インドネシア:インドネシア政府、石炭販売取引の基準価格としてHBAを適用する要件を正式に撤廃
掲載日:2025年9月5日
2025年8月27日付地元報道によると、石炭販売取引の基準価格としてHBAを適用する要件が正式に撤廃された。この方針は、2025年8月8日に署名された「金属鉱物及び石炭商品の販売基準価格決定ガイドラインに関するエネルギー鉱物資源大臣令第268.K/MB.01/MEM.B/2025号」に明記されている。また、この新政策に伴い、2025年2月24日に公布されたエネルギー鉱物資源省令第72.K/MB.01/MEM.B/2025号も同時に廃止された。同省令は当初、石炭販売取引の基準としてHBAを設定していた。鉱業専門家協会(Perhapi)は、石炭販売取引の基準価格として義務付けられていたHBAが撤廃された背景について、中国やインドなどの主要輸入国がHBA価格でのインドネシア産石炭購入に消極的だったことを理由の一つに挙げた。同協会のSudirman Widhy Hartono 会長は、「輸出取引への強制的な基準価格の適用は不適切であり、販売契約は市場メカニズムに基づくべきである。価格の固定化は買い手と売り手の交渉余地を狭め、購入意欲を削ぐ恐れがある」とした。
2025年3月1日に施行されたHBA政策は、アジアや豪州で石炭供給が豊富な時期にあたり、中国がインドネシアからの輸入削減を決定するなど、石炭輸出の減少を招いた。しかし、これは供給過剰だけが原因ではなく、高価格設定を強いられていたことも要因の一つである。中国はインドネシア産石炭が高値と判断すれば、他国から低価格で調達できる状況にある。同協会は、HBAはロイヤルティや税の算定指標としてのみ使用されるべきだとし、生産者が企業間取引(B2B)ベースで自由に価格を決定できる環境の維持を求めた。
インドネシア石炭鉱業協会(APBI)も、輸出活動でのHBA強制適用が国際市場の変動を招いた可能性を否定していない。インドネシアの政策は、2023年と2024年に石炭生産の増加を発表した際にも市場に影響を与えており、需給国の敏感な反応は当然と言える。
中国国内の石炭流通協会も、HBAを輸出基準価格としたことで、既存の長期契約を解除・再交渉する動きが出る可能性を指摘していた。こうした反発の背景には、中国国内での高水準な生産・輸入や冬季の需要低迷に伴う在庫過剰がある。
2025年3月1日に施行されたHBA政策は、アジアや豪州で石炭供給が豊富な時期にあたり、中国がインドネシアからの輸入削減を決定するなど、石炭輸出の減少を招いた。しかし、これは供給過剰だけが原因ではなく、高価格設定を強いられていたことも要因の一つである。中国はインドネシア産石炭が高値と判断すれば、他国から低価格で調達できる状況にある。同協会は、HBAはロイヤルティや税の算定指標としてのみ使用されるべきだとし、生産者が企業間取引(B2B)ベースで自由に価格を決定できる環境の維持を求めた。
インドネシア石炭鉱業協会(APBI)も、輸出活動でのHBA強制適用が国際市場の変動を招いた可能性を否定していない。インドネシアの政策は、2023年と2024年に石炭生産の増加を発表した際にも市場に影響を与えており、需給国の敏感な反応は当然と言える。
中国国内の石炭流通協会も、HBAを輸出基準価格としたことで、既存の長期契約を解除・再交渉する動きが出る可能性を指摘していた。こうした反発の背景には、中国国内での高水準な生産・輸入や冬季の需要低迷に伴う在庫過剰がある。
(ジャカルタ事務所)
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