海上自衛隊の掃海船 (編入船)
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本項では、警備隊発足時に海上保安庁航路啓開本部から移管された掃海艇について扱う。
大日本帝国海軍では、磁気機雷に対抗して、まず通電式の二式掃海具(対艇式)を開発するとともに、開戦直後にシンガポール等で鹵獲したイギリス海軍制式品をもとに開発した磁桿式の三式掃海具(単艇式)による磁気掃海を行なっていた。しかしこれらは、磁針式磁気機雷には有効であったが、1944年(昭和19年)2月よりアメリカ海軍が投入した新式のMk25機雷等の誘導磁気機雷には対抗できなかったことから、同年12月より通電式の五式掃海具(三艇式)が開発された。またこれらの磁気機雷に対しては、従来の鋼鉄製掃海艇では触雷のリスクが非常に高く危険であったことから、1945年春以降、当時大量に建造されていた木造の駆潜特務艇や哨戒特務艇が掃海任務に投入されることとなった。これらの掃海部隊は、終戦後の海軍解体の渦中で組織体制が変遷するさなかも任務を継続することになった[1] 。
旧駆潜特務艇
掃海船「ひよどり」
太平洋戦争中に建造された駆潜特務艇。転用に際して、待機室の設置、兵装の撤去、掃海具の装備が行われた。
- 要目
- 全長:29.2m
- 全幅:5.65m
- 深さ:2.751m
- 喫水:1.97m
- 基準排水量:130t
- 満載排水量:139.1t
- 乗員:24名
- 機関:海軍中速ディーゼル 400PS 1軸
- 最大速力:11ノット
- 武装
- 5式2型掃海具
- 電子装置
- 水上レーダー
| 番号 | 船名 | 旧名 | 建造所 | 起工 | 進水 | 竣工 | 区分変更 | 除籍 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| MS01 (MSI695) | ちよづる | 駆潜特務艇 第171号 | 小柳造船 | 1943年9月15日 | 1944年3月23日 | 1944年4月14日 | 1961年3月31日(YAS28) | 1962年3月31日 |
| MS02 (MSI690) | よしきり | 駆潜特務艇 第221号 | 四国造船 | 1944年1月18日 | 1944年7月3日 | 1944年8月12日 | 1961年3月31日(YAS29) | 1962年3月31日 |
| MS03 (MSI696) | はつたか | 駆潜特務艇 第222号 | 福島造船 | 1944年4月28日 | 1944年8月12日 | 1944年9月4日 | 1965年3月31日 | |
| MS04 | ふるたか | 駆潜特務艇 第241号 | 小柳造船 | 1944年4月1日 | 1944年9月19日 | 1944年9月28日 | 1956年4月1日(ASM01) 1960年3月31日(YAS25) |
1962年3月31日 |
| MS05 | やまばと | 駆潜特務艇 第246号 | 村上造船 | 1944年8月30日 | 1944年10月8日 | 1944年10月15日 | 1956年4月1日(ASM02) 1958年6月1日(YAS06) |
1958年6月1日 |
| MS06 (MSI691) | かもづる | 駆潜特務艇 第249号 | 福島造船 | 1944年5月18日 | 1944年9月8日 | 1944年9月23日 | 1962年3月31日 | |
| MS07 (MSI697) | うみつばめ | 駆潜特務艇 第72号 | 西井造船 | 1943年6月30日 | 1943年11月4日 | 1943年11月25日 | 1961年3月31日(YAM22) | 1962年3月31日 |
| MS08 | ゆうひばり | 駆潜特務艇 第79号 | 市川造船 | 1943年9月10日 | 1943年10月15日 | 1944年2月7日 | 1956年4月1日 | |
| MS09 | はやたか | 駆潜特務艇 第86号 | 山西造船 | 1943年5月1日 | 1943年10月15日 | 1943年11月20日 | 1956年4月1日(ASM03) 1960年3月31日(YAS26) |
1962年3月31日 |
| MS10 (MSI692) | ゆうかり | 駆潜特務艇 第88号 | 村上造船 | 1943年2月8日 | 1943年11月10日 | 1944年1月22日 | 1961年3月31日(YAS30) | 1964年3月31日 |
| MS11 | はくおう | 駆潜特務艇 第90号 | 自念造船 | 1943年4月6日 | 1943年11月28日 | 1944年12月26日 | 1956年4月1日(ASM04) | 1962年3月31日 |
| MS12 | みやこどり | 駆潜特務艇 第93号 | 福岡造船 | 1943年10月6日 | 1944年1月10日 | 1944年2月10日 | 1956年4月1日(ASM05) 1957年3月31日(YAS07) |
1958年6月1日 |
| MS13 (MSI698) | いわつばめ | 駆潜特務艇 第99号 | 林兼造船 | 1943年9月20日 | 1944年1月6日 | 1944年1月28日 | 1961年3月31日(YAM23) | 1963年3月31日 |
| MS15 (MSI699) | はやとり | 駆潜特務艇 第214号 | 市川造船 | 1944年7月9日 | 1944年9月21日 | 1944年10月13日 | 1965年3月31日 | |
