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インドネシア:エネルギー・鉱物資源省、鉱物・石炭販売規制を緩和し、ベンチマーク価格以下での販売を容認、ただし税・ロイヤルティは従来どおり

掲載日:2025年8月29日

2025年8月24日付けの地元メディアによると、インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は、鉱物ベンチマーク価格(HPM)および石炭ベンチマーク価格(HPB)に関する新たな規制を公布した。これにより、鉱業会社は従来の規定とは異なり、ベンチマーク価格を下回る価格で販売することが可能となる。ただし、税金およびロイヤルティの支払い義務は引き続きHPMおよびHPBに基づいて行われる。

新規制は、2025年8月8日付で署名された省令第268.K/MB.01/MEM.B/2025号に明記されており、これまで金属鉱物および石炭のすべての販売取引にベンチマーク価格の参照を義務付けていた省令第72.K/MB.01/MEM.B/2025号は廃止された。

新たな省令では、すでにHPMまたはHPB未満での販売契約を締結しているIUP(鉱業事業許可)、IUPK(特別鉱業事業許可)、KK(鉱業契約)、PKP2B(石炭事業契約)保有者に対し、例外を認めている。ただし、同省令第4条では明確に「ベンチマーク以下の契約で販売する場合であっても、HPMおよびHPBは税額計算とロイヤルティの算定に使用される」と規定されている。

インドネシア石炭鉱業協会(APBI)のGita Mahyaran事務局長代理は、この規制について「新しい仕組みというより、従来の制度を確認したものにすぎない」と24日の地元メメディアに対して語った。すでに税・ロイヤルティはHPB基準で支払われていたため、今回の規制は「売上価格がベンチマークを下回った場合でも、財務上の義務はHPBに基づくことを改めて明確化したもの」と付け加えた。

同氏はまた、「現在の世界的な価格下落は供給過剰など市場ファンダメンタル要因によるものであり、今回の規制が市場に与える影響は限定的」との見方を示した。さらに、国内市場では電力セクターやセメントセクターの価格がすでに政府によって規制されているため、価格自由度は限定的だとも指摘した。

一方で、同氏は「実際の販売価格とHPBの差が鉱業会社に追加的な負担を強いるリスクがある」とも述べた。特に、HPBに基づいたロイヤルティ計算が市場実勢よりも高額になる可能性が指摘されている。

鉱業会社からも懸念の声が上がっている。インドネシア鉱業協会(IMA)は、中国をはじめとする主要買い手が、HPBの基準となるHBAが他の国際石炭指数より高いために不満を示していると明らかにした。中国の買い手からは「HBAベースの価格は実勢に比べて高すぎる」との異議が出ている。

(石炭開発部 佐藤 譲)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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