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インドネシア:インドネシア政府、石炭輸出減少に対応するため、国内石炭企業に対してASEAN諸国、南アジア諸国での新規市場開拓を要請

掲載日:2025年8月1日

2025年7月14日〜16日付地元報道によると、エネルギー・鉱物資源省(ESDM)は最近の、主要輸出先である中国、インドへの石炭輸出の減少に懸念を表明している。この輸出減少はインドネシアにおける非課税国家収入(PNBP)に直接影響を及ぼしており、政府は2025年度のPNBP目標額を下方修正する対応を余儀なくされている。インドネシアの2025年1月〜5月の石炭輸出量は前年同時期比で約12%減少の1億8,700万トンとなっている。特に中国向け輸出は12.3%、インド向けは14.3%の減少となっており、改めて両国に対する輸出依存度の高さが際立つことが明らかになった。この輸出減少に伴いインドネシア政府はESDMのPNBP目標額を254兆ルピア(約154.9億米ドル)とし、2024年目標額である270兆ルピア(約164.7億米ドル)から約6%の下方修正となった。

ESDMの鉱物石炭局長は、販売量減少、更に販売価格の低下による収入源の減少は避け難いとしている。中国市場においては、中国国内石炭生産量拡大及び高カロリー炭への需要の高まりが進んでおり、インドネシア産の中・低カロリー炭の競争力が低下している。モンゴル及びロシア産石炭もロシア〜モンゴル〜中国間のインフラ整備が進み、価格面で中国市場での優位性を獲得している。

インドも同様に石炭輸入の選別を進めており、高カロリー炭への依存度を高める政策を進めており、インドネシアの石炭輸出への影響を与えている。これらの要因によるインドネシア産石炭輸出減少を受け、政府が従来の主要市場である中国、インドへの依存度を下げ、今後も石炭依存度の高いASEAN諸国や南アジア諸国の市場開拓を目指し、地域的な輸出先の多様化を国内石炭企業に対して促している。更に国内規制に関しても見直しを進め、3年毎の企業予算作業計画(RKAB)承認を2025年から年次承認へと移行する方針を決定した。これにより生産動向に即応した柔軟な生産管理体制の向上と収益性改善性が期待されている。

インドネシア鉱業協会(IMA)は、2025年の石炭輸出目標は5億トンとしており、前年の5億5,500万トンと比較して10%減少となっている。2025年の総生産量も7億3,900万トンと見込んでおり、前年比約11.6%減としている。輸出実績に関しては2025年上半期の実績を年間目標の47%と見込んでおり、下半期の輸出動向がPNBP目標額達成に対して重要となっている。しかしながら石炭輸出は長期契約に基づくものがほとんどで、スポット契約による販売量増加は限られており、短期的市場開拓は困難と見られている。

インドネシアの石炭輸出は、世界市場の需給バランスと輸出先におけるエネルギー政策の転換により大きな転換期に直面している。政府はPNBP目標額見直し、輸出先の多様化、国内規制の緩和等の政策を進めているが、更に中長期視点による持続可能な市場開拓と生産の効率化が更なる課題となっている。ASEAN諸国やインド以外の南アジア諸国の新興地域における石炭需要増加はインドネシア石炭業界にとっては今後の成長機会への期待であり官民連携が更に重要となっている。

(ジャカルタ事務所)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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