| MS16 (MSI693) | ともづる | 駆潜特務艇 第215号 | 徳島造船 | 1944年1月13日 | 1944年6月29日 | 1944年7月29日 | 1962年3月31日 | |
| MS17 (MSI694) | しらとり | 駆潜特務艇 第231号 | 山西造船 | 1944年8月30日 | 1944年10月9日 | 1944年10月20日 | 1962年3月31日 | |
| MS57 | にしきどり | 駆潜特務艇 第168号 | 米子造船 | 1943年12月18日 | 1944年5月3日 | 1944年6月12日 | 1956年4月1日(ASM06) | 1957年3月31日 |
| MS81 | きじ | 駆潜特務艇 第4号 | 市川造船 | 1941年12月27日 | 1942年9月14日 | 1943年3月17日 | 1956年4月1日 | |
| MS82 | おおとり | 駆潜特務艇 第78号 | 四国造船 | 1943年5月1日 | 1943年9月15日 | 1943年9月30日 | 1956年4月1日(ASM07) 1960年3月31日(YAS27) |
1961年5月1日 |
| MS83 | わかたか | 駆潜特務艇 第186号 | 山西造船 | 1944年3月6日 | 1944年8月10日 | 1944年9月10日 | 1961年3月31日(YAS31) | 1964年3月31日 |
| MS84 (MSI700) | ひよどり | 駆潜特務艇 第203号 | 船矢造船 | 1943年11月26日 | 1944年6月15日 | 1944年9月24日 | 1965年3月31日 | |
| MS85 | しらさぎ | 駆潜特務艇 第219号 | 山西造船 | 1944年6月25日 | 1944年9月25日 | 1944年10月8日 | 1956年4月1日(ASM09) 1957年3月31日(YAS08) |
1962年3月31日 |
| MS86 | おおたか | 駆潜特務艇 第232号 | 西井造船 | 1944年8月26日 | 1944年10月20日 | 1944年11月28日 | 1956年4月1日(ASM10) | 1957年3月31日 |
旧哨戒特務艇
掃海船「うきしま」
太平洋戦争中に建造された旧海軍の哨戒特務艇である。駆潜特務艇を元にした掃海艇に比べて大型であったため、発電機を搭載し電源艇として使用された。また、アメリカ海軍からの供与により、SO-8対水上レーダーを搭載していた[2] 。
- 要目
- 全長:33.0m
- 全幅:6.14m
- 深さ:3.25m
- 喫水:2.35m
- 基準排水量:238t
- 満載排水量:250t
- 乗員:27名
- 機関:海軍中速ディーゼル 400PS 1軸
- 最大速力:9ノット
- 武装
- 浮上式掃海具
- 電子装置
- SO-8対水上レーダー
| 番号 | 船名 | 旧名 | 建造所 | 起工 | 進水 | 竣工 | 区分変更 | 除籍 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| MS18 (MSI680) | うきしま | 哨戒特務艇 第31号 | 船矢造船 | 1944年3月3日 | 1944年11月30日 | 1945年4月29日 | 1961年3月31日(YAM17) | 1962年3月31日 |
| MS19 (MSI685) | つるしま | 哨戒特務艇 第84号 | 米子造船 | 1944年8月12日 | 1945年2月12日 | 1945年4月30日 | 1962年3月31日(YAM24) | 1963年3月31日 |
| MS20 (MSI681) | おとしま | 哨戒特務艇 第134号 | 四国造船 | 1944年3月25日 | 1944年11月7日 | 1945年1月20日 | 1961年3月31日(YAM18) | 1962年3月31日 |
| MS21 (MSI686) | まつしま | 哨戒特務艇 第135号 | 四国造船 | 1944年4月20日 | 1944年12月26日 | 1945年2月19日 | 1962年3月31日(YAS32) | 1964年3月31日 |
| MS22 (MSI682) | ひめしま | 哨戒特務艇 第136号 | 四国造船 | 1944年5月20日 | 1945年1月24日 | 1945年3月21日 | 1961年3月31日(YAM19) | 1962年3月31日 |
| MS23 (MSI683) | あわしま | 哨戒特務艇 第138号 | 四国造船 | 1944年7月20日 | 1945年4月24日 | 1945年5月25日 | 1961年3月31日(YAM20) | 1963年3月31日 |
| MS24 (MSI687) | くるしま | 哨戒特務艇 第139号 | 四国造船 | 1944年9月30日 | 1945年6月6日 | 1945年7月9日 | 1962年3月31日(YAM25) | 1964年3月31日 |
| MS25 (MSI684) | かもしま | 哨戒特務艇 第152号 | 福島造船 | 1944年6月2日 | 1944年11月29日 | 1945年3月15日 | 1961年3月31日(YAM21) | 1962年3月31日 |
