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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

【10周年記念 藤前干潟を未来に繋ぐ人々3】

2013年03月21日
名古屋
今日のAR日記では【10周年記念 藤前干潟を未来に繋ぐ人々】の3回目として、
下之一色(しものいっしき)の漁師だった犬飼一夫さんをご紹介します。

【笑顔がすてきな海の男、犬飼さん】

伊勢湾の最も奥にある藤前干潟のさらに奥、
藤前干潟から新川と庄内川を3〜4kmさかのぼった所にあるのが下之一色という町です。
下之一色は、伊勢湾台風(昭和34年)頃まで、漁師町として非常に栄えた町です。
その当時は、藤前干潟周辺には今よりも多種多様の海の生き物がおり、
牡蠣養殖や海苔養殖も行われていたそうです。

【下之一色の魚市場 朝市の様子(昭和初期)】

犬飼さんは、この下之一色の町で代々漁師を生業としている家に生まれ(昭和6年のこと)、
小学生の頃から藤前干潟はもちろん、名古屋港を含む伊勢湾の北部で漁をしてきました。
そして、伊勢湾台風後、災害からの名古屋港の復興・開発計画などのために
下之一色の漁師たちが名古屋港での漁業権を放棄せざるを得なくなったとき、
涙をのんでその状況を受け入れた漁師のうちの一人でした。

【伊勢湾台風後の下之一色魚市場周辺の様子】

現在、戦前、戦中、戦後を通しての藤前干潟周辺の様子を語ることのできる方は
少なくなってきています。
そんな中、犬飼さんは漁のことだけではなく、
藤前干潟周辺の昔の町の様子や戦争時の状況を
積極的に伝えようとしてみえます。

漁の再現模型を作ったり、昔の漁の道具(漁具)を集めたり、
昔ながらのヨシ編みや海苔すきをできる道具を作成したりと、
稲永ビジターセンターや藤前活動センターで行われる展示や環境教育プログラムにも
大変貢献されています。

【漁の再現模型の展示】
(注記)稲永ビジターセンター、藤前活動センターに展示しています。


【ヨシ編みの様子】

【海苔すきの様子】

今回の<未来に繋ぐ 藤前干潟インタビュー>も、快く引き受け、
記事に載せきれないくらい多くのことを話してくださいました。
犬飼さんのインタビューでは、主に以下の内容のお話について伺っています。
・下之一色の歴史
・戦時中の生活の様子(学徒動員、空襲、東南海地震など)
・漁の様子、漁師町として栄えた下之一色の様子
・戦時中のこの周辺・生活の様子
・一色電車について
・藤前干潟の今後について

今の藤前干潟周辺の様子しか知らない私にとっては、
犬飼さんから聞くこと全てが、知らないことばかりで、非常に勉強になりました。
ぜひ、皆さんもインタビューを一度お読みいただければと思います。
特に戦時中の空襲などのお話は、犬飼さんの言葉で聞くと、
とても胸に迫るものがあると思います。

【今の藤前干潟の姿は犬飼さんの目にどのように映っているのでしょうか・・・。】


下之一色のご自宅から愛用の自転車で50分かけてセンターまで来てくれる犬飼さん。
これからも、ずっとお元気で藤前干潟の今昔を伝えていっていただきたいです。

〜藤前干潟 ラムサール条約登録10周年スローガン〜
つなげよう藤前の環、広げよう未来へ。
みんなで作る人と生きものの絆。

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