カナダ:アルバータ州規制当局、Glassy Mountain原料炭探査プロジェクトを承認
掲載日:2025年5月23日
5月15日付地元報道によると、アルバータ州エネルギー規制当局(AER)は同日、グラッシーマウンテン(Grassy Mountain)原料炭探査プロジェクトを承認した。
Northback社による本プロジェクトは、2021年、連邦政府と州政府により設立された合同調査委員会で却下されたものの、2023年に再始動し、2024年には同社の申請が「先進的」な提案であるとして州政府による露天掘り炭鉱禁止の決定から除外されると共に、今年にかけて公聴会が実施されていた。
今回のAERの決定では、同プロジェクトの承認は公共の利益にかなうもので、公聴会で多くの人が主張したように水質や野生生物に悪影響は及ばないと判断されている。Northback社はこの決定により石炭探査目的で公有地と私有地の両方で地下150メートル以上を掘削が可能となる。また同社は自社所有で他の水域や河川に直接つながっていない近くの端の採掘場の湖からのみ水を汲み上げることができるとされ、湖から多少水の流出が発生する可能性はあるものの、下流の水質や水量には影響を及ぼさないと判断されたとされている。本プロジェクトでは掘削作業や採炭作業は行われず、新たな尾鉱もないため、有毒なセレンが生成される可能性は低いとされた。また新規道路建設の予定はなく、野生生物への潜在的な危害は起こりそうにないと判断されている。
AERは、本プロジェクトが公共の利益となることに概ね満足しており、企業がその地域への投資を継続できると同時に、先住民コミュニティを含む近隣住民に雇用機会を提供するとしている。これに対しNorthback社の広報担当は、AERの決定に感謝すると述べる一方、野党NDP環境問題評論家は、この決定は間違っているとしている。
Brian Jeanエネルギー・鉱物資源大臣は、州政府はAERによる「申請に関する慎重に検討された決定」を尊重すると述べつつ、今回の件は採掘申請ではないと指摘した。また、探査作業に関連する復旧作業はNorthBack社が担当すると述べた。同氏は「アルバータ州の水域の保護という州政府の約束を改めて表明し、ロッキー山脈東部斜面におけるいかなる開発も最高の環境基準に沿って行われるようにする」と声明で述べた。
なお今回のAERの決定には「探査は開発につながるかは不確かであり、資源会社が実施する長く複雑な一連の活動でのほんの一歩に過ぎない」「本探査プログラムの必要性を承認したとして炭鉱開発の承認を意味するものではない」と記載されている。また「将来、NorthBack社がグラッシーマウンテンでの採掘申請を進めることを決定した場合、すべての資源開発で遵守すべき厳格な規制プロセスに従わなければならない」という。探査許可に付随する条件としては、同社が規制当局の承認を得て掘削廃棄物を処分すること、浸食防止および雑草管理計画に従うこと、推奨される環境緩和措置を順守することが求められている。有効期間は5年間で最後の3年間は埋め立て作業のために確保される。(2024年12月6日付:アルバータ州の地元住民投票で72%がGlassy Mountainプロジェクト推進を支持https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/241206_4.html参照)
Northback社による本プロジェクトは、2021年、連邦政府と州政府により設立された合同調査委員会で却下されたものの、2023年に再始動し、2024年には同社の申請が「先進的」な提案であるとして州政府による露天掘り炭鉱禁止の決定から除外されると共に、今年にかけて公聴会が実施されていた。
今回のAERの決定では、同プロジェクトの承認は公共の利益にかなうもので、公聴会で多くの人が主張したように水質や野生生物に悪影響は及ばないと判断されている。Northback社はこの決定により石炭探査目的で公有地と私有地の両方で地下150メートル以上を掘削が可能となる。また同社は自社所有で他の水域や河川に直接つながっていない近くの端の採掘場の湖からのみ水を汲み上げることができるとされ、湖から多少水の流出が発生する可能性はあるものの、下流の水質や水量には影響を及ぼさないと判断されたとされている。本プロジェクトでは掘削作業や採炭作業は行われず、新たな尾鉱もないため、有毒なセレンが生成される可能性は低いとされた。また新規道路建設の予定はなく、野生生物への潜在的な危害は起こりそうにないと判断されている。
AERは、本プロジェクトが公共の利益となることに概ね満足しており、企業がその地域への投資を継続できると同時に、先住民コミュニティを含む近隣住民に雇用機会を提供するとしている。これに対しNorthback社の広報担当は、AERの決定に感謝すると述べる一方、野党NDP環境問題評論家は、この決定は間違っているとしている。
Brian Jeanエネルギー・鉱物資源大臣は、州政府はAERによる「申請に関する慎重に検討された決定」を尊重すると述べつつ、今回の件は採掘申請ではないと指摘した。また、探査作業に関連する復旧作業はNorthBack社が担当すると述べた。同氏は「アルバータ州の水域の保護という州政府の約束を改めて表明し、ロッキー山脈東部斜面におけるいかなる開発も最高の環境基準に沿って行われるようにする」と声明で述べた。
なお今回のAERの決定には「探査は開発につながるかは不確かであり、資源会社が実施する長く複雑な一連の活動でのほんの一歩に過ぎない」「本探査プログラムの必要性を承認したとして炭鉱開発の承認を意味するものではない」と記載されている。また「将来、NorthBack社がグラッシーマウンテンでの採掘申請を進めることを決定した場合、すべての資源開発で遵守すべき厳格な規制プロセスに従わなければならない」という。探査許可に付随する条件としては、同社が規制当局の承認を得て掘削廃棄物を処分すること、浸食防止および雑草管理計画に従うこと、推奨される環境緩和措置を順守することが求められている。有効期間は5年間で最後の3年間は埋め立て作業のために確保される。(2024年12月6日付:アルバータ州の地元住民投票で72%がGlassy Mountainプロジェクト推進を支持https://coal.jogmec.go.jp/info/docs/241206_4.html参照)
(石炭開発部 宮崎 渉)
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。