm BS 201-205形 26,890 mm |
| 固定軸距 | 2,500 mm |
| 台車中心間距離 | 20,000 mm |
| 備考 | 主要数値は[1] [2] に基づく。 |
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この項目では、オーストラリアの公共交通事業者であるグラーツ・ケーフラハ鉄道 (現:グラーツ・ケーフラハ鉄道・バス旅客会社、GKB)が所有する2階建て 客車について解説する。2025年現在、同社には1990年代に導入されたオーストリア初の2階建て客車と、2020年代にドイツのドイツ鉄道から借用・譲受した車両が在籍する[1] [3] 。
新造車両
[編集 ]1990年代初頭、GKBはそれまで使用されていた旧型客車(2軸客車)の置き換えを目的に、シメリンク・グラーツ・パウカー(SGP) (ドイツ語版)へ2階建て客車の発注を実施した。これらはオーストリア連邦鉄道に先駆ける形で導入された、オーストリア初の2階建て客車となった。発注が実施されたのは通常の客車(B形)10両(101 - 110)と、運転台や編成内に電力を供給する電源装置が設置されている制御客車(BS形)5両(201 - 205)で、1993年から営業運転を開始した。これらの客車はディーゼル機関車と連結され、機関車による牽引・推進運転を行うプッシュプル運転を実施している。また、これらの導入に合わせて従来の客車のうち3両を専用の荷物車(Dgws Vx形)に改造している他、客車(B形)のみで運行する場合に備えて貨車(有蓋車)が電源装置を備えた車両(Diho形)へと改造されている[1] [2] 。
主に朝夕のラッシュ時を中心に使用されていたが、2025年 8月に実施されたグラーツ・ケーフラハ鉄道・バス旅客会社の路線電化や使用車両変更に伴い一部車両が運用から離脱した。ただしその後もケーフラハ線を経由するS7号線での使用が継続される事になっている[1] [2] 。
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ディーゼル機関車と編成を組む2階建て客車(2021年撮影)
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ディーゼル機関車と編成を組む2階建て客車(2024年撮影)
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ディーゼル機関車と編成を組む2階建て客車(2025年撮影)
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新塗装で統一された編成(2024年撮影)
借用・譲受車両
[編集 ]オーストリアの高速鉄道路線であるコーラルム線の全線開通および電化に伴い、同線を経由するS6号線を運営するGKBはコーラルム線に採用されている統一列車制御システム「ETCS」への対応が必要となった。そこで、GKBはドイツ鉄道で使用されていたボンバルディア・トランスポーテーション(現:アルストム)製の2階建て客車(ボンバルディア・ダブルデック・コーチ)のうち、2000年代に製造された12両を借用し、2025年 8月から営業運転を実施している[3] [4] [5] 。
これらの車両はGKBが株を有するLTEロジスティック・アンド・トランスポート (ドイツ語版)(LTE Logistik- und Transport)からリースした電気機関車(ベクトロン)と連結して使用される。借用した12両の中には低床式プラットホームに対応した制御客車も含まれており、電気機関車を除き3両編成(客車 + 客車 + 制御客車)を組むが、制御客車がETCSに対応していない事や、グラーツ中央駅での短い停車時間といった理由から、両端に電気機関車を連結している[3] [4] [5] 。
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試運転中の借用2階建て客車列車(左)(2025年撮影)
一方、これらの借用車両に代わる本格的な運用を目的として、2025年にGKBはドイツ鉄道から22両の2階建て客車を購入した。そのうち1両は営業運転に用いられない部品取り車両として活用される一方、残りの21両についてはドイツ・ノイミュンスターにあるドイツ鉄道の車両基地で塗装変更や車内整備などが行われ、2025年12月から翌2026年 6月までに順次GKBへ納入される事になっており、借用車両はドイツ鉄道へと返却される。これらの譲受車両についても電気機関車(ベクトロン)との連結運転が実施されるが、借用車両と異なり一方にのみ連結される[3] [4] [5] [6] 。
脚注
[編集 ]注釈
[編集 ]出典
[編集 ]- ^ a b c d "GKB Doppelstockwagen". GKB. 2025年12月9日閲覧。
- ^ a b c Fanny Gasser (2025年5月16日). "GKB-„Doppeldecker" gehören bald der Geschichte an". Kronen Zeitung. 2025年12月9日閲覧。
- ^ a b c d Mag. Ernst Suppan (2025年6月24日). "GKB bereitet elektrischen Betrieb vor - Neue Zuggarnituren eingetroffen". GKB. 2025年12月9日閲覧。
- ^ a b c "GKB operates electric trains for the first time". Railvolution (2025年8月5日). 2025年12月9日閲覧。
- ^ a b c "Operation of electric trains at GKB". Railvolution (2025年8月22日). 2025年12月9日閲覧。
- ^ "Von Neumünster nach Graz: Doppelstockwagen im neuen Glanz!". DB. 2025年12月9日閲覧。