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インド:国営電力会社NTPC、石炭火力の低負荷運転で寿命短縮の恐れを指摘

掲載日:2025年9月12日

9月2日付けの地元メディアによると、インド最大の国営電力会社NTPCは、石炭火力発電所を低負荷で運転し続けると、設備の寿命が大幅に短くなる可能性があると警鐘を鳴らした。

中央電力庁(CEA)は、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入拡大に対応するため、発電所の最低運転出力(テクニカルミニマム)を設備容量の40%まで引き下げることを提案し、来年からの実施を目指している。この政策は、再エネを電力網により多く取り込みつつ、安定供給を維持するというインドのエネルギー戦略の一環である。しかし、NTPCのオペレーション担当ディレクターであるRavindra氏は、長期間40%出力で運転すると、特に高出力を前提に設計されたボイラーやタービンの摩耗が進み、通常25年の設備寿命が3分の1以上短くなる恐れがあると警告した。NTPCはこの懸念を踏まえ、テクニカルミニマムを独自に55%に設定し、設備の安全性と柔軟性のバランスを取る方針である。一方で、CEAのGhanshyam長官は、適切な改修を施せば40%出力での安定稼働は可能だとし、「効率低下への対策として補償メカニズムを検討すべきだ」と述べた。

インドは2030年までに非化石燃料の発電設備容量を500GWに拡大する目標を掲げているが、石炭は引き続きエネルギー安全保障の要と位置付けられている。政府は再生可能エネルギーによる発電量が落ち込む時期の供給安定を確保するため、2035年までに石炭火力を97GW増強し、総設備容量を約307GWにする計画である。

(石炭開発部 佐藤 譲)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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