| MS26 (MSI688) | たかしま | 哨戒特務艇 第153号 | 福島造船 | 1944年7月3日 | 1945年3月8日 | 1945年4月29日 | 1962年3月31日(YAS33) | 1964年3月31日 |
| MS29 (MSI689) | おおしま | 哨戒特務艇 第179号 | 自念造船 | 1944年2月15日 | 1945年3月15日 | 1945年4月25日 | 1964年3月31日 |
その他
掃海艦「桑栄」
旧海軍の救難艇、曳船 そして、民間の商船、機帆船などとして建造された船舶である。
| 番号 | 船名 | 建造所 | 起工 | 進水 | 竣工 | 区分変更 | 除籍 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| MS101 | 桑栄丸 | 浦賀船渠 | 1944年10月11日 | 1944年12月10日 | 1945年1月10日 | 1954年11月29日(GP441) | 1963年3月31日 | 1954年12月1日名称を「桑栄」に変更 |
- 「桑栄」要目
- 全長:93.0m、 全幅:13.8m、 基準排水量:2,860t
掃海船「おきちどり」
| 番号 | 船名 | 旧名 | 建造所 | 竣工 | 除籍 |
|---|---|---|---|---|---|
| MS33[3] | 宝来丸[3] | 蓬莱丸[3] | 大君造船所[3] | 1956年4月1日[3] | |
| MS34[3] | 長門丸[3] | 早瀬造船所[3] | 1931.9[3] | 1956年4月1日[3] | |
| MS35[3] | 第二鮮友丸[3] | 占部造船鉄工所[3] | 1934.12[3] | 1953年10月26日[3] | |
| MS36[3] | い号庄田丸 [3] | 1962年3月31日 | |||
| MS37[3] | 浪速丸[3] | 旧海軍雑役船 公称691 100トン型敷設曳船 | 宇品造船所[3] | 1928年7月7日[3] | 1957年9月1日 |
| MS38[3] | 第二徳山丸[3] | 旧海軍雑役船 公称1030 150トン型曳船 | 石原造船所[3] | 1939年2月24日[3] | 1962年3月31日 |
| MS39[3] | 第三徳山丸[3] | 旧海軍雑役船 公称1112 100トン型曳船 | 大阪鉄工所桜島[3] | 1939年5月31日[3] | 1961年3月31日 |
| MS41[3] | 美々津丸[3] | 旧海軍雑役船 公称668 150トン型曳船 | 播磨造船所[3] | 1927年4月25日[3] | 1960年3月31日 |
| MS42[3] | 高千穂丸[3] | 旧海軍雑役船 公称1274 100トン型曳船 | 大阪鉄工所因島[3] | 1940年10月10日[3] | 1960年3月31日 |
| MS50[3] | 第十二徳山丸[3] | 旧海軍雑役船 公称1104 17m汽船 | 宇品造船所[3] | 1939年3月30日[3] | 1954年7月1日 |
| MS54[3] | 愛宕丸[3] | 旧海軍雑役船 公称518 300トン型曳船 | 佐世保海軍工廠[3] | 1922[3] | 1957年9月1日 |
| MS55[3] | 音戸丸[3] | 旧海軍雑役船 公称1152 150トン型曳船 | 松江鉄工[3] | 1941年4月12日[3] | 1961年3月31日 |
| MS56[3] | 津久茂丸[3] | 旧海軍雑役船 公称818 100トン型曳船 | 播磨造船所[3] | 1932年11月30日[3] | 1963年3月31日 |
| MS62 | ゆうちどり | 旧海軍雑役船 公称1536 300トン型飛行機救難船 | 1978年3月20日 | ||
| MS66[3] | 錦丸[3] | 1940.4[3] | 1954年3月31日[3] | ||
| MS67 | 富士丸[3] | 越智丸 | 安芸造船所[3] | 1950年7月31日[3] | 1956年4月1日[3] |
| MS68 | おきちどり | 旧海軍雑役船 公称1090 200トン型飛行機救難船 | 1970年3月31日 | ||
| MS71 | 第一城南丸 | ||||
| MS72 | 第二城南丸 | ||||
| MS75[3] | 第一中興丸[3] | 三津浜造船所[3] | 1956年4月1日[3] | ||
| MS76 | 旧海軍内火通船 | ||||
| MS77 | 第二中興丸 | ||||
| MS80[3] | 協正丸[3] | 1954年3月31日[3] | |||
| MS87 | |||||
| MS88[3] | 第二十新興丸[3] | 第二新興丸[3] | 1956年4月1日[3] | ||
| MS89 | 御幸丸[3] | 1956年4月1日[3] |
出典
[脚注の使い方]
- ^ 廣郡洋祐「海上自衛隊 木造掃海艇建造史」『世界の艦船』第725号、海人社、2010年6月、155-161頁、NAID 40017088939。
- ^ 藤木平八郎「艦載レーダー発達の歴史 (特集 最近の艦載レーダー)」『世界の艦船』第607号、海人社、2003年2月、69-76頁、NAID 40005630579。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo bp bq br bs bt bu bv 海人社 2017, pp. 38–39.
